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2017年12月 9日 (土)

WEEZER『PACIFIC DAYDREAM』(2017)

恒例のセルフタイトルアルバム(前作は『ホワイト・アルバム』)から1年半ぶりとなる、通算11作目のオリジナルアルバム。本格的に再始動した2000年以降、その多才ぶりに驚かされるWEEZERおよびリヴァース・クオモですが、本作も当初は『ホワイト・アルバム』に続く『ブラック・アルバム』(要はセルフタイトルアルバム第5弾ですね)の制作にとりかかったところ、別の方向性の楽曲が次々と生まれてしまったことから、別のアルバムを作ることに。結果、生まれたのがこの『PACIFIC DAYDREAM』というわけです。

そのタイトルからもわかるように、まさに“ビーチでの白昼夢”をイメージさせる楽曲がずらりと並ぶ本作。“ビーチ”という視点は前作からの延長線上にあると思うし、実際メロディセンスの冴えわたりっぷりはいかにもリヴァースといったところ。言われているほど悪いとは思えないし、むしろ非常に“現代的”であり、時代にマッチしたメロ運びだと思いました。個人的にはツボ。いろいろ勉強しているんだろうなというのも伝わってきます。

で、問題になってくるのがそのサウンドメイキング。この春に先行シングルとして配信リリースされた「Feels Like Summer」を聴いて驚いたファンも少なくないでしょうが、バンドサウンドというよりはサンプリングや打ち込みなどを多用したアレンジで、従来の“轟音ギター+甘いメロディ”路線を好む方々からは難色を示す仕上がりかもしれません。

実際、アルバム全体がそういった方向性で統一されており、オープニングを飾る「Mexican Fender」などは従来のWEEZERに近いテイストながらも、3曲目「Feels Like Summer」や4曲目「Happy Hour」あたりは完全に“今”の音。ロックというよりも、ヒットチャートを賑わせるポップソングのテイストに近いものと言えるでしょう。が、これが言うほど悪くない。むしろ、めっちゃ好みの音だったりするし、それをWEEZER(リヴァース)がやっているという事実が面白い。

「Weekend Woman」などいつも以上にドリーミーな楽曲が多いのお、それこそ先の“ビーチでの白昼夢”というキーワードを考えれば納得。タフさや現実(=バンド形態でのストロングスタイル)感を排除して、とことんフワフワした空気を漂わせて終わる34分、最高じゃないですか。全米チャート的には最高23位と過去最低位を記録したものの、僕はこの路線を支持したい。だって、どうせ次はギトギトした路線に戻った『ブラック・アルバム』でしょ?(笑)

結局、こういう振り幅を見せてくれるバンドが好きなんですよね。だから、いつまで経ってもWEEZERのことが嫌いになれないのです。



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投稿: 2017 12 09 12:00 午前 [2017年の作品, Weezer] | 固定リンク