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2018年3月31日 (土)

2018年3月のお仕事

2018年3月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※3月31日更新)


[紙] 3月31日発売「BUBKA」2018年5月号にて、乃木坂46齋藤飛鳥×久保史緒里×山下美月鼎談、和田まあや×伊藤かりん対談を担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月29日、「Red Bull Japan」オフィシャルサイトにてコラム「最近やけに名前を耳にするバンド、Lucie,Tooって何者?」が公開されました。

[紙] 3月26日発売「別冊カドカワDirecT 09」にて、NEWSインタビュー、巻末特集「脳を刺激するヘヴィメタル」全テキスト(スレイヤー関連取材、LOVEBITES miho×橋山メイデン対談、中野信子&圭対談など)を担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月23日、「リアルサウンド」にて瀬川あやかインタビュー「瀬川あやかが語る、2ndアルバムにこめた“等身大”の自分「人生で振り回されるものは音楽と恋愛」」が公開されました。

[WEB] 3月20日、「リアルサウンド」にてLittle Glee Monsterインタビュー「Little Glee Monster、“ふたつのラブソング”での実感 「曲の雰囲気によって息の使い方も変わる」」が公開されました。

[紙] 3月20日発売「TV Bros.」2018年3月24日号にて、L'Arc-en-Ciel『25th L'Anniversary LIVE』アルバムレビューを担当・執筆しました。

[WEB] 3月18日、「リアルサウンド」にて新譜キュレーション記事「Judas Priestらベテランたちの新譜から考える、HR/HMの伝統芸を後世に引き継ぐ意味」が公開されました。

[WEB] 3月16日、「リアルサウンド」にて片平里菜のライブ評「片平里菜に感情を引き出された60分間 5周年記念弾き語りライブを下北沢SHELTERで見た」が公開されました。

[紙] 3月15日発売「グラビア ザ・テレビジョン」vol.53にて、乃木坂46与田祐希の巻頭表紙インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月12日、「リアルサウンド」にてBOOM BOOM SATELLITES中野雅之インタビュー「中野雅之が振り返る、BOOM BOOM SATELLITESが歩んだ軌跡とラストライブの裏側」が公開されました。

[CD] 3月7日発売のSILENT SIRENのライブDVD / Blu-ray「5th ANNIVERSARY SILENT SIREN LIVE TOUR 2017「新世界」日本武道館〜奇跡〜」日本盤にて、ファンクラブ限定盤封入のブックレットにて、すぅインタビューを担当・執筆しました。(詳細

[紙] 3月7日発売「TV Bros.」2018年3月10日号にて、JACK WHITE『BOARDING HOUSE REACH』、JUDAS PRIEST『FIREPOWER』アルバムレビューを担当・執筆しました。

[紙] 3月7日発売「日経エンタテインメント! アイドルSpecial 2018春」にて、乃木坂46の齋藤飛鳥、白石麻衣、星野みなみ、山﨑怜奈、向井葉月、ラストアイドルの長月翠、古賀哉子、22/7の白沢かなえ、涼花萌のインタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 3月6日、「リアルサウンド」にてLOVEBITESのライブ評「LOVEBITESが鳴らしたピュアで濃厚なヘヴィメタルスピリッツ 世界に羽ばたくバンドの今を見た」が公開されました。

[紙] 3月2日発売「日経エンタテインメント!」2018年4月号にて、特集『徹底解説「ドラえもん」ワールド』内の22/7コメントパートを担当・執筆しました。(Amazon

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また、2月に当サイトで紹介したアルバム(Spotifyで配信している作品のみ)から各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストを制作しました。題して『TMQ-WEB Radio 1802号』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。

投稿: 2018 03 31 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

JUDAS PRIEST『FIREPOWER』(2018)

2018年3月に発表された、JUDAS PRIEST通算18枚目のスタジオアルバム。前作『REDEEMER OF SOULS』(2014年)からほぼ4年ぶりにあたる本作は、全米・全英ともに5位という好成績(アメリカでは過去最高位)を残し、概ね高評価を得たように思います。

前作から制作に加わったリッチー・フォークナー(G)の影響もあってか、『REDEEMER OF SOULS』は70年代〜80年代初頭のハードロック的スタイルを踏襲しつつ、再結成後の2枚(2005年の『ANGEL OF RETRIBUTION』と2008年の『NOSTRADAMUS』)をより若々しくしたような楽曲を楽しむことができました。それに続く今作『FIREPOWER』は、『REDEEMER OF SOULS』をさらにメタリックに、かつよりモダンにアップデートしたような内容と言えるでしょう。

プロデュースを手がけたのは、プリーストの80年代の名盤を多数手がけてきたトム・アロムと、昨今のモダンなヘヴィメタル作品を多数プロデュースするアンディ・スニープ。この「プリーストのことを一番理解しているプロデューサー」と「もっとも現在のメタルシーンを理解しているプロデューサー」を同時投入することで、このエネルギッシュなアルバムが完成したのだと思うと、なるほど納得です。

アルバムのオープニングを飾る「Firepower」の疾走感と、続く「Lightning Strikes」で見せる(聴かせる)王道感。前者は80年代後半以降、特に『PAINKILLER』(1990年)で確立させたブルータルな作風を彷彿とさせますし(もちろん単なる焼き直しでは終わっていない)、後者はその『PAINKILLER』に含まれていたハードロック的ストロングスタイルをブラッシュアップさせたような1曲です。かと思えば、「Never The Heroes」のような若干ダークな空気感の楽曲(でも、聴けばプリーストのそれだとわかる)や、「Children Of The Sun」みたいにオールドスタイルのハードロックをモダンに昇華させたミドルヘヴィナンバーも存在する。

アルバム後半に入ると、短尺のインスト「Guardian」から続く「Rising From Ruins」や「Spectre」といったミドルチューンで深みを見せる。3分にも満たないメロウな「No Surrender」あたりは80年代前半の彼らをイメージさせるし、逆に「Lone Wolf」はなんとなくFIGHT時代のロブ・ハルフォード(Vo)を思い浮かべてしまう。そんなバラエティに富んだ楽曲群のラストを飾るのは、6分前後におよぶ本作最長のメタルバラード「Sea Of Red」。全14曲、58分と決して短いとはいえない大作ですが、意外とスルッと聴けてしまうのも本作の魅力かもしれません。

前作『REDEEMER OF SOULS』はエディション違いで曲数が違ったり、そのデラックス盤が全18曲で90分超えと、その前の『NOSTRADAMUS』同様に1曲1曲の印象が薄まる作風でした。本作も14曲と確かに曲数が多いので、しっかり聴き込むには時間が必要ですが、それでも「何度でも聴きたい」と思わせてくれる魅力が豊富な1枚だと思いました。すごく簡単な分類をしてしまえば、前作が“ハードロックバンドJUDAS PRIESTの集大成”だとしたら、本作は“ヘヴィメタルバンドJUDAS PRIESTの、過去と今をつなぐ現在進行形”と言えるのではないでしょうか。そう、単なる集大成というよりは、しっかり2018年という時代と向き合っている。そんな印象を強く受けます。

本作リリース直前には、オリジナルメンバーと呼んでも過言ではないギタリスト、グレン・ティプトンが10年前からパーキンソン病を患っていること、同作を携えたワールドツアーには参加せず、代わりにアンディ・スニープが参加することがアナウンスされたばかり。3月からスタートした全米ツアーのある公園にはグレンもゲスト参加したようですが、こうなると本作の持つ意味合いも今後少し変わってくる気がします。『ANGEL OF RETRIBUTION』以降では、ロブのボーカルも一番脂が乗っているし、もう少しいけるんじゃないか……と思っていた矢先だったので、この現実を受け入れるにはもう少し時間がかかりそうです。

とはいえ、自分は「間違いなく素晴らしい作品だし、大好きだし、2018年を代表する1枚」という、最初にこのアルバムを聴いたときに感じた気持ちを大切にしたいと思います。



▼JUDAS PRIEST『FIREPOWER』
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投稿: 2018 03 31 12:00 午前 [2018年の作品, Judas Priest] | 固定リンク

2018年3月30日 (金)

RICHIE KOTZEN『MOTHER HEAD'S FAMILY REUNION』(1994)

1994年11月に発表されたリッチー・コッツェン通算4作目のソロアルバム。1992年にPOISONに加入し、翌年『NATIVE TONGUE』(1993年)を発表するものの、のちに脱退してしまうリッチーが、新たに取り組んだのがトリオ編成のバンドで、自身がボーカルを担当して『NATIVE TONGUE』路線のR&Bがかったロックアルバムを制作することでした。

メジャーのGeffen Recordsと契約して発表した最初の作品となる本作は、プロデュースをPOISONの『NATIVE TONGUE』やMR. BIG『ACTUAL SIZE』(2001年)などで知られるリッチー・ズィトーが担当。ちなみにリッチー・ズィトーはほかにCHEAP TRICKの復活作『LAP OF LUXURY』(1988年)BAD ENGLISHのデビュー作『BAD ENGLISH』(1989年)HEARTの『BRIGADE』(1990年)など産業ロック色の強い作品を中心に手がけており、これだけ知ると聴くのが不安になってくるのですが、今作ではリッチー・コッツェンの魅力を存分に活かした生々しい1枚に仕上げられています。

全体的にはハードロックというよりも、ブルースやR&Bをベースにした黒っぽいアメリカンロックに近い印象。リッチーの歌声も渋みにみちたものだし、ドラムのアトマ・アナーもHR/HMよりもフュージョンやソウルのそれに近いイメージがあります。が、いざギターソロに突入するとリッチー・コッツェンらしい速弾きがバシバシ登場。それをカッコいいと受け取るか、「こういう音なのに……邪魔!」と受け取るかで好き嫌いが分かれそうな気もします。

もともと速弾き/テクニカル系プレイヤー中心レーベルShrapnel出身という偏見が強かったので、個人的にも彼がPOISONに加入したときは「あんなヘタクソ集団に加わって大丈夫かよ?」と心配になったものですが(もちろんPOISONに対する心配です。おっと失礼)、結果はご存知のとおり。過去のPOISONにない魅力を引き出した、非常にブルージーでソウルフルなカッコいい1枚に仕上がっていました。

また、リッチーがポール・ギルバートの後釜としてMR. BIGに加入したときは、POISONやその後のソロ活動の成果もあり、「意外と合ってるんじゃない?」という好意的な声と「いやいや、ボーカリスト2人もいらないっしょ?」という否定的な声両方があったと記憶していますが、僕個人としてはリッチー在籍時に残された2枚は悪くないと思っています(好きか嫌いかはまた別ですが)。

そんな、何かと偏見を持たれやすいギタリスト/シンガーのリッチーの、本当の魅力が遺憾なく発揮された最初の作品がこのアルバム。これがなければ、のちの『WAVE OF EMOTION』(1996年/こちらも名盤)も生まれることはなかったでしょうし、THE WINERY DOGSというバンドも誕生しなかったはずです。そういう意味でも、本作は彼のキャリアを語る上で非常に重要かつ欠かせない1枚なのです。

ソウルフルなゴスペル風コーラスや隙間の多いバンドアンサンブル、そこを無理矢理埋めようとする音数の多いギターソロ。このアンバランスさを面白がれたなら、本作は絶対にあなたにとって大切な1枚になるはずです。ソウルの名曲「Reach Out I'll Be There」でさえ、あんなに弾きまくるリッチーの執念、僕は嫌いじゃないです。むしろこのアルバム、大好きなんですよ。だから、先日この企画で低価格再販されて非常に喜んでおります。あとは、普通に配信やストリーミングでも聴けるようになったら最高ですね!



▼RICHIE KOTZEN『MOTHER HEAD'S FAMILY REUNION』
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投稿: 2018 03 30 12:00 午前 [1994年の作品, Richie Kotzen] | 固定リンク

2018年3月29日 (木)

THE DEAD DAISIES『BURN IT DOWN』(2018)

前作『MAKE SOME NOISE』(2016年)で日本デビューを果たし、2度の来日公演で人気を確かなものにしつつあるTHE DEAD DAISIES。そんな彼らが、早くも4thアルバム『BURN IT DOWN』を日本先行でリリースしました。

前作発表後ブライアン・ティッシー(Dr)が脱退し、ディーン・カストロノヴォ(元JOURNEY、現REVOLUTION SAINTS)が加わった編成でレコーディングされた本作は、前作にあった軽やかさが減退し、全体的にヘヴィなビート&音像の“圧が強い”1枚に仕上がっています。

やっぱりドラマーが変わると雰囲気が変わるんだな、ってことをまざまざと見せつけられる本作は、冒頭の「Resurrected」から重いビートとヘヴィなギターサウンド、ジョン・コラビ(Vo)のよるスモーキーな歌声でダークな空気感を作り上げていきます。続く「Rise Up」もその延長線上にある1曲で、オープニングのギターこそブルージーながら本編に入るとやはりヘヴィになる「Burn It Down」や「Judgement Day」など、基本的にトーンが近い曲が並んでおります。これを良しとするか否かで、本作に対する評価は大きく分かれそうな気がします。

また、本作には日本盤ボーナストラック含め、カバー曲が2曲収められています。アルバム本編に登場する「Bitch」はかのTHE ROLLING STONESの定番曲。ソウルフルなロックンロールといった印象の原曲がヘヴィにアップデートされており、原曲に対する思い入れによって評価が割れそうな予感。個人的には「悪くないけど、絶賛するほどでもない」という仕上がりかな。もうひとつは、日本盤ボーナストラックの「Revolution」。THE BEATLESの名曲カバーですが、こちらはもともとヘヴィにアレンジしてもなんら違和感のないナンバーなので自然な仕上がりです。なんでこっちをアルバム本編に入れなかったんだろう?という疑問も残りますが、まあわかります。若干ポップになっちゃいますものね。にしても、ストーンズにビートルズっていうセレクトが、なんていうか……(まあ前作もTHE WHOとCCRだったしね)。

アルバム本編の話題に戻ります。後半には「Set Me Free」というソウルフルなロッカバラードがあるものの、続く「Dead And Gone」でヘヴィ路線へ逆戻り。ラストにアップテンポのロックンロール「Leave Me Alone」があってホッとしますが、個人的にはちょっと期待はずれな1枚だったかな。

適度なヘヴィさはもちろん必要だと思います。けど、このバンドの魅力って(特にジョン・コラビが加入してからは)コラビのハスキーかつソウルフルな歌声を活かしたAEROSMITH譲りのハードロックンロールだと思うんです。そこにダグ・アルドリッジ(G)が加わった前作で、そのハードさがよりモダンなものへと昇華されつつあった。バランスとしては最高だったんですよ。だからこそ、この行きすぎた感がちょっと残念でなりません。

