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2018年3月11日 (日)

MOTLEY CRUE『TOO FAST FOR LOVE』(1981 / 1982)

記念すべきMOTLEY CRUEのデビューアルバム。本作は1981年11月にバンドの自主レーベルLeathür Recordsから一度発売されたのち、1982年8月(US)にロイ・トーマス・ベイカーがリミックスを施したバージョンがメジャーレーベルElektra Recordsからリリースされています。つまり、『TOO FAST FOR LOVE』には2つのバージョンが存在しているわけです。

僕が初めて聴いたのは、80年代後半に当時のワーナー・パイオニアから発売されたCD、つまりElektra Recordsのバージョン。その後、同作には別バージョンがある、その収録内容もアレンジも異なるらしいぞ、という噂を聞いて西新宿あたりをさまよって、Leathür Recordsバージョンのかなり高額なブートレッグCD(同作のCDは公式には制作されていないので、間違いなくレコードからそのまま起こした音源)を購入してその内容に驚かされました。あれ、こっちのほうがいいじゃん!って。

収録内容の違いはWikipediaなどで確認していただくとして……LeathürバージョンとElektraバージョンがどう違うのかについて触れていくと、まず音の厚みが全然違う。当然、リミックスを施したElektraバージョンのほうが全体的に音像に厚みが感じられる。さらに、曲によってはギターやボーカルがオーバーダビングされており、そういった試みも功を奏している。うん、最初にこっちを聴いたら、これカッコいいじゃん!と間違いなく思うんですよ。

ところが、Leathürバージョンのほうはインディーズらしい音の細さ、ラフさが存在するんです。むしろ、そういった要素が曲の持つグラマラスさ、そしてMOTLEY CRUEというバンドが持つ猥雑さを強調しているんじゃないか。あれ、こっちのほうがいいんじゃね?と思わされる。不思議ですよね。

例えば「Live Wire」終盤のドラムブレイク後に入る歓声や、「Come On And Dance」のエンディングのひっぱり方、「Too Fast For Love」のスローなイントロパートと投げやりなエンディングなど、こういった味付けがメジャーのElektraバージョンではカットされているわけです。唐突に終わるメジャー版の「Come On And Dance」も、ギターのバッキングが重ねられたことで重みが増したメジャー版の「Live Wire」もカッコいいんですけど、MOTLEY CRUEというバンドの存在意義や当時のイビツさを考えると、やはりLeathürバージョンのオリジナルミックスのほうが数歩優れていると言って間違いないでしょう。

あと、メジャー版からは「Stick To Your Guns」という楽曲がカットされています。これはLeathürバージョンのアルバムに先駆けて発売されたMOTLEY CRUE初のシングルの表題曲なんですが、まあ確かに他の楽曲と比較するとちょっと完成度が劣る気がするので、外されて正解かもしれません。実際、Elektraバージョンは終始勢いがある曲順で、テンションや熱量という点においてはLeathürバージョンより優ってますし。まあどちらも一長一短あるので、できることなら両方聴いてほしいなと。

あ、楽曲に関しては言うことなし。このバンドの持つ音楽的ポピュラリティの高さがこの時点ですでに完成されていますし、荒削りながらもキャッチーなナンバーばかり。ここ数年、個人的には『MOTLEY CRUE』(1994年)と同じくらい好きな1枚に昇格しています。本作がなかったら、もちろん続く『SHOUT AT THE DEVIL』(1983年)もなかったし、よりキャッチーでグラマラスな『THEATRE OF PAIN』(1985年)もなかったわけですから。もちろん、『DR. FEELGOOD』(1989年)にだってたどり着けなかったと思いますよ。改めて本作と『DR. FEELGOOD』を聴き比べると、意外と共通点が多いですしね。

最後に。現在CDでの一般流通、およびデジタル配信やストリーミングで聴くことができるのはElektraバージョンのほうのみ。ボーナストラックとしてLeathürバージョンの「Too Fast For Love」や、「Stick To Your Guns」と「Toast Of The Town」(初シングル収録の2曲)などは聴くことができます。どうしてもLeathürバージョンをまるまる聴きたい!という方は、ボックスセット『MUSIC TO CRASH YOUR CAR TO: VOL. 1』(2003年)を探していただくか、2011年に日本でリリースされた『TOO FAST FOR LOVE』30周年記念ボックスを手に入れるほかなさそうです。ちなみに、どちらも現在は廃盤状態。しかも、これらに収められている音源は僕が高校生時代に入手したブートレッグと同じく、当時のレコードから起こした音源という“公式ブートレッグ”ですのでご注意を。



▼MOTLEY CRUE『TOO FAST FOR LOVE』
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投稿: 2018 03 11 12:00 午前 [1981年の作品, 1982年の作品, Motley Crue] | 固定リンク