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2017/12/31

2017年12月のお仕事

2017年12月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※12月13日更新)


[WEB] 12月13日、「リアルサウンド」にてLOUDNESSのアーティスト分析「LOUDNESS、“2つの時代”のライブ音源に見る進化の軌跡 『8186 Now and Then』徹底解説」が公開されました。

[紙] 12月12日発売「週刊SPA!」12月19日号にて、「美女地図」欅坂46・渡辺梨加にコメントを寄せました。(Amazon

[紙] 12月11日発売「別冊カドカワDirecT 07」にて、欅坂46今泉佑唯×小林由依対談、けやき坂46柿崎芽実×加藤史帆×齊藤京子座談会、けやき坂46小坂菜緒、渡邉美穂インタビュー、ひらがな全国ツアー福岡公演レポート、ドラマ「Re:Mind」潜入記(一部)、巻末特集「再検証グランジムーブメント」全般を担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 12月10日から全国5都市の主要CDショップで配布開始の片平里菜×「FLYING POSTMAN PRESS」特別号にて、片平里菜単独インタビューとアルバム『愛のせい』全曲解説コメント取材を担当・執筆しました。

[紙] 12月9日、10日開催の「THE YELLOW MONKEY SUPER BIG EGG 2017」にて販売の公式パンフレットにて、メンバー個別インタビューなどを担当・執筆しました。

[WEB] 12月8日、「リアルサウンド」にてLittle Glee Monsterのライブ評「Little Glee Monsterは前例のないボーカルグループへ “最高”を更新した全国ツアー最終公演」が公開されました。

[紙] 12月8日発売「乃木坂46×週刊プレイボーイ2017」にて、西野七瀬×与田祐希対談、生田絵梨花×久保史緒里対談、「ウワサの真相スペシャル2017」内の渡辺みり愛インタビュー、梅澤、大園、与田パートを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 12月7日、SPACE SHOWER MUSICオフィシャルサイトにて宇宙人(Cosmos People)インタビューが公開されました。

[紙] 12月6日発売「月刊MdN」2018年1月号にて、付録ブックレット「伊藤万理華が乃木坂46に残したクリエイティブ」内「伊藤万理華を形づくってきた乃木坂46の映像作品+α」の映像作品解説および伊藤万理華コメント取材を担当・執筆しました。(Amazon

[紙] 12月4日から先行配布の片平里菜×「FLYING POSTMAN PRESS」特別号にて、片平里菜単独インタビューとアルバム『愛のせい』全曲解説コメント取材を担当・執筆しました。

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また、11月に当サイトで紹介したアルバム(Spotifyで配信している作品のみ)から各2曲程度ピックアップして、50曲程度のプレイリストを制作しました。題して『TMQ-WEB Radio 1711号』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

投稿: 2017 12 31 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

2017/12/15

EURYTHMICS『REVENGE』(1986)

1986年初夏に発表された、EURYTHMICSの5thアルバム。『SWEET DREAMS (ARE MADE OF THIS)』(1983年)でのブレイクを筆頭に、『TOUCH』(1984年)、『BE YOURSELF TONIGHT』(1985年)と作品を重ねるごとにサウンドを進化させてきた彼ら。初期のヒンヤリとしたデジタルテイストからソウル路線へと移行した前作『BE YOURSELF TONIGHT』がアメリカでも好意的に受け入れられましたが、続く本作『REVENGE』ではその成功に甘んじることなく、さらに進化させたスタイルを提示しました。

前作でのソウルテイストを残しつつ、全体的にロックバンド感を強めたのが本作の特徴。ブラックフィーリングをハードロック的なテイストがミックスされたオープニング曲「Missionary Man」(全米14位)を筆頭に、アコースティックギターをフィーチャーしたポップチューン「Thorn In My Side」(全英5位)、ど真ん中を突いた王道ポップロック「When Tomorrow Comes」と、序盤から名曲が並びます。

デジタルとバンドサウンドが融合したアリーナロック「The Last Time」、哀愁漂うバラード「The Miracle Of Love」で前半を締めくくると、打ち込み色が強いポップロック「Let's Go!」から後半に突入。時代を感じさせるポップソング「Take Your Pain Away」「A Little Of You」、若干ダークでヒンヤリしたブラックテイストのロックチューン「In This Town」、落ち着いた雰囲気のスローナンバー「I Remember You」という流れでアルバムは終了します。

序盤に良い曲が固まっているため、後半の印象が若干薄い作品ではありますが、初期の冷徹そうなイメージを覆す、非常に人間味にあふれた1枚と言えるでしょう。アニー・レノックス(Vo)も「Missionary Man」でこそ初期のイメージを踏襲しつつも、「When Tomorrow Comes」あたりでは完全に陽の空気が充満していますしね。

ちなみに、本作を携えたワールドツアーで1987年春に来日した際、僕も代々木体育館に観に行きました。うん、完全にロックバンドのライブでした。カッコ良かった。この頃って、DURAN DURAN『NOTORIOUS』で黒人ロック/ファンクバンドに近づこうとしてたし、意外とそういうタイミングだったのかもしれませんね。

とはいえ、本作は前作、前々作ほどの大きな成功を収めることができず、彼らは次作『SAVAGE』(1987年)で再びデジタルビートを導入した密室路線へと回帰するのでした。



▼EURYTHMICS『REVENGE』
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投稿: 2017 12 15 12:00 午前 [1986年の作品, Eurythmics] | 固定リンク

2017/12/14

STING『THE DREAM OF THE BLUE TURTLES』(1985)

THE POLICEの活動休止を経て、1985年6月に発表されたスティング初のソロアルバム。「If You Love Somebody Set Them Free」(全米3位)や「Fortress Around Your Heart」(全米8位)、「Russians」(全米16位)、「Love Is the Seventh Wave」(全米17位)とシングルヒットを連発したおかげもあり、アルバムも全米2位まで上昇し、300万枚以上を売り上げる大ヒット作となりました。

本作はオマー・ハキム(Dr)、ダリル・ジョーンズ(B)、ケニー・カークランド(Key)、ブランフォード・マルサリス(Sax)といったジャズ/フュージョン界で名の知られたミュージシャンたちと制作(本作でスティングはギターをプレイ)。そのサウンドもジャズテイストを強めたポップ/ロックサウンドで、“THE POLICEのスティング”らしい内容に仕上がっています。

クールでジャジーなオープニングトラック「If You Love Somebody Set Them Free」にいきなり驚かされるものの、ポップなレゲエソング「Love Is the Seventh Wave」や重厚な「Russians」などを聴くと、「ああ、“あの”スティングだ」と納得させられる。その後もジャズやフュージョンからの影響が強い楽曲がたびたび登場しますが、THE POLICEを通過していれば特に違和感なく楽しめるのではないでしょうか。

確かに派手なギターリフも激しいリズムも、ロックバンドならではの緊張感もここでは希薄です。それを良しとするか否かで本作の評価は分かれるかもしれません。が、ポップアルバムとして接するのであれば、本作は非常にクオリティの高い1枚だと断言できます。曲もしっかり作り込まれているし、各プレイヤーの存在感の強いプレイも圧巻の一言だし。それはそれで緊張感が感じられるのですが、それはロックバンドならではのアレとは別モノ。比較するのはやめておきましょう。

ちなみに5曲目「Shadows In The Rain」は、THE POLICEの3rdアルバム『ZENYATTA MONDATTA』(1980年)のセルフカバー。こちらは原曲と聴き比べてみることをオススメします。スティングがソロで何をやりたかったのかが、明白ですから。

このアルバムも中学生の頃に死ぬほど聴き込んだ1枚。残念ながらこの当時のライブは生で観ることはできませんでしたが、当時の様子はライブビデオなどで確認することができます。



▼STING『THE DREAM OF THE BLUE TURTLES』
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投稿: 2017 12 14 12:00 午前 [1985年の作品, Police, The, Sting] | 固定リンク

2017/12/13

SIMPLE MINDS『ONCE UPON A TIME』(1985)

1985年秋にリリースされた、SIMPLE MINDSの7thアルバム。同年初頭に映画『ブレックファーストクラブ』のサウンドトラックからシングルカットされたオリジナルアルバム未収録曲「Don't You (Forget About Me)」が初の全米No.1を記録し(これが初のUSシングルチャートイン曲)、その勢いをうまく引き継ぎながら発表されたのが、この出世作となるアルバムでした。結果、アルバムから「Alive And Kicking」(全米3位)、「Sanctify Yourself」(全米14位)、「All The Things She Said」(全米28位)とヒット曲を連発し、アルバム自体も最高10位まで上昇しました。

プロデュースを手がけたのはジミー・アイオヴィン(U2、ブルース・スプリングスティーンなど)とボブ・クリアマウンテン(ブライアン・アダムスなど)という“ザ・80年代”な組み合わせ。それまでのスティーヴ・リリィホワイトやジョン・レッキー、ピーター・ウォルッシュなどの“いかにもUK”な人選と比較すれば、彼らがこのアルバムでアメリカ制覇を狙っていたことは明らか。実際、それまでのニューウェイヴがかったサウンドから、本作はより大陸志向の壮大なロックを奏でています。

女性ボーカルをフィーチャーしたアレンジや、大きなノリ、U2のエッジ(G)を思わせるギターストロークなど、彼らがどこを狙っているか、聴いてるだけでジワジワ伝わってくる。そこにニューロマンティックなどの“2ndブリティッシュ・インヴェンジョン”勢を思わせるテイストも加味し、「そりゃあ、アメリカ人い気に入られるよ」ってな楽曲を作り上げる。オープニングトラックの「Once Upon A Time」を筆頭に、そういう楽曲がずらりと並ぶのですから、嫌いになれるわけがない。

切なさを伴う「All The Things She Said」やダンサブルな「Ghostdancing」、本作の軸にして壮大な1曲「Alive And Kicking」、ポップで親しみやすい「oh Jungleland」や「Sanctify Yourself」、ニューウェイヴの色合いを引きずる「I Wish You Were Here」、不思議なリズム感の「Come A Long Way」と、1曲1曲の濃さがとにかくすごい。全8曲で40分という聴きやすさもあって、何度も聴き返したくなる1枚です。ホント、中学生の頃よく聴き込んだアルバムで、リリース当時はアナログ盤だったのですが、高校生になってから改めてCDで買い直したほどお気に入りの作品です。

2015年にはリリース30周年を記念したリマスター&デラックス盤も発売。2枚組使用にはシングルのカップリング曲やダンスリミックス、先の「Don't You (Forget About Me)」などが収録されたボーナスディスクが付いているので、これから購入するならこちらをオススメします。



▼SIMPLE MINDS『ONCE UPON A TIME』
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投稿: 2017 12 13 12:00 午前 [1985年の作品, Simple Minds] | 固定リンク

2017/12/12

U2『SONGS OF EXPERIENCE』(2017)

iTunesユーザーに無理やり送りつけ賛否両論を巻き起こした前作『SONGS OF INNOCENCE』(2014年)から3年ぶり、U2の通算14枚目となるスタジオアルバム。そのタイトルからからもわかるように前作と対となる作品で、本来はもっと早いタイミングにリリースされる予定でしたが、ボノ(Vo)の自転車事故による大怪我やその後のツアーなどもあって、結局通常のサイクル(にしてはいつもより早めですが)での発表となりました。

ロックバンドに憧れた頃の原点(ジョーイ・ラモーンジョー・ストラマーなど)を見つめ直した前作を“Innocence”と称するなら、“Experience”をタイトルに用いた今作はそこから40年近くにわたるU2の音楽探求史の現在地が示されたような1枚と言えるでしょう。いつになくボーカルにエフェクトを施した「Love Is All We Have Left」から「Lights Of Home」へと流れる緩やかなオープニングには驚かされますが、先行シングル「You're The Best Thing About Me」のようなポップサイド、90年代初頭の彼らを思わせる「Get Out Of Your Own Way」、「Vertigo」にも匹敵する骨太なロックンロール「American Soul」、80年代のルーツミュージック回帰期を彷彿とさせる「Summer Of Love」など、従来のU2の総決算といえるような楽曲がずらりと並びます。

後半も小気味良いギターリフの「Red Flag Day」を筆頭に、アコギのストロークと緩やかなリズムが気持ち良いロックンソウル「The Showman (Little More Better)」、ミニマムなサウンドが90年代中盤のテクノ3部作を思わせる「The Little Things That Give You Away」、作風的には2000年代のU2に近い「Landlady」、先行公開されていたリード曲「The Blackout」、これも2000年代の彼らの延長線上にあるミディアムスローの「Love Is Bigger Than Anything In Its Way」、13曲目だからこのタイトル?なソウルバラード「13 (There is A Light)」とU2らしい楽曲ばかり。約50分と通常の彼らの作品同様、とても聴きやすいバランスとなっています。

デラックスエディションにはこのほか、ボーナストラックが4〜5曲追加されるのですが、その大半がリミックスやバージョン違いなのでここでは割愛します。

前作と比較すると、例えばギターでがっつり引っ張るといった作風ではなく、リズムで遊びながら歌をじっくり聴かせる、そういうアルバムなのかなと思いました。また、テイストとしてエレクトロの要素がうっすら散りばめられているものの、やはりロックバンドとしての軸はブレておらず、90年代的なテイストが散見されつつも、あくまでそれも味付けといった印象。U2がU2であることを引き受けた……そんなアルバムなのかなと思いました。

たぶん、これを嫌いなU2ファンはいないんじゃないかな(難癖つけるめんどくさい輩はいるだろうけど)。そんな“らしい”アルバムです。



▼U2『SONGS OF EXPERIENCE』
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投稿: 2017 12 12 12:00 午前 [2017年の作品, U2] | 固定リンク

2017/12/11

KATMANDU『KATMANDU』(1991)

FASTWAYの初代ボーカリスト、デイヴ・キングとASIAの2代目ギタリスト、マンディ・メイヤーを中心に結成された4人組バンドKATMANDU。彼らが1991年初頭に発表した唯一のアルバムが本作です。

当時、伊藤政則氏が自身のラジオで大プッシュし、「Ready For The Common Man」がよくオンエアされたのをよく憶えています。また、MVを流す番組では「When The Rain Comes」もオンエアされ、所属レーベルのSonyが本格的にプッシュする新人だったことが、こういった事実からも伺えると思います。

マンディ・メイヤーはその後GOTTHARDを結成しますが、本作からはその片鱗も伺えます。アルバムは全体的にデイヴ・キングのソウルフルなボーカルを効果的に生かしたブルースフィーリングの強い、それでいてメロディアスなハードロック。オープニングの「The Way You Meke Me Feel」の豪快なサウンドから、そのあたりは伺えることでしょう。が、本作はそれにとどまらず、U2のカバー「God, Part II」(キーを上げることでワイルドなハードロックに昇華)、ポップなメロディが印象的な「Love Hurts」、アコースティックギターとオルガンの音色が心地良いバラード「Sometimes Again」と佳曲が続きます。

そして、前半のハイライトとなる「When The Rain Comes」。ソウルやブルースのテイストが強く打ち出されており、デイヴの歌唱力もあってかどこかLED ZEPPELINやジャニス・ジョプリンを彷彿とさせます。それに、KINGDOM COMEほどカクカクしておらずグルーヴィー。「Sometimes Again」から「When The Rain Comes」、さらにアコースティック小楽曲「Heart And Soul」の流れは、例えば当時のGREAT WHITEにも通ずるものがあると思うのです。

後半は日本でも人気の高い「Ready For The Common Man」からスタート。つい最近国内ソニーから発売されたHR/HMコンピにもこの曲が収録されていましたね。ゴスペルを思わせるアカペラコーラスから始まるこの曲は、確かに日本人が好きそうな“メロディアスさ”と“ドラマチックさ”が詰まった1曲だと思います。ただ、個人的にはそこまで評価は高い曲ではなく……ごめんなさい。完全に好みの問題ですよね。もちろん、良く曲だとは思いますが、それよりも「When The Rain Comes」のほうが好きだと感じるのは、単純に楽器弾きの性なのでしょうか。

そして、終盤に向けてもかなり佳曲が多く、正統派ハードロック「Only The Good Die Young」、パワーバラード「Let The Heartache Begin」、マイナーコードのミディアムチューン「Medicine Man」、ハネ気味のリズムが気持ち良い「Pull Together」、パーカッションとギターリフの絡みがカッコ良いアップチューン「Warzone」と、とにかく1曲1曲がしっかり作り込まれており、非常に聴き応えのある1枚です。

残念ながら、彼らは本作リリースからしばらくして解散。アルバム後には来日公演も実現しましたが、僕は行ってません。

本作はしばらく廃盤状態。当然、デジタル配信やストリーミングでアルバムをまるまる聴くことはできません。が、「When The Rain Comes」と「Ready For The Common Man」のみコンピ盤で聴けるので、下に貼っておきますね。アルバム自体は中古CDショップですぐに見つけられると思うので、上に挙げたようなバンドやBLUE MURDERあたりが好きな人、GOTTHARDのファンは機会があったらチェックしてほしいと思います。



▼KATMANDU『KATMANDU』
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投稿: 2017 12 11 12:00 午前 [1991年の作品, Katmandu] | 固定リンク

2017/12/10

THE ROLLING STONES『ON AIR (A BBC RECORDINGS)』(2017)

昨年の今頃は久しぶりのスタジオアルバム『BLUE & LONESOME』に歓喜していましたが、今年もやってくれました。純粋な新作ではないですが、『BLUE & LONESOME』にも通ずる初期の未発表音源集のリリースです。

本作はROLLING STONESが1963〜1965年に出演したイギリス・BBCラジオの諸番組から、貴重なライブ音源をコンパイルしたもの。18曲入りのCD1枚ものと全32曲入りのCD2枚ものの2形態が用意されており、ジャケットのカラーもそれぞれ異なります(1枚ものがオレンジ、2枚ものがイエロー)。

アルバムはまず、デビューシングル「Come On」からスタート。これは1963年の録音で、まぁ原曲に近い形で演奏されています。デビュー当時ならではの勢いというか荒々しさが感じられ、続く2曲目「(I Can’t Get No) Satisfaction」(1965年録音)含めヤンチャさが伝わってくる演奏かもしれません。ミック・ジャガーも1回目のサビラストで「Hey Hey Hey」って歌うところ、間違えてますしね(笑)。

初期のヒットシングル、例えば「It's All Over Now」「The Last Time」あたりも収められてはいるのですが、基本的にはアルバム曲やカバー曲が多い構成。それは、まだこの頃のストーンズがオリジナル曲量産期に入る前というのも大きいでしょう。また、録音状態も比較的良好な1965年と比べ、観客を入れたライブスタイルが意外と多い1964年や最初期の1963年のものは若干落ちる印象。もちろん同じ年の中でもまちまちだったりするので、一概には言い切れませんが……それでも、世に溢れているエアチェック音源やブート音源と比べたら比較にならないほど良好なので、普通に“準スタジオアルバム”、“準ライブアルバム”として楽しめるはずです。

ミックの歌い回しも若々しく、今のようなアクもなく(笑)、スルッと聴けてしまう。キース・リチャーズ&ブライアン・ジョーンズのギターも60年代後半のプレイと比較すると“曲に合わせたプレイ”を心がけているように感じられるものの、ビル・ワイマン&チャーリー・ワッツのリズム隊の鉄壁さはすでに完成の域に入りつつあったりと、いろんな意味で興味深い作品だと思います。

個人的にはDISC 2(デラックス盤のみ)の選曲がツボ。音は良くないけど「I Wanna Be Your Man」「Carol」のドライブ感といい、「If You Need Me」の泣かせる歌&演奏、『BLUE & LONESOME』にも通ずる「Confessin' The Blues」の泥臭さ、パンキッシュな「I Just Want to Make Love To You」など聴きどころ満載。音の良し悪しの落差はDISC 1以上ですが、そんなことお構いなしなアゲっぷりがたまらない。特に「I Just Want to Make Love To You」はこの時期だからこその疾走感ではないでしょうか。ホント最高。



▼THE ROLLING STONES『ON AIR (A BBC RECORDINGS)』
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投稿: 2017 12 10 12:00 午前 [2017年の作品, Rolling Stones] | 固定リンク

2017/12/09

WEEZER『PACIFIC DAYDREAM』(2017)

