IRON MAIDEN『SEVENTH SON OF A SEVENTH SON』(1988)
1988年春に発表された、IRON MAIDEN通算7枚目のスタジオアルバム。おりしも世界的なメタルブームの最中にリリースされたこともあり、同作はブルース・ディッキンソン(Vo)加入後初(通算3作目)のアルバム『THE NUMBER OF THE BEAST』(1982年)以来となる全英1位を獲得。しかし、アメリカでは最高12位止まりで、50万枚程度と中ヒットに終わってしまいました。
なぜアメリカでヒットしなかったのか。それは本作が開き直ったと言わんばかりに“Very British”なアルバムだったからかもしれません。確かにシングルヒットを意識したポップな「Can I Play With Madness」(全英3位)のようなが曲が含まれてはいるものの、このコンパクトなポップメタルでさえも非常にブリティッシュメタルそのものな構造を持っている1曲ですし、そりゃあアメリカでウケないのも仕方ないのかなと。
また、本作は全8曲を通して物語が進行するようなコンセプチュアルな構造で、1曲目「Moonchild」からラスト「Only The Good Die Young」までがつながっていて、ラストからオープニングにループするようなプログレッシヴロック的構成もブリティッシュロックそのものと言えるかもしれません。シングル志向の強かったアメリカでウケないのは仕方ないのかなと。
とはいえ、イギリスでは本作から4曲ものシングルヒットが生まれています。先の「Can I Play With Madness」に続いて、「The Evil That Men Do」(全英5位)、「The Clairvoyant」(全英6位)、「Infinite Dreams」(全英6位)とそのどれもがトップ10入り。エイドリアン・スミス(G)ががっつりソングライティングに携わった「Moonchild」「Can I Play With Madness」「The Evil That Men Do」をはじめ全体的にポップでメロウな楽曲が多いですが、しっかりメイデンらしさは保たれており、そんな中にスティーヴ・ハリス(B)の本領発揮な10分にもおよぶタイトルトラックが入ったりとバランスは絶妙。前作『SOMEWHERE IN TIME』(1986年)が好きな人なら間違いなく気に入る1枚だと思います。
ちなみにメイデンは本作を携えたツアー終了後、活動休止期間に突入。ブルースやエイドリアンはソロ活動に突入します。そういうこともあって、本作のジャパンツアーは実現せず。そういうこともあって、作品としての評価は高いものの生で聴いてないぶん、思い入れが薄いファンも少なくないようです。ですが、僕はメイデンの作品中もっとも好きな1枚なんですよね。なにせ、初めて買ったメイデンのCDが本作だったので、そういったところでも思い入れが強い作品です。

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