« 2017年12月 | トップページ | 2018年2月 »

2018年1月

2018年1月31日 (水)

2018年1月のお仕事

あけましておめでとうございます。
2017年はこのサイトを楽しんでいただき、本当にありがとうございました。
2018年も昨年末から引き続き、バンバン更新していきます。また仕事のほうでも新しいことにバンバン挑戦していきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

2018年1月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※1月31日更新)


[WEB] 1月31日、「Red Bull Japan」オフィシャルサイトにてコラム「「鬼は外、福は内…」今年の豆まきはひと味違う! 節分を100倍楽しむBGM 5曲!!」が公開されました。

[WEB] 1月30日、「リアルサウンド」にてももいろクローバーZのライブ評「ももいろクローバーZは新たな始まりを告げたーー有安杏果卒業と4人のこれから」が公開されました。

[WEB] 1月25日、「リアルサウンド」にCrossfaithインタビュー「Crossfaithが語る、海外&同世代バンドからの刺激 「やってきたことは間違ってなかった」」が公開されました。

[紙] 1月25日から全国のCDショップで無料配布中の冊子「MC(ミューズクリップ)1084号」にて、Little Glee Monsterインタビューを担当・執筆しました。

[WEB] 1月24日、「リアルサウンド」にてFall Out Boyのアーティスト評「ワンオクやマンウィズにも影響を与えたFall Out Boy、3年ぶりのアルバムを紐解く」が公開されました。

[紙] 1月24日発売「TV Bros.」2018年1月27日号にて、LOUDNESS『RISE TO GLORY -8118-』アルバムレビューを担当・執筆しました。

[WEB] 1月23日、「KK BOX」にてLittle Glee Monsterのアルバム評「全世代必聴!リトグリ最新作『juice』全曲解説で検証」が公開されました。

[WEB] 1月21日、「リアルサウンド」にSKE48高柳明音、大場美奈、古畑奈和、北川綾巴インタビュー「SKE48 高柳明音、大場美奈、古畑奈和、北川綾巴が語る、“10周年までの歩み”と“新しい風”」が公開されました。

[紙] 1月15日から全国のローソン、ミニストップ、HMVで無料配布中の冊子「月刊HMV&BOOKS」1月15日号にて、Little Glee Monsterインタビューを担当・執筆しました。

[WEB] 1月12日、「ぴあ映画生活」にて映画『あの頃、君を追いかけた』撮影レポートおよび山田裕貴&齋藤飛鳥インタビュー「山田裕貴&齋藤飛鳥『あの頃、君を追いかけた』撮影現場が公開、初共演を通して抱いた思いとは」が公開されました。

[紙] 1月10日発売「TV Bros.」2018年1月13日号にて、WANIMA『Everybody!!』、LINKIN PARK『ONE MORE LIGHT LIVE』アルバムレビューを担当・執筆しました。

[紙] 1月9日から全国のタワーレコードで無料配布中の小冊子「tower+062」にて、Little Glee Monsterインタビューを担当・執筆しました。

[WEB] 1月7日、「リアルサウンド」にて新譜キュレーション記事「スラッシュメタル、ブラックメタル、ジェント……“エクストリームメタルの進化”示す新譜5選」が公開されました。

[WEB] 1月5日、「リアルサウンド」にてフルカワユタカ×LOW IQ 01×荒井岳史鼎談「フルカワユタカ×LOW IQ 01×荒井岳史 特別鼎談 「やっぱり人のつながりが一番だ」」が公開されました。

[紙] 1月4日発売「日経エンタテインメント!」2018年2月号にて、乃木坂46齋藤飛鳥インタビュー、白石麻衣インタビュー、および特別付録「乃木坂46 アンダーパーフェクトガイド」内の乃木坂46樋口日奈・寺田蘭世・渡辺みり愛インタビュー、アンダーメンバーパーフェクト名鑑、アンダーアルバム『僕だけの君 〜Under Super Best〜』全曲解説を担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 1月3日、「リアルサウンド」にてTHE YELLOW MONKEYのライブ評「THE YELLOW MONKEY、東京ドームで示した“再生”と“進化”」が公開されました。

[紙] 1月2日発売のDIR EN GREYベストアルバム『VISTIGE OF SCRATCHES』に関連した小冊子「勝手にDIR EN GREY」がCDショップなどで配布中。こちらにコメントを寄与しました。

=====

また、12月に当サイトで紹介したアルバム(Spotifyで配信している作品のみ)から各1〜2曲程度ピックアップして、40曲程度のプレイリストを制作しました。題して『TMQ-WEB Radio 1712号』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

MARMOZETS『KNOWING WHAT YOU KNOW NOW』(2018)

紅一点ベッカ・マッキンタイア(Vo)を擁するイギリスの5人組バンド、MARMOZETSの2ndアルバム。前作『THE WEIRD AND WONDERFUL MARMOZETS』(2014年/日本盤は2015年7月)は輸入盤がリリースされた2014年9月からしばらくして手に入れており、非常に愛聴した1枚でした。ここ日本にも2015年夏に『SUMMER SONIC』で初来日したのを機に、それなりに注目されたような印象があります。

そんな彼らの約3年ぶりとなる新作。前作はハードさの中にもキャッチーさ、ポップさが光る絶妙なバランス感で成り立っていましたが、本作はハードさを少しだけ抑えめにし、ポップさキャッチーさをより強めた、非常に聴きやすい作風が極まっています。

それはオープニングトラック「Play」を聴けば一耳瞭然で、サウンドの硬さはそのままに、スクリームを排除したベッカのメロディアスなボーカルがより前面に打ち出されている印象が強まったかなと。続く「Habit」ではダークさを残しつつもそこに優しさが加わり、バンドとしての成長が強く伺えるアレンジを聴かせてくれます。続く「Meant To Be」「Major System Error」もハイトーンを活かしたメロディワークが冴えているし、「Insomnia」には90年代ブリットロックを思い出させる香りが漂ってきます。

もちろんスクリームがゼロになったわけではありません。「Lost In Translation」では効果的に取り入れられていますしね。ただ、曲調やアレンジの効果なのか、スクリームが入っても前作より上品に聴こえてくるのだから不思議でなりません。

前作を初めて聴いたとき、オープニングトラック「Born Young And Free」のインパクトが強く、全体的にハードでエモなサウンドが心地よく感じられたこともあってお気に入りとなったのですが、今回は良い意味でインディー臭が薄らいでいるんですよね。例えば、サウンドの質感やプロダクションひとつ取り上げても、前作にあった(良い意味での)チープさが今作では排除され、完全にメジャー感が強まっている。もっといえば、アルバムジャケットにもそういった上昇志向が現れているし。もしかしたらリスナーがそこを成長と受け取るか、あるいはセルアウトしたと拒絶するかで、本作に対する評価は二分するかもしれませんね。

もともと魅力的なフロントウーマンを擁するバンドだけに、この進化は個人的には大歓迎。もっと幅広く受け入れられるべきバンドですし、なんなら“新世代のPARAMORE”くらいになってもおかしくない存在だと思っているので、ここでさらにひと化けしてほしいところです。



▼MARMOZETS『KNOWING WHAT YOU KNOW NOW』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

2018年1月30日 (火)

JOE SATRIANI『WHAT HAPPENS NEXT』(2018)

本サイトでは滅多にピックアップすることのないインストゥルメンタルアルバムですが、これは非常に楽しい1枚だったのでぜひ紹介したいと思い書いてみることにしました。

ジョー・サトリアーニの通算16枚目となるオリジナルアルバム。いまだに『SURFING WITH THE ALIEN』(1987年)や『FLYING IN A BLUE DREAM』(1989年)の印象で語ってしまいがちのサトリアーニ。これらの作品、すでに30年も前のものなんですよね。もちろん、上記の2枚以降も10数枚ものスタジオ作品を発表してますが、歌モノロック&HR/HMリスナーにはどうしても敬遠しまいがちな存在でもあるわけで。なので、そういう自分にとってのサトリアーニはサミー・ヘイガー(Vo)&マイケル・アンソニー(B)の元VAN HALEN組、RED HOT CHILI PEPPERSのチャド・スミス(Dr)と組んだCHICKENFOOTのギタリストっていう認識が強い人かもしれません。

が、たまたま手にした今回のアルバム『WHAT HAPPENS NEXT』がHR/HMファンの耳にも親しみやすい仕上がりだったので、驚いたわけですよ。

今回のアルバムは元DEEP PURPLEのグレン・ヒューズ(B)、CHICKENFOOTでの盟友チャド・スミス(Dr)という豪華なトリオ編成で制作した意欲作。もちろんグレンは一切歌うことなく、ベースプレイヤーに徹しています。前作、前々作あたりではクリス・チェイニー(B)&ヴィニー・カリウタ(Dr)がリズム隊として参加していましたが、本作は全編サトリアーニ/グレン/チャドの3人でレコーディングに臨んだこともあって、全体的にハードエッジな1枚に仕上げられています。また、プロデューサーにハードロック畑のマイク・フレイザー(AC/DCAEROSMITHMETALLICAなど)を迎えていることも、このへんに大きく影響を与えているのかもしれません。

とにかく1曲目「Energy」の飛ばしっぷりから気持ち良いったらありゃしない。サトリアーニらしいリフ&ソロワークはもちろんのこと、ダイナミックなアンサンブルを生み出しているリズム隊のプレイも圧巻。続く「Catbot」ではエフェクトのかかったベースリフの上を、同じく機械的なエフェクトがかかったギターがのたうちまわるし、クリーントーンのカッティングが気持ち良く加わる。序盤にハードロック色強めの楽曲が並ぶからこそ、5曲目「Righteous」のメロウ&ポップさがより際立つし、かと思えばソウルフルかつフュージョンチックな「Smooth Soul」みたいな曲もこの構成なら心地よく楽しめるわけです。

後半はハードブギーテイストの「Headrush」から始まるものの、ファンキーさも感じられる落ち着いたトーンの「Looper」や「What Happens Next」、ダイナミックなギタープレイ&バンドアンサンブルが存分に味わえる「Invisible」、ラストを飾るにふさわしいミディアムスロー「Forever And Ever」と、前半と比べればトーンダウンは否めませんが、決して悪いわけじゃない。むしろメリハリという意味では、前半戦の攻めがあるからこそ後半の「曲調は落ち着いているけどプレイは派手」な楽曲も素直に受け入れられるというもの。しかも全編ギターが歌いまくっているから、単純に楽しく聴けるんですよね。これがメロディ無視で弾きまくりなギタープレイヤーだったら、いくらハード&ヘヴィな作風でもここまで楽しめなかったと思います。

年間ベストに挙げるような作品ではないかもしれないけど、スルメ的アルバムとして長きにわたり愛聴できる1枚になりそうです。意外な収穫でした。



▼JOE SATRIANI『WHAT HAPPENS NEXT』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

2018年1月29日 (月)

PHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONS『THE AGE OF ABSURDITY』(2018)

2015年末のレミー(Vo, B)急逝を受け活動を終了させたMOTÖRHEAD。そのMOTÖRHEADにおいて、“ファスト”・エディ・クラーク(G)の後釜としてバンドに加わり、活動終了までバンドのギタリストとして在籍したフィル・キャンベルがMOTÖRHEAD後に結成したのがこのPHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONSというバンドです。

同バンドは活動終了から約半年後の2016年8月、ドイツで行われたフェス『WACKEN OPEN AIR』にて本格始動。同年11月にオリジナル曲で構成されたEP『PHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONS』を発表し、2017年6月にはMOTÖRHEADやRAMONESBLACK SABBATHのカバーを含むライブEP『LIVE AT SOLOTHURN』をリリースしています。

そして2018年1月、ついに発表された1stフルアルバム『THE AGE OF ABSURDITY』では、MOTÖRHEADで養われた爆走ロックンロール魂はそのままに、さらに幅を広げたロックンロール/ハードロックを存分に堪能することができます。

メンバーはフィル(G)のほか、トッド(G)、デイン(Dr)、タイラ(B)というフィル自身の実子3人に加え、ニール・スター(Vo)という5人編成。“これぞMOTÖRHEAD!”と叫びたくなる黄金ギターリフからスタートし、疾走感あふれるバンドサウンドを聴かせつつもサビではグルーヴィーなミドルテンポへとテンポチェンジする巧みなアレンジがたまらない「Ringleader」1曲で、このアルバムの掴みはOK。以降も「Freak Show」や「Gypsy Kiss」「Dropping The Needle」など、MOTÖRHEADのテイストがふんだんに散りばめられたハードロックが多数登場します。

もちろん、それだけじゃないのがこのバンドの特徴でもあり、グルーヴィーなモダンヘヴィネスナンバー「Skin And Bones」、いかにもなバッドボーイズロック「Welcome To Hell」、ヘヴィブルースと呼びたくなる「Dark Days」、男臭い哀愁味すら感じさせるミディアムスローの「Into The Dark」など、本当に聴きどころの多い1枚に仕上げられています。MOTÖRHEADフリークはもちろんのこと、フィルがゲスト参加したLAのハードロックバンドBUDDERSIDEをはじめ、BUCKCHERRYなど硬派なハードロックバンドが好きなリスナーにも存分にアピールする内容ではないでしょうか。特にこのバンドの場合、シンガーのニールが聴かせる歌声がレミーっぽくないのが良い方向に作用しており、いい意味でMOTÖRHEADに一線を引くことができたと個人的には感じています。