恒例のセルフタイトルアルバム(前作は『ホワイト・アルバム』)から1年半ぶりとなる、通算11作目のオリジナルアルバム。本格的に再始動した2000年以降、その多才ぶりに驚かされるWEEZERおよびリヴァース・クオモですが、本作も当初は『ホワイト・アルバム』に続く『ブラック・アルバム』(要はセルフタイトルアルバム第5弾ですね)の制作にとりかかったところ、別の方向性の楽曲が次々と生まれてしまったことから、別のアルバムを作ることに。結果、生まれたのがこの『PACIFIC DAYDREAM』というわけです。

そのタイトルからもわかるように、まさに“ビーチでの白昼夢”をイメージさせる楽曲がずらりと並ぶ本作。“ビーチ”という視点は前作からの延長線上にあると思うし、実際メロディセンスの冴えわたりっぷりはいかにもリヴァースといったところ。言われているほど悪いとは思えないし、むしろ非常に“現代的”であり、時代にマッチしたメロ運びだと思いました。個人的にはツボ。いろいろ勉強しているんだろうなというのも伝わってきます。

で、問題になってくるのがそのサウンドメイキング。この春に先行シングルとして配信リリースされた「Feels Like Summer」を聴いて驚いたファンも少なくないでしょうが、バンドサウンドというよりはサンプリングや打ち込みなどを多用したアレンジで、従来の“轟音ギター+甘いメロディ”路線を好む方々からは難色を示す仕上がりかもしれません。

実際、アルバム全体がそういった方向性で統一されており、オープニングを飾る「Mexican Fender」などは従来のWEEZERに近いテイストながらも、3曲目「Feels Like Summer」や4曲目「Happy Hour」あたりは完全に“今”の音。ロックというよりも、ヒットチャートを賑わせるポップソングのテイストに近いものと言えるでしょう。が、これが言うほど悪くない。むしろ、めっちゃ好みの音だったりするし、それをWEEZER(リヴァース)がやっているという事実が面白い。

「Weekend Woman」などいつも以上にドリーミーな楽曲が多いのお、それこそ先の“ビーチでの白昼夢”というキーワードを考えれば納得。タフさや現実(=バンド形態でのストロングスタイル)感を排除して、とことんフワフワした空気を漂わせて終わる34分、最高じゃないですか。全米チャート的には最高23位と過去最低位を記録したものの、僕はこの路線を支持したい。だって、どうせ次はギトギトした路線に戻った『ブラック・アルバム』でしょ?(笑)

結局、こういう振り幅を見せてくれるバンドが好きなんですよね。だから、いつまで経ってもWEEZERのことが嫌いになれないのです。



▼WEEZER『PACIFIC DAYDREAM』
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投稿: 2017 12 09 12:00 午前 [2017年の作品, Weezer] | 固定リンク

2017/12/08

PANTERA『COWBOYS FROM HELL』(1990)

1990年夏にAtlantic Records傘下のAtco Recordsからリリースされた、PANTERAのメジャーデビューアルバム(インディーズからの4枚を含むと、通算5作目)。プロデュースを手がけたのは、OVERKILLMETAL CHURCHといったスラッシュ勢のほか、SOUNDGARDENMOTHER LOVE BONEといったグランジバンドにも携わってきたテリー・デイト。聴けばそれとわかる“テリー・デイトらしいサウンド”が展開されています。

メジャー2作目の『VULGAR DISPLAY OF POWER』(1992年)で一気に知名度を上げたPANTERAですが、すでに本作リリース後には一部ミュージシャンの間では注目のバンドとして彼らの名前が挙がっていました。それがMOTLEY CRUE(主にトミー・リー)やSKID ROWなどといった当時のメジャーど真ん中のハードロックバンドから、というのがまた面白い事実でして、僕も彼らのインタビューなどでPANTERAの名前を知りこの『COWBOYS FROM HELL』を手に取ったほど。影響力というのはつくづくすごいなと思わされる一例ですね。

80年代後半のMETALLICAを筆頭とした新たなヘヴィメタルの波は、確かに1990年前後に変革の時期を迎えつつありました。HR/HMブーム自体が過渡期に突入したというのもありますが、単にお行儀の良いバンドに飽き飽きしていたという風潮も大きかったのでしょう。実際、この1990年という年にはSLAYER『SEASONS IN THE ABYSS』を発表したほかMEGADETH『RUST IN PEACE』を、ANTHRAXが『PERSISTENCE OF TIME』を、JUDAS PRIESTが『PAINKILLER』を、ALICE IN CHAINSがメジャーデビュー作『FACELIFT』をリリースしています。旧来のスタイルと新たな姿勢が融合しつつあった、絶妙なタイミングだったんでしょうね。

そんな中登場したのがPANTERA。しかもそのサウンドは、のちのMETALLICAがブラックアルバムで示すグルーヴメタル路線で、『VULGAR DISPLAY OF POWER』以降の作品みたいにヘヴィ一辺倒というわけではなく適度にメロディアスで緩急もしっかりしている。そう、この『COWBOYS FROM HELL』というアルバム自体も旧来のスタイルと新たな姿勢が交差する、1990年という時代にマッチした作風だったのです。

フィル・アンセルモ(Vo)も以降のようにただがなり立てるだけではなく、しっかり歌メロを表現している(笑)。ドスの利かせ方もまだ徹底する前で、どこか優しさすら感じられるのですから、本当に不思議です。「Cowboys From Hell」や「Primal Concrete Sledge」なんてサビでシンガロングできますし、「Cemetery Gates」は王道のヘヴィメタルバラードですからね。さらに、ダイムバッグ・ダレル(G / 当時はダイヤモンド・ダレル名義)のギタープレイはすでに当時から光るものがあるし、リズム隊が生み出すグルーヴィーなリズムもそれ以前のHR/HMとは異なる“ハネた”ものが多い。今思えばですけど、このあとに新たな時代が訪れることを、このアルバムで予言していたわけですね。そういう点において、非常に歴史的価値の高い1枚ではないでしょうか。

とはいえ、本作がリリースされた当時はそこまで“すごいアルバム”だと自信を持って言えなかったし、ましてや続く『VULGAR DISPLAY OF POWER』であんな化け方をするとも思わなかった。そして、彼らがその後のメタルシーンを一変させてしまう力を持っていたなんて……見る目がなかったのか、それとも彼ら自身が本作発表後の1年ちょっとで激変したのか。まあそのどっちもなんでしょうね。とにかく、純粋にHR/HMアルバムとして優れた作品だと思います。『VULGAR DISPLAY OF POWER』以降、特に『FAR BEYOND DRIVEN』(1994年)以降のハードコア色が強いテイストが苦手という人でも、この『COWBOYS FROM HELL』は存分に楽しめると思いますよ。



▼PANTERA『COWBOYS FROM HELL』
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投稿: 2017 12 08 12:00 午前 [1990年の作品, Pantera] | 固定リンク

2017/12/07

DEF LEPPARD『SLANG: DELUXE EDITION』(2014)

