JOE SATRIANI『WHAT HAPPENS NEXT』(2018)
本サイトでは滅多にピックアップすることのないインストゥルメンタルアルバムですが、これは非常に楽しい1枚だったのでぜひ紹介したいと思い書いてみることにしました。
ジョー・サトリアーニの通算16枚目となるオリジナルアルバム。いまだに『SURFING WITH THE ALIEN』(1987年)や『FLYING IN A BLUE DREAM』(1989年)の印象で語ってしまいがちのサトリアーニ。これらの作品、すでに30年も前のものなんですよね。もちろん、上記の2枚以降も10数枚ものスタジオ作品を発表してますが、歌モノロック&HR/HMリスナーにはどうしても敬遠しまいがちな存在でもあるわけで。なので、そういう自分にとってのサトリアーニはサミー・ヘイガー(Vo)&マイケル・アンソニー(B)の元VAN HALEN組、RED HOT CHILI PEPPERSのチャド・スミス(Dr)と組んだCHICKENFOOTのギタリストっていう認識が強い人かもしれません。
が、たまたま手にした今回のアルバム『WHAT HAPPENS NEXT』がHR/HMファンの耳にも親しみやすい仕上がりだったので、驚いたわけですよ。
今回のアルバムは元DEEP PURPLEのグレン・ヒューズ(B)、CHICKENFOOTでの盟友チャド・スミス(Dr)という豪華なトリオ編成で制作した意欲作。もちろんグレンは一切歌うことなく、ベースプレイヤーに徹しています。前作、前々作あたりではクリス・チェイニー(B)&ヴィニー・カリウタ(Dr)がリズム隊として参加していましたが、本作は全編サトリアーニ/グレン/チャドの3人でレコーディングに臨んだこともあって、全体的にハードエッジな1枚に仕上げられています。また、プロデューサーにハードロック畑のマイク・フレイザー(AC/DC、AEROSMITH、METALLICAなど)を迎えていることも、このへんに大きく影響を与えているのかもしれません。
とにかく1曲目「Energy」の飛ばしっぷりから気持ち良いったらありゃしない。サトリアーニらしいリフ&ソロワークはもちろんのこと、ダイナミックなアンサンブルを生み出しているリズム隊のプレイも圧巻。続く「Catbot」ではエフェクトのかかったベースリフの上を、同じく機械的なエフェクトがかかったギターがのたうちまわるし、クリーントーンのカッティングが気持ち良く加わる。序盤にハードロック色強めの楽曲が並ぶからこそ、5曲目「Righteous」のメロウ&ポップさがより際立つし、かと思えばソウルフルかつフュージョンチックな「Smooth Soul」みたいな曲もこの構成なら心地よく楽しめるわけです。
後半はハードブギーテイストの「Headrush」から始まるものの、ファンキーさも感じられる落ち着いたトーンの「Looper」や「What Happens Next」、ダイナミックなギタープレイ&バンドアンサンブルが存分に味わえる「Invisible」、ラストを飾るにふさわしいミディアムスロー「Forever And Ever」と、前半と比べればトーンダウンは否めませんが、決して悪いわけじゃない。むしろメリハリという意味では、前半戦の攻めがあるからこそ後半の「曲調は落ち着いているけどプレイは派手」な楽曲も素直に受け入れられるというもの。しかも全編ギターが歌いまくっているから、単純に楽しく聴けるんですよね。これがメロディ無視で弾きまくりなギタープレイヤーだったら、いくらハード&ヘヴィな作風でもここまで楽しめなかったと思います。
年間ベストに挙げるような作品ではないかもしれないけど、スルメ的アルバムとして長きにわたり愛聴できる1枚になりそうです。意外な収穫でした。

▼JOE SATRIANI『WHAT HAPPENS NEXT』
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