ちなみに、日本盤の初回限定盤には先に紹介したライブEP『LIVE AT SOLOTHURN』同梱の2枚組仕様も用意。AppleMusicでは2作品別々に配信されているので、CD購入を考えている人は通常盤に500円程度プラスしてこの初回盤を手に入れることをオススメします。



▼PHIL CAMPBELL AND THE BASTARD SONS『THE AGE OF ABSURDITY』
(amazon:国内盤CD / 国内盤2CD / 海外盤CD / iTunes

2018年1月28日 (日)

MACHINE HEAD『CATHARSIS』(2018)

2014年11月発売の『BLOODSTONE & DIAMONDS』から3年2ヶ月ぶりとなる、MACHINE HEAD通算9枚目のスタジオアルバム。超大作主義から若干コンパクトになり始めた前作を踏襲した、よりコンパクトでキャッチーな楽曲が並ぶ1枚で、全15曲74分というボリューム満点の内容に仕上がっています。

2016年に配信リリースされた新曲「Is There Anybody Out There?」(本作には未収録)を聴いたとき、非常にキャッチーなメロディとどこかメタルコア以降を感じさせるアレンジに「おおっ!」と驚くと同時に「……大丈夫だろうか?」と若干不安を覚えたのが昨日のことのように思い出されますが、あの前振りがあったおかげで僕自身は本作にスッと入っていけた気がします。

それまでの彼らが得意とした複雑なアレンジを持つスラッシーな大作は皆無。全体的に4〜5分台のミドルヘヴィナンバーが中心で、その中にモダンでどこかゴシック調な「Catharsis」みたいな楽曲が混ざっているのだから、さあ大変。そりゃあ皆さん問題作だのなんだのと騒ぎ立てるわけです。

が、そもそもこのバンドってそういう“血迷い”をたまに見せるから面白かったんじゃなかったでしたっけ? いつから「正統的メタル/ラウドの後継者」になったんでしたっけ?(いや、なってないってば)

僕、彼らの作品の中で特に気に入っているのが1stの『BURN MY EYES』(1994年)3rd『THE BURNING RED』(1999年)、そして6th『THE BLACKENING』(2007年)なんですね。まぁ1枚目と3枚目は共感してもらえる人も多いかもしれませんが、3rdをお気に入りに挙げるMACHINE HEADファンは少ないんじゃないでしょうか。でも、それくらいこのバンドの本質の一部がここに含まれていると思っているんです。

ロブ・フリン(Vo, G)って実は何かのオリジネーターというよりも、ひとつ題材を与えたらそこから“それっぽい”ものを作り上げるのが上手な人なんじゃないかな、と個人的には思っていて。だからPANTERAだ、HELMETだと世間が騒いでいた時期に『BURN MY EYES』を作り上げ、LIMP BIZKITだ、KORNだ、DEFTONESだと世間が騒いでいた時期に『THE BURNING RED』みたいな作品を何の迷いもなく完成させてしまう。なんなら、ファッションもそっちに寄せちゃうんですから……好きなんですよ、“そういう”ものが。

ここ最近は大きく道を踏み外すことがなかったロブですが、前作でのコンパクト化が世間的に受け入れられたこと思いついたのか、それとも「ずっとやってみたかったんだよね」と秘めてた思いが爆発したのか、再び振り切った1枚を作っちゃったわけです。お茶目な奴め。

確かに曲によっては“MACHINE HEAD以降”のバンドたちの匂いがプンプンするし、「あれ、これってあのバンドのあのアルバムに入ってなかったっけ?」と思ってしまっても不思議じゃないタイプの楽曲も存在します。けど、それすら「しょーがねーなぁ(苦笑)」と許せてしまう自分もいるわけでして。あのね、そこまで悪いアルバムじゃないですよ? 賛否両論って言われる「Catharsis」なんて僕、このアルバムのなかで1、2を争うぐらいに好きだし、ハンドクラップから始まるアップチューン「Kaleidoscope」も、コリィ・テイラーが歌っても不思議じゃないメロディアスな「Triple Beam」も、序盤のアコースティックパートに度肝を抜かれるアメリカンロック調の「Bastards」、アコギ主体のバラード「Behind A Mask」、ゴシック調のスローナンバー「Eulogy」もみんな嫌いじゃない。むしろ好意的に受け取っています。

それ以外のヘヴィナンバーも決して悪くないしね。上に挙げた異色作のほうにどうしても目が耳が行きがちだから、全体に対する正統な判断が下しにくいのかもしれないけど、この振り切り方を僕は全面的に支持したいと思います。むしろ、こういった新たな側面がライブで過去の楽曲と混ざり合ったとき、どう聴こえるのかが楽しみ。7月の来日公演、ぜひ足を運んで確かめたいと思います。



▼MACHINE HEAD『CATHARSIS』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD+DVD / 国内盤2CD+DVD / 海外盤CD / 海外盤CD+DVD / iTunes

2018年1月27日 (土)

LOUDNESS『RISE TO GLORY -8118-』(2018)

以前OUTRAGEの新作『Raging Out』(2017年)の際にも書きましたが、更新再開後の当サイトでは「新譜、旧譜にかかわらず海外作品のみを取り上げる」というポリシーで続けてきましたが、再びそういった前提を破ってでも書きたい国内メタル作品が登場したので紹介したいと思います。

昨日1月26日に世界同時リリースとなったLOUDNESSのニューアルバム『RISE TO GLORY -8118-』は、2014年発売の『THE SUN WILL RISE AGAIN 〜撃魂霊刀』以来となるオリジナルアルバム。通算27枚目となるのでしょうか……デビューから37年でこの枚数はかなりのものがあると思います。にしても、オリジナルメンバーで再始動した2001年以降、1〜2年に1枚は新作を発表してきた彼らにしては4年も空いたのは意外でしたね(とはいえ、2016年にはセルフカバーアルバム『SAMSARA FLIGHT 〜輪廻飛翔〜』を発表しており、メンバーは同作をオリジナルアルバムという感覚で制作したと発言しているので、2年ぶりの新作くらいのつもりなんでしょうね)。

過去にも海外でアルバムを発表してきたLOUDNESSですが、実は世界同時リリースというのはこれが初めてなんじゃないでしょうか。まあそれぐらい、現在の海外を含むメタルシーンがLOUDNESSの新しい音を求めているという表れかもしれません。

本作ですが、リリースよりずいぶん前に聴く機会を得たのですが……本当に素晴らしいんですよ。『THE SUN WILL RISE AGAIN 〜撃魂霊刀』の時点でかなり“戻って”きた感はあったのですが、本作はその比じゃないくらい“戻って”きています。ぶっちゃけ、『SAMSARA FLIGHT 〜輪廻飛翔〜』を制作したのも大きく影響していると思います。同作からあまり感覚を空けることなく、よい流れで今作の制作に入っていったのも大きかったんでしょうね。

オープニングのインスト「8118」を経てスタートする「Soul on Fire」の“往年のLOUDNESS”感。そして、ゼロ年代以降のモダンメタル/ハードコアなテイストを含みつつも基本的には“往年のLOUDNESS”な「I'm Still Alive」、80年代的だけど現代的なテイストも含まれているハードロック「Go for Broke」など、とにかく我々がイメージする“あのLOUDNESS”感満載なのです。しかも、単なる焼き直しやセルフパロディでは終わらず、しっかりゼロ年代、テン年代の彼らをそのまま引き継ぎつつ原点を見つめ直している印象を受けるのですから、そりゃあ悪いわけがない。

アルバム全体はヘヴィメタルというよりもハードロックという印象で、そういう意味では全米進出前の4枚(『THE BIRTHDAY EVE 〜誕生前夜〜』『DEVIL SOLDIER 〜戦慄の奇蹟〜』『THE LAW OF DEVIL'S LAND 〜魔界典章〜』『DISILLUSION 〜撃剣霊化〜』)をイメージする作品かもしれません。だが、それが良いんですよ。もちろん『THUNDER IN THE EAST』(1985年)以降のテイストも含まれていますし、先にも述べたように2000年以降の彼らの持ち味も随所に散りばめられています。要は、メンバー自身がLOUDNESSという存在をより客観的に見つめることができた、だからこその1枚なのかもしれませんね。

ヘヴィバラード「Untill I See the Light」もミドルヘヴィナンバー「The Voice」もツービート炸裂のハードコアチューン「Massive Tornado」も、そして初期の彼らを彷彿とさせつつも現代的なギタープレイが映えるインスト「Kama Sutra」も、オープニングのタッピングプレイでニンマリしてしまうファストチューン「Rise to Glory」も、ザクザクしたギターリフがいかにも彼ららしい「Why and for Whom」も、オープニングのリフを聴いた瞬間に“そうそう、これこれ!”と唸ってしまう「No Limits」も、ヘヴィながらも泣きメロが気持ち良いバラード「Rain」も、全部文句なし。これを待っていたんですよ、僕たちは……そう声高に叫びたくなるくらいの1枚。メロディが現代的になり、その部分は80年代初頭の“いかにも”とは違うかもしれないけど、そこに関しては僕は進化と真正面から捉えることにしています。

最近LOUDNESSから離れていたオッさん世代にこそ聴いてもらいたいアルバムだと思います。ぜひセルフカバーアルバム『SAMSARA FLIGHT 〜輪廻飛翔〜』と併せてチェックしてもらいたい、2018年の日本のHR/HMシーンを代表する1枚です。



▼LOUDNESS『RISE TO GLORY -8118-』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD+DVD / 海外盤CD / iTunes

2018年1月26日 (金)

FALL OUT BOY『M A N I A』(2018)

活動再開以降、『SAVE ROCK AND ROLL』(2013年)、『AMERICAN BEAUTY / AMERICAN PSYCHO』(2015年)と2作連続で全米1位を獲得し、第二の黄金期に突入した感の強いFALL OUT BOY。その彼らが当初の予定から4ヶ月遅れて、通算7作目のスタジオアルバム『M A N I A』をリリースしました。

活動休止前の『FOLIE A DEUX』(2008年)の時点でその片鱗はあったとはいえ、『SAVE ROCK AND ROLL』では従来のエモーショナルなバンドサウンドをよりモダンな方向に昇華……サンプリングやエレクトロテイストを積極的に取り入れたアレンジで、初期のポップパンクスタイルを愛好していたリスナーを驚かせました。続く『AMERICAN BEAUTY / AMERICAN PSYCHO』ではその強度をさらに高め、ロックバンドのアルバムというよりも幅広い意味での“ロック”を鳴らすバンドの作品集としては最高峰の1枚になったのではないかと思っています。

そんな力作のあとですから、そりゃあバンド側も新作制作には慎重になるわけですよね。昨年春以降からシングルとして少しずつ新曲を切っていき、リスナーからの反響を伺う。果たして自分たちがやろうとしていることは今でも有効なのかどうか、それを調べるかのように。

今回の『M A N I A』、まず驚いたのはフィジカル(CD)版とデジタル版とで曲順が異なること。僕はストリーミングなどで先に公開済みの数曲を耳にしていたし、そこでアルバムの曲順もわかってはいたのですが、実際に発売されたCDはこれとはまったく異なるものでした。なので、ここではフィジカル版の曲順で聴いた感想を述べておきます。

本作の中でも比較的パワフルな部類の「Stay Frosty Royal Milk Tea」からスタートする形にしたのは正解だと思いました。デジタル版の「Young And Menace」は前作までの路線をさらに進化させた究極形で、インパクトという点ではこちらのほうが良いのかもしれません。が、ロックバンドとしてのこだわりなのでしょうか。フィジカルを買う=ファンということを意識した「Stay Frosty Royal Milk Tea」は、なるほどと頷けるものだと思うのです。

デジタル版だと序盤に公開済みの楽曲が多く並ぶ構成で、こういった曲順はライトユーザーを掴む上では非常にわかりやすいものだと思いました。で、フィジカル版は2曲目にアッパーな「The Last Of The Real Ones」を筆頭に、「Hold Me Tight Or Don't」「Wilson (Expensive Mistake)」と既発曲でたたみかける。この曲順も悪くない。むしろ、こっちのほうが従来のロックバンドの新作っぽくて僕は好きです。

フィジカル版では中盤にディープなゴスペルロック「Church」、R&B色が増したバラード「Heaven's Gate」でじっくり聴かせたあとに、既存曲と新曲を入れ子に並べ、ラストはデジタル版同様に「Bishops Knife Trick」で締めくくる。全10曲35分というトータルランニングも程よく、心地よく楽しめる1枚に仕上げられていると思います。

これはもう完全に好みでしょうけど、僕はフィジカル版のほうが「ロックバンドの新作」を聴いている印象が強いかな。SpotifyやAppleMusicでのデジタル版のほうも悪くないし、手軽に楽しむ分にはこっちでもいいけど。こうして聴き比べると、曲順って本当に大事なんだなと実感させられました。

さて、この試みは吉と出るのか凶と出るのか。気になるところです。



▼FALL OUT BOY『M A N I A』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD+DVD / 海外盤CD / MP3

2018年1月25日 (木)

STARCRAWLER『STARCRAWLER』(2018)

2018年最注目ロックバンドのひとつは、間違いなくこのSTARCRAWLERではないでしょうか。

名門レーベルRough Trade Recordsと契約したことで一気に注目を集めることになったLA出身の4人組は、僕も昨年秋にレーベルから送られてきた資料を目にし、そして昨年春に発売されていたEP『ANTS』を聴いて、より興味を持つようになりました。

音もさることながら、まず気になるのがそのヴィジュアル。ボーカルのアロウ・デ・ワイルドのルックスや佇まい、ロックが好きな者なら惹きつけられないわけがない。「Ants」(アルバム未収録。国内盤にはボーナストラックとして収録)のMVは何度観たことか。パンクロックの衝動性と、どこかシアトリカルな要素を持ち合わせたそのステージングは絶対的なものがあり、これは今すぐにでも観たい!と思わせるものでした。

そうそう、「Used To Know」のセッション映像も最高なんですよ。これ、「Ants」と同じ人ですよ? 最高じゃないですか?

