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2018年3月 6日 (火)

SOUNDGARDEN『DOWN ON THE UPSIDE』(1996)

1996年5月に発表された、SOUDNGARDEN通算5作目のスタジオアルバム。初の全米1位を獲得し、500万枚以上を売り上げた前作『SUPERUNKNOWN』(1994年)に続く作品として注目されましたが、チャート的には全米2位まで上昇するも、セールスは100万枚程度にとどまり、期待以上の結果を残すことはできませんでした。

LED ZEPPELIN的手法(ハードロックとサイケデリックなアコースティックナンバーの共存)を効果的に使い大成功を収めた前作での路線の延長線上にある本作ですが、バンドとしての勢いや気合いが漲っていた前作とは異なり、本作のオープニングトラック「Pretty Noose」からはもっとリラックスした印象を受けます。もちろん、それが決して悪いというわけではなく、バンドとしてのスケール感がより大きくなったと受け取れば、本作はかなり大人のロックアルバムとして楽しむことができるのではないでしょうか。

もちろん、「Rhinosaur」のように緊張感に満ち溢れたプレイが楽しめる楽曲も含まれていますし、「Never Named」や「Ty Cobb」「No Attention」「An Unkind」みたいにアップテンポの“攻め”の楽曲も多い。作品のテイストとしては前作よりも攻撃的と受け取ることができるのですが、全体を通して聴くともっと大らかなイメージが残る。そういう、すごく不思議なアルバムなんですよね。

1曲1曲をピックアップすると、よく作り込まれた楽曲ばかりで、「Zero Chance」や「Blow Up The Outside World」「Burden In My Hand」あたりのミディアムナンバーは再結成後にも通ずる世界観がある。「Dusty」みたいなダイナミックなハードロックも、前作までのスタイルとは若干異なるテイストが加えられている。それは良い意味で受け取れば、バンドとしての王道感を手にしたということなんでしょうけど、悪い見方をすれば守りに入ったとも受け取れるわけで……そのへんの難しさが、翌1997年の解散発表につながったのかもしれませんね。

実はこのアルバム、リリース当時はそこまで聴き込んだ記憶もなく、個人的には駄作扱いをしていた1枚なんです。でも、バンドが再結成して『KING ANIMAL』(2012年)というオリジナルアルバムを発表したあとに改めて聴き返すと、『KING ANIMAL』との共通点も至るところから感じられ、改めてバンドとして王道であることを選んだんだなということが認識できました。で、そういう目線で聴き返すと、そこまで悪いとは思えない。むしろ、こういったスタイルのハードロックバンドのアルバムとして、非常に優れた作品とすら思えてきたのですから……人の印象って不思議なものですね(苦笑)。

オルタナティヴロックバンドがメインストリームを引き受けようとして作り上げた、もうひとつの可能性……SOUNDGARDENは当時、PEARL JAMが『NO CODE』で取った手法とは違った形で新たなアメリカンロックを作り上げようとしたのかもしれません。だとしたら、解散せずに“その先”を見せてほしかった気もしますが、結局それが見つからなかったから「やりきった」として解散を選んだ。ということなのでしょう。



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投稿: 2018 03 06 12:00 午前 [1996年の作品, Soundgarden] | 固定リンク