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2018年1月21日 (日)

JUDAS PRIEST『RAM IT DOWN』(1988)

1988年5月にリリースされた、JUDAS PRIEST通算11枚目のスタジオアルバム。前作『TURBO』(1986年)でポップな作風、シンセやシンセサイズドギターを大々的に導入したサウンドメンが批判された彼らでしたが、続く本作では当初、当時ヒットを飛ばしまくっていたダンスミュージック・プロデュースチーム「STOCK AITKEN WATERMAN」がプロデュースを担当するという話もあり、メタルファンを驚愕させたのですが、残念ながら実現せず、結局はこれまで同様にトム・アロムを迎えて制作されました。

本作は『TURBO』の流れを汲む、ポップでシンセサイズドな作風と、その反動から生まれたハードエッジなメタルチューンが混在したもの。そもそも『TURBO』というプロジェクト自体がその両方を持ち合わせたものだったはずが、途中からポップサイドに特化した内容に変更されたため、ハードサイドの楽曲は保留されており、そのアウトテイクを本作では数曲使用しているようです。そういう意味では、本作は『TURBO』と併せて語るべき1枚かもしれませんね(腕をモチーフにしたジャケットしかり、関連性は大いにあるのではないかと)。

オープニングの「Ram It Down」は、当時のバンドの状況(ポップに成り下がったと揶揄され、さらに言いがかりにも近い裁判騒動など)もあってか、それらに対する怒りを冒頭のロブ・ハルフォード(Vo)のシャウト一発で表現しているようにも感じられます。でも、激しいファストチューンながらも、しっかりポップな要素が備わっているのがいかにも『TURBO』プロジェクトのアウトテイクといった印象。そのへんは、例えば『SCREAMING FOR VENGENCE』(1982年)や『DEFENDERS OF THE FAITH』(1984年)ともちょっと違ったイメージがあるかもしれません。

それから、本作は全体的にシンプルなイメージが強いのも特徴かな。曲タイトルのシンプルさはもちろん、大半の楽曲のアレンジもそこまで複雑ではなく、意外とあっさりめ。それをデジタルテイストでコーティングしているんだから、より異質な感触が強まっているんです。「Heavy Metal」や「Love Zone」のドラムのエフェクト感(トリガーを使ってるのかしら)もそうだし、プログレッシヴな名曲「Blood Red Skies」やヘヴィなミドルナンバー「I'm A Rocker」「Monsters Of Rock」あたりもそう。

で、その究極の1曲が「Johnny B. Goode」。そう、チャック・ベリーの代表曲ですよ。あれを映画のサウンドトラック用とはいえ、プリーストがカバーしてしまったんです。初めて聴いたときの何とも言えない感といったら……これが正解なのか失敗なのかすら理解できず、ただ流れ去っていくような気すらしましたもん。

という名作というよりは迷作寄りの1枚ですが、『TURBO』からのノリで聴くとそこまで悪くないので、まぁいいんじゃないでしょうか。僕は嫌いじゃないですよ。だって「Blood Red Skies」1曲あるだけで全然勝ってるし、そもそも彼らのポップセンス自体、決して悪くないですもん。まあ、そこをこのバンドに求めるのか?って話なんですよね、そもそもは(苦笑)。

リリースから今年で30年。もしかしてデラックス盤とか出たりするんですかね。だとしたら、当時来日公演が実現していないので、この時期のちゃんとしたライブ音源もしくはライブ映像を発表してほしいものです。

P.S.
本作を最後にバンドを脱退したドラマー、デイヴ・ホランドが亡くなったようです(参照:ソース)。晩年は少年への性的暴行などであれこれありましたが、今はご冥福をお祈りしたいと思います。



▼JUDAS PRIEST『RAM IT DOWN』
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投稿: 2018 01 21 12:00 午前 [1988年の作品, Judas Priest] | 固定リンク