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2018年3月 4日 (日)

STONE TEMPLE PILOTS『THE MUSIC...SONGS FROM THE VATICAN GIFT SHOP』(1996)

1996年3月(US。日本では4月)にリリースされた、STONE TEMPLE PILOTSの3作目にあたるスタジオアルバム。デビューアルバム『CORE』(1992年)が800万枚を超えるメガヒット作となり、続く2ndアルバム『PURPLE』(1994年)は全米1位を獲得し、600万枚もの売り上げを記録。シアトル出身ではないものの、当時勃発したグランジムーブメントにうまく乗っかってトップバンドの仲間入りを果たしたものの、スコット・ウェイランド(Vo)のドラッグ癖やそれにまつわる逮捕〜薬物施設入院などの連発により、バンド活動は破綻しかけていました。

そんな中、バンドは3rdアルバム制作にあたり合宿生活的なレコーディングを敢行。しかし、スコットはレコーディングや曲作りになかなか顔を出さず、ひとつ屋根の下で生活しながらも顔を合わせずに制作は進んでいったそうです。あちゃあ。

で、完成した本作。最初に聴いたときは正直面食らいました。「あれ、違う」と。前作、前々作ではグランジ(ALICE IN CHAINSSOUNDGARDENあたり)寄りのハードロックサウンドを聴かせてくれた彼らでしたが、本作ではそういった手法を捨て去り、もっとシンプルでわかりやすりロックを作り上げています。ラウンジミュージック的なオープニングのインスト「Press Play」には度肝を抜かれましたが、続く「Pop's Love Suicide」での肩の力の抜けっぷり、最高じゃないですか。このユルさ、嫌いじゃないです。かと思えば、続く「Tumble In The Rough」ではタイトさを強調し、再び「Big Bang Baby」で脱力。良く言えばリラックスしたロックアルバム、悪く言えば緊張感皆無でバンドとしてのまとまりゼロ。そこは聴き手の受け取り方によって大きく変わってくるかもしれません。

が、本作はその後のストテンの方向性を考える上で、非常に重要な作品だと断言していいと思います。メロディアスなポップロック「Lady Picture Show」やサイケデリックなバラード「And So I Know」で示したスタイルは、以降の音楽性における大きな武器になっていくのですから。

「Trippin' On A Hole In A Paper Heart」や「Ride the Cliche」のように従来の彼らを彷彿とさせるグルーヴィーなハードロックも存在しますが、過去2作よりもラフでアーシーなプレイスタイルで表現されており、かっちり作り込まれた前2作と大きく異なります。むしろ、本作でのシンプルなプレイスタイルのほうが従来のグランジに近いのでは……と思ってしまうほど。むしろ、デビュー作が異常に出来過ぎだったんですよね。

バンドとしては危機的状況下にあったものの、実際に完成したアルバムはバンドの新たな可能性が存分に感じられる意欲的な内容だったというのは、なんとも皮肉な話ですね。なお、本作は全米4位まで上昇し、200万枚以上を売り上げるという成績を残しています。過去2作が売れすぎたせいでセールスダウンした感が否めませんが、グランジムーブメントが終わった1996年という時代にこれだけの成績を残したことは、むしろ褒められるべきことだと思いますよ。



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投稿: 2018 03 04 12:00 午前 [1996年の作品, Stone Temple Pilots] | 固定リンク