というわけで、昨日のDEF LEPPARD 『SLANG』(1996年)レビューからの続きとなります。今回は前回以上に長いテキストとなっておりますので、そのつもりでお読みください。

本作は2014年初頭、バンドが自身のレーベルから発表した2枚組アルバム。当時はすでに、それまで在籍していたメジャーレーベルの「Mercury / Island」から離れており、彼らの旧譜をバンドが思ったような形で再発できない(例えばiTunes StoreやSpotifyなどの配信/ストリーミングサービスに、自由に提供できないなど)という問題が生じていた時期で、そんな中2012年後半にこの『SLANG』のマスター音源および当時録音したアウトテイクが彼らの手元に戻ることになった。そういう紆余曲折を経て、オリジナル盤発売から18年を経て『SLANG』セッションの全貌がここに明らかにされたわけです(ちなみに、今年リリース30周年を迎えた名盤『HYSTERIA』のデラックス盤は、原盤権を持つUniversalからのリリース。要はカタログとして売れる/売れないかの判断で『SLANG』を手放したんでしょうね)。

上記のような経緯を経て、バンドとしては久しくオリジナルアルバムがリリースされない時期に突如発表された『SLANG』のデラックスエディション。当然、発売されてすぐに手に入れましたが、いやぁこれが……聴き応えたっぷりで、オリジナル盤を持っている人でも間違いなく楽しめる1作なのです。

ディスク1にはリマスタリングされた『SLANG』本編に、1996年当時の日本盤ボーナストラックだった「Move With Me Slowly」、『SLANG』からのシングルにも収められた「Truth? (Original Version)」や「Burn Out」、ベストアルバム『VAULT: DEF LEPPARD GREATEST HITS (1980-1995)』(1995年)のボーナストラック「Can't Keep Away From The Flame」、7thアルバム『EUPHORIA』(1999年)からのシングルに収められた「World Collide」を追加収録。本編以降の楽曲はすべて『SLANG』セッションから生まれたもので、特に「Truth? (Original Version)」はデジタルテイストの強いアルバム本編の「Truth?」とは異なり、よりグランジ色が強い作風であることに驚かされます。また「Burn Out」は演奏スタイルこそ『SLANG』的ですが、楽曲の持つテイストは『ADRENALIZE』(1992年)以前の作風に近い。かと思えば、「World Collide」は変拍子を用いたミディアムスローのヘヴィチューンで、SOUNDGARDENあたりからの影響が伺えます。「Can't Keep Away From The Flame」はギター弾き語りの小楽曲なので、これは90年代前半にヒットしたシングル曲「Two Steps Behind」の延長線上で制作したものなんでしょう。

で、問題はディスク2。こちらには『SLANG』オリジナル盤収録曲のデモバージョンが満載なのです。「Turn to Dust (Phil Verse Vocal)」はデジタル的な味付けを省いた、より生々しさが前面に打ち出されたバージョン。歌詞や節回しが一部異なっているほか、ボーカルの一部をフィル・コリン(G)が担当しています。普通にロックバンドの楽曲としてカッコイイと思いませんが、この曲?

続く「Raise Your Love」はタイトルだけでは気づきませんが、これこそアルバムタイトル曲「Slang」のデモバージョン。ヒップホップ的手法のアレンジが施される前の、ワイルドなロックアレンジもこれはこれでカッコ良いし、何よりもサビがまったく異なる。正式発表された「Slang」はタイトさが目立ちますが、この緩やかさとダイナミックさを兼ね備えたアレンジも悪くないのですよ。

「All I Want Is Everything (1st Draft)」は比較的原曲に近く、初期の段階からほぼ完成形だったことが伺えます。まあこの曲、正式版自体がシンプルそのものですからね。続く「Work It Out (1st Draft)」も「Breath A Sigh (Rough Mix)」「Deliver Me (Rough Mix)」も同様。アルバム序盤のエキセントリックな楽曲と比べたら、このへんの楽曲は最初から完成形が見えていたってことなんでしょうね。

で、見慣れないタイトルの「Black Train」。こちらは「Gift Of Flesh」のデモバージョンで、ハードロックバンド的なダイナミックさが加えられた「Gift Of Flesh」よりもラフでユルい雰囲気が漂っています。また、サビ前からサビのメロディが完成版とは異なり、このシンプルさこそ当時の彼らが目指していたものなのだと理解できははずです。以降は「Blood Runs Cold (Rough Mix)」「Where Does Love Go When It Dies (1st Draft)」と再び完成版に近いテイクが続き、最後の「Pearl Of Euphoria (Rough Mix)」では過剰なエフェクトが加えられる前の生々しさを体感でき、改めてこっちのバージョンもいいなと思ったり。

ディスク2はまだまだ続き、ヴィヴィアン・キャンベル(G)のペンによる未発表曲「All on Your Touch (2012 Revisit)」や、「Deliver Me」の初期バージョン「Anger ("Deliver Me" 1st Draft)」(サビメロや歌詞が異なる)、ヴィヴィアンによる未発表デモトラック「Move On Up」、「Gift Of Flesh」のフィル・コリンVoバージョンなど貴重なテイクがたっぷり収められています。

こうやって完成した『SLANG』から通して聴くと、好き放題やり尽くしたと思われた『SLANG』というアルバムも実は最終的に“従来のDEF LEPPARDらしさ”を残そうとして微調整していたんだな、という事実にも気づかされます。もちろん「Truth?」や「Slang」のように過剰に突き抜けた楽曲もあるにはあるのですが、全体的にはやっぱり「DEF LEPPARDのアルバム」なんだと。その一言に尽きると思います。

こういうアウトテイク集って作品によってはまったく面白くなかったりするのですが、『SLANG』みたいな実験作および問題作だとやっぱり面白いもんだなと再確認できたので、このリリースの意味は非常に大きいものがあると思います。もし『SLANG』というアルバムに多少でも興味を持っていたら、迷わず手にしてみることをオススメします。



▼DEF LEPPARD『SLANG: DELUXE EDITION』
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投稿: 2017 12 07 12:00 午前 [1996年の作品, 2014年の作品, Def Leppard] | 固定リンク

2017/12/06

DEF LEPPARD『SLANG』(1996)

1996年5月にリリースされた、DEF LEPPARD通算6枚目のスタジオアルバム。前作『ADRENALIZE』(1992年)から4年ぶりの新作となるわけですが、その4年間に新曲+シングルBサイド集アルバム『RETRO ACTIVE』(1993年)やベストアルバム『VAULT: DEF LEPPARD GREATEST HITS (1980-1995)』(1995年)のリリースを挟んだので、意外と久しぶりという気がしなかったことを今でもよく覚えています(まあ、それも「彼らにしては」という大前提が入りますが)。

『ADRENALIZE』リリース後にスティーヴ・クラーク(1991年逝去)の後任としてヴィヴィアン・キャンベルが加入した彼らが最初に制作したスタジオアルバムがこの『SLANG』になるわけですが、本作は当時からいろんな意味で問題作として紹介されてきました。