これまでの作品にもヘヴィな楽曲は存在したけど、ちゃんとヘヴィな中にもR&Rらしいスウィング感が存在したんだけど……難しいですね、バンドって。



▼THE DEAD DAISIES『BURN IT DOWN』
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投稿: 2018 03 29 12:00 午前 [2018年の作品, Dead Daisies, The] | 固定リンク

2018年3月28日 (水)

MANIC STREET PREACHERS『FUTUROLOGY』(2014)

2014年7月にリリースされた、MANIC STREET PREACHERS通算12枚目のスタジオアルバム。前作『REWIND THE FILM』(2013年)から約10ヶ月という過去最短のインターバルで発表された本作は、その『REWIND THE FILM』と同時期に制作された対になる1枚です。

前作で自身のルーツや老いと向き合い、枯れと哀愁が強く打ち出されたアコースティカルな作品だったのに対し、今作はシンセサイザーを多用したモダンなテイスト。また、前作が過去との対峙だとしたら、今作はそのタイトルからもわかるように未来を見据えた方向性ということになるのでしょうか。実際、前作の“ナマ感”とは相反し、本作はリバーブ強めのスペーシーなサウンドメイキングが施されています。

ただ、ここで彼らが言う未来とは子供の頃に彼らが思い描いた近未来なのかな、と。特にサウンド的にはそういうイメージを受けます。80年代のニューウェイブ以降といいましょうか……今となっては決して新しいことをやっているわけではないんだけど、80年代リアルタイム世代が聴くとなんとなく近未来感を思い浮かべてしまうような、そんな音。そりゃあマニックスがいきなりRADIOHEAD『KID A』(2000年)みたいなアルバムを作ることなんて想像できないので、これはこれで納得なんですけどね。

楽曲的にもどこか無機質感の強いメロディが多く、ジェームス・ディーン・ブラッドフィールド(Vo, G)お得意の張り上げるように高音で歌うスタイルは抑え気味。オープニングを飾る「Futurology」にしても、オープニングを聴くと王道のマニックスナンバーかと錯覚しますが、そのメロディは常にトーンが抑え気味。「Walk Me To The Bridge」がもっとも従来のスタイルに近いのではないでしょうか。この曲が1stシングルになったのも納得です。

かと思えば、ダークな色合いの「Let's Go To War」やドイツの女優ニーナ・ホスをフィーチャーしたひんやり感の強い「Europa Geht Durch Mich」、マニックスと同じウェールズ出身の女性シンガーソングライター、ジョージア・ルースのボーカル&ハープが印象的なスローナンバー「Divine Youth」、ラップ調の歌い回しが新鮮なパワーチューン「Sex, Power, Love and Money」など、とにかく1曲1曲の個性が強い。そのメロディは以前のマニックスと比べると一風変わったものも多く、そのへんが違和感を与える要因になっているかもしれません。

が、聴けば聴くほど、これがクセになるのも確か。ファンが彼らに求める爆発力のあるアンセムは皆無かもしれませんが、MANIC STREET PREACHERSというバンドをこの先も続ける上で『REWIND THE FILM』と『FUTUROLOGY』での試み間違いなく必要な実験だったのです。そして、『REWIND THE FILM』が自身のルーツであるウェールズという場所と向き合った作品だとしたら、この『FUTUROLOGY』はもっと広く、ヨーロッパという地域と対峙した作品と言えるのではないでしょうか。それがドイツ語をフィーチャーした楽曲や、その独特なメロディラインに表れているような気がしてなりません。

『EVERYTHING MUST GO』(1996年)路線を求めるファンには不評だった『REWIND THE FILM』と『FUTUROLOGY』。僕は『THE HOLY BIBLE』(1994年)と同じくらい重要なアルバムでだと思っているし、実際はそこに並ぶとまでは言わないものの、かなりお気に入りの2作品です。中でもこの『FUTUROLOGY』は、『LIFEBLOOD』(2004年)以降でもっとも“しっくりくる”1枚です。



▼MANIC STREET PREACHERS『FUTUROLOGY』
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投稿: 2018 03 28 12:00 午前 [2014年の作品, Manic Street Preachers] | 固定リンク

2018年3月27日 (火)

SUPERCHUNK『WHAT A TIME TO BE ALIVE』(2018)

アメリカの4人組オルタナロックバンドSUPERCHUNKの4年半ぶり、通算11枚目のオリジナルアルバム。彼らのアルバムは毎回すべてチェックしているわけではなく、何枚か聴いて気に入っているといった程度のリスナーですが、本作はとにかく素晴らしいと素直に思える1枚。

前作『I HATE MUSIC』(2014年)も聴いていましたし、あれも素晴らしい1枚だと思っているのですが、今作は予想していた以上といいますか。いや、正直言えばそんな良し悪しを気にせずに接した1枚でした。ふいに手にした1枚が、極上の1枚だった。だからこそ、驚きも大きかったわけです。

メンバーは本作発表に際して、「自分達が住み、そして自分達の子供が成長しようとしている周辺の状況を完全に無視したレコードをつくることは、バンドをやっている者、少なくとも今の自分たちのバンドにとっては奇妙なことなんだ」というコメントを発表しています。つまり、今作では現在のドナルド・トランプ政権に対する絶望と怒りが表現されていると。それがこのアグレッシヴなサウンドにも反映されているんでしょうね。

とにかくラウドで前のめりで力強い。「Lost My Brain」「Break The Glass」「Bad Choices」「Cloud Of Hate」など、どこかネガティヴさが感じられるタイトルがずらりと並びますが、実際にアルバムを聴くと悲惨さや絶望は感じられず、むしろ状況を変えようと前進していくことを選んだバンドの強い意志すら感じられます。メンバーの言葉じゃないですが、まさに「これは悲惨で落ち込んでいる状況についてのレコードだけど、聴いていても悲惨で憂鬱に感じるようなレコードではない」と。ホント、救いのあるアルバムだと思います。

全11曲(日本盤ボーナストラックを除く)で32分というトータルランニングも素晴らしく、その熱量と勢いと相まって、あっという間に聴き終えてしまう。気づけばまた最初からリピートしているし、何度聴いても飽きが来ない。それは楽曲の持つパワーはもちろんのこと、優れたメロディとバンドアンサンブルによるものも大きいのかなと。ただパンキッシュで速い曲だけではないし、ラストにはじっくり聴かせるミディアムナンバー「Black Thread」も控えている。この余韻を残す終わり方が、また聴きたいという思いにつながるのかもしれませんね。

オルタナロックファンやパワーポップリスナーにはもちろんのこと、初期のFOO FIGHTERSあたりがお気に入りのハードロックファンにも絶対にひっかかりの多い、スルメ的な1枚だと思います。



▼SUPERCHUNK『WHAT A TIME TO BE ALIVE』
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投稿: 2018 03 27 12:00 午前 [2018年の作品, Superchunk] | 固定リンク

2018年3月26日 (月)

THE DARKNESS『PINEWOOD SMILE』(2017)

イギリス出身の4人組バンド、THE DARKNESSが2017年10月に発表した通算5枚目のスタジオアルバム。2011年の再結成以降、『HOT CAKES』(2012年)、『LAST OF OUR KIND』(2015年)と個性的で良質なロックアルバムを定期的に発表し続けている彼らですが、本作では前作『LAST OF OUR KIND』の制作終盤に加入したルーファル・タイガー・テイラー(Dr)が全面参加(前作は1曲のみ参加)。このルーファル、QUEENのドラマーであるロジャー・テイラーの実子とあって、いろんな意味で注目が集まりました(ルックスもそっくりですしね)。

さて、気になる新作ですが、本国イギリスでは『HOT CAKES』以来のトップ10入り(8位)を記録し、まずまずの結果は残せているのかなと。個人的にも前作より気に入っている1枚です。

ノリのよいオープニングナンバー「All The Pretty Girls」から、ジャスティン・ホーキンス(Vo, G)のファルセットボイス炸裂。AC/DCを思わせるガッズのあるハードロック「Solid Gold」や、前のめりで突っ走る「Southern Trains」など個性的な楽曲がずらりと並び、序盤の掴みは完璧だと思います。

かと思えば、5曲目にソウルフルで軽やかなバラード「Why Don't The Beautiful Cry?」でリラックスしたり、メタリックなリフとQUEEN的ポップさを兼ね備えた(タイトルにニヤリとしてしまう)「Japanese Prisoner Of Love」、AOR的な香りさえ感じる「Lay Down With Me, Barbara」と続く中盤のバラエティ豊かさも素晴らしいの一言。

ここまで書くと「あれ、中身ってかなりバラバラなんじゃ?」と思うかもしれませんが、まったくそんなことはなく。多彩さはもちろんあるのですが、それを的確な演奏とジャスティンの芯が通った歌で表現することで、しっかり同じバンドが演奏している、同じバンドの作品と体感することができる。つまり、初期のQUEENにも通ずる個性があるんじゃないかと思うわけです。そういった点は、デビューアルバム『PERMISSION TO LAND』(2003年)の頃から一切ブレてないんじゃないかと思います。ただ、表現したいこと、挑戦したいことの幅は当時と比べてだいぶ拡散方向にありますけどね。

現代的ブリティッシュハードロックというよりも、もっと大きく、ブリティッシュロックの現代版という括りが似合うTHE DARKNESSの最新形。実はHR/HMファンよりも、古き良きブリティッシュロックを愛聴してきた層にこそ届いてほしい1枚かもしれません(ジャケのセンスの悪さも、意外と響くものがあるんじゃないかと)。あるいは、最近のTHE STRUTSあたりのバンドに興味を持った若いリスナーにも、ひっかかるものがあるのではと。

単なる焼き直しではなく、伝統を継承しつつも今を生きるバンドとして新しいものを生み出そうとする姿勢は、素直に尊敬に値します。こういうバンドがもっと報われるロックシーンになってほしい。そう願わずにはいられません。個人的にも『PERMISSION TO LAND』の次に好きな作品です。



▼THE DARKNESS『PINEWOOD SMILE』
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投稿: 2018 03 26 12:00 午前 [2017年の作品, Darkness, The] | 固定リンク

2018年3月25日 (日)

ANDREW W.K.『YOU'RE NOT ALONE』(2018)

ANDREW W.K.世界共通の新作としては、日本未発売の『55 CADILLAC』(2009年)以来実に9年ぶりの新作。特にここ日本では2008〜9年にかけてJ-POPカバーアルバムやガンダムカバーアルバムなど企画モノを連発したおかげで、“過去の人”的なイメージで語られる機会も増えていました。そこから数えても9年、周りにはデビューアルバム『I GET WET』(2001年)の衝撃を知らない若いリスナーも増えています。

そんな中、満を辞して発表された通算5枚目のオリジナルアルバム。路線的には2ndアルバム『THE WOLF』(2003年)や3rdアルバム『CLOSE CALLS WITH BRICK WALLS』(2006年)に近いのかなと(前作『55 CADILLAC』は毛色の違う異色作でしたし)。

そもそも、アルバムタイトルの『YOU'RE NOT ALONE』からして、ANDREW W.K.“っぽく”ない。「あれ、大丈夫?」と不安になったのは僕だけはないはず。で、実際にアルバムを聴くと、オープニングの仰々しいインストナンバーから続く「Music Is Worth Living For」……あれ、こんなだっけ? あ、でも最近はこんなだったか……と難しい顔をしている自分がいる。聴き進めるうちに、我々がイメージする“パーティソング”もいくつか顔を覗かせるのだけど、その勢いもデビュー作と比べたら落ち着き払ったもので、どこかお上品。鼻血を流しながらパーティ!パーティ!していた時代は今は昔。ああ、こうやってみんな大人になっていくのか、と肩を落としたのでした。

が、だからといって本作のクオリティが低いものかと言われたら、そこはまた話は別。パーティの質は確かに変わったものの、楽曲そのものは非常に練り込まれており、リスニングに耐えうるものばかり。1曲1曲の曲間がかなり短いせいで、組曲のように聴こえる構成があったり、優雅なサウンド&世界観が影響してか、どこかコンセプトアルバムのように思えたり。『THE WOLF』から顕著になったQUEENへの憧れが、本作では独自の形でオリジナルなものへと昇華されたのかな、そんな気がします。

だからこそ、このアルバムはもっとゴージャスなサウンドプロダクションで聴きたかったな。例えば往年のDEF LEPPARD的なビッグプロダクションで。それが似合う楽曲たちだと思うし、それを今ちゃんとした形でやれる人だと思うのですよ。もちろん、それに近いことをやってくれてはいるのですが、『I GET WET』の頃と比べるとどうしても1音1音のアタックが弱いような。それがメジャー資本とインディーズとの違いなのか、あるいは今やりたいこととしてのこだわりなのかはわかりませんが……。

ファンの求めるANDREW W.K.像とのズレ、この音ならもっとこうやれたんじゃ……という惜しさ含め、9年ぶりの新作(日本では数々の企画盤や『55 CADILLAC』をなかったことにして、『CLOSE CALLS WITH BRICK WALLS』以来12年ぶりと謳ってます)のわりには……と思ってしまうのが正直なところ。曲が良いだけに、余計にね。でも、ライブを観たら印象がまた変わるのかなぁ。嫌いになれない作品だけに、そう願いたい。



▼ANDREW W.K.『YOU'RE NOT ALONE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / iTunes

投稿: 2018 03 25 12:00 午前 [2018年の作品, Andrew W.K.] | 固定リンク

2018年3月24日 (土)

PANTERA『OFFICIAL LIVE: 101 PROOF』(1997)

1997年夏に発表されたPANTERA初のライブアルバム。今でこそ旧譜のデラックス盤に過去のライブ音源がまとまって収録されていますが、バンド在籍中にPANTERAが発表したオフィシャルなライブアルバムは本作のみ。それが本タイトルに集約されていると思います。

収録された音源は、タイミング的に前年1996年春に8thアルバム(メジャーからの4作目)『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』を発表し、そのツアーを1997年にかけて行なっていた時期のもの。が、このツアーがまた厄介なものでして。というのも、1996年7月にフィル・アンセルモ(Vo)がヘロインの過剰服用により一時的に心肺停止という事件がありまして。こういったトラブルのせいで、フィルと他メンバーとの関係性は非常に難儀なものへ。非常に危うい時期だったことは間違いありません。

が、だからといってライブもひどいかというとまったくそんなことはなく、むしろ『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』という凶暴なアルバムを発表したあとのライブらしい、非常にアグレッシヴなパフォーマンス&プレイを楽しむことができます。

選曲的にも『COWBOYS FROM HELL』(1990年)以降のメジャー4作品からのベストセレクトで、「Mouth For War」や「The Great Southern Trendkill」といった人気曲こそ選外なものの、それ以外は非常に文句なしの選曲だと思います。また、ここで聴けるプレイもベストと呼ぶにふさわしい最高の状態のものばかり。ドラムのリバーブ感に違和感を覚える人もいるかもしれませんが、それ以外(特にギターサウンド)に関してはスタジオ作にも匹敵するクオリティではないでしょうか。このバンドらしい完璧主義ぶりも感じられ、と同時にライブならではの自由度の高いプレイも楽しめる。ダイムバッグ・ダレルのプレイはこれでもかといわんばかりにワイルドだし、それに負けないくらいフィルのボーカルもハードコアを超えたハードコアさ(なんじゃそりゃ)がにじみ出ている。これを最高と呼ばずになんと呼ぶよ?

