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2018年1月 2日 (火)

SLAYER『SOUTH OF HEAVEN』(1988)

1988年初夏にリリースされた、SLAYER通算4作目のスタジオアルバム。前作『REIGN IN BLOOD』(1986年)で初のBillboardチャートイン(最高94位)を果たした彼らでしたが、本作ではそれをさらに上回る全米57位を記録。イギリスでも最高25位まで上昇するなど、MVに頼らないプロモーションで大きな成果を上げました。

前作がとにかくスピード、スピード、スピードの応酬で全10曲トータル29分という潔い内容だったの対し、本作ではオープニングのタイトルトラック「South Of Heaven」のスローでダークな作風にまず驚かされます。イントロの不穏なギターフレーズから派手なデイヴ・ロンバード(Dr)のドラミング、メロウながらもところどころで叫び散らすトム・アラヤ(Vo, B)のボーカル、のたうち回るかのようにソロを弾きまくるケリー・キング(G)&ジェフ・ハンネマン(G)。うん、最高なんですよね。速かろうが遅かろうが関係ない。

ただ、当時は「SLAYER=スピード命」みたいな固定観念が強かったため、この変化に拒否感を示したファンも少なくありませんでした。

でもね、2曲目以降は通常運転なんですよ。「Silent Scream」や「Live Undead」「Behind The Crooked Cross」はテンポこそ『REIGN IN BLOOD』収録曲と比べたら落ちるかもしれないけど、しっかり突っ走っている。このテンポを若干落とすことでヘヴィメタルバンドとしてのヘヴィさがより強調されたと思うし、ボーカルラインもよりメロディが強調されるようになった。だからといってポップになったわけではなく、メタルバンドとしての王道感がひたすら増している。結果、SLAYERという“アンダーグラウンドの帝王”がメジャー感を手に入れるという、結果オーライな変化だったのではないでしょうか。

事実、次作『SEASONS IN THE ABYSS』(1990年)への布石となる「Mandatory Suicide」みたいな曲もあるし、JUDAS PRIEST初期のナンバー「Dissident Aggressor」のカバーもあり、楽曲のバラエティは一気に増しているし。うん、化ける前のワンステップなんですよね。

力技で有無を言わせぬ『REIGN IN BLOOD』とバランスに優れた『SEASONS IN THE ABYSS』の間に挟まれたことで、多少インパクトに欠けるように見られがちな1枚ですが、とにかく良曲満載。強いて難点を挙げるなら、ベースの音量が弱いこと。もっとガリガリした音だったら迫力が増して、文句なしの傑作と呼ばれていたのかな……と思うと、ちょっとだけ残念。



▼SLAYER『SOUTH OF HEAVEN』
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投稿: 2018 01 02 12:00 午前 [1988年の作品, Slayer] | 固定リンク