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2018年3月13日 (火)

JUDAS PRIEST『PAINKILLER』(1990)

1990年9月に発表された、JUDAS PRIEST通算12枚目のスタジオアルバム。いろいろなトラブルに巻き込まれ、表現の自由と戦い続けた80年代後半のプリースト。その合間に長年にわたりバンドを支えてきたドラマー、デイヴ・ホーランドが脱退(1989年)というピンチもあったものの、新たに元RACER Xのスコット・トラヴィスを迎えたことでバンドは若返りに成功。プロデューサーも前作までのトム・アロムからクリス・タンガリーディス(1976年の2ndアルバム『SAD WINGS OF DESTINY』でアシスタントエンジニアとして関わっていた)に変更し、1990年という時代にフィットしたモダンなアルバムを完成させました。

まあとにかく、このアルバムはオープニングを飾る「Painkiller」の、冒頭のドラミングから驚かされるわけですよね。過去にも印象的なドラムプレイから始まるアルバムは『STAINED CLASS』(1978年)なんて名作があったわけですが、今作はそこを彷彿させるというか、新たな時代の幕開けを宣言するようなオープニングなわけです。

で、この曲のアレンジ、プレイ、ロブ・ハルフォード(Vo)のボーカルスタイル、すべてが前作『RAM IT DOWN』(1988年)までとは異なる、エクストリーム化したもの(サウンドの質感的には、1986年の『TURBO』以降の延長線上にありますが)。スラッシュメタルやスピードメタルからの影響があからさまながらも、そこをしっかりプリースト化させることで単なる焼き直しやコピーで終わらない、唯一無二のオリジナルへと昇華させています。間違いなく、スコットという若い血を得たこと、今までのドラマーとは違う現代的なプレイヤーを獲得したことにより、ここまでイメージが膨らんだといっても過言ではありません。

このアルバムの面白いところは、ハードコアな作風と従来の伝統的なプリーストナンバーが交互に登場するところかもしれません。もちろん、従来の伝統的なプリーストナンバーもモダンな味付けをすることにより、このアルバムならではの色合いを見せているので古臭さはまったく感じられません。特に序盤は「All Guns Blazing」や「Metal Meltdown」のようなスラッシーな楽曲の合間に「Hell Patrol」「Leather Rebel」といった王道色の強いHR/HMナンバーが組み込まれていると、改めて「自分は今、JUDAS PRIESTの新作を聴いているんだ……っ!」と発売当時現実に引き戻されて手に汗握ったことを、昨日のことのように思い出します。

それと、本作はアナログでいうところのA面(M-1〜5)がヘヴィメタル的、B面(M-6〜10)がハードロック的と捉えることもできるかと思います。特にB面はモダンな味付けこそされているものの、「Night Crawler」「Between The Hammer & The Anvil」といったアップテンポのHR/HMナンバーに続いて、ドラマチックなミドルチューン「A Touch Of Evil」、短尺のインスト「Battle Hymn」から「One Shot At Glory」へと続く組曲構成は、それまでのプリーストの持ち味を現代的に解釈した奇跡的な内容だと断言できます。

全英&全米26位、アメリカでは50万枚程度の売り上げと80年代の名盤と比較すれば大きなヒットにはつながらなかったかもしれませんが、彼らが1990年という時代の節目にこういった作品を残した功績は非常に大きなものがあります。これが1991年ではダメだったんですよね。それは、時代がすべてを物語っていると思います。『BRITISH STEEL』(1980年)や『SCREAMING FOR VENGEANCE』(1982年)『DEFENDERS OF THE FAITH』(1984年)と比較したら奥ゆかしさ皆無かもしれませんが、僕はこれもJUDAS PRIESTになくてはならない要素であり、重要なアルバムだと認識しています。ぶっちゃけ、今挙げたような名盤たちと同じくらい聴く頻度の高い、大好きな1枚です。



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投稿: 2018 03 13 12:00 午前 [1990年の作品, Judas Priest] | 固定リンク