まず、完全にロバート・ジョン・マット・ラングの手を離れ、すべての楽曲をメンバーのみで制作。プロデュースも基本はセルフプロデュースという形に近く(パートナーに以前から携わるエンジニア、ピート・ウッドロフを迎えている)、完全に「当時やりたかったことを試した」実験作と言える内容。時代背景的には『ADRENALIZE』発売前後から勃発したグランジムーブメントを経て、1995年前後のOASIS vs BLURなどのブリットポップムーブメントという、完全にHR/HMが時代遅れとして扱われたタイミングなわけで、当のDEF LEPPARDも完全に“過去の遺産”的扱いを受けていました。

そんな彼らが、純粋に「グランジ、シンプルでカッコいいじゃん!」「ブリットポップ、わかるよ。だって俺らもイギリス人だし!」と感じたことをそのまま音に反映させた。つまり、元来持ち合わせているポップセンスはそのままに、オーバープロダクションが持ち味だった彼らのスタイルを180度真逆の「無駄を削ぎ落としたシンプルさ」「人工甘味料を排除し、素材をそのまま生かした味付け」へと昇華させたのがこの『SLANG』だったのです。

グランジやブリットポップのみならず、当時流行り始めていたインダストリアルロックのテイストまで取り入れた「Truth?」に、まずリスナーはびっくりしたことでしょう。「え、NINE INCH NAILS?」と苦笑いしつつ、“LED ZEPPELIN+インダストリアルロック”な「Turn To Dust」、ヒップホップの香りがするポップチューン「Slang」、グランジ的なシンプルな構成とモノトーンな味付けの「All I Want Is Everything」、グランジというよりもU2に近いものを感じる「Work It Out」、どこか当時流行のR&Bバラードに通ずるものがある「Breathe A Sigh」と、とにかく前半は驚きの連続。「Photograph」「Pour Some Sugar On Me」「Love Bites」を求める従来のファンを、まるで拒絶するかのような楽曲の数々に、そりゃあ虚説反応を示したくもなりますよね。

しかし後半になると、音は完全にグランジだけど彼ららしいメロディを持つ「Deliver Me」やもっとも従来のDEF LEPPARDに近い(けど味付けは現代的)「Gift Of Flesh」を筆頭に、音数に少なさに改めて驚かされるバラード「Blood Runs Cold」、サウンド的には『ADRENALIZE』以前の作品に入っていたとしても許容範囲ないなスローナンバー「Where Does Love Go When It Dies」、そしてドゥーミーなツェッペリン的ミディアムヘヴィナンバー「Pearl Of Euphoria」と、作風こそ現代的ですが意外と従来のDEF LEPPARDに近いものが感じられる楽曲たちが並びます。

そう考えると、序盤に新たな挑戦を並べて旧来のファンを振り落としていき、進めば進むほど彼らが本来持ち合わせるカラーへと戻っていく……そんな「聴く者を試す」1枚となっているのではないでしょうか。それくらい、当時の彼らは以前の自分たちの色を払拭させたかった、偏見なしに音で評価してほしかったのかもしれません。それがやりすぎだったとしても……。

ちなみに僕、当時からこのアルバムに関しては両手を上げて絶賛する派です。本作を携えた来日でも、武道館公演を複数観てますし、ジョー・エリオット(Vo)がライブでNIRVANA「Come As You Are」やOASIS「Live Forever」の弾き語りをしたのを観て微笑ましい気持ちになったことも、昨日のことのように覚えています。

なお、DEF LEPPARDは2014年に本作『SLANG』のデラックスエディションを自身のレーベルから発表しており、そこには『SLANG』収録曲の未発表バージョンなどが多数含まれています。正直、このバージョンだけでエントリー1本分語れるので、次回は続編としてこのデラックス版について紹介したいと思います。



▼DEF LEPPARD『SLANG』
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投稿: 2017 12 06 12:00 午前 [1996年の作品, Def Leppard] | 固定リンク

2017/12/05

DIO『HOLY DIVER』(1983)

ロニー・ジェイムス・ディオがBLACK SABBATH脱退を経て結成した、自身のリーダーバンドDIO。そのディオがサバス時代の盟友ヴィニー・アピス(Dr)、ディオとRAINBOWで活動をともにしたジミー・ベイン(B)、のちにDEF LEPPARDに加入するヴィヴィアン・キャンベル(G)という編成で1983年に制作したのが、DIO名義でのデビューアルバム『HOLY DIVER』です。

展開されているサウンドは、直近のサバスでのアルバム『HEAVEN AND HELL』(1980年)や『MOB RULES』(1981年)をよりメタリックにしたもの。もちろん、ディオが在籍した時代のRAINBOWの作風にも近いものがありますが、基本的にはサバスでの2枚のアルバムでの経験がそのまま活かされていると言っていいでしょう。

また、歌われている歌詞もディオがRAINBOWやサバスで表現してきた、中世のファンタジックな世界観が軸になっており、彼が描いたこういった幻想的な詩世界は後続のHR/HMバンドたちの大きな影響を与えました。一方で、(アートワーク含む)こういったテイストが他ジャンルから揶揄の対象になったのもまた事実で、これを受け入れられるかられないかでDIOの楽しみ方は大きく変わってしまうかもしれません。

とはいえ、そのサウンドやディオのボーカルは歌詞の内容とは関係なく、パワフルな王道HR/HMとして純粋に楽しめるはずです。ディオの演歌じみたボーカルは言うまでもなく、それ以上に特筆すべきなのがヴィヴィアンのよる若々しいギタープレイでしょう。DEF LEPPARD以降しか知らないリスナーにとっては、ここで表現されているアグレッシヴなプレイは驚きの対象かもしれませんが(まあ、最近のDIOトリビュートから始まったLAST IN LINEとかありますけどね)、1曲目「Stand Up And Shout」での前のめりなギターリフはリリースから35年近く経った今聴いてもカッコ良いの一言。続くヘヴィなミドルチューン「Holy Diver」やキャッチーな「Caught In The Middle」でのギターソロは必聴です。

また、楽曲自体が意外とバラエティに富んでいて、優れものばかりなのも本作の特筆すべきポイント。シンセを前面に打ち出した「Rainbow In The Dark」や、アコースティックギターをフィーチャーしたヘヴィメタルバラード「Don't Talk To Strangers」(ヘヴィになってからの展開、およびヴィヴィアンの攻めのギターソロも含め最高です)など、聴きどころ満載なのです。人によって好みはあるのかもしれませんが、基本的には捨て曲なしの1枚だと思っています。だからこそ、DIOは本作を再現するツアーも2000年代半ばに行ったのでしょうし(その模様は、2006年発売のライブアルバム『HOLY DIVER LIVE』で確認できます)。

2010年5月16日にディオが亡くなり、残念ながら今後新作を期待できないDIOですが、だからこそ彼が残した名作の数々をこういう形で後世に伝えていけたらなと……そう思いながら、今夜もこのアルバムを爆音で聴くわけです。



