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2018年3月10日 (土)

JOHN CORABI『LIVE '94 (ONE NIGHT IN NASHVILLE)』(2018)

MOTLEY CRUEのアルバムで一番好きな作品はどれか?と聞かれたら、きっと多くのリスナーが『DR. FEELGOOD』(1989年)『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)を挙げると思うんです。もちろん僕もこの2枚はトップクラスで好きですし、事実80年代〜90年代初頭は確実にこの2枚を選んでました。

が、年をとるとだんだんとひねくれてきて(笑)、バンドの真の姿を無視したセレクトになっていくんですよね……例えば、ここ数年はデビューアルバム『TOO FAST FOR LOVE』のインディーズ盤(1981年)がお気に入りだし、同じくらいに“好きすぎてたまらない!”と声を大にして公言しているのが唯一ヴィンス・ニール不参加の6thオリジナルアルバム『MOTLEY CRUE』(1994年)なのです。

2003年に執筆したレビューの時点から、いや、もっと言えばこのアルバムが発売された1994年当時から僕はこの『MOTLEY CRUE』というアルバムがバンドのキャリア上での最高傑作だと公言してきました(もちろん異論反論は受け付けます。笑)。それは、このアルバムが『DR. FEELGOOD』以降彼らがやろうとしてきたこと、それに加えてグランジやグルーヴメタルなど90年代前半のヘヴィな音楽シーンの流行を自分たちなりに解釈した結果が形として表現された、あの時代にしか作り得なかった作品だからなんです。この1994年3月発売という絶妙なタイミング。カート・コバーン(NIRVANA)が亡くなる1ヶ月前のことですもん。まあ、結果から言えば内容含め、総スカンを食らったわけですが……。

で、ニッキー・シックス(B)が「MOTLEY CRUEであってMOTLEY CRUEではない」このアルバムは、バンドが解散するまで自身のキャリアからスルーされてきたわけですが、それに対して「NO!」と言い続けたのが、今回の主役であるジョン・コラビ。彼はMOTLEY CRUE脱退後も事あるごとにアルバム『MOTLEY CRUE』の楽曲を演奏してきた、ある種『MOTLEY CRUE』の功労者なわけです。涙ぐましい努力ですね。

今でこそTHE DEAD DAISIESのフロントマンとして再ブレイクを果たした感のあるジョンですが、このタイミングに『MOTLEY CRUE』の完全再現ライブを収めたライブアルバムを発表しました。当時の映像、ライブ音源は公式では残っていないので、同作のファンにはとっても嬉しい限り。また、THE DEAD DAISIESでジョンのことを知ったという若いリスナーにも、(音楽性こそ異なるものの)こういうこともやってたんだぜ!というアピールにもなるし、3月下旬にリリースを控えたTHE DEAD DAISIESの最新作『BURN IT DOWN』への布石としても絶好の1枚になるんじゃないでしょうか。

本作は2015年10月27日にアメリカ・ナッシュビルでライブレコーディングされたもの。Jeremy Asbrock(G, Cho)、 Phil Shouse(G, Cho)といったジーン・シモンズKISS)のソロツアーにも参加した面々、Topher Nolen(B, Cho)、そしてアルバム中のMCでも触れられているジョン・コラビの実子Ian Corabi(Dr)という布陣で、『MOTLEY CRUE』の世界観を限りなくオリジナルに近い形で再現しています。曲によってはジョンもギターを弾くのでトリプルギター編成となり、これが『MOTLEY CRUE』という“Wall of Heavy Sound”を再現するにはぴったり。本作の要となるトミー・リーのグルーヴィーかつヘヴィヒッティングなドラムも、まぁトミーの域には及ばないものの、かなり良い感じで近づけているように思います。

ジョンのボーカルは、曲によっては高音域が出ておらず、うまくごまかしている箇所も多いんですが、まあ50代後半といった年齢を考えればかなり頑張っているほうではないでしょうか。むしろ、20数年前の脂が乗った時期とはことなる、ちょっとスティーヴン・タイラーAEROSMITH)に近づいた今のボーカルスタイルで表現される『MOTLEY CRUE』の世界観も悪くない。うん、良いですよ、これは。

ヘヴィなリフ&ドラムからスタートする「Power To The Music」をオープニングに、アルバム『MOTLEY CRUE』全編12曲を曲順通りに演奏し、ライブは最後に「Driftaway」で締めくくり、ボーナストラックとして当時の編成で制作された「10,000 Miles Away」(ミニアルバム『QUATERNARY』日本盤やボックスセット『MUSIC TO CRASH YOUR CAR TO: VOL.2』に収録)が、レアな1曲として演奏され、本作にも追加収録されています。このブルージーな世界観は、『MOTLEY CRUE』というよりも現在のTHE DEAD DAISIESにより近いなと改めて実感させられるのですが、いかがでしょう?

このライブアルバムを聴いてもなお、やはりアルバム『MOTLEY CRUE』は傑作だという思いは少しも薄れることはありませんでした。まだ『MOTLEY CRUE』を聴いたことがないというリスナーはホント、このライブアルバムを機に、一度は『MOTLEY CRUE』に触れてみてもいいんじゃないですか? できることならMOTLEY CRUEだとかTHE DEAD DAISIESだとかそういった先入観を抜きにして、一度接してみてください。

って、結局このライブアルバムではなくて『MOTLEY CRUE』をオススメする内容になっちゃいましたね(笑)。そりゃあ熱が入って、こんなに長文になるわな(苦笑)。



▼JOHN CORABI『LIVE '94 (ONE NIGHT IN NASHVILLE)』
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投稿: 2018 03 10 12:00 午前 [2018年の作品, John Corabi, Motley Crue] | 固定リンク