そうこうしているうちに、FOO FIGHTERSが自身主催の大型フェスにアルバムデビュー前の彼らを呼び入れたりして、知名度は一気に加速。ここ日本でも3月に待望の初来日が控える中、デビューアルバムがリリースされました。

アルバムをプロデュースしたのは、かのライアン・アダムス。悪いわけがない。アルバムに先駆けて公開された「I Love LA」は、あのバカげたMV含め最高だったので、当然過剰に期待していたわけですが、全10曲27分があっという間でした。録音のせいもあって音も骨太になり、ボーカルのアクの強さに負けてない。ロックもパンクもあるし、ポップもサイケもブルースもある。その時代、その時代で先人たちが作り上げてきたものを全部ミキサーに入れて粉々にして混ぜて、それをまたいびつな形で固めてできたのがこの音……そんな“完成しきってない”感がいかにもデビューアルバムらしくて、聴いていて本当にワクワクしてくるんです。

とにかく、曲がキャッチーなんですよね。シンプルなバンドサウンドはパンクロック的でもあるし、ゼロ年代のロックンロールリバイバル的でもある。それをあのヴィジュアルで表現しているんですから……そこが非常にLA的とも受け取れるし、ある種の突然変異とも受け取れる。まあ何はともあれ、ハタチ前後の若い世代が今もこうやってカッコいいロックンロールを鳴らしてくれることに、オッサン世代は素直に嬉しいわけです。

こんなにワクワクしたの、THE LIBERTINES以来? ARCTIC MONKEYS以来? もう覚えてないけど、少なくともこの10年くらいはなかったように思います。

ロックンロール、まだまだ捨てたもんじゃないよ。



▼STARCRAWLER『STARCRAWLER』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

2018年1月24日 (水)

BLACK LABEL SOCIETY『GRIMMEST HITS』(2018)

ザック・ワイルド(Vo, G)のメインバンド、BLACK LABEL SOCIETYの4年ぶり、通算10作目となるスタジオアルバム。前作『CATACOMBS OF THE BLACK VATICAN』(2014年)が全米5位という好成績を残し、ソロ名義では20年ぶりとなる『BOOKS OF SHADOWS II』(2016年)も全米18位を記録。昨年はオジー・オズボーンのツアーに参加して話題を集めるなど、この4年間はとにかく積極的に動いている印象でしたが、そんななか満を持して発表されたBLSの新作、これが非常に優れた作品なのです。

特に何が変わったということもなく、相変わらずヘヴィな曲はヘヴィでギター弾きまくり、サザンロックフィーリングを感じさせる緩い曲では枯れたプレイを聴かせるわけですが、なぜか本作はここ数作の中でも非常に充実度が高い印象を受けます。

まず、昨年のうちに先行公開された「Rooms Of Nightmares」のキャッチーさといったら。もちろん急にキャッチーになったわけではありません。これまでの彼らの楽曲はヘヴィな中にもしっかりキャッチーなメロディが存在しており、そこにザックのメロディメイカーとしての才能が感じられたわけですが、今回はその部分がより冴え渡っているというか、洗練されている気がするのです。

この「Rooms Of Nightmares」に限らず、アルバム冒頭を飾る「Trampled Down Below」にしろ、続く「Seasons Of Falter」「The Betrayal」にしろ、とにかく歌メロが親しみやすく耳に残りやすいものばかり。もちろん、サザンロックフィーリングの強いバラード「The Only Words」や「The Day That Heaven Had Gone Away」も素晴らしい仕上がりで、そういえばこの人オジーのところで「Mama I'm Coming Home」や「Road To Nowhere」を書いた人だった、ってことを思い出させてくれるぐらいのメロディセンスが発揮されているのです。

かと思えば、「A Love Unreal」のような曲では師匠のオジーの姿が重なるような歌声を聴かせてくれる(特にこの曲は、アレンジ自体がBLACK SABBATH的ですものね)。若干キーを上げてこれらの曲をオジーが歌ったら……なんてことも想像するわけですが、このローチューニングだからカッコいいわけであって、それもまた違う。そう考えると、やっぱりこれはザック自身が歌うために作られた楽曲群なんですよね。

ギターリフもソロも、相変わらずブっとい音で“らしさ”満点。過剰なプレイが遺憾なく反映されているにもかかわらず、どこか洗練された印象を受ける。その絶妙なバランス感が過去数作とは明らかに異なる。また、その内容もどこか集大成的でもある。久しぶりのソロアルバムでアク抜きできたのもあるでしょうし、久しぶりにオジーと共演したことも大きかったのかもしれない。『NO REST FOR THE WICKED』(1988年)でデビューして今年で30年、しかもBLSとしても10作目という節目のタイミングに、ザックはこのアルバムでひとつの結果を残すことができたのかもしれませんね。

これは本当に傑作です。いやはや、恐れ入りました。



▼BLACK LABEL SOCIETY『GRIMMEST HITS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / iTunes

2018年1月23日 (火)

JOE PERRY『SWEETZERLAND MANIFESTO』(2018)

AEROSMITHのギタリスト、ジョー・ペリーが数日前にひっそりと新しいソロアルバムをリリースしていました。あれ、実は大々的に告知されていて、自分だけが知らなかったパターン?とも思ったのですが(昨年11月には告知されていたようですね)、国内盤の予定もなく……まったく気づいていませんでした。申し訳ない!

で、ジョーのソロですよ。彼はエアロに復帰して以降、2000年代半ばまでソロアルバムを作って来ませんでした。それ以前のJOE PERRY PROJECTはエアロを脱退したからこそ生まれた産物だったわけで、メインバンドがある以上はソロで何かをする必要性はなかったと。ところが、2000年代以降のジョーのソロ2作(2005年の『JOE PERRY』、2009年の『HAVE GUITAR, WILL TRAVEL』)には作る理由がちゃんとあった。『JOE PERRY』のときはエアロが無期限活動休止を発表したタイミング、『HAVE GUITAR, WILL TRAVEL』のときはエアロのアルバム『MUSIC FROM ANOTHER DIMENSION!』(2012年)の制作初期段階で、途中で頓挫してしまった時期にソロへと向かった。クリエイターとしての制作意欲の吐け口として、止むを得ず(かどうかはわかりませんが)再びソロへと向かっていったわけです。

事実、『JOE PERRY』は90年代以降のエアロらしさにジョーならではの渋みが加わった良作ですし、『HAVE GUITAR, WILL TRAVEL』は新たな才能(YouTubeで見つけた無名のシンガーを迎えて制作)から触発された初期衝動がにじみ出た力作でした。それぞれカラーが異なり、個人的にも楽しんで聴くことができたけど、エアロの色が散りばめられていることで「だったらエアロの新作が聴きたいよ……」と思ってしまったのも事実でした。

では、今回発表された9年ぶりのソロアルバムはどうでしょう? 実はこれ、めっちゃ肩の力が抜けているんですよ。バンドとしてのエアロは終わりが近づいている、音楽でたくさん稼げたし、納得のいく作品もたくさん作ってこられた、あとは余生を楽しむのみ……と思ったかどうかはわかりません。でも、数年前にジョーがステージで倒れて意識不明?なんて事故がありましたが、あれを思い浮かべると今回は純粋に好きな音楽を楽しもうという姿勢が感じられるのです。

全10曲中インストが2曲、ジョー自身がボーカルと務めるのが1曲。残り7曲はロビン・ザンダー(CHEAP TRICK)、デヴィッド・ヨハンセン(NEW YORK DOLLS)、テリー・リードというロックファンなら誰もが知るレジェンドたちを迎えて制作しているのです。もちろん、悪いわけがない。基本的にはブルースをベースにしたロック/ハードロックで、エアロを彷彿とさせる曲もあるんだけど、以前のように「これ、エアロでやれよ!」的な“そのもの”ではなくてエアロのフレーバーを散りばめた楽曲をアクの強いフロントマンが歌ってるという印象にとどまっている。ああ、そうか。ジョー本人が歌ったりスティーヴン・タイラーを彷彿とさせるフロントマンが歌ったりするからいけなかったんだ。当たり前の話だけど。けどそれも、アリス・クーパーやジョニー・デップたちと始めたスーパーバンド、HOLLYWOOD VAMPIRESがあったからこそなんでしょうね。フロントに立つよりも、アクの強いシンガーの隣でこそ光ることを再確認できたのかもしれません。

ジョーのギターも非常にリラックスしたプレイを聴かせてくれているし、各ボーカリストに触発されて引っ張り出されたキレのあるフレーズも見受けられる。ぶっちゃけ、エアロの最新作『MUSIC FROM ANOTHER DIMENSION!』よりも良いんじゃないかと思うほど。いやあ、ジョーのソロアルバムでここまで興奮したの、久しぶり、いや、初めてかもしれない。

現在67歳。まだまだ最前線でやろうと思えばやれるし、若い才能をフックアップすることも可能でしょう。でも、エアロの近況もそうだけど、アーティストとしてはそろそろ“終活”の時期なのかな……もはや『MUSIC FROM ANOTHER DIMENSION!』レベルを保つことすら難しいのだったら、エアロのアルバムはもう無理に作らなくてもいいから、スティーヴンもジョーも自分の好きな音楽を、楽しみながら作ればいいと思うのです。その結果として本作が生まれたのだったら、僕はそれを素直に受け入れるので。



▼JOE PERRY『SWEETZERLAND MANIFESTO』
(amazon:海外盤CD / MP3

2018年1月22日 (月)

KULA SHAKER『K』(1996)

1996年9月にリリースされたKULA SHAKERの1stアルバム。ブリットポップ全盛期から後期にかけたタイミングの1995年に登場した彼らですが、1996年に入ると「Grateful When You're Dead」のスマッシュヒット(全英35位)に続き、「Tattva」が全英4位まで上昇。続く「Hey Dude」も全英2位の大ヒットとなり、同タイミングに発表されたアルバム『K』も全英チャート初登場1位を記録。同年を代表する1枚となりました。

彼らがそれ以前に登場したブリットポップバンドたちと一線を画するのは、インディーズからのリリース(活動)なしに突然メジャーデビューを果たし、たった数枚のシングルで大成功を収めてしまったこと。ガレージロックとも伝統的な英国ひねくれポップとも異なる、インドからの影響が色濃いサイケデリックロックサウンドが新鮮かつ好意的に受け入れられた結果、ヒットにつながったと言えるかもしれません。

とはいえ、アルバムオープニングを飾る「Hey Dude」のドライブ感とダンサブルなビート、力強さを見せつつも適度に肩の力が抜けたクリスピアン・ミルズ(Vo, G)のボーカルと鋭いギタープレイには、一度聴いたら耳を奪われてしまうのではないでしょうか(そのルックスに目を奪われる、というのもあると思いますが)。

かと思えば、STOOGESを胡散臭くした「Knight On The Town」「Smart Dos」みたいなハードナンバーもあるのに、宗教的な色合いすら感じさせる「Govinda」(全英7位)もある。浮遊感漂うサイケポップ「Into The Deep」「Tattva」、ひたすらギターストロークがカッコイイ前半とダウナーなサイケサウンドの後半との対比がえげつない「Grateful When You're Dead / Jerry Was There」、どこか哀愁味の強い枯れたロックバラード「Start All Over」など、とにかく捨て曲が一切ない。そりゃあ画一的なシーンの中にこんなバンドが登場したら、耳の早いリスナーは飛びつきますよ。

たったアルバム1枚で国民的人気を獲得してしまった彼らですが、その正解感を追求したばかりに(そしてブリットポップブームが終焉を迎えたため)、続く2ndアルバム『PEASANTS, PIGS & ASTRONAUTS』(1999年)が全英8位まで上昇するものの前作ほどの結果は得られず、同年中に解散。2004年には再結成し、現在まで着実な活動を続けています。

そういえば、KULA SHAKERが日本デビューしたタイミングって、こういったインドテイストや宗教感を漂わせるバンドは若干微妙だったように記憶しています。だって、1995年にはあの団体による事件があったばかりでしたから……。まあ、それでも純粋な洋楽ロックファンは彼らを支持し、ソールドアウト連続のジャパンツアーは大成功したわけですけどね。よかったよかった。



▼KULA SHAKER『K』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

2018年1月21日 (日)

JUDAS PRIEST『RAM IT DOWN』(1988)

1988年5月にリリースされた、JUDAS PRIEST通算11枚目のスタジオアルバム。前作『TURBO』(1986年)でポップな作風、シンセやシンセサイズドギターを大々的に導入したサウンドメンが批判された彼らでしたが、続く本作では当初、当時ヒットを飛ばしまくっていたダンスミュージック・プロデュースチーム「STOCK AITKEN WATERMAN」がプロデュースを担当するという話もあり、メタルファンを驚愕させたのですが、残念ながら実現せず、結局はこれまで同様にトム・アロムを迎えて制作されました。

