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2018年3月 5日 (月)

PEARL JAM『NO CODE』(1996)

1996年8月発売の、PEARL JAM通算4作目のスタジオアルバム。3作連続全米1位を獲得するものの、セールス的には100万枚強とかなり数字を落としています。これはグランジの終焉に加え、当時PEARL JAMがTicketmasterとの抗争でツアーを思うようにできなかったことも影響しているのでしょう。ツアーやラジオでのオンエアがアルバムのロングヒットに直接影響することの多いアメリカでは、思うようにツアーができない当時の状況はバンドにとって大きな痛手だったことは間違いありません。

確かに過去3作と比べればセールス的にはだいぶ落ちたように映りますが、ではその内容はというと、決して悪いものではなりません。むしろ、PEARL JAMがいよいよアメリカを代表する国民的ロックバンドへと進化し始めたことを伺わせる、土着的だけどポピュラリティも兼ね備えた力作に仕上がったのではないでしょうか。

もともとグランジとは無縁の存在だったはずの彼らが、デビュータイミングのせいでNIRVANAとともにシーンの頂点へと祭り上げられたものの、それも前作『VITALOGY』(1994年)まで。ブームの終わった1996年という時代にこそ、いよいよバンドの真価が問われるわけですが、自分たちにとってはそんなことは関係ないよとばかりに、1曲目「Sometimes」からリラックスしたバンドの姿を提示してくれます。

かと思えば、いきなり狂ったかのようにパンキッシュな「Hail, Hail」があったり、アーシーなミディアムチューン「Who You Are」があったり、従来の彼ららしいダイナミックな「In My Tree」があったりと……PEARL JAMであることを引き受けつつ、自分たちが好きなことをやっている。ある種オルタナティヴだった彼らがいつの間にかメインストリームとなり、今やそのメインストリームであることを真正面から受け止めている。全体的には肩の力が抜けているものの、この『NO CODE』というアルバムからはすべてを引き受けた彼らの強い意思も感じられるのです。

当時、このアルバムを聴いたときは「エディ・ヴェダー(Vo)はついにカート・コバーンの呪縛から解き放たれたんだな」と感じたものです。きっと彼らはR.E.M.のような、いや、ともすればブルース・スプリングスティーンのような存在になるんじゃないか、と。本作の前にニール・ヤングとつるんでアルバムを作ったりもしましたが、そういったことも本作の内容に大きく影響しているんでしょうね。ダークでダウナーだった90年代前半を振り切ったPEARL JAMはさらに強くなる……そう確信させてくれた、バンドにとって大きな転機となった1枚です。



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投稿: 2018 03 05 12:00 午前 [1996年の作品, Pearl Jam] | 固定リンク