FM『ATOMIC GENERATION』(2018)
90年代のブリティッシュHR/HMファンの間では、おそらくTHUNDERと同系統のバンドとして評価されているFM。THUNDER同様、彼らも90年代半ばに一度解散を経験していますが、2007年の再結成以降、『METROPOLIS』(2010年)を機に定期的に新作を発表してくれています。
今作『ATOMIC GENERATION』は彼らにとって通算10作目にあたる、記念すべき1枚。オリジナルアルバムとしては『HEROES AND VILLAINS』(2015年)から3年ぶりとなりますが、その間にデビューアルバム『INDISCREET』(1986年)の再録アルバム『INDISCREET 30』(2016年)を挟んでいるので、意外とそこまで時間が経っていない印象があります。
初期2枚(『INDISCREET』と1989年の2ndアルバム『TOUGH IT OUT』)は産業ハードロック的な印象を持っていましたが、3作目の『TAKIN' IT TO THE STREET』(1991年)あたりから伝統的なブリティッシュハードロックに傾倒し始め、個人的にも「『TOUGH IT OUT』は素晴らしかったけど、これはこれで良いかも」と好意的に受け入れていました。
今回の『ATOMIC GENERATION』も、比較的『TAKIN' IT TO THE STREET』以降の路線に近いのですが、単なる「王道の継承」というよりは「80年代的なAOR/産業ハードロックのルーツ部分も残しつつ、王道ブリティッシュハードロックと融合させていく」という独自のスタンスを取っているように感じられます。
特に、序盤5曲の流れは適度にハードで心地よいメロディを兼ね備えた、大人のハードロックを楽しむことができます。THUNDERと比較されがちだけど、このへんは例えばJOURNEYやFOREIGNERあたりにも通ずるものがあるんじゃないでしょうか。
かと思うと、6曲目「Playing Tricks On Me」でブラスセクションをフィーチャーしたソウルフルなミディアムナンバーをぶち込んできます。ここまでくると、もはやハードロックというよりはサンタナあたりのアダルトなAORと呼んでも違和感ないくらいの作風。続く「Make The Best Of What You Got」も若干黒っぽさを表出させたロックンロールで、サビに入る前までの流れにFOREIGNERをちょっと思い浮かべたり。「Follow Your Heart」もその系統ですよね。
で、9曲目にしてこのアルバム初のバラード「Do You Love Me Enough」が登場。大人の渋みを感じさせる落ち着いたトーンで、コーラスの入れ方も絶妙。そこから大きなノリの「Stronger」、切ないアコースティックバラード「Love Is The Law」で締めくくる。この余韻を残す終わり方も、なかなかだと思いました。
正直、再結成後の彼らの作品はそこまで真剣に聴いてこなかったし、ピンとくるアルバムもそこまでありませんでした。が、これは全体のバランス含めてすごく良いんじゃないでしょうか。派手さは皆無ですが、じっくり腰を据えて向き合うことができるスルメ系な1枚。入門編としても最適だと思いますよ。
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