ライブ音源14曲のあとには、本作用に録音された新曲2曲「Where You Come From」「I Can't Hide」を収録。前者はいかにもPANTERAらしいグルーヴィーなミドルチューンで、後者はひたすら突っ走る2分少々のショートチューン。どこか正統派ヘヴィメタル的な香りも感じられ、初期のPANTERAを思い浮かべるリスナーもいるかもしれませんね。個人的には前者はイマイチですが、後者はお気に入りだったりします。まあ、あくまでメインはライブ音源でこの2曲はオマケ程度に考えるのが正しいと思います。

もはや目にすることができないPANTERAのライブ。映像で楽しむのはもちろんですが、こうやって音源を聴いてイマジネーションを広げたりするのも楽しいのではないでしょうか。



▼PANTERA『OFFICIAL LIVE: 101 PROOF』
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投稿: 2018 03 24 12:00 午前 [1997年の作品, Pantera] | 固定リンク

2018年3月23日 (金)

MEGADETH『RUDE AWAKENING』(2002)

2002年3月に発表された、MEGADETHのキャリア初ライブアルバム。当時は前年2001年5月に9枚目のアルバム『THE WORLD NEEDS A HERO』を発表したばかりで、このライブアルバムの音源も同作を携えて行われた2001年11月のアリゾナ州フェニックスでの公演を収めた内容となっています。また、同じタイミングには同公演の映像を収めた同名ライブDVDも発売されています。

当時のメンバーはデイヴ・ムステイン(Vo, G)、デイヴ・エルフソン(B)、アル・ピトレリ(G)、ジミー・デグラッソ(Dr)という布陣。ファン的にはそこまで強い思い入れのない編成かと思います。ニック・メンザ(Dr)が抜け、マーティ・フリードマン(G)が抜けた1999年の時点でMEGADETHに対する人気は(ここ日本以外では)少しずつ落ち始めていた時期であり、2000年には初のベストアルバム『CAPITOL PUNISHMENT: THE MEGADETH YEARS』が発表されたり(同作をもってメジャーのCapitolとの契約終了)、起死回生を狙った『THE WORLD NEEDS A HERO』のあとにこの『RUDE AWAKENING』という2枚組ライブアルバムを発表したのも、バンドの意思云々ではなく各レーベルの「儲けられるうちに儲けておけ」という気持ちの現れだったのかもしれません。

なんてネガティヴなことを書きましたが、それは内容の良し悪しとは関係のないこと。『THE WORLD NEEDS A HERO』発表後のツアーを収めたものではありますが、そのセットリストは“The Greatest Hits of MEGADETH”と呼ぶにふさわしいもの。CD2枚分、全24曲も収録されているので、あの頃までのライブの定番曲、人気曲、MVが制作されたおなじみの曲はほぼ収録されていると思います。唯一、SEX PISTOLSのカバー「Anarchy In The U.K.」が含まれていないことくらいかな、難点をつけるなら。あ、あと『RISK』(1999年)の楽曲も完全スルーか。「Crush 'Em」とまでは言わないものの、せめて「Prince Of Darkness」ぐらいは入れてほしかったかも。でも、それらがないとしても特に不満はない、らしい仕上がりだと思います。

演奏に関しても、アル&ジミーのプレイはそつなくこなす職人肌だけに、原曲にできるだけ忠実に再現しようとする意識が感じられます。が、それじゃダメなんですよね、このバンドの場合。結局、なぜクリス・ポーランドが、マーティ・フリードマンが、グレン・ドローヴァーが、そしてキコ・ルーレイロがすごかったのか……そこに行き着くわけです。MEGADETHには職人はいらないんです。

結局、このアルバムをリリースした翌月の2002年4月、ムステインが腕の橈骨神経麻痺を理由に音楽活動を休止することを発表。そのままバンドも解散することになるわけです。いろんな偶然が重なったとはいえ、この結末には当時本当にガッカリしたというか……ダメになるときはとことんダメになるんだなと悲しくなりました。

まあ、そんな悲しみもそこから2年ちょっとで吹き飛ばされるわけですけどね(笑)。

ちなみに、この印象的なアートワークを手がけたのは有名なアート集団「HIPGNOSIS(ヒプノシス)」の一員だった、ストーム・トーガソン。ラトルヘッド(MEGADETHのマスコットキャラ)が出てこない時点で“ぽくない”ですが、これはこれで良いジャケだと思います。まったくライブ盤ぽくないですけど。



▼MEGADETH『RUDE AWAKENING』
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投稿: 2018 03 23 12:00 午前 [2002年の作品, Megadeth] | 固定リンク

2018年3月22日 (木)

MINISTRY『AMERIKKKANT』(2018)

MINISTRYの4年半ぶり、通算14作目のスタジオアルバム。前作『FROM BEER TO ETERNITY』(2013年)を最後にもうオリジナルアルバムは作らないなんて話があったような気がしますが、アル・ジュールゲンセン(Vo, G)はこのアルバムを作らずにはいられなかった。そういうことなんでしょう。

それもそのはず、本作は現在のアメリカでのドナルド・トランプ政権に対する怒りが大きなきっかけになっているのですから。

これまでもMINISTRYは『PSALM 69: THE WAY TO SUCCEED AND THE WAY TO SUCK EGGS』(1992年)を筆頭に、ブッシュ政権を批判する楽曲や作品を発表しています。こういったポリティカルな要素はアルにとって、創作活動における大きな起爆剤になっていることは間違いないでしょう(もちろん、それがすべてだとは言いませんが)。

そして、アルはただトランプ政権を批判・攻撃するだけではなく、そういった人物を国のトップに選んだ社会に対する批判もこのアルバムで繰り広げています。それがまさしく、アルバムタイトルである『AMERIKKKANT』に示されているのでしょう。

とにかく、本作に関しては対訳の付いた国内盤を購入して、アルが表現したいこと、伝えたいことをしっかり理解してほしいところです。

そして、サウンドについて。お聴きいただけばわかるように、“これぞMINISTRY”というインダストリアルサウンドが終始展開されています。序盤こそヘヴィなミドルチューンが続くように思われますが、M-3「Victims Of A Clown」の終盤から始まるデジタルスラッシュビート……おなじみの“TVシリーズ”最新章「TV5/4 Chan」に続いて、突っ走りまくりの「We're Tired Of It」へと流れる構成は、往年のファンなら思わず手に汗握るものなんじゃないでしょうか。

後半もグルーヴィーな「Wargasm」、パワフルなインダストリアルビートが気持ち良い「Antifa」や「Game Over」、本作の主題ともなるエピックナンバー「AmeriKKKa」と、好きな人にはたまらない内容と言えるでしょう。とうことは、初心者には……決してキャッチーな作品とは言い切れないので、初めてMINISTRYの作品を手に取る人には本作はちょっとだけ難易度が高い1枚かもしれません。しかし、時代と対峙するという点においては、今このタイミングに聴いておくべき重要な“パンク”アルバムとも言えるでしょう。

なお、本作にはFEAR FACTORYのフロントマン、バートン・C・ベルが数曲にゲスト参加しています。さらに、N.W.A.のオリジナルメンバーのひとり、アラビアン・プリンス、ベックのバックバンドなどでおなじみのDJスワンプなども名を連ねています。このへんの名前にピンと来た人、ぜひチェックしてみてください。

なお、個人的には本作、ここ数作の中で一番好きな1枚です。



▼MINISTRY『AMERIKKKANT』
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投稿: 2018 03 22 12:00 午前 [2018年の作品, Beck, Fear Factory, Ministry] | 固定リンク

2018年3月21日 (水)

CORROSION OF CONFORMITY『NO CROSS NO CROWN』(2018)

CORROSION OF CONFORMITYの通算10作目となるスタジオアルバム。前作『IX』(2014年)から約3年半ぶり、ペッパー・キーナン(Vo, G)が復帰して初のスタジオ作品となります。ちなみに、ペッパーが最後に参加したアルバムは2005年の7thアルバム『IN THE ARMS OF GOD』が最後。前作『IX』ではソングライターとして参加していたように、バンドとの関係はそこまで悪くなかったようです。

個人的にCOCというと、1991年の『BLIND』(このときは専任シンガーが在籍しており、ペッパーは数曲のみでボーカルを披露)、1994年の『DELIVERANCE』、そして1996年の『WISEBLOOD』の3枚あたりがバンドとしての人気のピークかなと考えています。もちろん、マイク・ディーン(B, Vo)が歌う時代も嫌いじゃないですが、どうにもペッパーの印象が強くて。だからこの3枚の中でも特に『DELIVERANCE』と『WISEBLOOD』は、今でもお気に入りだったりします。

で、今回の新作ですが……多くのリスナーが想像するとおりのCOCのサウンドが展開されています。つまり、BLACK SABBATHからの影響を強く感じさせるストーナーロック的なハードロックサウンドに、サザンロックのようにレイドバックしたアーシーなサウンドをミックスしたもの。ミドルテンポ中心の、引きずるように重いビートと、聴き手を不安にさせる不穏なギターリフ、そしてペッパーによる適度にメロウ、だけどひたすら叫ぶようなボーカル。例えば今のバンドだったら、BLACK LABEL SOCIETYあたりに通ずるヘヴィさとキャッチーさを兼ね備えた存在といえばわかりやすいでしょうか。

もちろん、ただヘヴィ一辺倒というわけではなく、アルバム中盤にはアコースティックギター主体の短尺インスト「Matres Diem」があったり、サイケデリック感とカオティックなヘヴィさをミックスさせた「Nothing Left To Say」、不穏な効果音と不気味なコーラス隊が加わったダーク&スローな「No Cross No Crown」みたいなフックとなる楽曲も存在する。そういう緩急を経て、ラストにダイナミックな「A Quest To Believe (A Call To The Void)」で大団円を迎えるという構成は圧巻の一言です。50分以上もあるボリューミーな作品ですが、この“圧”のおかげで、実はそれ以上にも感じられるほど、とにかく緊迫感の強い1枚です。

ちなみに、日本盤にはラストにQUEENのカバー「Son And Daughter」を追加収録。あのQUEENならではのオーケストレーションも見事に再現されていますが、COCらしく“どヘヴィ”に生まれ変わったこのアレンジもなかなかのものがあります。オマケ以上の価値がある1曲なので、興味があったらぜひ日本盤を手にとってみてください。

このアルバムを携えて、久しぶりの来日公演にも期待したいところ。僕が最後に観たのは、確かOUTRAGEと共演したときだから、もう20年以上も前ですね……せっかく久しぶりに日本盤が出たのだから、ぜひフェスでの再来日を願っております。



▼CORROSION OF CONFORMITY『NO CROSS NO CROWN』
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投稿: 2018 03 21 12:00 午前 [2018年の作品, Corrosion of Conformity] | 固定リンク

2018年3月20日 (火)

SKINDRED『VOLUME』(2015)

SKINDREDが2015年10月(UK/日本は11月)にリリースした通算6作目のオリジナルアルバム。日本ではデビュー作(通算2作目)の『ROOTS ROCK RIOT』(2008年)以降、毎回リリース元が異なっていましたが、この『VOLUME』が好評だったこともあってか、間もなく日本先行リリースされる新作『BIG TINGS』は引き続きビクターから日本盤が発表されるとのこと。こうやって安定してくれたら、日本にも呼びやすいんじゃないでしょうか。特に『VOLUME』を携えた来日公演は2度も実現しただけに、ぜひ今後も定期的に日本でライブをしてもらいたいものです。

さて。そんなSKINDREDのことを昨年秋の『LOUD PARK 17』でちゃんと知った、ちゃんと聴いたというメタルファンも少なくないのではないでしょうか。特に年季の入ったメタラーにとっては、ラガメタルと呼ばれるミクスチャーロックサウンドは敬遠されがちですからね。

このSKINDREDって2000年代半ば以降に日本で盛り上がり始めたラウドロックシーンとの親和性が非常に高く、それによってCrossfaithやSiMのようなバンドのと交流も深まっていった。そういった事実が、頭の固いリスナーからは敬遠される要因にもなったかもしれません。

しかし、この『VOLUME』ってアルバム、ゼロ年代以降のモダンヘヴィネスを通過したヘヴィメタル、もっといえば90年代後半のSEPUTLURAKORN以降のグルーヴィーなヘヴィロックバンドを愛好する人なら絶対に気にいる要素満載なんです。

実際にこのアルバムを聴くと、そこまでレゲエレゲエした楽曲はほんの数曲で、むしろヘヴィでノリの良い楽曲の上にレゲエをイメージさせる心地よい歌メロが乗っているものが大半。基本的にはその程度のノリなんですよ。ギターも適度にザクザクしていてヘヴィだし、ベースのゴリゴリ感やドラムの1音の重み、低音を強調したサウンドメイクは完全にゼロ年代以降のモダンなヘヴィメタルそのもの。そりゃあオールドスタイルの王道メタルだけが好きって人には厳しいかもしれませんが、現代的なサウンドに寛容なリスナーなら少なからず引っかかる要素は存在しているはずなんです。

本作はDJやエレクトロ系のサウンドメイクを担当するダン・スタージスが加入し、正式に5人編成となって初めて制作した1枚。が、ダンはこのアルバムを携えたツアー中にバンドを脱退。先の『LOUD PARK 17』はもとから在籍する4人で実施されました。

そういったサウンドエフェクトはインタールード含め、味付けとしては非常に面白いものがありますが、昨年のライブを観た人ならおわかりのとおり、特にそういった要素を排除してもバンドとしての魅力に何ら変化はない。そういったバンドの基礎体力が、間もなくリリースされる新作には反映されていることでしょう。

とにかく。ラガメタルだとかミクスチャーだとか、そういった小難しい枠は無視して、爆音で楽しみたいヘヴィロック/メタルアルバムの1枚。新作発表を前に、ぜひ復習してみてはいかがでしょう。



▼SKINDRED『VOLUME』
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投稿: 2018 03 20 12:00 午前 [2015年の作品, Skindred] | 固定リンク

2018年3月19日 (月)

OZZY OSBOURNE『BLIZZARD OF OZZ』(1980)

先ごろツアーからの引退を発表し、次が最後のワールドツアーになるとアナウンスしているオジー・オズボーン。40代以上のメタルファンなら、オジーのこういった発言はこれが初めてじゃないことぐらいご存知でしょう。1991年、これが最後のツアーだと言われて無理して観に行った日本武道館公演。『NO MORE TEARS』(1991年)発売直後、確かワールドツアーのスタートがここ日本だったと記憶しています。2階席の一番後ろで観たザック・ワイルドは、やっぱり最高でした(そっちかよ)。

で、ご承知のとおり、オジーはその後何度もワールドツアーを行っておりますし、ここ日本にも何度も訪れております。しかも(ごく個人的な話になりますが)、その一環でオジー本人にインタビューする機会まで得ることになるとは……1991年の武道館を半泣き状態で観ていた自分に伝えてやりたいくらいです。

とはいえ、すでにオジーも69歳。長期にわたり世界中を旅して、毎日90分以上ものショーを行うには厳しい年齢です。フェアウェルツアーといいながら、おそらく2年は続くでしょうから、終わる頃には70歳を超えているわけですし、ここが引き際なのは間違いないでしょう。

そんなオジーのソロ活動における原点となるのが、今回紹介する『BLIZZARD OF OZZ』。今さら説明は不要でしょう。名盤中の名盤にして、伝説のギタリストであるランディ・ローズがオーバーグラウンドに羽ばたいた記念すべき1枚なのですから。

実は僕、これらのアルバムに収録されている楽曲を最初に聴いたのは、1987年発売のライブアルバム『TRIBUTE』から。なので、ライブバージョンでのラフな演奏のイメージが強くて。そのすぐあとに本作や、続く『DIARY OF A MADMAN』(1981年)のスタジオテイクを聴いたら、やたらと軽くてポップに聴こえちゃって。しばらくは受け入れがたかったんですよ。

けど、曲の良さはまったく変わらないわけで。もちろん、今は大好きですよ、このスタジオアルバムのほうも。

にしても、70年代にリアルタイムでBLACK SABBATHと接していたリスナーからしたら、このアルバムって当時どう映ったんでしょうね。確かにオジー時代の後期サバスには本作にもあるようなポップさも混在しているんですが、どちらかというと野暮ったさが強い。けど、この『BLIZZARD OF OZZ』は全体的に洗練されている。ギターリフの構成もソロの組み立て方も、メロディラインもすべて。そこが聴きやすさ=ポップさに直結しているんでしょうね。これをライブではワイルドに表現するわけですから、完璧ですよ。

「Crazy Train」も「Mr. Crowley」もよくコピーしたなあ。いまだにこの2曲はソロ含めてがっつり弾きたくなります。奥が深いんですよね、ギターソロが。

2000年代に入るとリマスターされたり、権利関係でリズム隊がロバート・トゥルージロ(B)&マイク・ボーディン(Dr)のプレイに差し替えられたりといろいろありましたが、現在はボーナストラック3曲を追加した形で、オリジナルテイクに戻されています。そんな曰く付きなのもあって、結局はシンプルな『TRIBUTE』に戻ってしまったり(笑)。なんつって。



▼OZZY OSBOURNE『BLIZZARD OF OZZ』
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投稿: 2018 03 19 12:00 午前 [1980年の作品, Ozzy Osbourne] | 固定リンク

2018年3月18日 (日)

STONE TEMPLE PILOTS『STONE TEMPLE PILOTS (2018)』(2018)

前作『STONE TEMPLE PILOTS』(2010年)と同タイトルですが、内容は別モノとなるSTONE TEMPLE PILOTS通算7作目のオリジナルアルバム。フルアルバムとしてはスコット・ウェイランド参加最終作であり、彼の復帰後最初で最後のアルバムとなった『STONE TEMPLE PILOTS』以来8年ぶり、新音源としてはそのスコットの後任としてLINKIN PARKから兼任参加したチェスター・ベニントンとのEP『HIGH RISE』(2013年)以来5年ぶり。まあとにかく、ここ数年のストテンはツイてない。解雇したスコットは2015年12月に、やはりというかドラッグのオーバードーズで死去。さらに2017年7月にはLINKIN PARKへと戻っていったチェスターも自殺と、歴代シンガーをことごとく不幸な形で失っているのですから。

しかし、バンドとして歩みを止めることなく、ストテンは2016年秋に新ボーカリストオーディションを開始。その結果はしばらく発表されることなく、彼らは水面下で後任を決め、そのままレコーディングに突入。しばらく沈黙を貫き(チェスター死去のときはコメント出しましたが)、昨年11月に新メンバーとしてジェフ・グートが加わったことと、新曲「Meadow」の配信を発表し、年明け2月にはアルバムリリースがアナウンスされたのでした。

「Meadow」を聴いた時点で、まあボーカリストが変わろうがストテンはストテンのままなんだろうな、とは思っていましたが……アルバムも“まんま”でした。もちろん良い意味で。

ジェフ・グートの歌声は決してアクが強いというわけではないものの、どことなくスコットにもチェスターにも似てるような印象もあり(そう聞こえてくる瞬間が多々あり)、前任たちからかけ離れているとは思えない。もちろん、ディレクションによって歌い方を“寄せている”のもあるんでしょう。20年以上にわたり貫きとおしてきた信念を強く感じさせる仕上がりです。

楽曲自体も適度にハード、かつ適度にポップ。最初の解散前にあったサイケデリックな要素もしっかり兼ね備えており、ある種の集大成感すら感じさせます。が、思えば前作『STONE TEMPLE PILOTS』(タイトルややこしい)の時点で「再結成一発目にしてセルフタイトル」を名乗っていたのですから、あの時点で「今自分たちがやるべきこと=集大成的作品を作ること」というコンセプトがあったと思うんです。実際、そういうアルバムだと思いましたし(もちろん、ただの“焼き直し”だけでは終わっていませんでしたが)。

そういう点において、今作も同じコンセプトのもとに制作されているように感じるのですが、ただ前回と今回は同じ“立て直し後一発目”でも、そこへ向かうまでの経緯やメンバーのテンションもまったく異なるもの。特に今回は少なからずどんよりした空気を抱えていたでしょうし……。そこを打ち消すことができたのは、やはりフレッシュな新メンバーのおかげなんでしょうね(フレッシュといいながら、ジェフはすでに40歳オーバーですけどね)。それに、無駄に若くてメラメラな奴ではなく、ある程度落ち着き払った、それなりにキャリアのある人間を迎えたのも大きいのかなと。

もしあなたが過去のストテンの作品に少しでも触れたことがあり、1枚でも好きなアルバム、1曲でも好きなナンバーがあるのなら、本作にはあなたの琴線にっ触れる要素があるはずです。むしろ、「ボーカルが違う」「オリメンじゃない」なんてつまらないことにこだわらなければ、今までの“続き”として普通に楽しめることでしょう。衝撃こそないけど、いつ何時でも安心して楽しめる1枚。



▼STONE TEMPLE PILOTS『STONE TEMPLE PILOTS (2018)』
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投稿: 2018 03 18 12:00 午前 [2018年の作品, Stone Temple Pilots] | 固定リンク

2018年3月17日 (土)

BON JOVI『THIS HOUSE IS NOT FOR SALE (2018 VERSION)』(2018)

3月10日付けの米・Billboardアルバムチャート「BILLBOARD 200」にて、2016年11月発売のBON JOVIのアルバム『THIS HOUSE IS NOT FOR SALE』が1年3ヶ月ぶりに1位を獲得したことをご存知でしょうか。発売から数週でトップ200圏外へと落ちたアルバムが、1年以上経ってからいきなり1位まで上昇するって、通常では考えられないことなんですが、一体何が起きたんでしょう?

実はこれ、簡単なカラクリで。3月14日から始まる全米アリーナツアーのチケットにアルバムCDを付けたらしく(これ自体は付ける/付けないの選択が可能)、35万枚以上ものチケットに対して12万枚分のCDが新たに売れたと(詳細はこちら)。そりゃあいきなり1位になりますよね。最近ではMETALLICAあたりもこの手法を使っており、彼らも2016年発売のアルバム『HARDWIRED... TO SELF-DESTRUCT』を昨年1年間で50万枚近く売り上げています。日本でもかなり前にEXILEが同様の手法を取りましたが、今はこの形態ではチャートに計上されないんでしたっけ。なんにせよ、アルバムをまだ買ってない、ストリーミングでしか聴いてないけどライブには行きたいって人にはフィジカルに触れてもらう、よいきっかけになるかもしれませんね(押し売りにさえならなければね)。

で、話をBON JOVIに戻しますと、彼らは2月末に『THIS HOUSE IS NOT FOR SALE』に新曲2曲を追加したリイシューバージョンをデジタルアルバム&ストリーミングのみで発表しています。これにより以前のバージョンから既存曲が外されるということもなく、単に頭に新曲2曲を追加し、3曲目からは既存のアルバムどおりのトラックリストのまま。アルバム頭の印象が大きく変わる程度かと思いきや、意外とアルバム序盤の雰囲気がガラッと変わるんじゃないかと思うのです。

アルバムオープニング曲となった新曲「When We Were Us」は、メジャーキーのアップチューン。軽快なリズムとディレイを効かせたギターリフ、ダイナミックなアレンジがいかにもBON JOVIといった印象で、マイナーキーのハードロック「This House Is Not For Sale」から始まる以前のバージョンとは冒頭の印象がガラッと変わりました。ゼロ年代中盤以降のアメリカンパワーポップ的作風が戻ってきた感もあり、僕はこのオープニング(およびこの曲)大好きですよ。

続く2曲目「Walls」はここ最近のBON JOVIらしいマイナーキーの枯れたロックナンバー。が、この曲にも軽快さが備わっており、サビに入ると拍が半分になりビッグなビートが刻まれる、この感じが現代的でなかなかのアレンジだと思います。ただ、先の「When We Were Us」同様に、日本人にはシンガロングが難しい楽曲かなと。そういったポピュラー感は過去のヒットナンバーと比較すると弱い気がします。そこだけが勿体ない。

で、3曲にようやく「This House Is Not For Sale」。ダークさが漂うこの曲から始まる以前のバージョンは、全体的にひんやりした印象が強かったですが、頭2曲の軽快さが加わったことで、少しだけ入っていきやすくなったんじゃないでしょうか。以前の重厚さがある雰囲気も悪くないけど、やっぱりBON JOVIというバンドにはこれくらいのポップ感が常にないとね。

ということで、通常盤は2曲追加の14曲入り、デラックス盤は19曲入りとかなりの曲数になってしまいますが(そもそもライブではそんなに新曲やらないのにね)、これからこのアルバムに触れる場合は14曲の通常盤で問題ないと思います。

にしても、全然来日しませんね、BON JOVI。アルバム発売から1年3ヶ月以上経っても情報がないなんて、よほど日本に対して興味がなくなったのか、動員が見込めないと思っているのか……ワールドツアーの最後に1、2回東京ドームでやって終わり、みたいになりそうな気がします。まあ、それでも来てくれるだけいいんですけど、ちょっと機を逃しすぎてないかい。本当に動員悪くなりそうで怖いです……。



▼BON JOVI『THIS HOUSE IS NOT FOR SALE (2018 VERSION)』
(amazon:MP3 / MP3デラックス版

投稿: 2018 03 17 12:00 午前 [2016年の作品, 2018年の作品, Bon Jovi] | 固定リンク

2018年3月16日 (金)

BRUCE DICKINSON『SKUNKWORKS』(1996)

90年代のロブ・ハルフォードの迷走ばかりに触れるのもかわいそうなので、JUDAS PRIESTと双璧をなすブリティッシュHMバンド、IRON MAIDENブルース・ディッキンソンのソロ活動(の迷走)についても触れておきましょう。

本作『SKUNKWORKS』は1996年2月(日本では1月)にリリースされた、ブルース通算3作目、メイデン脱退後2作目のソロアルバム。ソロとはいいますが、本作は本来“SKUNKWORKS”というバンド名義で発表されるべき1枚でした。

グランジ真っただ中の1994年に正統的ブリティッシュHMに傾倒した『BALLS OF PICASSO』で健在ぶりを示したブルース。アルバムではロイ・Z(G)などが参加したものの、その後のツアーではアレックス・ディクソン(G)という若き才能と組むことで、音楽性もより若々しいものへと変化。それが先のSKUNKWORKS結成につながるわけです。

本作のプロデューサーは、NIRVANA『BLEACH』(1989年)をはじめ、MUDHONEYの諸作を手がけてきたジャック・エンディーノが担当。もうこの時点で何がやりたいのかが見え見えですよね。実際、完成したアルバムは3分前後のコンパクトな楽曲が中心で、その大半はPEARL JAMにも通ずる“シンプルなギターリフを軸にしたミディアムテンポのダークなハードロック”。ブルースのボーカルもハイトーンに頼ることなく、それでいてブルースの楽曲とわかるような歌声をしっかり聞かせる“わかる人にはわかる”1枚に仕上がっています。

オープニングを飾る「Space Race」の浮遊感、アメリカンロック的なストレートさが斬新な「Back From The Edge」など、前作『BALLS OF PICASSO』はおろか、アメリカナイズされた派手なハードロックサウンドも含む『TATTOOED MILLIONAIRE』(1990年)とも違う……単純にカッコいいんですよ。そりゃあメイデン的なプログレッシヴさや仰々しさも嫌いじゃないけど、あの時代にこういうサウンドに積極的に挑戦したブルースの心意気、嫌いじゃないです。「Solar Confinement」とか「Dreamstate」とか、今聴いても全然“アリ”だしね。

例えば、今のブルースがこういうアルバムやサウンドにソロで挑戦したのなら、それはそれで受け入れられると思うんです。メイデンに所属していながら、ソロでも同じことをやってもアーティストとして成長が感じられませんし。だけど、当時メイデンから離れていた彼に求められていたのはヘヴィメタルそのもの。当のメイデンが新しいシンガーと『THE X FACTOR』(1995年)という微妙な作品を発表したあとですもん、そりゃあ期待を裏切ったと言われるわけですよね。そこだけは残念でなりません。

なお、本作は日本盤ではオープニングが「Back From The Edge」なのに海外盤では「Space Race」と、トラックリストが一部異なります。個人的には海外盤のトラックリストのほうが好きなので、手に入れる際には輸入盤をオススメします。

とはいえ、本作は2005年に2枚組仕様で再発されて以降、国内廃盤状態。数年前にHostessから『TATTOOED MILLIONAIRE』と『BALLS OF PICASSO』の2枚組仕様が国内リリースされましたが、残念ながら本作は含まれていませんでした。なので、デジタル配信&ストリーミング配信もなし。ぜひ再評価してほしい1枚なんですけどね……ってあれ、最初に迷走って書いたけど、結局は迷走してないってこと?(笑)


※上記のベストアルバム『THE BEST OF BRUCE DICKINSON』にて、『SKUNKWORKS』収録曲「Back From The Edge」を聴くことができます。



▼BRUCE DICKINSON『SKUNKWORKS』
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投稿: 2018 03 16 12:00 午前 [1996年の作品, Bruce Dickinson, Iron Maiden] | 固定リンク

2018年3月15日 (木)

2WO『VOYEURS』(1998)

ロブ・ハルフォードが1998年3月(日本では2月)、2WO(=TWO)名義でリリースしたアルバム。JUDAS PRIEST脱退後、“PANTERA以降”を彷彿とさせるサウンドのFIGHTでスタジオアルバム2枚を発表後、自然消滅。その延長として、トレント・レズナー(NINE INCH NAILS)をエグゼクティブプロデューサーに迎え制作された本作は、トレントが主宰するNothing Recordsからリリースされました。

トレントのプロデュースというだけで、生粋のメタルファンは嫌な予感しかしないわけですが、聴いてもらえばおわかりのように本作は完全なるインダストリアルメタルアルバム。NINE INCH NAILSのような変態性も過激さもなく、ギターを軸にしつつもダークでモダンな味付けが施された平坦な楽曲を、ロブが低〜中音域のみで歌うという、メタラーにはある種FIGHT『WAR OF WORDS』(1993年)よりも拷問的な1枚。

が、しかし。NINE INCH NAILSやMARILYN MANSONなどを当時から普通に愛聴していた自分のような偏った人間には、このアルバムはそこまで悪いものには思えなかったんですよね。そりゃあ聴く頻度はFIGHTやJUDAS PRIESTの諸作品より明らかに低かったですけど、発売から20年経った今聴くと「……あれ、そこまで悪くないかも?」と思えるのですから、本当に不思議です。

アルバムを直接的にプロデュースしたのは、以降もロブのソロ活動に関わるボブ・マーレットと、SKINNY PUPPYやMARILYN MANSONとの仕事で知られるデイヴ・オギルヴィの2名。なるほど、音を聴けば納得のいく布陣ですね。で、アルバムでギターを弾いているのがジョン・オウリーなる人物。この人、本作をリリースしたしばらくあとにMARILYN MANSONに加入し、ジョン・5と名乗るようになります……そう、今やROB ZOMBIEなどで活躍中のあのジョン・5です。それを知ると、本作がなるべくしてこうなったというのが頷けるはずです。

ですが、ロブ自身は本当にこれをやりたくて……やりたかったんでしょうね、なんだかんだで新しモノ好きですから。思えば、80年代半ばにストック・エイトケン・ウォーターマンをプロデューサーに迎えようと考えたのもロブですし、いち早くPANTERAの面々とレコーディングして初ソロ曲「Light Comes Out Of Black」を発表したりするような人ですから。ロブが当時NINE INCH NAILSやトレントが手がけるMARILYN MANSONを聴いてないわけがない。

グランジ以降のヘヴィロック「I Am A Pig」を筆頭に、NIN的ないかがわしさを持つ「My Ceiling's Low」、ドラムンベース的テイストを含む「If」、90年代半ばに流行ったオルタナロック的な「Deep In The Ground」、ダークなインダストリアルナンバー「Bed Of Rust」など風変わりな曲もいくつか含まれているものの、全体的にはデジタル風味のヘヴィロック。それをロブが落ち着いた歌い方で聴かせるから、メタルファンには不評なんでしょうけど、当時のMARILYN MANSONの諸作を楽しむ耳で聴けば本当にすんなり入っていける。うん、今聴くと20年前よりも素直に楽しめるんですよ。まあ完全に珍味ですけどね。

本家プリーストも『JUGULATOR』という珍味を発表した1997〜98年というタイミング、ある意味では変革期だったんでしょうけど、あれはあれで面白かったなぁと最近改めて実感しているところです。ゴスメイクして打ち込みバックに歌うロブ御大、観てみたかったなぁ。



▼2WO『VOYEURS』
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投稿: 2018 03 15 12:00 午前 [1998年の作品, Judas Priest, Marilyn Manson, Nine Inch Nails, Two (2wo)] | 固定リンク

2018年3月14日 (水)

JUDAS PRIEST『JUGULATOR』(1997)

1990年に発表した傑作『PAINKILLER』に関する活動を1991年に終えたJUDAS PRIESTDでしたが、翌1992年にバンドの存続を左右するような大きな出来事が起こります。それがロブ・ハルフォード(Vo)脱退……ご存知のとおり、ロブはバンド脱退後にFIGHTというモダンヘヴィネスに特化したバンドをプリーストのドラマー、スコット・トラヴィスらと結成します。ロブが『PAINKILLER』を経て、のちにブレイクするPANTERAのメンバーらとつるみ、よりモダンな方向へとシフトしていったのも理解できるのですが、とはいえ旧来のHR/HMの権化みたいな存在がそっち側に行ってしまうことには、王道メタルを愛するリスナーには正直受け入れがたい事実だったと思います。

そんな窮地に立たされたプリーストですが、グレン・ティプトン(G)とK.K.ダウニング(G)のソングライティングチームはボーカリスト不在のまま曲作りを継続。1996年に入るとスコット・トラヴィスを呼び戻して、イアン・ヒル(B)との4人でバックトラックのレコーディングを開始します。そして、バンドはオーディションの結果、ついに後任シンガーとしてティム・“リッパー”・オーウェンズの加入を発表し、1997年10月に前作『PAINKILLER』から実に7年ぶりとなる通算13作目のスタジオアルバム『JUGULATOR』をリリースしたのでした。

古巣のColumbiaから離れ、新たにCMC International(EU)やSPV(US)と契約して発表された本作ですが(ここ日本では当時、新興メタルフェーベルとして名を馳せたゼロ・コーポレーションから発売。同社がなくなってからは、2001年にビクターから再発)、まず気になるのがロブの後任ティムのボーカルですよね。これに関してはロブらしさを受け継ぎつつ(実際似てますしね)、よりモダンでドスの効いた歌い方もできる新たな武器としては、合格点が与えられるのではないでしょうか。特にライブになると、新旧の楽曲を違和感なく聴かせてくれるので、そこについて非難されることは少なかったと記憶しています。

しかし、本作の最大の問題点/衝撃ポイントはそこではなく、むしろ“『PAINKILLER』の続き”として展開されたそのサウンド/楽曲についてでしょう。現代的な質感はそのままに、軸となるのは前作におけるスラッシュメタルから“(METALLICAの)ブラックメタル以降”、あるいは“PANTERA以降”と呼ばれるミドルテンポ中心のグルーヴメタル/モダンヘヴィネスへと変化しており、当時は「今さらこれをプリーストがやる必要があるのか?」と疑問に感じました。

というのも、1997年後半というとすでに“PANTERA以降”はひと世代前的な感覚もあり、むしろシーンの主流はKORNLIMP BIZKITなど“ヒップホップ以降のヘヴィロック”に移り始めていたからです。いってしまえば、メンバーが曲作りや後任シンガー探しに時間をかけすぎたばかりに、本来やろうとしていたこととシーンに求められるものに時差ができてしまったわけです。これはもう不幸としかいいようがありませんね。

もちろん、アルバム自体の質は非常に高く、変拍子を導入したオープニングのタイトルトラック「Jugulator」をはじめ、サビでシンガロングできそうな「Death Row」、MVも制作された「Burn In Hell」などは今聴いても良いと思える。だけど……すべてが良いかと言われると、正直疑問なのも事実。全10曲で58分というトータルランニングが語るように、1曲1曲が長い。特にラストの「Cathedral Spires」は9分超えの大作なんですが、アレンジ次第ではもう少しコンパクトにできたはずだし、もっと名曲と呼べるものにできたはず。ベースは良いのに、練りこみが甘い。そう、全体的に勿体なさが目立つ1枚なんですよね。

では、これをロブが歌っていたらどうなっていたか……いや、ロブが歌ったとしても結果は一緒だったかな。これがあと3〜4年早かったら、きっとアルバム自体に対する評価も、受け取る側の印象も大きく変わったのかもしれません。

ちなみに本作と続く『DEMOLITION』(2001年)はロブが歌っていないせいか、はたまたインディーズからのリリースだったせいか、2001年に再発されて以降廃盤状態が続いています。当然、デジタル配信もストリーミング配信もされておらず、手軽に聴けない状況にある不幸な作品なのですよ。もっと簡単に楽しめる状況になれば、本作はもう少しポジティブな評価が得られるんじゃないでしょうか……そう願ってやみません。



▼JUDAS PRIEST『JUGULATOR』
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投稿: 2018 03 14 12:00 午前 [1997年の作品, Judas Priest] | 固定リンク

2018年3月13日 (火)

JUDAS PRIEST『PAINKILLER』(1990)

1990年9月に発表された、JUDAS PRIEST通算12枚目のスタジオアルバム。いろいろなトラブルに巻き込まれ、表現の自由と戦い続けた80年代後半のプリースト。その合間に長年にわたりバンドを支えてきたドラマー、デイヴ・ホーランドが脱退(1989年)というピンチもあったものの、新たに元RACER Xのスコット・トラヴィスを迎えたことでバンドは若返りに成功。プロデューサーも前作までのトム・アロムからクリス・タンガリーディス(1976年の2ndアルバム『SAD WINGS OF DESTINY』でアシスタントエンジニアとして関わっていた)に変更し、1990年という時代にフィットしたモダンなアルバムを完成させました。

まあとにかく、このアルバムはオープニングを飾る「Painkiller」の、冒頭のドラミングから驚かされるわけですよね。過去にも印象的なドラムプレイから始まるアルバムは『STAINED CLASS』(1978年)なんて名作があったわけですが、今作はそこを彷彿させるというか、新たな時代の幕開けを宣言するようなオープニングなわけです。

で、この曲のアレンジ、プレイ、ロブ・ハルフォード(Vo)のボーカルスタイル、すべてが前作『RAM IT DOWN』(1988年)までとは異なる、エクストリーム化したもの(サウンドの質感的には、1986年の『TURBO』以降の延長線上にありますが)。スラッシュメタルやスピードメタルからの影響があからさまながらも、そこをしっかりプリースト化させることで単なる焼き直しやコピーで終わらない、唯一無二のオリジナルへと昇華させています。間違いなく、スコットという若い血を得たこと、今までのドラマーとは違う現代的なプレイヤーを獲得したことにより、ここまでイメージが膨らんだといっても過言ではありません。

このアルバムの面白いところは、ハードコアな作風と従来の伝統的なプリーストナンバーが交互に登場するところかもしれません。もちろん、従来の伝統的なプリーストナンバーもモダンな味付けをすることにより、このアルバムならではの色合いを見せているので古臭さはまったく感じられません。特に序盤は「All Guns Blazing」や「Metal Meltdown」のようなスラッシーな楽曲の合間に「Hell Patrol」「Leather Rebel」といった王道色の強いHR/HMナンバーが組み込まれていると、改めて「自分は今、JUDAS PRIESTの新作を聴いているんだ……っ!」と発売当時現実に引き戻されて手に汗握ったことを、昨日のことのように思い出します。

それと、本作はアナログでいうところのA面(M-1〜5)がヘヴィメタル的、B面(M-6〜10)がハードロック的と捉えることもできるかと思います。特にB面はモダンな味付けこそされているものの、「Night Crawler」「Between The Hammer & The Anvil」といったアップテンポのHR/HMナンバーに続いて、ドラマチックなミドルチューン「A Touch Of Evil」、短尺のインスト「Battle Hymn」から「One Shot At Glory」へと続く組曲構成は、それまでのプリーストの持ち味を現代的に解釈した奇跡的な内容だと断言できます。

全英&全米26位、アメリカでは50万枚程度の売り上げと80年代の名盤と比較すれば大きなヒットにはつながらなかったかもしれませんが、彼らが1990年という時代の節目にこういった作品を残した功績は非常に大きなものがあります。これが1991年ではダメだったんですよね。それは、時代がすべてを物語っていると思います。『BRITISH STEEL』(1980年)や『SCREAMING FOR VENGEANCE』(1982年)『DEFENDERS OF THE FAITH』(1984年)と比較したら奥ゆかしさ皆無かもしれませんが、僕はこれもJUDAS PRIESTになくてはならない要素であり、重要なアルバムだと認識しています。ぶっちゃけ、今挙げたような名盤たちと同じくらい聴く頻度の高い、大好きな1枚です。



▼JUDAS PRIEST『PAINKILLER』
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投稿: 2018 03 13 12:00 午前 [1990年の作品, Judas Priest] | 固定リンク

2018年3月12日 (月)

JUDAS PRIEST『DEFENDERS OF THE FAITH』(1984 / 2015)

前作『SCREAMING FOR VENGEANCE』(1982年)から1年半ぶり、JUDAS PRIESTにとって通算9枚目のスタジオアルバム。プロデューサーには前作同様トム・アロムを、エンジニアにはのちにANTHRAXSUICIDAL TENDENCIESなどで名を馳せるマーク・ドッドソンを迎え制作されました。チャートアクション的にも全米18位、全英19位と前作に匹敵する成績を残し、「Freewheel Burning」「Some Heads Are Gonna Roll」がそれぞれ全英42位、全英97位とシングルヒットを記録しています。

前作『SCREAMING FOR VENGEANCE』が名盤『BRITISH STEEL』(1980年)での路線を進化させ、質感的にカラッとしたアメリカンなサウンドだったのに対し、今作『DEFENDERS OF THE FAITH』はもっとウェット感が強く、ファットな音作りが施されています。そこが、このアルバムから漂う“よりブリティッシュ”な香りの大きな要因になっているのではないでしょうか。

楽曲自体も前作の延長線上にある、正統派HR/HMが満載。前作では「The Hellion」〜「Electric Eye」というドラマチックなオープニングが印象的でしたが、今作では疾走感が強烈な「Freewheel Burning」からスタート。どこかアメリカンな香りが感じられるこの曲も、『SCREAMING FOR VENGEANCE』での成功がなければ生まれなかった1曲かもしれません。特に中盤のギターソロで聴ける、ツインリードをフィーチャーした構成は“これぞJUDAS PRIEST!”と呼べるものかもしれませんね。