本作は『TURBO』の流れを汲む、ポップでシンセサイズドな作風と、その反動から生まれたハードエッジなメタルチューンが混在したもの。そもそも『TURBO』というプロジェクト自体がその両方を持ち合わせたものだったはずが、途中からポップサイドに特化した内容に変更されたため、ハードサイドの楽曲は保留されており、そのアウトテイクを本作では数曲使用しているようです。そういう意味では、本作は『TURBO』と併せて語るべき1枚かもしれませんね(腕をモチーフにしたジャケットしかり、関連性は大いにあるのではないかと)。

オープニングの「Ram It Down」は、当時のバンドの状況(ポップに成り下がったと揶揄され、さらに言いがかりにも近い裁判騒動など)もあってか、それらに対する怒りを冒頭のロブ・ハルフォード(Vo)のシャウト一発で表現しているようにも感じられます。でも、激しいファストチューンながらも、しっかりポップな要素が備わっているのがいかにも『TURBO』プロジェクトのアウトテイクといった印象。そのへんは、例えば『SCREAMING FOR VENGENCE』(1982年)や『DEFENDERS OF THE FAITH』(1984年)ともちょっと違ったイメージがあるかもしれません。

それから、本作は全体的にシンプルなイメージが強いのも特徴かな。曲タイトルのシンプルさはもちろん、大半の楽曲のアレンジもそこまで複雑ではなく、意外とあっさりめ。それをデジタルテイストでコーティングしているんだから、より異質な感触が強まっているんです。「Heavy Metal」や「Love Zone」のドラムのエフェクト感(トリガーを使ってるのかしら)もそうだし、プログレッシヴな名曲「Blood Red Skies」やヘヴィなミドルナンバー「I'm A Rocker」「Monsters Of Rock」あたりもそう。

で、その究極の1曲が「Johnny B. Goode」。そう、チャック・ベリーの代表曲ですよ。あれを映画のサウンドトラック用とはいえ、プリーストがカバーしてしまったんです。初めて聴いたときの何とも言えない感といったら……これが正解なのか失敗なのかすら理解できず、ただ流れ去っていくような気すらしましたもん。

という名作というよりは迷作寄りの1枚ですが、『TURBO』からのノリで聴くとそこまで悪くないので、まぁいいんじゃないでしょうか。僕は嫌いじゃないですよ。だって「Blood Red Skies」1曲あるだけで全然勝ってるし、そもそも彼らのポップセンス自体、決して悪くないですもん。まあ、そこをこのバンドに求めるのか?って話なんですよね、そもそもは(苦笑)。

リリースから今年で30年。もしかしてデラックス盤とか出たりするんですかね。だとしたら、当時来日公演が実現していないので、この時期のちゃんとしたライブ音源もしくはライブ映像を発表してほしいものです。

P.S.
本作を最後にバンドを脱退したドラマー、デイヴ・ホランドが亡くなったようです(参照:ソース)。晩年は少年への性的暴行などであれこれありましたが、今はご冥福をお祈りしたいと思います。



▼JUDAS PRIEST『RAM IT DOWN』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

2018年1月20日 (土)

DEF LEPPARD『ON THROUGH THE NIGHT』(1980)

DEF LEPPARDの過去のカタログが昨日1月19日から、デジタルデータでの販売およびサブスクリクションサービスでのストリーミング配信が開始されました。(参照:こちら

1980年のメジャーデビューから30年近く在籍したMercury/Island Records時代の音源に関しては、しばらくバンドのコントロールが効かない状況で、手元に取り戻した『SLANG』(1996年)以外は配信で手軽に聴くこともできず、バンドは苦肉の策として「Pour Some Sugar On Me」などいくつかの音源を再レコーディングして配信するなどしてファンのニーズに応え続けてきました。10年以上にわたり動いてきたこの件も、昨日で一件落着。個人的にもCDラックやハードディスクから彼らの音源を引っ張り出す手間が省けてありがたいですし、何よりも彼らの黄金期をリアルタイムで知らない若いリスナーにも手軽にDEF LEPPARDのカタログが楽しめるのは非常に大きな一歩だと思うのです。

ということで、今回は当初計画していた更新予定から、今月2枚目のDEF LEPPARDのアルバム紹介に変更することにしました。

今回紹介するのは、1980年3月に本国イギリスでリリースされたDEF LEPPARDのメジャー1stアルバム。彼らは前年の1979年1月に3曲入りEP『THE DEF LEPPARD E.P.』を自主レーベルから発売。同年にメジャー契約を果たすと、11月にはシングル「Wasted」でメジャーデビュー。当時はIRON MAIDENSAXONなどをはじめとする、イギリス出身の若手HR/HMバンドたちによる新たなムーブメント=New Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)が勃発し始めたタイミングで、サウンドのテイスト的にはヘヴィメタルとは異なるものの、DEF LEPPARDもこの流れに取り込まれて紹介される機会が増えていきました。

今このアルバムを聴き返すと、『HYSTERIA』(1987年)以降のデジタル色の強いポップなハードロックサウンドとは一線を画する、生々しくてアグレッシヴな印象を受けます。そりゃあリック・アレン(Dr)も健康体でしたし、当時はまだ16歳そこそこでしたし。メンバーの多くが20歳前後だったことを考えれば、この躍動感とフレッシュさは納得のいくものです。

また、王道ブリティッシュハードロックのスタンスを保ちながらも、「Rock Brigade」や「Hello America」などではアメリカナイズされた(と言われた)ポップさも積極的に導入している。もちろんこのへんもブリティッシュっちゃあブリティッシュなんですが、あの当時はこういったメジャー感に対して「アメリカかぶれ」なんて揶揄されたのかもしれませんね。今聴くとそんなにアメリカンな印象も受けないのですが。

上記のポップなハードロックはのちの彼らのヒット曲につながっていくと思うのですが、と同時に「It Could Be You」や「Wasted」「Rocks Off」のようなストレートなハードロックもあれば、「Sorrow Is A Woman」みたいに叙情的な楽曲、「When The Walls Came Tumbling Down」「Overture」といったプログレッシヴなハードロックも存在する。結局、次作以降の“らしさ”の原点がぎっしり詰まった、原点と呼ぶにふさわしい1枚なんですよね。彼らの代表作をすべて聴き終えてから本作に戻ると、非常に納得できる内容/作風なんじゃないかと思います。

今の彼らのこの勢いを求めようとは思いませんが、もしできることなら……今の彼らが表現する『ON THROUGH THE NIGHT』完全再現ライブというのも観てみたい気がします。実現しないものですかね?



▼DEF LEPPARD『ON THROUGH THE NIGHT』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

2018年1月19日 (金)

THERAPY?『TROUBLEGUM』(1994)

北アイルランド出身のトリオバンドTHERAPY?が1994年初頭にリリースした、メジャー2ndアルバム(インディーズ盤含めると通算4作目)。『NURSE』(1992年)でメジャーデビューを果たした彼らでしたが、同作は全英38位止まり。が、本作『TROUBLEGUM』にも収録された「Screamager」がリード曲のEP『SHORTSHARPSHOCK E.P.』(1993年)が全英9位、続く『FACE THE STRANGE E.P.』(同年 / 「Turn」収録)が全英18位、『OPAL MANTRA』(同年 / アルバム未収録)が全英14位、さらにシングル「Nowhere」が全英18位と好状況を経てこのアルバムをドロップ。結果、全英5位という現在までの最高順位を獲得することとなりました。以降も「Trigger Inside」(全英22位)、「Die Laughing」(全英29位)とヒットシングルが生まれています。

本作では反復されるダンサブルなインダストリアルビートが魅力だった『NURSE』までの路線から一歩踏み出し、より直線的でエモーショナルな楽曲が増えた印象。オープニングのショートチューン「The Knives」や「Screamager」、「Nowhere」はまさにその代表例で、そういった新境地ナンバーが受け入れられた結果、ヒットにつながったのだから面白いものです。

かと思えば、前作までのダークな色合いを兼ね備えた「Unbeliever」「Lunacy Booth」、グランジやオルタナからの影響が強い「Femtex」「Unrequited」があったり、JOY DIVISIONのカバー「Isolation」もある。確かにリフの反復などには前作までの色合いが見え隠れしますが、全体的にはロックバンドとしての躍動感が強烈に強まった意欲作という気がします。

だからこそ、「Nowhere」や「Die Laughing」のようなメジャーキーのポップな楽曲が入っていても違和感なく楽しめるし、むしろそういった異色の楽曲が強い個性を放っているのだから不思議ですよね。ダークだけどエモーショナル、そしてキャッチーでポップ。このスタイルは次作『INFERNAL LOVE』(1995年)でさらに極まることになるわけです。

なお、本作は数年前にCD3枚組のデラックス盤も発売。シングルのカップリングやリミックス、ライブ音源などがまとめられています。このリミックスバージョンに、過去のインダストリアルテイストが生かされているので、この使い分けはさすがだな、わかってるなと思ったのは僕だけではないはずです。



▼THERAPY?『TROUBLEGUM』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤2CD / MP3

2018年1月18日 (木)

TERRORVISION『HOW TO MAKE FRIENDS AND INFLUENCE PEOPLE』(1994)

イギリス出身の4人組バンドTERRORVISIONが1994年春に発表した2ndアルバム。PIXIESやTHROWING MUSESなどを手がけ、のちにFOO FIGHTERSHONEYCRACKFEEDERなどにも携わるギル・ノートンをプロデューサーに迎え制作された本作からは「Oblivion」(全英21位)を筆頭に、「Middleman」(同25位)、「Pretend Best Friend」(同25位)、「Alice What's The Matter?」(同24位)、「Some People Say」(同22位)と5曲ものヒットシングルが生まれ、アルバム自体も最高18位と好セールスを記録。知名度を一気に上げる起爆剤となりました。

彼らのサウンドは非常にカテゴライズが難しく、ハードロックと言ってしまえば確かにそう聴こえるし、RED HOT CHILI PEPPERSあたりのヘヴィなファンクロックと言われればそうとも受け取れる。ブリットロックの中に入ってしまえばそれっぽいと思えるし、グランジと言われれば確かにそれっぽい。要するに、1曲1曲が独立して際立った個性を持っているため、いざアルバムで接するとバンド本来の顔が見えてこなかったりするのです。そこが良い点でもあると同時に、ここ日本のようなシーンでは弱点にもなる。ある意味、評価の難しい存在かもしれません。

事実、僕自身もリアルタムで最初に彼らの楽曲に触れたのは、ちょっとグランジがかったミディアムナンバー「Middleman」から。次にオールディーズテイストのポップロック「Oblivion」を聴いたら頭に「?」の文字が浮かび上がり、さらに風変わりなハードロック「Alice What's The Matter?」やミクスチャーロック風の「Pretend Best Friend」を聴いてさらに疑問は大きくなるばかり。

アルバムを聴くと、ファンクロック的な「Stab In The Back」があったりヘヴィなギターリフがカッコイイ「Descotheque Wreck」があったり、リフだけ聴いたら完全にメタルなファストチューン「What The Doctor Ordered」、アコースティックギターやストリングスをフィーチャーしたもの悲しげなヘヴィバラード「Some People Say」と、とにかく一貫性が感じられない。

でも、視点を変えれば、この一貫性のなさこそがTERRORVISION最大の武器であるわけで。何度も聴き込むとこのアルバム、かなり芯の通ったアルバムだと気づかされるわけです。要するにミクスチャーロックバンドなんですよね。ブリティッシュロックバンドがミクスチャーに挑戦するとこうなる、という好例なのではないでしょうか。そう考えると、このひねくれっぷりこそがイギリス人そのものなんだなと改めて実感させられるはず。こんなアルバム、アメリカ人にはなかなか作れませんよ。



▼TERRORVISION『HOW TO MAKE FRIENDS AND INFLUENCE PEOPLE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

2018年1月17日 (水)

WANIMA『Everybody!!』(2018)

フルアルバムとしては前作『Are You Coming?』から2年2ヶ月ぶり、WANIMAにとってメジャーから初のオリジナルフルアルバム。

初の全国流通盤リリースとなった『Can Not Behaved!!』(2014年)からたった3年でアリーナ会場ワンマンライブやCM&ドラマタイアップ、紅白出場などを成し遂げ、気づけば国民的バンドの域に一歩近づいたWANIMA。この2年ぶりのフルアルバムは、そんな彼らの人気を決定づける最後の切り札といっていいでしょう。

わかりやすい言葉と表現を親しみやすいメロディと直情的なメロディックパンクで表現することは、ある時期から「ダサい」「カッコ悪い」という風潮があったし、今でも揶揄する層は一定数残っています。でも、それがなんだと言うの? ポジティブもネガティブもエロも下心も全部飲み込んで放たれるその歌詞は間違いなく“今、もっとも歌ってほしいこと”であり、そこには一切の嘘がない。10代のリスナーが彼らの音楽を素直に受け入れている事実は素直に嬉しいし、同時に本作を聴いて忘れそうになっていたあの頃をまた思い出せることにも感謝したいです。

本作を年始に発表したことで2018年のロックシーンが熱くなることを実感させてくれたWANIMAが、ここから何を見せてくれるのか楽しみでならない。ホント、サイコー!