▼DIO『HOLY DIVER』
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投稿: 2017 12 05 12:00 午前 [1983年の作品, Dio] | 固定リンク

2017/12/04

BLACK SABBATH『PARANOID』(1970)

1970年2月にアルバム『BLACK SABBATH』でデビューしたBLACK SABBATHが、早くも同年9月に発表した2ndアルバム。本作でついに全英1位を獲得したほか、アメリカでも最高12位まで上昇。シングル「Paranoid」は全英4位、全米61位を記録しました。さらに、アメリカのみでシングルカットした「Iron Man」も52位にランクインするなど、この手のバンドとしてはなかなかの成績を残しており、アメリカのみで400万枚以上を売り上げる最大のヒット作となりました。

僕がサバスを聴き始めた頃にはすでにオジー・オズボーンロニー・ジェイムズ・ディオもおらず、グレン・ヒューズやらレイ・ギランやらトニー・マーティンやらでフロントマンが二転三転していた頃。ぶっちゃけ、ちゃんとリアルタイムで追い始めたのは1989年の『HEADLESS CROSS』からでした。

なので、最初に聴いたサバスナンバーはオジーがライブアルバムでカバーする「Paranoid」や「Iron Man」から。そういうこともあって、アルバムとしてはもっとも親しみやすい1枚かもしれません。

実際、「War Pigs」「Paranoid」「Planet Caravan」「Iron Man」「Electric Funeral」「Fairies Wear Boots」など多くのHR/HMバンドにカバーされてきた名曲ばかりがズラリと並び、初めて聴いたときもまったく初めてという印象はありませんでした。ただ、曲によってはカバーのほうがヘヴィだったりする楽曲の数々が、オジー・オズボーンという稀代の名シンガーが歌うことで、ヘヴィなギターリフやグルーヴィーなバンドアレンジとは相反して非常にポップに聞こえるから、あら不思議。それが本作を“軽く”させているひとつの要因と言ってしまえばそれまでですが、それは決して悪いことではなく、最終的に大ヒットにつながっているのですから結果オーライではないでしょうか。

また、本作以降バンドのドラッグ癖(主にオジー)が悪化することで、作風もよりヘヴィでダークになっていくので、1stアルバムから続いたブルースベースのハードロックにひと区切りをつけたという意味では分岐点的1枚とも言えるでしょう。

まあとにかく。ダウナーなイントロの「War Pigs」から始まる構成や、3曲目でいきなりアコースティックテイストのサイケデリックナンバー「Planet Caravan」が飛び出したり、そこから続く「Iron Man」の脱力感あふれるイントロなど、のちのドゥームメタルやグランジなどにも通ずる要素がそこらじゅうに散りばめられていて、本作が HR/HMのみならずロックの幅広いサブジャンルに影響を与えてきたことも頷けます。

ちなみに、個人的な推し曲はラストの「Fairies Wear Boots」。オリジナルはもちろんですが、ザック・ワイルドがプレイするバージョンも非常にカッコイイのでぜひ機会があったら聴いてみてください。



▼BLACK SABBATH『PARANOID』
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投稿: 2017 12 04 12:00 午前 [1970年の作品, Black Sabbath] | 固定リンク

2017/12/03

JUDAS PRIEST『REDEEMER OF SOULS』(2014)

2014年夏にリリースされた、JUDAS PRIEST通算17枚目のスタジオアルバム。初の2枚組スタジオアルバムかつ初のコンセプトアルバムだった前作『NOSTRADAMUS』(2008年)から6年ぶりの新作にして、K.K.ダウニング(G)に代わってリッチー・フォークナー(G)加入後初の新作となります。また本作は全米6位と初のトップ10入り、全英12位と『DEFENDERS OF THE FAITH』(1984年)以来30年ぶりにトップ20入りを果たしました。

前作『NOSTRADAMUS』とそれに伴うツアーそして、1980年の『BRITISH STEEL』再現ツアーを経て2011年に最後のツアーを行うことを発表していた彼らですが、そのツアー開始前にK.K.がバンド脱退を発表。結局2011年のツアーにはリッチーが加わり事なきを得たのですが……このときのツアー(2012年2月の来日公演)はZepp Tokyoと武道館の2公演を観たのですが、正直バンドが若返ったなと思ったし、このリッチーという新たな才能を手にした彼らがこのまま活動を終えてしまうのは勿体ないと感じました。

結局、彼らはツアー終了から2年を経てオリジナルアルバムを完成させます。気づけば前作から6年経っていたものの、ここ数年のモヤモヤを払拭するには必要な歳月だったのかもしれません。

ロブ・ハルフォード(Vo)復帰後最初のアルバム『ANGEL OF RETRIBUTION』(2005年)はもちろん今でも良いアルバムだと思っていますが、ロブの衰えが災いしてか、90年代のモダンヘヴィ路線が合わずに中途半端に原点回帰してしまったがために、若干焦点がブレた内容になってしまったのかなと。続く『NOSTRADAMUS』はコンセプトアルバムという前提がなければ、正直個人的にはまったく響かない内容でした。ホント、印象に残ったのは数曲のみでしたし。

ところが。今回の『REDEEMER OF SOULS』は開き直ったかと言いたくなるくらいに、“クラシックJUDAS PRIEST”が展開されている。1曲目の「Dragonaut」の疾走感、そしてシャッフルビートを取り入れた「Redeemer Of Souls」、ツインリードギターが気持ち良い王道HR/HMチューン「Halls Of Valhalla」と、本作で何を表現したいのかがこの3曲だけで十分に理解できてしまうのです。確かに「Redeemer Of Souls」のサビメロの、1オクターブ下で歌うロブの声を聴いて寂しい気持ちにもなりはしますが、基本的には今の彼に合った曲作り、メロディ作りがなされているので、前2作に漂っていた違和感は基本的に感じられない。聴けばすぐに「今、自分はJUDAS PRIESTの新作を体験している!」と実感できる、非常に即効性の強い1枚に仕上がっていると思いました。

ぶっちゃけ、本作で表現されているのは彼らの名盤と呼ばれる『BRITISH STEEL』や『SCREAMING FOR VENGENCE』(1982年)、『DEFENDERS OF THE FAITH』あたりの作風で、そこに若干『PAINKILLER』のテイストも散りばめられている……つまり、上に書いたように誰もが「今、自分はJUDAS PRIESTの新作を体験している!」と感じられるような“わかりやすさ”で構築されているのです。それもこれも、頭の固くなった爺さんたちの中に1人加わった若者、リッチー・フォークナーの影響が大きいのではないか……そう思うのですが、いかがでしょう?