その後もスピード感に満ち溢れるマイナーコードの「Jawbreaker」、彼ららしいミドルテンポの「Rock Hard Ride Free」と聴き手の高揚感を煽り、当初はアルバムのオープニングを飾る予定だったと言われるドラマチックな「The Sentinel」へと続いていきます。

アナログB面冒頭にあたる5曲目「Love Bites」はデジタルっぽさが加わった気持ち良いテンポ感の1曲。このへんは続く『TURBO』(1986年)への布石を感じさせますね。そしてサイドアッパーな「Eat Me Alive」、ボブ・ハリガン・Jr.のペンによる「Some Heads Are Gonna Roll」、JUDAS PRIEST流メタルバラード「Night Comes Down」、アルバムのクライマックスとなるヘヴィな組曲「Heavy Duty」「Defenders Of The Faith」で締めくくります。

『SCREAMING FOR VENGEANCE』の延長線上にある続編かと思いきや、前作とも違う作品を作り上げたJUDAS PRIEST。NWOBHMからUSメタルの勃発期を経て従来のHR/HMバンドが真価を問われる中、彼らは自分たちが守るべき信念をここでしっかり形として残したかったのかもしれませんね。それがこのアルバムタイトルにもしっかり刻まれているわけですから。『SCREAMING FOR VENGEANCE』と『DEFENDERS OF THE FAITH』、どっちのほうが好きか?という難問にはいまだに答えにくいものがありますし、日によってこっちのほうが好きみたいなのはありますが、個人的には『SCREAMING FOR VENGEANCE』は気構えることなく楽しめる1枚、『DEFENDERS OF THE FAITH』は聴くためにしっかり向き合う姿勢を整えようとする1枚かもしれません。それくらい、本作は以降のJUDAS PRIESTにとって本流的な作品と言えるのではないでしょうか。



▼JUDAS PRIEST『DEFENDERS OF THE FAITH』
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なお、本作はオリジナル版リリースから30年以上経過した2015年春、同作リリース時期のライブ音源(CD2枚組)を同梱した30周年記念盤も発売されています。

「Love Bites」から重々しくスタートするこのツアー音源は、『DEFENDERS OF THE FAITH』という力作の楽曲を軸に、「Grinder」「Metal Gods」「Sinner」といった代表曲に加え、「Desert Plains」なんてこの時期じゃないと聴けない今となってはレアな楽曲も含まれています。

実はここ日本では、『DEFENDERS OF THE FAITH』を携えた来日公演(1984年9月)で初の日本武道館公演が実現しています。アルバムジャケットに登場する機械獣メタリアン(Metallian)を配置したステージセットは、映像で観ると圧巻の一言。

当時のライブ音源がフルでCD化されたのはもちろん嬉しいですが、できたらライブDVDを付けてもらえたら……なんて思ったのは、僕だけではなかったはず。まだしっかり髪が残っているロブ・ハルフォードの姿も、今となっては懐かしさ以上に微笑ましさすらあるので(笑)、ぜひこの時代のライブ映像も完全版として残してほしいものです。



▼JUDAS PRIEST『DEFENDERS OF THE FAITH: 30TH ANNIVERSARY EDITION』
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投稿: 2018 03 12 12:00 午前 [1984年の作品, 2015年の作品, Judas Priest] | 固定リンク

2018年3月11日 (日)

MOTLEY CRUE『TOO FAST FOR LOVE』(1981 / 1982)

記念すべきMOTLEY CRUEのデビューアルバム。本作は1981年11月にバンドの自主レーベルLeathür Recordsから一度発売されたのち、1982年8月(US)にロイ・トーマス・ベイカーがリミックスを施したバージョンがメジャーレーベルElektra Recordsからリリースされています。つまり、『TOO FAST FOR LOVE』には2つのバージョンが存在しているわけです。

僕が初めて聴いたのは、80年代後半に当時のワーナー・パイオニアから発売されたCD、つまりElektra Recordsのバージョン。その後、同作には別バージョンがある、その収録内容もアレンジも異なるらしいぞ、という噂を聞いて西新宿あたりをさまよって、Leathür Recordsバージョンのかなり高額なブートレッグCD(同作のCDは公式には制作されていないので、間違いなくレコードからそのまま起こした音源)を購入してその内容に驚かされました。あれ、こっちのほうがいいじゃん!って。

収録内容の違いはWikipediaなどで確認していただくとして……LeathürバージョンとElektraバージョンがどう違うのかについて触れていくと、まず音の厚みが全然違う。当然、リミックスを施したElektraバージョンのほうが全体的に音像に厚みが感じられる。さらに、曲によってはギターやボーカルがオーバーダビングされており、そういった試みも功を奏している。うん、最初にこっちを聴いたら、これカッコいいじゃん!と間違いなく思うんですよ。

ところが、Leathürバージョンのほうはインディーズらしい音の細さ、ラフさが存在するんです。むしろ、そういった要素が曲の持つグラマラスさ、そしてMOTLEY CRUEというバンドが持つ猥雑さを強調しているんじゃないか。あれ、こっちのほうがいいんじゃね?と思わされる。不思議ですよね。

例えば「Live Wire」終盤のドラムブレイク後に入る歓声や、「Come On And Dance」のエンディングのひっぱり方、「Too Fast For Love」のスローなイントロパートと投げやりなエンディングなど、こういった味付けがメジャーのElektraバージョンではカットされているわけです。唐突に終わるメジャー版の「Come On And Dance」も、ギターのバッキングが重ねられたことで重みが増したメジャー版の「Live Wire」もカッコいいんですけど、MOTLEY CRUEというバンドの存在意義や当時のイビツさを考えると、やはりLeathürバージョンのオリジナルミックスのほうが数歩優れていると言って間違いないでしょう。

あと、メジャー版からは「Stick To Your Guns」という楽曲がカットされています。これはLeathürバージョンのアルバムに先駆けて発売されたMOTLEY CRUE初のシングルの表題曲なんですが、まあ確かに他の楽曲と比較するとちょっと完成度が劣る気がするので、外されて正解かもしれません。実際、Elektraバージョンは終始勢いがある曲順で、テンションや熱量という点においてはLeathürバージョンより優ってますし。まあどちらも一長一短あるので、できることなら両方聴いてほしいなと。

あ、楽曲に関しては言うことなし。このバンドの持つ音楽的ポピュラリティの高さがこの時点ですでに完成されていますし、荒削りながらもキャッチーなナンバーばかり。ここ数年、個人的には『MOTLEY CRUE』(1994年)と同じくらい好きな1枚に昇格しています。本作がなかったら、もちろん続く『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)もなかったし、よりキャッチーでグラマラスな『THEATRE OF PAIN』(1985年)もなかったわけですから。もちろん、『DR. FEELGOOD』(1989年)にだってたどり着けなかったと思いますよ。改めて本作と『DR. FEELGOOD』を聴き比べると、意外と共通点が多いですしね。

最後に。現在CDでの一般流通、およびデジタル配信やストリーミングで聴くことができるのはElektraバージョンのほうのみ。ボーナストラックとしてLeathürバージョンの「Too Fast For Love」や、「Stick To Your Guns」と「Toast Of The Town」(初シングル収録の2曲)などは聴くことができます。どうしてもLeathürバージョンをまるまる聴きたい!という方は、ボックスセット『MUSIC TO CRASH YOUR CAR TO: VOL. 1』(2003年)を探していただくか、2011年に日本でリリースされた『TOO FAST FOR LOVE』30周年記念ボックスを手に入れるほかなさそうです。ちなみに、どちらも現在は廃盤状態。しかも、これらに収められている音源は僕が高校生時代に入手したブートレッグと同じく、当時のレコードから起こした音源という“公式ブートレッグ”ですのでご注意を。



▼MOTLEY CRUE『TOO FAST FOR LOVE』
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投稿: 2018 03 11 12:00 午前 [1981年の作品, 1982年の作品, Motley Crue] | 固定リンク

2018年3月10日 (土)

JOHN CORABI『LIVE '94 (ONE NIGHT IN NASHVILLE)』(2018)

MOTLEY CRUEのアルバムで一番好きな作品はどれか?と聞かれたら、きっと多くのリスナーが『DR. FEELGOOD』(1989年)『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)を挙げると思うんです。もちろん僕もこの2枚はトップクラスで好きですし、事実80年代〜90年代初頭は確実にこの2枚を選んでました。

が、年をとるとだんだんとひねくれてきて(笑)、バンドの真の姿を無視したセレクトになっていくんですよね……例えば、ここ数年はデビューアルバム『TOO FAST FOR LOVE』のインディーズ盤(1981年)がお気に入りだし、同じくらいに“好きすぎてたまらない!”と声を大にして公言しているのが唯一ヴィンス・ニール不参加の6thオリジナルアルバム『MOTLEY CRUE』(1994年)なのです。

2003年に執筆したレビューの時点から、いや、もっと言えばこのアルバムが発売された1994年当時から僕はこの『MOTLEY CRUE』というアルバムがバンドのキャリア上での最高傑作だと公言してきました(もちろん異論反論は受け付けます。笑)。それは、このアルバムが『DR. FEELGOOD』以降彼らがやろうとしてきたこと、それに加えてグランジやグルーヴメタルなど90年代前半のヘヴィな音楽シーンの流行を自分たちなりに解釈した結果が形として表現された、あの時代にしか作り得なかった作品だからなんです。この1994年3月発売という絶妙なタイミング。カート・コバーン(NIRVANA)が亡くなる1ヶ月前のことですもん。まあ、結果から言えば内容含め、総スカンを食らったわけですが……。

で、ニッキー・シックス(B)が「MOTLEY CRUEであってMOTLEY CRUEではない」このアルバムは、バンドが解散するまで自身のキャリアからスルーされてきたわけですが、それに対して「NO!」と言い続けたのが、今回の主役であるジョン・コラビ。彼はMOTLEY CRUE脱退後も事あるごとにアルバム『MOTLEY CRUE』の楽曲を演奏してきた、ある種『MOTLEY CRUE』の功労者なわけです。涙ぐましい努力ですね。

今でこそTHE DEAD DAISIESのフロントマンとして再ブレイクを果たした感のあるジョンですが、このタイミングに『MOTLEY CRUE』の完全再現ライブを収めたライブアルバムを発表しました。当時の映像、ライブ音源は公式では残っていないので、同作のファンにはとっても嬉しい限り。また、THE DEAD DAISIESでジョンのことを知ったという若いリスナーにも、(音楽性こそ異なるものの)こういうこともやってたんだぜ!というアピールにもなるし、3月下旬にリリースを控えたTHE DEAD DAISIESの最新作『BURN IT DOWN』への布石としても絶好の1枚になるんじゃないでしょうか。

本作は2015年10月27日にアメリカ・ナッシュビルでライブレコーディングされたもの。Jeremy Asbrock(G, Cho)、 Phil Shouse(G, Cho)といったジーン・シモンズKISS)のソロツアーにも参加した面々、Topher Nolen(B, Cho)、そしてアルバム中のMCでも触れられているジョン・コラビの実子Ian Corabi(Dr)という布陣で、『MOTLEY CRUE』の世界観を限りなくオリジナルに近い形で再現しています。曲によってはジョンもギターを弾くのでトリプルギター編成となり、これが『MOTLEY CRUE』という“Wall of Heavy Sound”を再現するにはぴったり。本作の要となるトミー・リーのグルーヴィーかつヘヴィヒッティングなドラムも、まぁトミーの域には及ばないものの、かなり良い感じで近づけているように思います。

ジョンのボーカルは、曲によっては高音域が出ておらず、うまくごまかしている箇所も多いんですが、まあ50代後半といった年齢を考えればかなり頑張っているほうではないでしょうか。むしろ、20数年前の脂が乗った時期とはことなる、ちょっとスティーヴン・タイラーAEROSMITH)に近づいた今のボーカルスタイルで表現される『MOTLEY CRUE』の世界観も悪くない。うん、良いですよ、これは。

ヘヴィなリフ&ドラムからスタートする「Power To The Music」をオープニングに、アルバム『MOTLEY CRUE』全編12曲を曲順通りに演奏し、ライブは最後に「Driftaway」で締めくくり、ボーナストラックとして当時の編成で制作された「10,000 Miles Away」(ミニアルバム『QUATERNARY』日本盤やボックスセット『MUSIC TO CRASH YOUR CAR TO: VOL.2』に収録)が、レアな1曲として演奏され、本作にも追加収録されています。このブルージーな世界観は、『MOTLEY CRUE』というよりも現在のTHE DEAD DAISIESにより近いなと改めて実感させられるのですが、いかがでしょう?

このライブアルバムを聴いてもなお、やはりアルバム『MOTLEY CRUE』は傑作だという思いは少しも薄れることはありませんでした。まだ『MOTLEY CRUE』を聴いたことがないというリスナーはホント、このライブアルバムを機に、一度は『MOTLEY CRUE』に触れてみてもいいんじゃないですか? できることならMOTLEY CRUEだとかTHE DEAD DAISIESだとかそういった先入観を抜きにして、一度接してみてください。

って、結局このライブアルバムではなくて『MOTLEY CRUE』をオススメする内容になっちゃいましたね(笑)。そりゃあ熱が入って、こんなに長文になるわな(苦笑)。



▼JOHN CORABI『LIVE '94 (ONE NIGHT IN NASHVILLE)』
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投稿: 2018 03 10 12:00 午前 [2018年の作品, John Corabi, Motley Crue] | 固定リンク

2018年3月 9日 (金)

SAXON『THUNDERBOLT』(2018)

SAXON通算22作目のスタジオアルバム。IRON MAIDENDEF LEPPARDと並ぶNWOBHM(=New Wave Of British Heavy Metal)の代表格バンドのひとつですが、ビフ・バイフォード(Vo)とポール・クィン(G)以外のメンバーは様変わりしており、現編成は2005年から13年にわたり続いているので、まぁ安定しているほうなのかなと(ドラムのナイジェル・グロックラーは歯抜けで不参加時期もあるけど、何気に1981年から参加しているので、ギターのダグ・スカーラットが参加した1996年から数年は現編成がすでに揃っていたんですけどね)。

結成40周年を超え制作された本作。僕自身は近作を熱心に聴いてきたリスナーではないし、いまだに80年代前半のイメージしかなかったわけですが、改めて聴いてみたらこれが素晴らしいのなんの。新作としては2015年の『BATTERING RAM』以来3年ぶりということになるのですが、サウンドそのものは王道のHR/HMであり、楽曲の質もなかなかのもの。ミディアムテンポで攻めるのかなと思っていたら、序盤から「Thunderbolt」「The Secret Of Flight」と疾走感の強い楽曲連発で、続く「Nasferatu (The Vampires Waltz)」もドラマチックなアレンジが施されており、聴き応えバッチリです。

かと思えば、再びアッパーな「They Played Rock And Roll」で往年のSAXON節を聴かせたり(しかもこの曲、タイトルからも想像できるようにMOTÖRHEADレミーのトリビュートソングで、曲中盤にはレミーの音声もフィーチャーされてます)、ヘヴィなシャッフルナンバー「Predator」でアクセントをつけたり、重々しいビートが心地よいミディアムチューン「Sons Of Odin」で自身の世界に引き込んだりと、想像以上にバラエティに富んだ楽曲が並びます。

後半も「Sniper」や“これぞSAXON!”と言いたくなる「Speed Merchants」などアップテンポの曲と、ヘヴィでリズミカルな「A Wizard's Tale」や泣きメロギターが気持ち良い「Roadie's Song」などが交互に並び、スルスル聴き進めることができます。

IRON MAIDENはひたすらプログレッシヴな方向に突き進み、DEF LEPPARDはポップかつ王道のブリティッシュロックを追求する中、SAXONはBLACK SABBATH(主に“DIOサバス”)やJUDAS PRIESTが作り上げた王道ブリティッシュHR/HMの世界を極めている。本作を聴いてそんな印象を受けました。

自分たちに何ができるか、何が一番得意なのか。それを「HR/HMとは?」という命題とともに真正面から向き合った結果が、この路線でありこのアルバムなんでしょね。新鮮さは皆無だけど、このバンドにそういったものを求める人はもはやいないでしょうし、むしろこのサウンドだからこそ信頼できる。40年も活動すれば“枯れ”や“いぶし銀”も自然と浮き出てきそうですが、そういったものを一切出さずに貫禄を感じさせるこのストロングスタイルは、もはや国宝級と呼んでいいのでは? 最高以外のナニモノでもない、唯一無二のヘヴィメタルです(本作は全英29位と、1986年の『ROCK THE NATION』以来32年ぶりに全英トップ40入りしたのも納得です)。



▼SAXON『THUNDERBOLT』
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投稿: 2018 03 09 12:00 午前 [2018年の作品, Saxon] | 固定リンク

2018年3月 8日 (木)

SLAYER『REIGN IN BLOOD』(1986)

1986年10月(US。日本盤は1987年1月)に発売された、SLAYERの3rdアルバム。過去2作はインディーズレーベルのMetal Blade Recordsからのリリースでしたが、今作からメジャー流通のDef Jam(のちのAmerican Recordings)からの発表……のはずでした。まあ結果的にはメジャーから発売されたのですが、詳しくは最後に記しますね。

リック・ルービンという“クラシックロック再生工場”とタッグを組むことで、より邪悪でド直球なスラッシュ/ブラックメタルへと進化した本作。1st『SHOW NO MERCY』(1983年)でのIRON MAIDENやVENOMあたりからの影響が強い直線的なスタイル、2nd『HELL AWAITS』(1985年)での若干プログレッシヴな大作志向、これらがすべて凝縮され、ものすごく速いBPMで演奏することで実現した「SLAYERらしいオリジナリティの確立」。もうね、完璧なまでに暴力的な音の塊に仕上げられているんですよ。

僕が初めてSLAYERの音に触れたのが、このアルバム。当時はまだアナログ盤しか発売されてなくて、日本でCD化されたのは90年代に入ってから。友達のお姉ちゃんにダビングしてもらったんだよね。だから自分にとってのスラッシュメタルのイメージはMETALLICA『MASTER OF PUPPETS』(1986年)『RIDE THE LIGHTNING』(1984年)ANTHRAXの『SPREADING THE DISEASE』(1985年)、そしてMEGADETH『PEACE SELLS... BUT WHO'S BUYING?(1986年)。つまり、スラッシュ四天王のイメージそのままなわけです。

特にSLAYERとMETALLICAは1枚目、2枚目、3枚目でたどる道がことごとく同じ方向。実は続く4枚目も似てるっちゃあ似てるんですよね(音的にではなく、トライしようとしていた方向が)。で、お互い決定打となる5枚目で大きく道が分かれるというね。ホント、面白い2組です。

……と、雑談はさておき。もうね、この『REIGN IN BLOOD』に関しては無心で、かつ大音量で聴いてもらうしかない。冒頭の「Angel Of Death」でのデイヴ・ロンバード(Dr)のドラミングから、ラスト「Raining Blood」の不穏なイントロで始まり、最後に気が触れたようにのたうちまわるギタープレイまで、一寸の隙もない完璧なアルバムですから。全10曲で29分(現行CDはボーナストラック2曲が追加されているのでトータル35分に。できればその2曲を外して楽しんでもらいたいくらい)。10曲通して1曲ぐらいの感覚で楽しめる、ものすごいアルバムです。えげつなさすぎ。

ちなみに、最初に書いたメジャー云々の話題について。要するに「Angel Of Death」をはじめとする一部楽曲の歌詞が倫理的にいろいろアレということで、メジャー配給先のColumbiaが発売を拒否。それで最終的にWarner系からの発売になったといういわく付きの1枚なわけです。ナチスの人体実験を題材にした「Angel Of Death」や、「Piece By Piece」「Necrophobic」の3曲に関しては、確かに国内盤で対訳が掲載されてないもんね。これもそういう理由なんでしょう(ネット上にある私設対訳サイトにはこれらの楽曲の和訳が掲載されているので、詳しくはそちらでお確かめください)。

そういえば、2003年には本作完全再現ライブも実現しましたよね。ライブDVD『STILL REIGNING』(2004年)にてその模様を確認できますが、ぜひ一度はここ日本でも再現ライブをやってほしかったなぁ……さすがにラストツアーで完全再現はないだろうけどさ。



▼SLAYER『REIGN IN BLOOD』
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投稿: 2018 03 08 12:00 午前 [1986年の作品, Slayer] | 固定リンク

2018年3月 7日 (水)

A PERFECT CIRCLE『THIRTEENTH STEP』(2003)

2003年9月に発表された、A PERFECT CIRCLEの2ndアルバム。ご存知のとおり、このバンドはTOOLのメイナード・キーナン(Vo)が、バンドのギターテクを勤めていたビリー・ハワーデル(G)という才能と出会ったことで誕生し、TOOLが所属レーベルとの裁判で思うように活動的なかった2000年に1stアルバム『Mer de Noms』を発表しています。その経緯などについては、2003年10月に執筆した同作のレビューに詳しいので、そちらに譲ります。

さて、前作レビューを執筆したあと、この2ndアルバムについて書くことができなかったので、14年ぶりの新作が今年4月に発売されるこのタイミングに改めて書いてみたいと思います。

前作のときにも書いたように、A PERFECT CIRCLEはメイナードの“ソロプロジェクト”ではないし、TOOLとは完全に別モノ。むしろ、ビリーという才能の塊と遭遇したことで、メイナードの創作意欲がTOOLとは別の形で爆発した、新しいバンドと受け取るほうが正しい解釈だと思っています。

なので、そのサウンドもTOOLのようにプログレッシヴな展開をするものとは別次元で展開されており、特に本作はヘヴィな印象が強かったデビュー作『Mer de Noms』とは若干異なるカラーを打ち出し始めています。

ちなみに、当時のバンドメンバーはメイナード、ビリーのほか、ジョシュ・フリース(Dr)、当時MARILYN MANSONを脱退した“トゥイギー・ラミレズ”ことジョーディー・ホワイト(B)、元THE SMASHING PUMPKINSのジェイムズ・イハ(G)。イハはレコーディング後にバンドに合流しており、レコーディングにはNINE INCH NAILSなどで知られるダニー・ローナー(G)が参加しています。

このメンツから想像できる音……ではないかもしれません。特に本作は美しさや優しさの側面が強まっているため、ダイナミックかつヘヴィなアンサンブルを得意とするこのメンバーの特徴を抑えめに、あくまで曲の持つ世界観を再現することに徹したのではないかと思われます。

だからといって、ヘヴィなサウンドが皆無かというとそんなことはありません。8分近くにおよぶオープニングトラック「The Package」は序盤こそ穏やかですが、曲が進むにつれて影に隠れていたヘヴィさが顔を見せ始めますし、不穏なギターリフが印象的な「Pet」のような曲も含まれていますしね。それ以外にも、各曲の至るところにそういった要素は散りばめられているので、前作から激変したというわけではありません。

でも、本作の軸になる部分は“そこ”ではない、と。浮遊感の強いサウンドメイキングやアレンジ、TOOLでは聴くことができないメイナードの異なる表情(声)、そして鬼才ビリー・ハワーデルのソングライティング。これらが三位一体となってリスナーの前に姿を現す。油断してると魂を持っていかれそうになるけど、信用して心を預けてみたら予想外の気持ち良さが味わえる、そんなアルバムではないでしょうか。非常に抽象的な表現が多い気がしますが、そういう抽象的なものこそがA PERFECT CIRCLEというバンドには合っているような気がします。



▼A PERFECT CIRCLE『THIRTEENTH STEP』
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投稿: 2018 03 07 12:00 午前 [2003年の作品, A Perfect Circle, Marilyn Manson, Smashing Pumpkins, Tool] | 固定リンク

2018年3月 6日 (火)

SOUNDGARDEN『DOWN ON THE UPSIDE』(1996)

1996年5月に発表された、SOUDNGARDEN通算5作目のスタジオアルバム。初の全米1位を獲得し、500万枚以上を売り上げた前作『SUPERUNKNOWN』(1994年)に続く作品として注目されましたが、チャート的には全米2位まで上昇するも、セールスは100万枚程度にとどまり、期待以上の結果を残すことはできませんでした。

LED ZEPPELIN的手法(ハードロックとサイケデリックなアコースティックナンバーの共存)を効果的に使い大成功を収めた前作での路線の延長線上にある本作ですが、バンドとしての勢いや気合いが漲っていた前作とは異なり、本作のオープニングトラック「Pretty Noose」からはもっとリラックスした印象を受けます。もちろん、それが決して悪いというわけではなく、バンドとしてのスケール感がより大きくなったと受け取れば、本作はかなり大人のロックアルバムとして楽しむことができるのではないでしょうか。

もちろん、「Rhinosaur」のように緊張感に満ち溢れたプレイが楽しめる楽曲も含まれていますし、「Never Named」や「Ty Cobb」「No Attention」「An Unkind」みたいにアップテンポの“攻め”の楽曲も多い。作品のテイストとしては前作よりも攻撃的と受け取ることができるのですが、全体を通して聴くともっと大らかなイメージが残る。そういう、すごく不思議なアルバムなんですよね。

1曲1曲をピックアップすると、よく作り込まれた楽曲ばかりで、「Zero Chance」や「Blow Up The Outside World」「Burden In My Hand」あたりのミディアムナンバーは再結成後にも通ずる世界観がある。「Dusty」みたいなダイナミックなハードロックも、前作までのスタイルとは若干異なるテイストが加えられている。それは良い意味で受け取れば、バンドとしての王道感を手にしたということなんでしょうけど、悪い見方をすれば守りに入ったとも受け取れるわけで……そのへんの難しさが、翌1997年の解散発表につながったのかもしれませんね。

実はこのアルバム、リリース当時はそこまで聴き込んだ記憶もなく、個人的には駄作扱いをしていた1枚なんです。でも、バンドが再結成して『KING ANIMAL』(2012年)というオリジナルアルバムを発表したあとに改めて聴き返すと、『KING ANIMAL』との共通点も至るところから感じられ、改めてバンドとして王道であることを選んだんだなということが認識できました。で、そういう目線で聴き返すと、そこまで悪いとは思えない。むしろ、こういったスタイルのハードロックバンドのアルバムとして、非常に優れた作品とすら思えてきたのですから……人の印象って不思議なものですね(苦笑)。

オルタナティヴロックバンドがメインストリームを引き受けようとして作り上げた、もうひとつの可能性……SOUNDGARDENは当時、PEARL JAMが『NO CODE』で取った手法とは違った形で新たなアメリカンロックを作り上げようとしたのかもしれません。だとしたら、解散せずに“その先”を見せてほしかった気もしますが、結局それが見つからなかったから「やりきった」として解散を選んだ。ということなのでしょう。



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投稿: 2018 03 06 12:00 午前 [1996年の作品, Soundgarden] | 固定リンク

2018年3月 5日 (月)

PEARL JAM『NO CODE』(1996)

1996年8月発売の、PEARL JAM通算4作目のスタジオアルバム。3作連続全米1位を獲得するものの、セールス的には100万枚強とかなり数字を落としています。これはグランジの終焉に加え、当時PEARL JAMがTicketmasterとの抗争でツアーを思うようにできなかったことも影響しているのでしょう。ツアーやラジオでのオンエアがアルバムのロングヒットに直接影響することの多いアメリカでは、思うようにツアーができない当時の状況はバンドにとって大きな痛手だったことは間違いありません。

確かに過去3作と比べればセールス的にはだいぶ落ちたように映りますが、ではその内容はというと、決して悪いものではなりません。むしろ、PEARL JAMがいよいよアメリカを代表する国民的ロックバンドへと進化し始めたことを伺わせる、土着的だけどポピュラリティも兼ね備えた力作に仕上がったのではないでしょうか。

もともとグランジとは無縁の存在だったはずの彼らが、デビュータイミングのせいでNIRVANAとともにシーンの頂点へと祭り上げられたものの、それも前作『VITALOGY』(1994年)まで。ブームの終わった1996年という時代にこそ、いよいよバンドの真価が問われるわけですが、自分たちにとってはそんなことは関係ないよとばかりに、1曲目「Sometimes」からリラックスしたバンドの姿を提示してくれます。

かと思えば、いきなり狂ったかのようにパンキッシュな「Hail, Hail」があったり、アーシーなミディアムチューン「Who You Are」があったり、従来の彼ららしいダイナミックな「In My Tree」があったりと……PEARL JAMであることを引き受けつつ、自分たちが好きなことをやっている。ある種オルタナティヴだった彼らがいつの間にかメインストリームとなり、今やそのメインストリームであることを真正面から受け止めている。全体的には肩の力が抜けているものの、この『NO CODE』というアルバムからはすべてを引き受けた彼らの強い意思も感じられるのです。

当時、このアルバムを聴いたときは「エディ・ヴェダー(Vo)はついにカート・コバーンの呪縛から解き放たれたんだな」と感じたものです。きっと彼らはR.E.M.のような、いや、ともすればブルース・スプリングスティーンのような存在になるんじゃないか、と。本作の前にニール・ヤングとつるんでアルバムを作ったりもしましたが、そういったことも本作の内容に大きく影響しているんでしょうね。ダークでダウナーだった90年代前半を振り切ったPEARL JAMはさらに強くなる……そう確信させてくれた、バンドにとって大きな転機となった1枚です。