▼WANIMA『Everybody!!』
(amazon:国内盤CD / MP3

THE YO-YO'S『UPPERS AND DOWNERS』(2000)

2000年夏にリリースされた、イギリスのポップパンクバンドTHE YO-YO'Sの1stアルバム。ダニー・マコーミック(Vo, G / 元THE WiLDHEATS)がTHE WiLDHEARTS解散後にトム・スペンサー(Vo, G / 元SUGARSNATCH、THE LURKERS)と結成したこのバンドは、BACKYARD BABIESなどとツアーを重ねながら自主制作EPを2枚発表。その結果、名門Sub Pop Rocordingsと契約することとなり、ワールドワイドデビューを飾ることとなりました。

当時の編成はダニー、トムに加えてニール・フィリップス(Vo, G / B-MOVIES HEROES)、ブラッズ(Dr / 元SUGARSNATCH)という“あの界隈”の面々。サウンド的にはTHE WiLDHEARTSのポップさやパンキッシュな部分をそのまま残しつつ、メタリックな要素を排除したもので、イギリスというよりもアメリカのバンドに近い作風と言えます。ちょうどGREEN DAYやTHE OFFSPRINGなどのポップパンク全盛後期だったこともあり、うまくその流れに乗れたのではないかという気もします。

プロデュースはBAD COMPANY『DANGEROUS AGE』(1988年)、『HOLY WATER』(1990年)、FOREIGNER『UNUSUAL HEAT』(1991年)などを手がけてきたテリー・トーマスが担当しています。THE YO-YO'Sのスタイルとはおよそ結びつかない人選ですが、テリー・トーマス自身がミュージシャンでもあり、BAD COMPANYの諸作品ではギタリストやキーボーディストとしても参加していることから、ミュージシャン視点でアルバム作りに加わったのではないでしょうか。

その成果もあってか、アルバム自体は本当によくできた、しっかり作り込まれた楽曲がずらりと並んでおり、インディーズから発表した「Rumble(d)」や「Out Of My Mind」といった楽曲も再録音で収録。オープニングの「1000 Miles From Me」なんてYARDBIRDSやAEROSMITHでおなじみの「Train Kept A Rolln'」を彷彿とさせるリフとパンキッシュな疾走感をあわせ持つサウンドですが、そこに乗るメロディやハーモニーはTHE BEACH BOYSばりに甘ったるいもの。シングルカットされた「Time Of Your Life」や「Sunshine Girl」なんて、これがヒットしなかったら何を売れというの?ってくらいの名曲ですしね。そういう意味では、ダニーがTHE WiLDHEATSで学んだ経験を、自身が中心となって発揮させた最良の形=アルバムではないでしょうか。

残念ながら、2001年にTHE WiLDHEATSが再結成されることになってTHE YO-YO'Sは自然消滅。その後、ダニーがTHE WiLDHEATSを離れたあとに不定期ながらもTHE YO-YO'Sはライブを行っていたようで、2005年にはダニー&トムに新メンバーを加えた編成でEP『GIVEN UP GIVING UP』をリリース。こちらは現在でも入手可能です。



▼THE YO-YO'S『UPPERS AND DOWNERS』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD / MP3

2018年1月16日 (火)

THE HAUNTED『THE HAUNTED』(1998)

スウェーデンのメロディックデスメタルバンド、AT THE GATESが1996年に解散したあと、元メンバーのアンダース・ビョーラー(G)、ヨナス・ビョーラー(B)、エイドリアン・アーランドソン(Dr)を中心に結成されたデスラッシュ(デスメタル+スラッシュメタル)バンドTHE HAUNTED。彼らが1998年初夏に発表したデビューアルバムが、本作『THE HAUNTED』。

デスラッシュというカテゴリーからもわかるように、本作で表現されているのは直線的なスラッシュメタルサウンドをデスメタル的解釈で表現したもの。ところどころでAT THE GATES時代の香りもするのですが、むしろあそこまでメロウな要素は薄く、SLYAERあたりの疾走ショートチューンに近い印象を受けます。

ボーカル(本作では初代シンガーのピータードルヴィングが担当)もデスメタルというよりもスラッシュメタルやハードコア的な歌唱法で、要所要所にメロディを感じさせる部分もある(とはいえ、メロディックデスメタルのそれとはまったく異なるもの)。そういった点もSLAYERに似てるのかな。

スラッシュメタルがオールドスクールとして捉えられ、メタルといえばヘヴィさとグルーヴ重視だった90年代後半にこういったスタイルのバンドが登場したことに当時驚かされたし、そこで展開されている内容も単なる焼き直しじゃなくてスラッシュ+デスという進化形だった。ああ、またメタルが新たな形で再編されていくんだなと感じさせられた1枚が本作でした。

とにかく1曲目「Hate Song」から、難しいことを考えずに頭を振れる(この曲、タイトルが最高じゃないですか)。アレンジもシンプルで、リズムチェンジなどの展開が変に加えられていない。もうバカみたいに突っ走るのみ。1曲1曲が2分台後半から4分台前半と、曲の長さからもその内容が想像できるというものです。

ちなみに本バンドのもうひとりのギタリスト、パトリック・ヤンセンはこのTHE HAUNTEDと同時期にWITCHERYというバンドも結成。こちらもTHE HAUNTEDに負けず劣らずのデスラッシュサウンドが展開されており、今日まで活動を続けております。WITCHERYに関しても後日、改めて紹介したいと思っているのでお楽しみに。

いやあ、こういうシンプルに楽しめるアルバムは頭をリセットするのに最適ですね。大音量で楽しみたい1枚です。



▼THE HAUNTED『THE HAUNTED』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD / iTunes

2018年1月15日 (月)

FEAR FACTORY『DEMANUFACTURE』(1995)

FEAR FACTORYが1995年初夏にリリースした通算2枚目のスタジオアルバム。当時のHR/HMシーンはPANTERAを起点とするグルーヴメタルと、KORNなどのブレイクにより勃発したラップメタルに二分され、旧来のスラッシュメタルや王道スタイルは“オールドスークル”、あるいは時代遅れとして見放されていた時期した。

そんな中、そのどこにも属さないFEAR FACTORYはインダストリアルミュージックなどの要素を取り入れ、正確無比なビートの上でスラッシーなギターリフが刻まれ、さらに暴力的でどこか冷たさを持つボーカルが乗るという新たなスタイルを確立。その回答が、本作『DEMANUFACTURE』で示されていることは間違いないでしょう。

レイモンド・ヘレーラ(Dr)が生み出す機械的なドラミングはどこか打ち込み的で、どこか冷たさを感じさせる。なのに、聴いていると気持ち良くなってくる。そこにディーノ・カザレス(G)のヘヴィなギターリフが乗ることでモダンメタルの色合いが増すのですが、効果的に用いられるデジタルサウンドやシンセの音色、インダストリアルノイズなどの装飾により同時期に活躍したどのバンドとも違うカラーを打ち出すことに成功。バートン・C・ベル(Vo)のボーカルもただデスボイスでがなるだけでなく、淡々とメロディを歌ったりもする。そのどこか非人間的で感情を排除した歌唱法が先の機械的なビート&正確に刻まれるギターリフと相まって、より機械的な要素が強まるわけです。

この『DEMANUFACTURE』はコンセプトアルバムであり、機械文明に対する人間の怒りや闘争が描かれています。曲間がつながった大作志向ではないものの、歌詞で綴られている世界観はすべてひとつのテーマに沿って表現されているので、ぜひ国内盤(現在廃盤状態ですが)の対訳などを目にしつつ聴いてもらえるといいんじゃないかと。

本作の基盤となるのは、先にも書いたような機械的でひんやりしたモダンメタルなのですが、それ以外にも個性的な楽曲が多く含まれています。例えば「New Breed」あたりはのちのTHE MAD CAPSULE MARKETSに通ずるものが感じられるし(この曲名をバンド名にそのまま用いた国内バンドもいますし)、「Dog Day Sunrise」(80年代に活動したイギリスのメタルバンド、HEAD OF DAVIDのカバー)や「A Therapy For Pain」あたりからはゴシックメタルの香りもする。かと思えば「Body Hammer」のビートはエフェクトがかけられてマシンビートみたいで、MINISTRYとの共通点も見受けられる。いやいや、本当に面白い。

これが20数年前のアルバムなんだと考えると、いかに彼らが挑戦してきたサウンドが時代を先取りしたものだったかが伺えるのではないでしょうか。とにかく、今聴いても十分にカッコいいし、大きなブームは作れなかったかもしれないけど、いろんな形でフォロワーを生み出したという意味では、本作は90年代のメタルシーンを語る上で絶対に外せない1枚だと思います。



▼FEAR FACTORY『DEMANUFACTURE』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD / MP3

2018年1月14日 (日)

SOULFLY『SOULFLY』(1998)

1998年春にリリースされた、マックス・カヴァレラ(元SEPULTURA)による新バンドSOULFLYのデビューアルバム。SEPULTURAを実質追い出されたマックスは、そのSEPULTURAの直近作『ROOTS』(1996年)で試みたトライバルなヘヴィロックをさらに進化させた音楽をこのバンドで表現。つまり、傑作と言われる『ROOTS』の直系の続編と呼べる内容が本作ということができるわけです。

プロデュースは『ROOTS』と同じくロス・ロビンソンが担当。この頃にはKORNでひと山当て、さらにLIMP BIZKITのデビュー作なども当てて知名度を高めたあと。そのロス・ロビンソンとマックス本人の人脈もあり、本作にはFEAR FACTORYのバートン・C・ベル&ディノ・カザレス、LIMP BIZKITのフレッド・ダースト&DJリーサル、DEFTONESのチノ・モレノ、SKINDREDのベンジー・ウェッブなどヘヴィ/ラウドロックシーンの著名アーティストたちがゲスト参加しています。

オープニングの「Eye For And Eye」のアグレッシヴさに、本作は『ROOTS』以上に激しいアルバムになるんじゃないか?とワクワクすることでしょう。「Tribe」「Bumba」のようなトライバルなビートを用いた楽曲もあれば、「First Commandment」のようにダンサブルな楽曲もある。そしてバンド名を冠した「Soulfly」では民族音楽に接近したインストゥルメンタルナンバーを楽しめる。確実に『ROOTS』の延長線上にあるのですが、そことは違う香りもする。

例えば『ROOTS』がヘヴィさという点に重きを置いたとするならば、この『SOULFLY』はもうちょっと軽やかさが重視されているように感じます。それはテンポ的なこともそうだし、リズムの取り方ひとつにしても『ROOTS』にはないものを感じる。もちろんマックス以外のメンバーが違うんだから、そのへんが変わってくるのは当たり前の話なのですが、ここからまた新しい何かが始まる。そういう変化の兆しを強く実感させる序章的作品集なのかもしれません。

事実、本作を起点にSOULFLYはさらなる変化を遂げていきますし、気づけばSEPULTURAとは異なる道を進み始めていた。一方のSEPULTURAも新たなシンガーを得たことで以前とは異なる道を歩み始める。良い意味で、誰ひとりとして『ROOTS』を引き継ごうとしていない。つまり視点を変えると、マックスにとって本作は『ROOTS』を引きずりつつも決別しようとしている、そんな転換期の1枚とも受け取ることができるわけです。

『ROOTS』が出来すぎたアルバムだっただけに、そこからどう進化させていくか。その問いかけとひとつの回答が、このアルバムの中に示されているのではないでしょうか。リリースから20年経った今、このアルバムを聴くと改めてそんなことを考えてしまいます。



▼SOULFLY『SOULFLY』
(amazon:国内盤CD / 国内盤CD / MP3

2018年1月13日 (土)

THIN LIZZY『LIVE AND DANGEROUS』(1978)

1978年初夏にリリースされた、THIN LIZZY初のライブアルバム。本作は1976年のロンドン公演、および1977年のフィラデルフィア&トロントでのライブから抜粋された音源(一部、1978年にパリのスタジオで録り直されたものも収録)が、アナログ盤では2枚組として、CDになってからは1枚にまとめられリリースされております。

時期的には名盤『JAILBREAK』(1976年)から『JONNY THE FOX』(1976年)、『BAD REPUTATION』(1977年)といったアルバムが連発された期間のライブ録音であり、バンドとしては非常に脂の乗ったタイミングだったことは間違いありません。もちろん、だからこそ音源として残しておこうという思いも少なからずあったはずですから。特にイギリスでは当時の最新スタジオ作『BAD REPUTATION』が全英4位という過去最高位を記録したあとだけに、ここで過去の楽曲をひとまとめしたカタログ的1枚を作っておこうという思いもあったことでしょう。しかも、録音時期や状態が異なる楽曲の数々を勢いに乗ったバンドのライブ演奏で表現することで、このバンドの魅力が最大限に伝わるはずですしね。

だって、冒頭からいきなり「Jailbreak」「Emerald」の2連発ですよ。ライブのオープニングにふさわしいワイルドな「Jailbreak」から、このバンドの本質的部分が端的に表れた「Emerald」へとつなぐ流れは圧巻ですし、そこからポップで心地よい「Southbound」、ライブバンドTHIN LIZZYの魅力が遺憾なく発揮された「Rosalie (Cowgirl's Song)」、レゲエビートを導入したダンサブルな「Dancing in the Moonlight (It's Caught Me in Its Spotlight)」と、本当に序盤5曲の流れは完璧。さらにそこから、中盤には名バラード「Still In Love With You」があったり、以降もドラマチックな「Cowboy Song」、さまざまなアーティストにカバーされてきた代表曲「The Boys Are Back In Town」、グルーヴィーな「Don't Believe A Word」など名曲が目白押しなわけですよ。

