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2018年2月12日 (月)

MANIC STREET PREACHERS『REWIND THE FILM』(2013)

MANIC STREET PREACHERSが2013年9月に発表した通算11枚目のスタジオアルバム。前作『POSTCARDS FROM A YOUNG MAN』(2010年)から3年ぶりの新作にあたるのですが、その3年の間にはシングルコレクションアルバム『NATIONAL TREASURE - THE COMPLETE SINGLES』(2011年)、デビューアルバム『GENERATION TERRORISTS』(1992年)の20周年記念盤(2012年)があったので、実は意外とそこまで空いた感がなかったんですよね。

本作発売前に、まずリードトラックとしてアルバムタイトル曲「Rewind The Film」がYouTubeで公開されたのですが、6分半ある穏やかなこの曲を聴いてまず驚かされるわけです。だって、曲の序盤をジェームズ・ディーン・ブラッドフィールド(Vo, G)ではなく、ゲストシンガーのリチャード・ハーレイ(元LONGPIGS)が歌っているんですから……「あれ?」と思うわけです。しかも曲調的にも大ヒットした『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』(1998年)の延長線上にある、“非常にエモくて、それでいてどこか枯れた”スタイルなんですから。しかも、正式な1stシングル「Show Me The Wonder」にしてもブラスをフィーチャーしつつも、全編アコースティックテイストだし。「ロックバンド・MANIC STREET PREACHERS」を求めるリスナーには、不安要素しかないですよね。

本作制作にあたりバンドはアルバム2枚分以上の楽曲を作り、結果としてテイストの異なる2枚のアルバムにまとめることを決めたそうで、その1枚目がこの全編穏やかでアコースティック色の強い『REWIND THE FILM』なわけです。歌詞も黙想的かつ内省的で、サウンドも無駄な装飾を限りなくそぎ落とし、ディストーションを一切必要としない。メロディ自体は間違いなくあのマニックスなんだけど、それまでとまったく違って聞こえる。これこそが、デビュー20周年を経て次の20年に向けて新たに歩みだしたバンドの出した答えだったと。そういう冒険作なわけですね。

にしても、自らもう若くないことを認め、同時に昔に戻りたいと吐露するこの作風は『GENERATION TERRORISTS』以上の衝撃的内容ですよ。結成時は20代のうちに大成功して解散することを求めていたバンドが、気づけば40代に突入して、ブヨブヨに太ったり髪が薄くなったりした姿を晒し続けながら、20代の頃のヒット曲を歌い続ける。その反動が本作だと考えれば、非常に納得がいくし、それはそれでパンクなんじゃないか……という気がします。現実の残酷さを余すところなく晒すという意味での、パンクですけどね。

あともうひとつ。本作は『THIS IS MY TRUTH TELL ME YOURS』で表現すべき世界観の究極形だったのかなと。30前後では表現できなかった旨みや深みが完璧な形で表現された、究極の“負け犬の遠吠え”……うん、だから嫌いになれないんですよ、このアルバム。

約1年後にリリースされる、本作と対になるアルバム『FUTUROLOGY』(2014年)を並べることで、本作の魅力はより増すことになるとは、発売当時考えてもみなかったけどね。



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投稿: 2018 02 12 12:00 午前 [2013年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク