« THE ROLLING STONES『SOME GIRLS』(1978) | トップページ | THE BEATLES『THE BEATLES (THE WHITE ALBUM)』(1968) »

2018/01/07

DEF LEPPARD『SONGS FROM THE SPARKLE LOUNGE』(2008)

2008年春にリリースされた、DEF LEPPARD通算9枚目のオリジナルアルバム(カバーアルバム『YEAH!』を含めると10枚目のスタジオ作)。『YEAH!』から2年ぶりと短期間で発表された印象がありますが、オリジナル作品となると『X』(2002年)から6年ぶりと、80年代半ばから続いた3〜4年間隔を大幅に塗り替える長期ブランクなんですよね。もっとも、『X』での迷走ぶりを考えればこれだけのブランクが必要だったのかもしれませんが。

『YEAH!』で自身のルーツを振り返ったバンドは、この新作で非常にシンプルな視点に立ち返ります。それはつまり、「DEF LEPPARDらしさ」を踏まえつつも「ブリティッシュロックとは何か? 自分たちは何が好きでロックバンドを始めたのか?」という原点だったわけです。そうした結果、『HYSTERIA』(1987年)的な人工感や作り込みとは真逆の、オーガニックでシンプルな作風へと回帰したのです。

実際、本作に収録されている楽曲はすべて3〜4分台。長くても4:17ですし、全11曲でトータル39分というのも彼らの全キャリアで最短。そもそも、曲名からして「Go」とか「Love」とか「Tomorrow」とかシンプルなものばかり。時代的にもそういったサウンドに回帰しつつあったタイミングだったのかな、今振り返ってみると。

楽曲自体は、『YEAH!』の流れで聴くと非常に合点のいく作風。いわゆるHR/HMというよりは、70年代のブリティッシュロックを軸にしながら彼ららしいフレーバーを振りまいたブリティッシュ“ハード”ロック。カントリーシンガーのティム・マッグロウをフィーチャーしたロックンロール「Nine Lives」みたいなアメリカンなものもありますが、基本的には「Love」で示した方向性が本当にやりたいことなのかなと。もちろん、「Go」にしろ「Nine Lives」にしろ「C'mon C'mon」にしろ、従来の彼ららしさがにじみ出た楽曲もありますが、それらですらよりシンプルにすることで以前とは違うカラーを持ち始めているし。そういう意味では、『SLANG』(1996年)から装飾を剥ぎ取った姿と言えなくもないかも。

「Bad Actress」のようなファストナンバーでさえ、ハードロックというよりはグラムポップ的なカラーが強まっているし、比較的モダンな「Gotta Let It Go」もこのアルバムに入ると不思議と70年代的な香りが感じられる。また、彼ら特有のパワーバラードが皆無で、バラードらしいバラードが先の「Love」程度というのも本作の特徴といえるでしょう。DEF LEPPARDがロックバンドとして起死回生を目指した結果、こういう作品にたどり着いたという事実はすでに面白いですし、出来上がったアルバムのユニークさもまた面白い。そして本作が久しぶりに全米TOP10入り(5位)を果たしたという事実も、実に興味深い。

ただ、残念ながら彼らはこのアルバムを最後にメジャーレーベルから離脱。以降は自分たちのレーベルからリリースを続けています。結果、さまざまな権利関係で彼らの諸作品がデジタル配信されていないという事実を考えると、非常に残念でなりません。本作こそ、もっと多くの人に聴かれて再評価されるべき1枚なのに……。

P.S.
1月19日からDEF LEPPARDのカタログ一式のデジタル配信およびストリーイング配信がスタート。これにより、名盤の数々を手軽に楽しめるようになりました。メンバーも喜んでいるようで、本当によかった。



▼DEF LEPPARD『SONGS FROM THE SPARKLE LOUNGE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2018 01 07 12:00 午前 [2008年の作品, Def Leppard] | 固定リンク