SLAYER『REIGN IN BLOOD』(1986)
1986年10月(US。日本盤は1987年1月)に発売された、SLAYERの3rdアルバム。過去2作はインディーズレーベルのMetal Blade Recordsからのリリースでしたが、今作からメジャー流通のDef Jam(のちのAmerican Recordings)からの発表……のはずでした。まあ結果的にはメジャーから発売されたのですが、詳しくは最後に記しますね。
リック・ルービンという“クラシックロック再生工場”とタッグを組むことで、より邪悪でド直球なスラッシュ/ブラックメタルへと進化した本作。1st『SHOW NO MERCY』(1983年)でのIRON MAIDENやVENOMあたりからの影響が強い直線的なスタイル、2nd『HELL AWAITS』(1985年)での若干プログレッシヴな大作志向、これらがすべて凝縮され、ものすごく速いBPMで演奏することで実現した「SLAYERらしいオリジナリティの確立」。もうね、完璧なまでに暴力的な音の塊に仕上げられているんですよ。
僕が初めてSLAYERの音に触れたのが、このアルバム。当時はまだアナログ盤しか発売されてなくて、日本でCD化されたのは90年代に入ってから。友達のお姉ちゃんにダビングしてもらったんだよね。だから自分にとってのスラッシュメタルのイメージはMETALLICAの『MASTER OF PUPPETS』(1986年)と『RIDE THE LIGHTNING』(1984年)、ANTHRAXの『SPREADING THE DISEASE』(1985年)、そしてMEGADETHの『PEACE SELLS... BUT WHO'S BUYING?(1986年)。つまり、スラッシュ四天王のイメージそのままなわけです。
特にSLAYERとMETALLICAは1枚目、2枚目、3枚目でたどる道がことごとく同じ方向。実は続く4枚目も似てるっちゃあ似てるんですよね(音的にではなく、トライしようとしていた方向が)。で、お互い決定打となる5枚目で大きく道が分かれるというね。ホント、面白い2組です。
……と、雑談はさておき。もうね、この『REIGN IN BLOOD』に関しては無心で、かつ大音量で聴いてもらうしかない。冒頭の「Angel Of Death」でのデイヴ・ロンバード(Dr)のドラミングから、ラスト「Raining Blood」の不穏なイントロで始まり、最後に気が触れたようにのたうちまわるギタープレイまで、一寸の隙もない完璧なアルバムですから。全10曲で29分(現行CDはボーナストラック2曲が追加されているのでトータル35分に。できればその2曲を外して楽しんでもらいたいくらい)。10曲通して1曲ぐらいの感覚で楽しめる、ものすごいアルバムです。えげつなさすぎ。
ちなみに、最初に書いたメジャー云々の話題について。要するに「Angel Of Death」をはじめとする一部楽曲の歌詞が倫理的にいろいろアレということで、メジャー配給先のColumbiaが発売を拒否。それで最終的にWarner系からの発売になったといういわく付きの1枚なわけです。ナチスの人体実験を題材にした「Angel Of Death」や、「Piece By Piece」「Necrophobic」の3曲に関しては、確かに国内盤で対訳が掲載されてないもんね。これもそういう理由なんでしょう(ネット上にある私設対訳サイトにはこれらの楽曲の和訳が掲載されているので、詳しくはそちらでお確かめください)。
そういえば、2003年には本作完全再現ライブも実現しましたよね。ライブDVD『STILL REIGNING』(2004年)にてその模様を確認できますが、ぜひ一度はここ日本でも再現ライブをやってほしかったなぁ……さすがにラストツアーで完全再現はないだろうけどさ。
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