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投稿: 2018 03 05 12:00 午前 [1996年の作品, Pearl Jam] | 固定リンク

2018年3月 4日 (日)

STONE TEMPLE PILOTS『THE MUSIC...SONGS FROM THE VATICAN GIFT SHOP』(1996)

1996年3月(US。日本では4月)にリリースされた、STONE TEMPLE PILOTSの3作目にあたるスタジオアルバム。デビューアルバム『CORE』(1992年)が800万枚を超えるメガヒット作となり、続く2ndアルバム『PURPLE』(1994年)は全米1位を獲得し、600万枚もの売り上げを記録。シアトル出身ではないものの、当時勃発したグランジムーブメントにうまく乗っかってトップバンドの仲間入りを果たしたものの、スコット・ウェイランド(Vo)のドラッグ癖やそれにまつわる逮捕〜薬物施設入院などの連発により、バンド活動は破綻しかけていました。

そんな中、バンドは3rdアルバム制作にあたり合宿生活的なレコーディングを敢行。しかし、スコットはレコーディングや曲作りになかなか顔を出さず、ひとつ屋根の下で生活しながらも顔を合わせずに制作は進んでいったそうです。あちゃあ。

で、完成した本作。最初に聴いたときは正直面食らいました。「あれ、違う」と。前作、前々作ではグランジ(ALICE IN CHAINSSOUNDGARDENあたり)寄りのハードロックサウンドを聴かせてくれた彼らでしたが、本作ではそういった手法を捨て去り、もっとシンプルでわかりやすりロックを作り上げています。ラウンジミュージック的なオープニングのインスト「Press Play」には度肝を抜かれましたが、続く「Pop's Love Suicide」での肩の力の抜けっぷり、最高じゃないですか。このユルさ、嫌いじゃないです。かと思えば、続く「Tumble In The Rough」ではタイトさを強調し、再び「Big Bang Baby」で脱力。良く言えばリラックスしたロックアルバム、悪く言えば緊張感皆無でバンドとしてのまとまりゼロ。そこは聴き手の受け取り方によって大きく変わってくるかもしれません。

が、本作はその後のストテンの方向性を考える上で、非常に重要な作品だと断言していいと思います。メロディアスなポップロック「Lady Picture Show」やサイケデリックなバラード「And So I Know」で示したスタイルは、以降の音楽性における大きな武器になっていくのですから。

「Trippin' On A Hole In A Paper Heart」や「Ride the Cliche」のように従来の彼らを彷彿とさせるグルーヴィーなハードロックも存在しますが、過去2作よりもラフでアーシーなプレイスタイルで表現されており、かっちり作り込まれた前2作と大きく異なります。むしろ、本作でのシンプルなプレイスタイルのほうが従来のグランジに近いのでは……と思ってしまうほど。むしろ、デビュー作が異常に出来過ぎだったんですよね。

バンドとしては危機的状況下にあったものの、実際に完成したアルバムはバンドの新たな可能性が存分に感じられる意欲的な内容だったというのは、なんとも皮肉な話ですね。なお、本作は全米4位まで上昇し、200万枚以上を売り上げるという成績を残しています。過去2作が売れすぎたせいでセールスダウンした感が否めませんが、グランジムーブメントが終わった1996年という時代にこれだけの成績を残したことは、むしろ褒められるべきことだと思いますよ。



▼STONE TEMPLE PILOTS『THE MUSIC...SONGS FROM THE VATICAN GIFT SHOP』
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投稿: 2018 03 04 12:00 午前 [1996年の作品, Stone Temple Pilots] | 固定リンク

2018年3月 3日 (土)

THE SMASHING PUMPKINS『MELLON COLLIE AND THE INFINITE SADNESS』(1995)

1995年10月にリリースされたSMASHING PUMPKINSの3rdアルバム。CD2枚組、全28曲から構成されたトータル120分にもおよぶ大作で、収録されている楽曲のタイプもさまざまという、まさにビリー・コーガン(Vo, G)というバンドの頭脳がそのときできることをすべて詰め込んだかのような作品集です。本作は初の全米No.1を獲得し、トータル500万セット以上(1000万枚換算)を売り上げ、「Bullet With Butterfly Wings」(全米22位)、「1979」(全米12位)、「Tonight, Tonigt」(全米36位)、「Thirty-Three」(全米39位)という数多くのヒットシングルを生み出しました。

前作『SIAMESE DREAM』(1993年)の時点で、単なるオルタナ/グランジバンドとは異なるポピュラリティを携えたバンドであることを主張してきたスマパン。その後、1994年4月にカート・コバーン(NIRVANA)が自殺したことを経て、シアトルを中心にしたグランジムーブメントは衰退し始め、そのグランジの死を看取ったのが1995年夏に発表されたFOO FIGHTERSデビューアルバムと、このスマパンの大作だったと個人的には考えています(1994年末発売のPEARL JAMの3rdアルバム『VITALOGY』も、レクイエムとして同じような役割を果たした作品かもしれませんね)。

美しさを強調したアルバムと同タイトルのインスト曲から、そのまま壮大なロックチューン「Tonight, Tonight」で幕を開ける本作。このオープニングからして“闇抜け”にふさわしい構成ですが、以降は「Jellybelly」「Zero」「Here Is No Why」「Bullet With Butterfly Wings」とグランジの流れを汲む彼ららしいメタリックな楽曲が並びます。フォーキーでダウナーな「To Forgive」で小休止したかと思えば、「Fuck You (An Ode To No One)」で再び攻撃性を見せ、エレクトロとグラムロックがミックスした「Love」、落ち着いた雰囲気の「Cupid de Locke」「Galapogos」、大きなノリを持つミディアムチューン「Muzzle」、9分半におよぶ大作「Porcelina Of The Vast Ocean」、サイケデリックなアコースティックバラード「Take Me Down」という流れでディスク1を締めくくります。

ディスク2も、これもグランジロックと呼ぶにふさわしいヘヴィな「Where Boys Fear To Tread」を筆頭に、力強いビートのハードロック「Bodies」、美しい音色のバラード「Thirty-Three」、ダークさを伴うアコースティックチューン「In The Arms Of Sleep」、バンドのニューウェイブ色とポップセンスが遺憾なく発揮された名曲「1979」、各楽器が一体となって攻撃するかのようなプレイが楽しめる「Tales Of A Scorched Earth」、グランジバラードという表現がなんとなく似合うプログレッシヴな「Thru The Eyes Of Ruby」とバラエティ豊かな展開。

そして後半はアコギ弾き語り「Stumbleine」、ヘヴィさとダークさが極限まで達した「X.Y.U.」、デジタルとアコースティックが融合しながらもどこか牧歌的な「We Only Come Out At Night」、アーシーさが心地よい「Beautiful」「Lily (My One And Only)」、ビリー・コーガンというポップセンスに改めて脱帽のバラード「By Starlight」「Farewell And Goodnight」(後者はジェームズ・イハとの共作)と、比較的落ち着いた作風の楽曲が並びます。ちゃんとスマパンに求められるもの(ヘヴィさやポップさ)を残しつつ、しかもそれらがしっかりブラッシュアップされ、なおかつ次作『ADORE』(1998年)への布石も至るところに散りばめられている。単に「できた曲を全部詰め込みました」的な内容ではなく、しっかり計算され尽くされているあたりが策士ビリー・コーガンらしいなと。じゃなきゃ、ここまで売れませんって。

情報量が多い作品ですし、数回聴いただけですべてを理解することは難しいアルバムかもしれません。実際、本作よりも『SIAMESE DREAM』のほうがわかりやすくて好き、というリスナーも少なくありません。しかし、だからこそリリースから20年以上経った今のような時代にフィットする作品なんじゃないかとも思うわけです。“グランジバンド”としての正解は『SIAMESE DREAM』かもしれませんが、僕は本作で示した作風/スタイルこそを支持します。



▼THE SMASHING PUMPKINS『MELLON COLLIE AND THE INFINITE SADNESS』
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投稿: 2018 03 03 12:00 午前 [1995年の作品, Smashing Pumpkins] | 固定リンク

2018年3月 2日 (金)

DEEP PURPLE『BURN』(1974)

DEEP PURPLEが1974年初頭にリリースした、通算8作目のスタジオアルバム。イアン・ギラン(Vo)、ロジャー・グローヴァー(B)の脱退を経て、新たにデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)とグレン・ヒューズ(B, Vo)を迎えた、俗にいう第3期編成として初めて制作されたのが本作です。本国イギリスでは最高3位、アメリカでも最高9位まで上昇するヒット作となり、「Might Just Take Your Life」(全英55位、全米91位)、「Burn」(全米105位)という、小さいながらもシングルヒットも生まれました。

第3期パープル最大の武器は、イアン・ギラン以上に歌えるシンガーが2人も加入したということ。当時無名の新人だったブルージーな声の持ち主カヴァーデイル、そしてプログレ色の強いファンクロックバンドTRAPEZEとしてある程度知られていたソウルフルな歌声のグレンの加入は、バンドの音楽性にも大きな影響を及ぼします。

アルバムタイトルトラック「Burn」こそバッハなどクラシックの手法(コード進行など)を用いたリッチー・ブラックモア(G)の王道スタイルですが、続く「Might Just Take Your Life」のR&Bからの影響を感じさせる曲調、アップテンポのハードロックスタイルながらも2人のシンガーの歌声が絡み合うことでソウルフルさを増す「Lay Down, Stay Down」、ブルースフィーリングにあふれたファンクロック「Sail Away」と、ギラン時代の第2期パープルと比べるとかなり“黒く”なっていることに気づかされます。

アルバム後半もとにかく聴きどころ満載で、ファンキーなギターリフとパーカッシブなリズムが気持ちいい「You Fool No One」、従来のパープルらしさで成り立っているはずなのに歌い手が変わるとここまで雰囲気が変わるかという「What’s Going On Here」、リッチーは初期RAINBOWで、カヴァーデイルもWHITESNAKEでカバーしたプログレッシヴなブルース「Mistreated」、エンディングにふさわしいインスト「”A”200」と全8曲、するっと聴けてしまいます。

本作はどうしてもタイトルトラックの名リフおよびクラシカルなプレイが注目されがちですが、本作のキモはそこではなく、むしろ2曲目以降であることを、声を大にして伝えたい。みんな1曲目の印象で聴こうとするから、以降の曲調の違いに落胆するわけですもんね。

あと、日本のHR/HMファン的にはタイトル曲が某メタル誌の名前に用いられたこともあって、いろいろ複雑な思いを抱えている人もいるのかなと……リフを聴くと、ラジオCMや『PURE ROCK』でのテレビCMを思い出して苦笑いしてしまったり(思いアラフォー以上の世代の話ですが。苦笑)

まあ、冗談はともかく。リッチーがパープル在籍時、最後に本気を出したアルバム。その気合いの入りっぷりをご堪能あれ。あと、カヴァーデイルは近年、本作収録曲の多くをカバーした『THE PURPLE ALBUM』(2015年)とか出しちゃってるけど、まずはこっちから聴くことをオススメします。



▼DEEP PURPLE『BURN』
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投稿: 2018 03 02 12:00 午前 [1974年の作品, Deep Purple, Whitesnake] | 固定リンク

2018年3月 1日 (木)

MICHAEL SCHENKER FEST『RESURRECTION』(2018)

さて、昨日からの続きです。

2016年のヨーロッパでのフェス出演、および日本での奇跡の来日公演でMICHAEL SCHENKER FESTというプロジェクトに手応えを感じたマイケル・シェンカーは、2017年に入ってから同メンツでのアルバム制作に乗り出します。確かに、それが実現したら最高だなと思うわけですよ。

しかも、ゲイリー・バーデン、グラハム・ボネット、ロビン・マッコーリーというMSG(MICHAEL SCHENKER GROUPおよびMcAULEY SCHENKER GROUP)のシンガー3人だけでなく、現在マイケルが活動の主としているMICHAEL SCHENKER'S TEMPLE OF ROCKの現シンガーであるドゥギー・ホワイトまで加えた4人ボーカル編成でのアルバム作りですよ……正直、「うまくいくの、それ?」と不安に思ったわけですよ。

アルバムをほぼ完成させ、その流れでドゥギーを除くMICHAEL SCHENKER FESTの面々(2016年と同じ編成)は2017年10月、『LOUD PARK 17』2日目のヘッドライナーとして来日。そして年が明けた2018年2月末、ついにアルバムはリリースされました。

実はこのアルバム、雑誌のレビュー向けにひと足先に聴かせてもらってました。そこで僕は、短いながらも下記のようなテキストを用意しました。


マイケル・シェンカーが歴代ボーカリストと現行バンドのシンガーの計4名を迎え制作した異色のスタジオアルバム。完全オリジナル作品ながらも、“フェスト=祭典”というワードを含むプロジェクト名どおり彼の全キャリアが総括されたお祭り的内容は圧巻の一言。各シンガーの特性が見事に使い分けられている点もさすがだが、シェンカーの作曲能力やギタープレイがここにきて新たな黄金期に突入していることにも驚かされる。


いや、本当にこれ以上書きようがないくらい、良いんですよ。楽曲面も過去にシェンカーが関わってきたバンドを総括するかのようであり、それでいて今のTEMPLE OF ROCKにも匹敵する良質のHR/HMが展開されている。曲によって4人のシンガーがパートごとに歌い分けていたり、あるいは1曲まるまる歌っていたり、あるいはあるいは豪華な面々によるバッキングコーラスがあったりと。これ、世が世なら“マイケル・シェンカー版HEAR 'N AID”として機能してたんじゃないかな。そう思えるぐらい、夢の競演であり、サプライズ感満載の1枚なんです。

しかも、シェンカーのギタープレイも冴えまくっている。昨年秋の段階ではそこまで彼の近況に明るくなかった僕ですが、あれから数ヶ月でかなり勉強しました。過去作はもちろんのこと、近年の作品も聴き漁り、見事にハマってしまいました。だからこそ、このタイミングにこんな豪華な布陣を迎え、彼のキャリア中でもトップクラスの作品を生み出すことができて、なんとも幸せなことじゃないですか……今がベスト、本当にそのとおりだと思います。

過去にマイケル・シェンカーの楽曲やアルバム、プレイに心を動かされたことのある人なら、間違いなくピンとくる1枚。それがこの『RESURRECTION』というアルバムだと断言できます。いやあ、年始早々に最高なアルバムに出会えた僕も、本当に幸せな気分でいっぱいです。



▼MICHAEL SCHENKER FEST『RESURRECTION』
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投稿: 2018 03 01 12:00 午前 [2018年の作品, Graham Bonnet, McAuley Schenker Group, Michael Schenker, Michael Schenker Fest, Michael Schenker Group] | 固定リンク