どの楽曲も平均点以上の仕上がりですし、「そうそう、これこそHR/HMだよね!」とガッツポーズを取りたくなる王道ナンバーばかり。基本的に4〜5分台(「Halls Of Valhalla」のみ6分超え)というのも聴きやすさに直結しているのかもしれませんね。

ただ、全13曲で60分超え、しかもデラックスエディションには5曲入りのEPが追加され、トータル90分近くといことで、1曲1曲の印象が弱まってしまうのが難点かな。なんだかんだでツアーではここから数曲しか披露されないわけですし、勿体ないとしか言いようがない……最近の「デラックスエディション商法」(通常盤に加えて、4〜5曲多い仕様を同時発売)には首をかしげることが多いのですが、せめてやるなら「全曲捨て曲なし!」な内容にしてもらいたいものです……。

ということで、年明け2018年春には待望の18thアルバム『FIREPOWER』のリリースも決定したJUDAS PRIEST。本作『REDEEMER OF SOULS』を軽く超える、何度目かの黄金期かと言いたくなるような傑作の完成に期待しています。



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投稿: 2017 12 03 12:00 午前 [2014年の作品, Judas Priest] | 固定リンク

2017/12/02

GRETA VAN FLEET『BLACK SMOKE RISING』(2017)

夏以降、都内のCDショップでよく目にしたジャケット。それがGRETA VAN FLEETに対する第一印象。その音を耳にしたのはもっとあとになってからで、Spotifyでランダム再生していたら、たまたま流れてきたのがこのEPの1曲目「Highway Tune」でした。まあ、皆さんの感想と一緒です。「なんだ、このツェッペリンまんまのバンドは!?」と。

アメリカ・ミシガン州出身の4人組バンドが、2017年春に発表した4曲入りEPが本作。メンバー4人中2人が10代というこのバンド、聴けばいわゆるHR/HMの流れとは異なるシーンから登場したのが伺えます。それは「Highway Tune」のMVに映るメンバーの姿、ルックスからもご理解いただけるんじゃないでしょうか。

彼らは登場する場所やタイミングさえ違えば、アイルランドのTHE STRYPESのようになっていたかもしれない。そう、表現方法こそ異なるものの、そのルーツは意外と近いものがあるんじゃないかと思うのです。それが古き良き時代のブルースやソウル、R&Bであり……ただ、GRETA VAN FLEETの場合は場所柄か、ガレージロックやパブロックからの洗礼を受けていない。その違いなんですよね。

もちろんLED ZEPPELINからも影響を受けているでしょう。しかし、そのままマネするわけではない。そのツェッペリンのルーツを聴いていたら、気づけば自分たちの曲も彼らに近づいていた。ホント、そんな単純な話なのかもしれません。

でも、彼らは単なるツェッペリンフォロワーではない。2017年によみがえったツェッペリンと言いたくなるような「Highway Tune」にみなぎる躍動感と、ジョシュ・キスカ(Vo)の21歳とは思えない存在感の歌声。確かにこの1曲のインパクトはものすごいものがあるけど、続く「Safari Song」は“ツェッペリン meets サザンロック”的な香があり、THE BLACK CROWESっぽいとも言える。3曲目「Flower Power」のアコースティックテイストなんて、まさにTHE BLACK CROWES寄りですしね。そしてラストのタイトルトラック「Black Smoke Rising」は、フォーマットこそロックですけど、もっとソウルの香りが強い。つまり、そういうことなんですね。

ハードロックサイドから語ろうとするならば、当サイト的にはここまでに挙がってきたアーティストに加えBE THE WOLFKADAVARRIVAL SONSあたりが好きな人なら気に入るんじゃないでしょうか。



▼GRETA VAN FLEET『BLACK SMOKE RISING』
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投稿: 2017 12 02 12:00 午前 [2017年の作品, Greta Van Fleet] | 固定リンク

2017/12/01

LED ZEPPELIN『LED ZEPPELIN II』(1969)

1969年1月にアルバム『LED ZEPPELIN』でデビューを果たしたLED ZEPPELINが、同年10月に早くも発表した2ndアルバム。前作は全英6位、全米7位止まりでしたが、続く本作でついに英米で1位を獲得。シングルカットされた「Whole Lotta Love」も全米4位を記録、カップリングの「Living Loving Maid (She's Just A Woman)」までもが全米65位まで上昇し、現在までにアメリカのみで1200万枚以上を売り上げた、まさしく大ヒット作となりました。

ビギナーからの「ツェッペリンでまず最初に聴くならどのアルバム?」という質問は、コアなロックファンになればなるほどよくされたのではないでしょうか。そしてその際に多くの人が、必ず「2ndか4枚目」という無難な答えをしていたはずです。事実、僕自身も最初に聴いたツェッペリンのアルバムは本作でしたから(当時レンタル店に2ndと4th、ライブ盤しかCDを置いておらず、2nd以外はレンタル中だったのでこれを借りたのでした)。

ブルースを基盤にしたハードロックという点においては前作のほうが初期衝動性が高いのかもしれませんが、続く本作ではその衝動をより高い完成度にまで昇華させた、一寸の隙もない完全無敵のハードロックアルバムに仕上がっています。1曲目の「Whole Lotta Love」から、冒頭のジミー・ペイジによるギターリフとロバート・プラントによるパワフルなボーカルが冴えまくり、中盤のサイケデリックなインストパートと続くギターソロでのタイトなドラミングを聴けばいかにジョン・ボーナムというドラマーが素晴らしいかを理解できるはずです。

さらに「What Is And What Should Never Be」や「The Lemon Song」での強弱を生かしたドライブ感あふれるジョン・ポール・ジョーンズのベースプレイ、「Thank You」での彼のオルガンプレイなど、本当に聴きどころが多い1枚です。

アルバム後半もロック界屈指の名ギターリフを含む「Heartbreaker」や、本作中もっともポップな「Living Loving Maid (She's Just A Woman)」、アコースティックギターを使ってうまく強弱を表現した「Ramble On」、ギターとドラムのためにあると言っても過言ではないインスト「Moby Dick」、プログレッシヴなブルースロック「Bring It On Home」と、とにかく捨て曲なし。全体的に前作以上にキャッチーでメジャー感が強まっているのは、当時ノリノリでイケイケだったバンドの状態を表しているかのようですね。

……ん、誰ですか、ブルースの名曲からパクりまくりじゃん!とか言ってるのは? それ間違ってないけど謹んでください! 確かに既存のブルースナンバーからの引用が多いのがツェッペリンの(良くも悪くも)個性ではあるのですが、それも「サンプリング文化のはしり」と考えれば納得……でき……いや、なんでもないです。

冗談はさておき。初めてこのアルバムと出会ってから今年で30年。す聴き飽きてしばらく距離を置いていた時期もありますが、こうやって久しぶりに引っ張り出して聴くと、やっぱり良いなと思える。いろいろ言われながらも、やっぱりロックやHR/HMにとってひとつのお手本となるアルバムなんですよね。



▼LED ZEPPELIN『LED ZEPPELIN II』
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投稿: 2017 12 01 12:00 午前 [1969年の作品, Led Zeppelin] | 固定リンク