« PANTERA『OFFICIAL LIVE: 101 PROOF』(1997) | トップページ | THE DARKNESS『PINEWOOD SMILE』(2017) »

2018年3月25日 (日)

ANDREW W.K.『YOU'RE NOT ALONE』(2018)

ANDREW W.K.世界共通の新作としては、日本未発売の『55 CADILLAC』(2009年)以来実に9年ぶりの新作。特にここ日本では2008〜9年にかけてJ-POPカバーアルバムやガンダムカバーアルバムなど企画モノを連発したおかげで、“過去の人”的なイメージで語られる機会も増えていました。そこから数えても9年、周りにはデビューアルバム『I GET WET』(2001年)の衝撃を知らない若いリスナーも増えています。

そんな中、満を辞して発表された通算5枚目のオリジナルアルバム。路線的には2ndアルバム『THE WOLF』(2003年)や3rdアルバム『CLOSE CALLS WITH BRICK WALLS』(2006年)に近いのかなと(前作『55 CADILLAC』は毛色の違う異色作でしたし)。

そもそも、アルバムタイトルの『YOU'RE NOT ALONE』からして、ANDREW W.K.“っぽく”ない。「あれ、大丈夫?」と不安になったのは僕だけはないはず。で、実際にアルバムを聴くと、オープニングの仰々しいインストナンバーから続く「Music Is Worth Living For」……あれ、こんなだっけ? あ、でも最近はこんなだったか……と難しい顔をしている自分がいる。聴き進めるうちに、我々がイメージする“パーティソング”もいくつか顔を覗かせるのだけど、その勢いもデビュー作と比べたら落ち着き払ったもので、どこかお上品。鼻血を流しながらパーティ!パーティ!していた時代は今は昔。ああ、こうやってみんな大人になっていくのか、と肩を落としたのでした。

が、だからといって本作のクオリティが低いものかと言われたら、そこはまた話は別。パーティの質は確かに変わったものの、楽曲そのものは非常に練り込まれており、リスニングに耐えうるものばかり。1曲1曲の曲間がかなり短いせいで、組曲のように聴こえる構成があったり、優雅なサウンド&世界観が影響してか、どこかコンセプトアルバムのように思えたり。『THE WOLF』から顕著になったQUEENへの憧れが、本作では独自の形でオリジナルなものへと昇華されたのかな、そんな気がします。

だからこそ、このアルバムはもっとゴージャスなサウンドプロダクションで聴きたかったな。例えば往年のDEF LEPPARD的なビッグプロダクションで。それが似合う楽曲たちだと思うし、それを今ちゃんとした形でやれる人だと思うのですよ。もちろん、それに近いことをやってくれてはいるのですが、『I GET WET』の頃と比べるとどうしても1音1音のアタックが弱いような。それがメジャー資本とインディーズとの違いなのか、あるいは今やりたいこととしてのこだわりなのかはわかりませんが……。

ファンの求めるANDREW W.K.像とのズレ、この音ならもっとこうやれたんじゃ……という惜しさ含め、9年ぶりの新作(日本では数々の企画盤や『55 CADILLAC』をなかったことにして、『CLOSE CALLS WITH BRICK WALLS』以来12年ぶりと謳ってます)のわりには……と思ってしまうのが正直なところ。曲が良いだけに、余計にね。でも、ライブを観たら印象がまた変わるのかなぁ。嫌いになれない作品だけに、そう願いたい。



▼ANDREW W.K.『YOU'RE NOT ALONE』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / iTunes

« PANTERA『OFFICIAL LIVE: 101 PROOF』(1997) | トップページ | THE DARKNESS『PINEWOOD SMILE』(2017) »

Andrew W.K.」カテゴリの記事

2018年の作品」カテゴリの記事

カテゴリー