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2017年12月28日 (木)

ARCH ENEMY『WILL TO POWER』(2017)

ARCH ENEMY通算10作目のスタジオアルバム。前作『WAR ETERNAL』(2014年)から3代目シンガーのアリッサ・ホワイト=グラズが参加し、前任のアンジェラ・ゴソウに負けず劣らずのパワフルなスクリームを聴かせてくれましたが、本作ではその個性がより色濃く表れた意欲作ではないでしょうか。

マイケル・アモット(G)が本来持つメロディセンスとデスメタルならではの攻撃性、衝動性がバランスよく合わさることで生まれたメロディックデスメタルというジャンルが、アンジェラ加入後の4thアルバム『WAGES ON SIN』(2001年)で新たな可能性を見せ、そこからさまざまな変化/進化を繰り返し、新たなシンガー・アリッサを得て、気づけばバンド結成から20年が過ぎた。そんな結成20周年の2016年には初期メンバーによるBLACK EARTHも期間限定で始動し、初期3作の楽曲をたっぷり演奏する機会を得た。そういった進化と原点回帰の果てにたどりついたのが、節目となる10作目の本作であることは想像に難しくありません。

各楽曲は聴けばそれがARCH ENEMYの楽曲だとわかるような、トレードマークとなるメロディやフレーズが散りばめられたものばかり。アリッサのボーカルもところどころで女性的な側面を見せていたり、また曲によっては完全なクリーントーンで歌唱していたりと、節目を経て形式ばった呪縛から逃れようといろんなチャレンジを見せています。

確かに目新しさといったら、先のクリーントーンをフィーチャーしたバラード「Reason To Believe」や、イェンス・ヨハンソン(Key / STRATOVARIUS)が参加したネオクラシカル系の「Dream Of Retribution」くらいかもしれません。それ以外の楽曲には「どこかで聴いたことがある……」と思わせるようなものが多いですし。でも、見方を変えればそれって「メロデス、ひいてはARCH ENEMYがHR/HMとしてスタンダードの域に達した」とも受け取れるのではないでしょうか。“ブルータルなデスメタルに正統派メタルのメロディを加える” というある種の邪道が、20年続けたことで正統派に転化した瞬間。それがこのアルバムで展開されていると受け取れば、本作での安定感は納得いくものだと思います。

残念なのは、新加入のジェフ・ルーミス(G / 元NEVERMORE)の才能がギターソロだけにしか反映されていないこと。マイケルも認めるその才能がソングライティング面にも発揮されたとき、このバンドは今度こそ次のフェーズに突入するのかなと。まあ節目に今回のような作品を作らざるを得なかった事情もあるのかもしれませんけど……んなことはないか(苦笑)。とにかく、そこに関しては次を楽しみに待つことにします。

あと、本作で気になるのは国内盤と海外盤で曲順が異なること。国内盤は疾走メタルナンバー「The Race」から唐突に始まる感じが素敵なのですが、海外盤は国内盤12曲目(本編ラスト)収録の短編インスト「Set Flame To The Night」をオーバーチュアーとして使用し、そこから「The Race」になだれ込むのです。この構成も悪くないし、むしろこっちを意識して最初は作ったはずなのに、なんで国内盤はこんなことになってしまったんでしょうね。そこも残念でなりません。

……なんてマイナスポイントもいくつか挙げましたが、総合的にはここ数作で一番気に入っているし、珍しく長期間にわたりヘヴィローテーションしている1枚です。



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