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2018年3月 3日 (土)

THE SMASHING PUMPKINS『MELLON COLLIE AND THE INFINITE SADNESS』(1995)

1995年10月にリリースされたSMASHING PUMPKINSの3rdアルバム。CD2枚組、全28曲から構成されたトータル120分にもおよぶ大作で、収録されている楽曲のタイプもさまざまという、まさにビリー・コーガン(Vo, G)というバンドの頭脳がそのときできることをすべて詰め込んだかのような作品集です。本作は初の全米No.1を獲得し、トータル500万セット以上(1000万枚換算)を売り上げ、「Bullet With Butterfly Wings」(全米22位)、「1979」(全米12位)、「Tonight, Tonigt」(全米36位)、「Thirty-Three」(全米39位)という数多くのヒットシングルを生み出しました。

前作『SIAMESE DREAM』(1993年)の時点で、単なるオルタナ/グランジバンドとは異なるポピュラリティを携えたバンドであることを主張してきたスマパン。その後、1994年4月にカート・コバーン(NIRVANA)が自殺したことを経て、シアトルを中心にしたグランジムーブメントは衰退し始め、そのグランジの死を看取ったのが1995年夏に発表されたFOO FIGHTERSデビューアルバムと、このスマパンの大作だったと個人的には考えています(1994年末発売のPEARL JAMの3rdアルバム『VITALOGY』も、レクイエムとして同じような役割を果たした作品かもしれませんね)。

美しさを強調したアルバムと同タイトルのインスト曲から、そのまま壮大なロックチューン「Tonight, Tonight」で幕を開ける本作。このオープニングからして“闇抜け”にふさわしい構成ですが、以降は「Jellybelly」「Zero」「Here Is No Why」「Bullet With Butterfly Wings」とグランジの流れを汲む彼ららしいメタリックな楽曲が並びます。フォーキーでダウナーな「To Forgive」で小休止したかと思えば、「Fuck You (An Ode To No One)」で再び攻撃性を見せ、エレクトロとグラムロックがミックスした「Love」、落ち着いた雰囲気の「Cupid de Locke」「Galapogos」、大きなノリを持つミディアムチューン「Muzzle」、9分半におよぶ大作「Porcelina Of The Vast Ocean」、サイケデリックなアコースティックバラード「Take Me Down」という流れでディスク1を締めくくります。

ディスク2も、これもグランジロックと呼ぶにふさわしいヘヴィな「Where Boys Fear To Tread」を筆頭に、力強いビートのハードロック「Bodies」、美しい音色のバラード「Thirty-Three」、ダークさを伴うアコースティックチューン「In The Arms Of Sleep」、バンドのニューウェイブ色とポップセンスが遺憾なく発揮された名曲「1979」、各楽器が一体となって攻撃するかのようなプレイが楽しめる「Tales Of A Scorched Earth」、グランジバラードという表現がなんとなく似合うプログレッシヴな「Thru The Eyes Of Ruby」とバラエティ豊かな展開。

そして後半はアコギ弾き語り「Stumbleine」、ヘヴィさとダークさが極限まで達した「X.Y.U.」、デジタルとアコースティックが融合しながらもどこか牧歌的な「We Only Come Out At Night」、アーシーさが心地よい「Beautiful」「Lily (My One And Only)」、ビリー・コーガンというポップセンスに改めて脱帽のバラード「By Starlight」「Farewell And Goodnight」(後者はジェームズ・イハとの共作)と、比較的落ち着いた作風の楽曲が並びます。ちゃんとスマパンに求められるもの(ヘヴィさやポップさ)を残しつつ、しかもそれらがしっかりブラッシュアップされ、なおかつ次作『ADORE』(1998年)への布石も至るところに散りばめられている。単に「できた曲を全部詰め込みました」的な内容ではなく、しっかり計算され尽くされているあたりが策士ビリー・コーガンらしいなと。じゃなきゃ、ここまで売れませんって。

情報量が多い作品ですし、数回聴いただけですべてを理解することは難しいアルバムかもしれません。実際、本作よりも『SIAMESE DREAM』のほうがわかりやすくて好き、というリスナーも少なくありません。しかし、だからこそリリースから20年以上経った今のような時代にフィットする作品なんじゃないかとも思うわけです。“グランジバンド”としての正解は『SIAMESE DREAM』かもしれませんが、僕は本作で示した作風/スタイルこそを支持します。



▼THE SMASHING PUMPKINS『MELLON COLLIE AND THE INFINITE SADNESS』
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投稿: 2018 03 03 12:00 午前 [1995年の作品, Smashing Pumpkins] | 固定リンク