THE ROLLING STONES『BLACK AND BLUE』(1976)
1976年4月発売の、THE ROLLING STONES通算13枚目(イギリスにて/アメリカでは通算15枚目)のスタジオアルバム。1974年末にミック・テイラー(G)が脱退し、新メンバーオーディションとレコーディングを同時進行することになり、それにより本作にはハーヴィ・マンデルやウェイン・パーキンス、そしてロン・ウッドという複数のギタリストが参加しています(実際のセッションにはジェフ・ベックやローリー・ギャラガーも参加したという話)。
ストーンズのアルバムとしては全8曲と、もっとも曲数が少ないのが本作の特徴。だからといって短い作品という意味ではなく、トータルで41分少々……つまり、長尺の楽曲が多く含まれているということになります。
例えば、オープニングを飾る「Hot Stuff」はワンコードでシンプルなリフを繰り返す、非常にダンサブルなファンクチューン。こういったテイストは「Hey Negrita」にも含まれており、本作の楽曲の大半がスタジオセッションからひねり出されたものであることが伺えます。
ブラックミュージックからの影響が強く打ち出された楽曲が並ぶ点においては、過去の諸作品と一緒なのですが、それでも本作が以前のアルバムと趣が異なるのは、どこか洗練された印象があるところではないでしょうか。モダンなソウルやAORなどとの共通点も見え隠れするこの作りは、続く『SOME GIRLS』(1978年)におけるディスコサンドやパンクロックへの傾倒という、予感させる同時代性を意識した作風。そう考えるとミック・ジャガー(Vo)主導作なのかなと思ってしまいがちですが、実は本作に関してはキース・リチャーズ(G)主導作品なんですよね。まあ、このジャムセッションから生まれたような楽曲が大半を占めるアルバムを聴けば、それも頷ける話ですよね。
また、本作はレゲエやラテンからの影響も強く、「Cherry Oh Baby」みたいにストレートなレゲエソングのカバーも収録。さらに、「Melody」はジャズ、シングルカットされた「Fool To Cry」や7分にも及ぶバラード「Memory Motel」はニューソウルとの共通点も感じられ、デビューから10数年を経てバンドが新たな領域に突入したことを強くアピールしています。
もちろん、お得意のロックナンバーも「Hand Of Fate」や「Crazy Mama」といった楽曲で表現されているのですが、どちらも軽快さより重さやダルさが強調されており、これが本作の持つ独特なテイストを引き立てることに成功しています。どこか明るくなりきれない、この不思議なタッチはもうひとりのギタリスト不在によるものなのか、それとも当時のキースのモードによるものなのか(おそらく後者でしょう)。その前もその後も、二度と再現できていない唯一無二の世界観は、個人的にもかなり気に入っています。ストーンズの全作品中でも5本指に入る、地味だけと強烈な1枚。

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