さらに、終盤にはアッパーな「Are You Ready」、軽快なブギー「Suicide」、コール&レスポンスが気持ちいい「Baby Drives Me Crazy」、ストレートなロックチューン「The Rocker」と続いて終了。ちなみに「Baby Drives Me Crazy」で登場するハーモニカは、かのヒューイ・ルイスが吹いていることで有名だったりします(HUEY LEWIS & THE NEWS結成前のヒューイが参加したCLOVERが当時THIN LIZZYのオープニングアクトを務めていたため実現)。

すでに『BAD REPUTATION』では3曲しかレコーディングに参加していなかったブライアン・ロバートソン(G)にとって、最後の参加作品となってしまった本作。そのサウンドからも当時のバンド内の緊張感が伝わってくるような気もしますし、だからこそ生み出すことができたバンドマジックも存在している、真の意味での絶頂期の1枚と言えるでしょう。もしTHIN LIZZYのアルバムをどれから聴いていいか迷ったら、まずは本作を手にすることをオススメします。



▼THIN LIZZY『LIVE AND DANGEROUS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

2018年1月12日 (金)

MOTÖRHEAD『ACE OF SPADES』(1980)

“ファスト”・エディ・クラークが亡くなりました。「へっ、誰?」という人もいるかもしれないけど、僕にとってはレミー・キルミスター(Vo, B / 2015年12月没)、フィルシー・“アニマル”・テイラー(Dr / 2015年11月没)、そして“ファスト”・エディ・クラーク(G)という黄金トリオは決して観ることができなかった布陣ということもあって、かなり憧れの強いラインナップでもあります。

MOTÖRHEADに対する思いは過去のテキストでも散々書いているので、ここでは割愛。今晩は急遽、このアルバムを爆音で聴きながら本作の魅力について触れてみたいと思います。

『ACE OF SPADES』はMOTÖRHEADが1980年晩秋にリリースした、通算4作目のスタジオアルバム。前年に発表した2枚のアルバム『OVERKILL』『BOMBER』がそれぞれ全英24位、12位と好記録を伸ばし続けるなか発表された、決定打的1枚が本作『ACE OF SPADES』であり、実際このアルバムは最高4位まで上昇するヒット作となりました。また、同作からのシングル「Ace Of Spades」も最高15位を記録し、バンドは名実ともに人気者の仲間入りを果たしました。

このアルバム、何が良いって、まずはそのジャケットでしょう。それまでのMOTÖRHEADのアートワークは牙をむいた豚(=War Pig)のキャラクターがデザインされていましたが、本作ではメンバー3人が砂漠だか岩場だかで佇む姿が収められています。もうね、これだけで最高じゃないですか? 革ジャンにタイトなパンツ、ハット、そしてガンベルト。この姿を目にしただけで、どんな音かが伝わってくる。

で、実際に1曲目さから再生すると、あのゴリゴリに歪みまくったベースリフ……名曲「Ace Of Spades」からスタートするわけですよ。最高ったらありゃしない。その後も速い曲、ミドルテンポのブギー、渋いロックが目白押し。メタリックだけどヘヴィメタルではなく、ハードロックかと言われるとそういうわけでもない、そしてパンキッシュなのにパンクとも違う。このMOTÖRHEAD以外の何者でもない証明がこの12曲でなされているわけですよ。

1980年というとパンクムーブメントも終わり、本国イギリスではニューウェイブが流行りだしたと同時に、それまで死にかかっていたヘヴィメタルが新たな波に乗って再編され始めた頃。New Wave Of British Heavy Metal(NWOBHM)と呼ばれるムーブメントが勃発したタイミングですね。その時期に発表された『ACE OF SPADES』やMOTÖRHEADというバンドに対して「NWOBHMのオリジネーター」なんて声が多いのは、そういったいろんなタイミングが合致したのも大きいんでしょうね。

とにかく頭を無にして、ただひたすら大音量で楽しみたいアルバム。どのアルバムも最高だけど、今晩だけは「Ace Of Spades」から「The Hammer」までを通して聴いて、3人の鬼気迫るプレイに浸りたいと思います。



▼MOTÖRHEAD『ACE OF SPADES』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤2CD / MP3

RAINBOW『DEFFICULT TO CURE』(1981)

リッチー・ブラックモア率いるRAINBOWが1981年初頭にリリースした、通算5枚目のスタジオアルバム。前作『DOWN TO EARTH』(1979年)から参加したグラハム・ボネット(Vo)、そして初期から屋台骨としてバンドを支えてきたコージー・パウエル(Dr)が脱退し、新たにジョー・リン・ターナー(Vo)、ボブ・ロンディネリ(Dr)を迎え、リッチー、ロジャー・グローヴァー(B)、ドン・エイリー(Key)という布陣で制作。全英3位、全米50位を記録したほか、シングル「I Surrender」は全英3位という好成績を残しました。

『DOWN TO EARTH』で「Since You Been Gone」「All Night Long」といった、今までになかったポップでコンパクトなシングル志向の楽曲が加わったことにより、プレイヤー至上主義的な初期のスタイルが少しずつ後退。そこにジョーというポピュラリティの強いシンガーを得たことで、前作のスタンスがさらに強まったのがこの『DEFFICULT TO CURE』というアルバムになります。

確かに「Spotlight Kid」やインストの2曲「Vielleicht Das Nächste Mal (Maybe Next Time)」「Difficult to Cure (Beethoven's Ninth)」には初期のスタンスが見え隠れしますが、歌モノである「Spotlight Kid」のメロディは以前のRAINBOWと比較すれば、やはりポップで親しみやすさが増していると言わざるをえません。そこを良しとするか否かで、本作に対する評価は変わってくるのかなと思います。

アルバム冒頭を飾る「I Surrender」はそれ以前のRAINBOWと比較したら完全に別モノですし(まあ曲自体が「Since You Been Gone」同様、ラス・バラッド作品ですからね)、「Magic」「Freedom Fighter」も産業ロック的な香りがするし、「Can't Happen Here」なんて軽すぎますからね。でも、以降の2作(1982年の『STRAIGHT BETWEEN THE EYES』、1983年の『BENT OUT OF SHAPE』)と比較すれば、本作でやっていたことなんてまだまだ序の口。今となっては中途半端だったと言わざるをえません。

そういう意味では、後期RAINBOWの完成形となる『BENT OUT OF SHAPE』への習作であり、さらにDEEP PURPLE 『PERFECT STRANGERS』(1984年)以降に続くリッチーのスタイルへの橋渡し的作品だったのかもしれませんね。

個人的にはRAINBOWの作品はどれも好きですが、一番好きな作品として挙げる機会がまずない本作は不思議と忘れた頃に聴きたくなるんですよね。最近も昨年末から年明けにかけて、何度も聴き返した1枚だったりします。



▼RAINBOW『DEFFICULT TO CURE』
(amazon:国内盤CD / 国内盤紙ジャケCD / 海外盤CD / MP3

2018年1月11日 (木)

DEEP PURPLE『PERFECT STRANGERS』(1984)

1984年秋に発表された、DEEP PURPLE通算11枚目のスタジオアルバム。当時のメンバーはイアン・ギラン(Vo)、リッチー・ブラックモア(G)、ロジャー・グローヴァー(B)、イアン・ペイス(Dr)、ジョン・ロード(Key)という第5期編成(70年代の第2期と同じ)で、同編成としては『WHO DO WE THINK WE ARE』(1973年)以来11年ぶり、バンドとしても『COME TASTE THE BAND』(1975年)以来9年ぶりの新作となります。

当時RAINBOWでアメリカでも成功を収めていたリッチーが、元パープルの関係者から再結成を持ちかけられ、1984年4月には再結成が正式決定。あれだけ不仲だったリッチーとイアンが再びうまくやれるのか誰もが不安視しましたが、「Perfect Strangers」のMVで握手する姿が見られるように(あれは撮影用のポーズでしょうけどね。笑)2人は和解を果たし、その末に本作が完成したわけです。

作風的には「Mean Streak」のように70年代初頭の第2期時代を思わせる楽曲も含みつつ、全体的にはリッチーが後期RAINBOWで培ったポップなスタイルがそのまま踏襲されています。アルバム冒頭を飾るリード曲「Knocking At Your Back Door」やエルガー「威風堂々」が引用された「Under The Gun」、後期RAINBOWにありがちなアップテンポの「A Gypsy's Kiss」、タイトルトラック「Perfect Strangers」あたりは、RAINBOWの作風を受け継ぎつつも、パープルらしいリードプレイ(久しぶりにギターを自由に弾きまくっていたり)が大々的に含まれており、「本当にあのパープルが戻ってきたんだ」と実感させられます。

ただ、ボーカルがジョー・リン・ターナーでないため(当たり前ですが)、センスがイマイチといいますか。楽器隊のプレイやアレンジは文句なしなんですが、イアンの歌がなんとも頼りなくて。「Knocking At Your Back Door」も「Perfect Strangers」も「A Gypsy's Kiss」、グラハム・ボネットやジョー・リン・ターナーが歌メロを考えて歌っていれば、もっと違ったものになったはずなのに(それも当たり前の話ですが)。ここに関してはもう、好みの問題なんでしょうね。

とはいえ、そういったマイナス要素を含みつつも本作は非常にクオリティの高い1枚だと言いきれます。もうね、続く『THE HOUSE OF BLUE LIGHT』(1987年)と比較したら……おっと、その話題はまた別の機会に。

ちなみに上記の「ジョー・リン・ターナーが歌メロを考えて歌っていれば」に関しては、ここから6年後に『SLAVES AND MASTERS』(1990年)で現実のものとなり、よりRAINBOWへの回帰が進むことなるなんて、当時は考えもしませんでした。

なお、僕が初めて聴いたパープルのアルバムは本作でした。ちょうどリアルタムで体験できたわけですが、当時はそこまでのめり込むことはありませんでした(苦笑)。中学生にはオッさん臭すぎたんですよ……。



▼DEEP PURPLE『PERFECT STRANGERS』
(amazon:国内盤CD / 国内盤紙ジャケCD / 海外盤CD / MP3

2018年1月10日 (水)

DAVID BOWIE『BLACK TIE WHITE NOISE』(1993)

今から25年前の1993年春にリリースされた、デヴィッド・ボウイ通算18枚目のスタジオアルバム。80年代末から自身がフロントマンを務める4人組バンドTIN MACHINEでの活動を中心に、1990年にはソロ曲を封印するために大々的なソロライブをここ日本でも東京ドームで実施しましたが、結局TIN MACHINEの2枚目『TIN MACHINE II』(1991年)が大コケしたことで、ボウイは再びソロに戻らざるをえない状況に追いつめられるのでした。

とはいえ、当時のボウイは私生活では1992年にイマンと結婚して順風満帆。商業的に失敗作と捉えられてしまったTIN MACHINEから再びソロに戻れたのも、こうした好状況が後押ししたのかもしれませんね。

アルバムは『LET'S DANCE』(1983年)を手がけたナイル・ロジャースが再びプロデュースを担当。レコーディングにはかつてSPIDERS FROM THE MARSでの盟友ミック・ロンソン(G)がゲスト参加し、CREAM「I Feel Free」やモリッシー「I Know It's Gonna Happn Someday」、THE WALKER BROTHERS「Nite Flights」のカバーを収録など、話題に事欠かない1枚となっています。

実際、本作は56分という長尺ながらも非常にノリが良く、コンパクトで聴きやすい印象なんです。80年代中盤から後半のボウイ的なノリも残しつつ、それが悪い方向に進むことなく90年代前半当時の音楽シーンと見事にシンクロしている。そして、ブラックミュージックのテイストとジャズのフィーリングが至るところに散りばめられており、それによって全体がボウイらしい大人のサウンドへと昇華されている。このバランス感はぶっちゃけ、『LET'S DANCE』以降でもっとも優れているのではないでしょうか。

アルバム中随所に登場するインストナンバーも実験的な要素よりも、モダンなテイストのほうが強く、しっかり時代に寄り添っている。かといって、それが売れ線にどっぷり浸かったものでもない。このさじ加減が絶妙なのが、本作の魅力だと思います。だからこそ、本作は『TONIGHT』(1984年)以来となる全英1位を獲得できたんでしょうね。

この好調ぶりが、『OUTSIDE』(1995年)以降の諸作品へと続いていくと考えると、ボウイに再びメジャーのど真ん中で好き放題やることの楽しさを思い出させてくれた重要作品と受け取ることもできます。実際、僕は90年代のボウイ作品の中では本作と『HOURS...』(1999年)がめちゃめちゃ好きなんですよ。まったくタイプは異なるんですけど、ボウイ“らしさ”という意味では実験的な『OUTSIDE』や『EARTHLING』(1997年)よりも“らしい”内容ですものね。



▼DAVID BOWIE『BLACK TIE WHITE NOISE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

続きを読む "DAVID BOWIE『BLACK TIE WHITE NOISE』(1993)" »

2018年1月 9日 (火)

BERNARD BUTLER『PEOPLE MOVE ON』(1998)

SUEDEのギタリスト、バーナード・バトラーが1998年春にリリースした初のソロアルバム。本作ではギター、ソングライティグのみならずボーカルやプロデュースも手がけており、マルチアーティストぶりが存分に発揮された力作に仕上がっています。

SUEDEで2枚のアルバム(1993年の『SUEDE』、1994年の『DOG MAN STAR』)に携わったあと、1995年にMcALMONT AND BUTLER名義でも活動を行うものの、シングル2枚を発表したあとに分裂(解散後にアルバム発売)。しばらく音沙汰がなかったものの、1998年に入ると1月にシングル「Stay」(全英12位)、3月に「Not Alone」(全英27位)を連続リリースし、4月にこのアルバムを発表。アルバムは全英11位とまずまずの成果を残しました。

楽曲的はSUEDEなどで聴けたエモーショナルさが凝縮されたものが多く、ギタープレイは“あの”バーナード・バトラーそのもの。時に泣きまくり、時にのたうち回る。けど、楽曲のトーンが全体的に抑えめであることから、派手に暴れることはなく、あくまでこの世界観の中でできる最大限の派手なプレイを聴かせてくれます。中でも9分近い「Autograph」は圧巻の一言。緩急を効かせたアレンジの上で、ボリュームを巧みにコントロールしたギタープレイを聴かせるバーニー、最高です。

一方のボーカルですが、これが意外と悪くない。抑揚を抑えることで無駄にエモくなりすぎず、落ち着いて楽しむことができる。むしろ、ギターが泣きまくっているので、歌まで感情的になることがない……そこでバランスを取っているんでしょうかね。

とにかく、曲が良い。先行シングル「Stay」「Not Alone」がともに名曲すぎるのです。ストリングスを効果的に取り入れた「Not Alone」なんて、時代を超えたスタンダードナンバーとして愛されるべき1曲だと思いますし、歌メロのみならずスライドギターも泣きまくりな「A Change Of Heart」(本作からの第3弾シングル)も良いし。この人、本当にすごいソングライターですね。

ということで、本作はいわゆるギタリストのソロアルバムとしてではなく、ギターのうまいブリットポップ寄りシンガーソングライターの作品として楽しんでもらいたい1枚です。

ちなみに彼のソロステージは1999年夏のフジロックと、翌2000年2月の単独公演を観ているのですが、どちらも素晴らしかった記憶が残っています。また、1999年秋にリリースした2ndソロアルバム『FRIENDS AND LOVERS』も本作に負けず劣らずの内容。こちらも機会があったらチェックしてみてください。



▼BERNARD BUTLER『PEOPLE MOVE ON』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

2018年1月 8日 (月)

祝ご成人(1997年4月〜1998年3月発売の洋楽アルバム20枚)

新成人の皆さん、おめでとうございます。2014年度に初めて執筆したこの“洋楽版成人アルバム”企画、今回で4回目を迎えます。この1月に成人式を迎えたの皆さんが生まれた年(学年的に1997年4月〜1998年3月の期間)にリリースされた洋楽アルバムの中から、個人的思い入れがある作品のうちSpotifyやAppleMusicで試聴可能な作品を20枚ピックアップしました。どれも名盤ばかりなので、もし聴いたことがないという作品がありましたら、この機会にチェックしてみてはどうでしょう。

作品の並びはすべてアルファベット順です。(2014年度の新成人編はこちら、2015年度の新成人編はこちら、2016年度の新成人編はこちらです)


Björk『HOMOGENIC』(Amazon

THE CHEMICAL BROTHERS『DIG YOUR OWN HOLE』(Amazon

CORNERSHOP『WHEN I WAS BORN FOR THE 7TH TIME』(Amazon

DEFTONES『AROUND THE FUR』(Amazon

EMPEROR『ANTHEMS TO THE WELKIN AT DUSK』(Amazon)(レビュー

続きを読む "祝ご成人(1997年4月〜1998年3月発売の洋楽アルバム20枚)" »

THE BEATLES『THE BEATLES (THE WHITE ALBUM)』(1968)

1968年11月に発表された、THE BEATLES通算10作目のオリジナルアルバム(のちに公式作品化された『MAGICAL MYSTERY TOUR』を除くと9枚目)。彼らにとって初の2枚組作品で、全30曲が93分にわたり収録されています。また、ジョン・レノンポール・マッカートニーの楽曲のみならず、ジョージ・ハリスンが4曲、リンゴ・スターも1曲書き下ろしており、特にレノン&マッカートニーとハリスンノ個性が色濃く表れた意欲作、いや、異色作に仕上がっています。

「ホワイト・アルバム」の愛称で知られる本作は、オリジナルアルバムでいうと前作『SGT. PEPPER'S LONELY HEARTS CLUB BAND』の次の作品ということで、タイミング的にはライブ活動を停止してスタジオワークに没頭していた時期。前作はロックバンドのフォーマットにこだわらない、サイケデリック感を強調したポップアルバムでしたが、今作ではロックバンド感が復活。冒頭の「Back In The U.S.S.R.」や「Birthday」はライブを想定したかのようなドライブ感を味わえます。かと思えば、「Happiness Is A Warm Gun」みたいに1曲の中に複数の楽曲が存在するかのようなアレンジのロックチューンがあったり、「Helter Skelter」のようなハードロックまで存在する。もう、本当にやりたい放題。才能の爆発ってこういうことを言うんでしょうかね。


(本作収録の「Revolution 1」とはバージョンが異なりますが、同時期の作品ということで)

もちろん、ポップな楽曲も健在で、ポールによる「Ob-La-Di,Ob-La-Da」「Blackbird」、ジョンによる「Julia」みたいな楽曲もある。かと思うと、完全なるコラージュナンバー「Revolution 9」があったりで、もう支離滅裂。アルバムとしての構成がどこまで生かされているのか、怪しいったらありゃしない。

そんな中で、個性を一気に開花させているのがジョージ。エリック・クラプトンをリードギターに迎えた「While My Guitar Gently Weeps」や美しいアコースティック感とサイケデリックさが混在する「Long, Long, Long」など、オリジナリティあふれる楽曲を多数用意し、レノン&マッカートニーの暴走に追いつこうとしています。

いわゆるシングルヒットナンバーは皆無だし(国によっては「Ob-La-Di,Ob-La-Da」と「While My Guitar Gently Weeps」が両A面でシングルカットされたようですが)、全部を理解しようとすると頭が混乱するけど、実は過去50〜60年のロック史/ポップミュージック史のすべてがここに凝縮されているんじゃないか、ここに青写真が存在するんじゃないかと思うわけで。誰も彼もが好き放題すればこれができるってわけではないし、もちろん狙って作れるものでもない。あの時代に、あの4人の個性が爆発したからこそ奇跡的に生まれた。そんないびつな作品集なんじゃないでしょうか。



▼THE BEATLES『THE BEATLES』
(amazon:国内盤2CD / 海外盤2CD / MP3

2018年1月 7日 (日)

DEF LEPPARD『SONGS FROM THE SPARKLE LOUNGE』(2008)

2008年春にリリースされた、DEF LEPPARD通算9枚目のオリジナルアルバム(カバーアルバム『YEAH!』を含めると10枚目のスタジオ作)。『YEAH!』から2年ぶりと短期間で発表された印象がありますが、オリジナル作品となると『X』(2002年)から6年ぶりと、80年代半ばから続いた3〜4年間隔を大幅に塗り替える長期ブランクなんですよね。もっとも、『X』での迷走ぶりを考えればこれだけのブランクが必要だったのかもしれませんが。

『YEAH!』で自身のルーツを振り返ったバンドは、この新作で非常にシンプルな視点に立ち返ります。それはつまり、「DEF LEPPARDらしさ」を踏まえつつも「ブリティッシュロックとは何か? 自分たちは何が好きでロックバンドを始めたのか?」という原点だったわけです。そうした結果、『HYSTERIA』(1987年)的な人工感や作り込みとは真逆の、オーガニックでシンプルな作風へと回帰したのです。

実際、本作に収録されている楽曲はすべて3〜4分台。長くても4:17ですし、全11曲でトータル39分というのも彼らの全キャリアで最短。そもそも、曲名からして「Go」とか「Love」とか「Tomorrow」とかシンプルなものばかり。時代的にもそういったサウンドに回帰しつつあったタイミングだったのかな、今振り返ってみると。

楽曲自体は、『YEAH!』の流れで聴くと非常に合点のいく作風。いわゆるHR/HMというよりは、70年代のブリティッシュロックを軸にしながら彼ららしいフレーバーを振りまいたブリティッシュ“ハード”ロック。カントリーシンガーのティム・マッグロウをフィーチャーしたロックンロール「Nine Lives」みたいなアメリカンなものもありますが、基本的には「Love」で示した方向性が本当にやりたいことなのかなと。もちろん、「Go」にしろ「Nine Lives」にしろ「C'mon C'mon」にしろ、従来の彼ららしさがにじみ出た楽曲もありますが、それらですらよりシンプルにすることで以前とは違うカラーを持ち始めているし。そういう意味では、『SLANG』(1996年)から装飾を剥ぎ取った姿と言えなくもないかも。

「Bad Actress」のようなファストナンバーでさえ、ハードロックというよりはグラムポップ的なカラーが強まっているし、比較的モダンな「Gotta Let It Go」もこのアルバムに入ると不思議と70年代的な香りが感じられる。また、彼ら特有のパワーバラードが皆無で、バラードらしいバラードが先の「Love」程度というのも本作の特徴といえるでしょう。DEF LEPPARDがロックバンドとして起死回生を目指した結果、こういう作品にたどり着いたという事実はすでに面白いですし、出来上がったアルバムのユニークさもまた面白い。そして本作が久しぶりに全米TOP10入り(5位)を果たしたという事実も、実に興味深い。

ただ、残念ながら彼らはこのアルバムを最後にメジャーレーベルから離脱。以降は自分たちのレーベルからリリースを続けています。結果、さまざまな権利関係で彼らの諸作品がデジタル配信されていないという事実を考えると、非常に残念でなりません。本作こそ、もっと多くの人に聴かれて再評価されるべき1枚なのに……。

P.S.
1月19日からDEF LEPPARDのカタログ一式のデジタル配信およびストリーイング配信がスタート。これにより、名盤の数々を手軽に楽しめるようになりました。メンバーも喜んでいるようで、本当によかった。



▼DEF LEPPARD『SONGS FROM THE SPARKLE LOUNGE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

2018年1月 6日 (土)

THE ROLLING STONES『SOME GIRLS』(1978)

1978年初夏にリリースされた、THE ROLLING STONE通算14枚目(UK / USでは16枚目)のスタジオアルバム。前作『BLACK AND BLUE』(1976年)から2年ぶり、ロニー・ウッド(G)が前面参加した初のスタジオ作となります。本作はアルバムとしても全米1位を獲得しただけでなく、シングル「Miss You」も全米1位を記録。さらに「Beast Of Burden」が全米8位、「Shattered」が全米31位とヒット曲を連発しました。

本作はどうしても「Miss You」で取り入れたディスコビートに目が行きがちですが、「When The Whip Comes Down」や「Lies」「Respectable」「Sattered」のような疾走感の強いパンクチューンが多く含まれていることが前作との大きな違い。ミック・ジャガーが時代を意識した結果、ディスコとパンクという当時の流行を取り入れたことは間違いないでしょう。もちろん単なるフォロワーで終わっておらず、しっかりストーンズらしく仕上げられているのですからさすがです。

また、「Just My Imagination (Running Away With Me)」のようなカバー曲もあれば、ソウルとブルースの中間的な「Some Girls」、ソウルバラード「Far Away Eys」「Beast Of Burden」、キース・リチャーズがリードボーカルと務める「Before They Make Me Run」もあり、従来のファンも納得のナンバーも多い。そのへんのバランス感が優れているのも、本作の特徴かもしれません(悪くいえば、新しいことにも手を出すけど、過去の路線も捨てきれない優柔不断さが出てしまったとも)。

個人的には、「Lies」のもろパンクな“勢い一発”感に一番驚かされました。こんなむき出し感、この後にはほとんど出てきませんからね。まあ、THE CLASHに時代遅れ的に言われちゃ黙っていられなかったんでしょうね。ただ、そこでもしっかりストーンズのフォーマットに沿っているあたりに、彼らのこだわり……「なんだかんだで、やっぱりこれしかできねえ!」的潔さを感じずにはいられません。まさに「It's Only Rock 'n Roll (But I Like It)」といったところでしょうか。

そういえば、このアルバムの前後というのはキースがドラッグ問題で逮捕されたりリハビリしたりと、ある意味では大変だった時期。「Before They Make Me Run」もドラッグについて歌った曲ですしね。

また、本作は準メンバーのイアン・スチュワート(Piano)が未参加(レコーディングには参加したものの、彼が参加した楽曲は使われず)という珍しい1枚。ピアノはキースやイアン・マクレガンが弾いているのですが、それもほんの数曲で、どちらかというとギター色の強い作風なんですね。そいったところにも、このバンドのパンク精神が表れているのかもしれません。



▼THE ROLLING STONES『SOME GIRLS』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / 海外盤2CD / MP3

2018年1月 5日 (金)

VAN HALEN『VAN HALEN』(1978)

このアルバムがもう40年前の作品だという事実にも驚かされるし、自分が聴くようになってすでに30年以上経過しているという事実にもびっくりしてしまいます。そんな、死ぬほど聴きまくった1枚であり、自分のギター感というものをひっくり返してくれた重要なアルバム。それがVAN HALENのデビューアルバムです。

もはや説明など必要ないですよね。エディ・ヴァン・ヘイレン(G)という歴史的ギタリストを世に送り出しただけでなく、デイヴ・リー・ロス(Vo)という稀代のエンターティナーを生んだ、ロック史に残すべき1枚。イギリスではパンクロック全盛でHR/HMは死んだと思われていた中、アメリカから突如現れた新たな形のハードロックバンド、それがVAN HALENでした。

THE KINKSの代表曲「You Really Got Me」をワイルドな演奏でカバーしたバージョンでおなじみの本作。オープニングを飾るヘヴィな「Runnin' With The Devil」、日本人好みのキャッチーさを持つ「Ain't Talkin' 'bout Love」といったオールタイムで演奏されてきたおなじみの楽曲が多数含まれています。また、ギターファンには「Eruption」というハードロックギターのお手本的インストが収録されていることでも知られているんじゃないでしょうか。

もちろん本作はそれだけではなく、アッパーなブギー「I'm The One」やパンク全盛期のこのタイトルか!というストレートなハードロック「Atomic Punk」、ポップさを前面に打ち出した「Jamie's Cryin'」、豪快なアメリカンロック「Feel Your Love Tonight」、ソウルフルな印象の「Little Dreamer」、デイヴのエンターティナーぶりがもっとも発揮された「Ice Cream Man」、ラストを飾るにふさわしいハードロックナンバー「On Fire」と本当に捨て曲なし。ギタープレイひとつ取っても、至るところに派手さなプレイが落とし込まれているし、それを支えるマイケル・アンソニー(B)&アレックス・ヴァン・ヘイレン(Dr)のリズム隊が生み出すグルーヴ感も聴き応え満点。特にバンド経験者や楽器を嗜む人には基礎中の基礎がたくさん詰まった、勉強になる点が多い1枚だと思います。

最近はリマスター盤もリリースされ、音がかなりクリア&迫力あるものに生まれ変わっていますが、もし機会があったらアナログ盤でも聴いてみてください。現行のリマスター盤とはいひと味違った迫力を味わえるはずですから。



▼VAN HALEN『VAN HALEN』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

2018年1月 4日 (木)

REFUSED『THE SHAPE OF PUNK TO COME: A CHIMERICAL BOMBINATION IN 12 BURSTS』(1998)

1998年秋にリリースされた、REFUSEDの3rdアルバムにして(当時の)ラストアルバム。「来るべきパンクの形」、つまり「パンクの未来」という強烈なタイトルに負けないぐらい、その内容もインパクトの強いもので、リリースから20年経った今聴いてもまったく色褪せていない世紀の傑作だと思います。

いわゆるポストハードコアバンドとしてスタートしたREFUSEDですが、作品を重ねるごとに進化を続け、本作ではジャズやエレクトロの要素を随所に取り入れています。また、アルバムの曲間にはラジオ風のSEを挟むことにより、妙なリアリティを感じさせる。パンクやハードコアをある種アートの域にまで昇華させてしまったという意味においては、これを最後に解散を選んだといのも頷ける話です(もちろん、それも結果論でしかないですが)。

オープニングナンバー「Worms Of The Senses / Faculties Of The Skull」で見せる緊張感、そこから続く「Liberation Frequency」での緩急の効いたアレンジ。これがハードコアなのかと問われれば正直答えに困ってしまいますが、その後のこのジャンルの枝分かれを考えると、本作は大きな分岐点だったのかもしれません。

かと思えば、テンションの高い演奏を聴かせる「The Deadly Rhythm」、エモっぽい「Summerholidays Vs. Punkroutine」、エレクトロ+ジャジーなインスト「Bruitist Pome #5」から名曲「New Noise」へと続く流れ……本当、どれひとつ取っても同じものが存在しない。そこから再び血気盛んな「The Refused Party Program」「Protest Song '68」へと続くのですが、曲間にあるSEのおかげで冷静さだけは保っていられる。本当に不思議な感覚を味わせてくれます。

しかも、終盤を飾る8分超の大作「Tannhäuser / Derivè」ではバイオリンまでフィーチャー。ラストの「The Apollo Programme Was a Hoax」なんて完全なるアコースティックナンバーで、もはやハードコアでもなんでもないですからね。この流れでラストナンバーにたどり着くと、本当にすごいところにまで到達してしまったんだなと感慨深さすら感じます。

2018年の耳で聴くと、こういったミクスチャー感は特に新しいものでもないし、普通に楽しめてしまうわけで。改めてこの20年の流れを考えると、そこにも感慨深さを覚えます。

なお、本作は2010年にライブCD+ドキュメンタリーDVD付きの3枚組仕様で再発されていますので、購入の際にはぜひこちらをオススメします。ライブアルバムは解散前の1998年4月のライブ。とにかく生々しくて最高。すでに本作からの楽曲も多数披露されているので、まさに90年代のベスト選曲。そして、ドキュメンタリーは日本語字幕なしですが(英語字幕あり)、バンドが解散に至った経緯を知ることができます。これを観た時点では再結成なんて想像できなかったんですけどね……。世の中、何か起きても不思議じゃないんだなと。



▼REFUSED『TTHE SHAPE OF PUNK TO COME: A CHIMERICAL BOMBINATION IN 12 BURSTS』
(amazon:海外盤2CD+DVD / MP3

2018年1月 3日 (水)

AEROSMITH『A LITTLE SOUTH OF SANITY』(1998)

1988年秋に古巣Geffen Recordsからリリースされた、AEROSMITHの2枚組ライブアルバム。当時はすでにColumbia / Sonyに移籍しており、前年1997年にスタジオアルバム『NINE LIVES』を発表したばかり。そんなタイミングのライブ作品ではあるものの、本作には最新作からの楽曲も含まれた、当時のグレイテストヒッツ的内容となっています。

本作の大半を占めるのは、1993〜94年に実施された『GET A GRIP TOUR』の模様。第2期黄金期のピークとなったアルバム『GET A GRIP』(1993年)を携えた時期のツアーで、ここ日本でも1994年春に武道館7公演という偉業を含む大々的なジャパンツアーが実現したタイミングでした(自分もこのときは武道館2公演、横浜アリーナ1公演に足を運びました)。

なので、オープニングを飾るのは「Eat A Rich」。そこから「Love In An Elevator」へと流れる構成は圧巻の一言で、脂の乗り切った当時のエアロの姿が目に浮かびます。

で、そこに当時の最新ツアー『NINE LIVES TOUR』(1997〜98年)から「Falling In Love (Is Hard On The Knees)」「Hole In My Soul」といった、シングルヒットナンバーを追加しているのですが……これが意外と違和感がない。80年代後半以降の第2期黄金期の楽曲が中心のセットリストだから、当たり前っちゃあたり前なんですが。

では、そこに70年代のドス黒さ満載のヘヴィロックが加わっても違和感ないのかといいますと……うん、ないんですよ。「Falling In Love (Is Hard On The Knees)」と「Hole In My Soul」の間に「Same Old Song And Dance」が入っても自然と楽しめる。DISC 1には70年代の楽曲はこれだけなんですよね。で、DISC 2は70年代の楽曲メインで、そこにジョー・ペリーが歌う「Walk On Down」や、80年代のヒットナンバー「The Other Side」「Dude (Looks Like A Lady)」、90年代の「Crazy」などが含まれるのですが、こちらも違和感ない。いや、違和感ないんじゃなくて、もう耳が慣れてしまっているんでしょうね。初めて『PERMANENT VACATION』(1987年)を聴いてから10年、そりゃあもう慣れてしまって当たり前ですよね。

『LIVE! BOOTLEG』(1978年)から20年、バンドが進んだ道は正しいとも間違っているとも言い切れませんが、これはこれでバンドの歴史を語る上で重要な1枚。『LIVE! BOOTLEG』と対でオススメしたいライブ作品です。音の良くない、かつ録音時期もボリュームも選曲も微妙な『CLASSIC LIVE!』(1986年)および『CLASSIC LIVE! II』(1987年)を聴くより(あれはあれで嫌いじゃないけど)真っ先に手にしてほしいライブ作品です。



▼AEROSMITH『A LITTLE SOUTH OF SANITY』
(amazon:国内盤2CD / 海外盤2CD / MP3

2018年1月 2日 (火)

SLAYER『SOUTH OF HEAVEN』(1988)

1988年初夏にリリースされた、SLAYER通算4作目のスタジオアルバム。前作『REIGN IN BLOOD』(1986年)で初のBillboardチャートイン(最高94位)を果たした彼らでしたが、本作ではそれをさらに上回る全米57位を記録。イギリスでも最高25位まで上昇するなど、MVに頼らないプロモーションで大きな成果を上げました。

前作がとにかくスピード、スピード、スピードの応酬で全10曲トータル29分という潔い内容だったの対し、本作ではオープニングのタイトルトラック「South Of Heaven」のスローでダークな作風にまず驚かされます。イントロの不穏なギターフレーズから派手なデイヴ・ロンバード(Dr)のドラミング、メロウながらもところどころで叫び散らすトム・アラヤ(Vo, B)のボーカル、のたうち回るかのようにソロを弾きまくるケリー・キング(G)&ジェフ・ハンネマン(G)。うん、最高なんですよね。速かろうが遅かろうが関係ない。

ただ、当時は「SLAYER=スピード命」みたいな固定観念が強かったため、この変化に拒否感を示したファンも少なくありませんでした。

でもね、2曲目以降は通常運転なんですよ。「Silent Scream」や「Live Undead」「Behind The Crooked Cross」はテンポこそ『REIGN IN BLOOD』収録曲と比べたら落ちるかもしれないけど、しっかり突っ走っている。このテンポを若干落とすことでヘヴィメタルバンドとしてのヘヴィさがより強調されたと思うし、ボーカルラインもよりメロディが強調されるようになった。だからといってポップになったわけではなく、メタルバンドとしての王道感がひたすら増している。結果、SLAYERという“アンダーグラウンドの帝王”がメジャー感を手に入れるという、結果オーライな変化だったのではないでしょうか。

事実、次作『SEASONS IN THE ABYSS』(1990年)への布石となる「Mandatory Suicide」みたいな曲もあるし、JUDAS PRIEST初期のナンバー「Dissident Aggressor」のカバーもあり、楽曲のバラエティは一気に増しているし。うん、化ける前のワンステップなんですよね。

力技で有無を言わせぬ『REIGN IN BLOOD』とバランスに優れた『SEASONS IN THE ABYSS』の間に挟まれたことで、多少インパクトに欠けるように見られがちな1枚ですが、とにかく良曲満載。強いて難点を挙げるなら、ベースの音量が弱いこと。もっとガリガリした音だったら迫力が増して、文句なしの傑作と呼ばれていたのかな……と思うと、ちょっとだけ残念。



▼SLAYER『SOUTH OF HEAVEN』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

2018年1月 1日 (月)

PRINCE『LOVESEXY』(1988)

さて、新年一発目にふさわしいジャケットのアルバムを紹介したいと思います(笑)。

プリンスが1988年初夏に発表した、通算10枚目のスタジオアルバム『LOVESEXY』。1987年春に2枚組アルバム『SIGN O' THE TIMES』をリリースし、早くも同年末に『THE BLACK ALBUM』を発表しようとしますが、諸事情で発売中止に。そういったトラブルを経て日の目を見たのが本作でした。リードシングル「Alphabet St.」は全米8位とヒットを飛ばすも、続く「Glam Slam」「I Wish U Heaven」はチャートインせず。アルバムも全米11位と、前作までと比較すれば低調に終わりました。

内容がそこまで悪かったのかと言われると……いやいや、全然そんなことないんですよ。プリンスらしいファンキーさとポップさが両立した内容で、非常に聴きやすいし。むしろ、『PURPLE RAIN』(1984年)以降では一番ポップで親しみやすい内容なんじゃないでしょうか。前作『SIGN O' THE TIMES』が雑多な実験作だったこともあり、ここまで統一感の強い作品は久しぶりなような気がしますし。

1曲1曲をピックアップしても、オープニングの「Eye No」から「Alphabet St.」へと続くファンキーなポップチューンの連発はさすがだと思うし、サイケデリックな「Glam Slam」はなんでこれがヒットしなかったんだろうってくらい良曲だし。セクシーなミディアムナンバー「Anna Stesia」、文字通りダンサブルな「Dance On」、本作中もっとも地味な印象のタイトルトラック「Lovesexy」、『THE BLACK ALBUM』から唯一持ち越されたバラード「When 2 R In Love」、浮遊感漂うサイケポップ「I Wish U Heaven」、前曲から心地よく続く「Positivity」……改めて聴き返すと、どれも悪くないんですよね。いや、“悪くない”止まりなのがいけないのかな。確かに殿下にしては“飛び抜けて”良い曲が少ない気がするし。でも、そこまで悪いとも言い切れない。う〜ん。

で、何がいけなかったのか考えてみたんですが……もうおわかりですね。ジャケットが災いしたとしか思えない(笑)。そりゃあみんな敬遠しますわ。正直、当時高校生だった僕も本作の購入、躊躇しましたもん。しかも地元では買いにくくて、上京した際にタワレコで輸入盤を買ったのでした(しかも、当時は縦長の箱に入っての販売だったから、余計に恥ずかしかった……)。

あと、本作はCDやストリーミングで聴いている人ならおわかりのように、全9曲を1トラックとして収録という聴きにくさもあります。曲を飛ばすなよ、という殿下からの無言の圧を感じずにはいられませんが、こういうご時世だからこそ本作がストリーミングでも1トラック方式を採っているのは妙に納得してしまうといいますか。うん、黙って通して聴いてください。



▼PRINCE『LOVESEXY』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

« 2017年12月 | トップページ | 2018年2月 »

2019年5月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

カテゴリー

無料ブログはココログ