THE DAMNED『EVIL SPIRITS』(2018)
結成から40年を超えたTHE DAMNEDの、前作『SO, WHO'S PARANOID?』(2008年)以来10年ぶりの新作(通算11枚目)。前作も7年ぶりでしたし、そもそもライブで求められるのは初期の楽曲中心でしょうから、新作が求められているのかどうか微妙ですが……ここは素直に音を評価してみたいと思います。
現在のメンバーはデイヴ・ヴァニアン(Vo)、キャプテン・センシブル(G, Vo)のオリジナルメンバーのほか、モンティ・オキシモロン(Key)、ポール・グレイ(B)、ピンチ(Dr)。ベースのポールは80年代初頭に在籍したことがあり、昨年前任のスチュ・ウェストと入れ替わりで再加入したばかり。
プロデューサーはデヴィッド・ボウイなどでおなじみのトニー・ヴィスコンティ。サウンド的には80年代以降のサイケデリックロックやゴシックロックの延長線上にある、およそパンクロックとは呼びがたいもの。1stアルバム『DAMNED DAMNED DAMNED』(1977年)や3rdアルバム『MACHINE GUN ETIQUETTE』(1979年)の路線を期待して臨むと痛い目を見ることでしょう。
とはいえ、彼らが今やパンクロック主体で活動していないことは、その動向を追っていればなんとなくわかっているはず。なので、そういう広い心でアルバムに臨むと……あれ、意外と良いんじゃない? と思えてくるから不思議です。
THE DOORSあたりを彷彿とさせるサイケガレージロック「Standing On The Edge Of Tomorrow」を筆頭に、序盤はスルスル聴き進められるはず。かと思うと、どこか土臭い壮大さのある“聴かせる”ミディアムナンバー「Look Left」、小気味良いシャッフルビートの「Sonar Deceit」「Daily Liar」、ジャジーなピアノバラードからドラマチックな展開を見せる映画のサントラみたいな「I Don't Care」と、意外とバラエティに富んだ楽曲群がずらりと並びます。
正直、僕は90年代以降のTHE DAMNEDをちゃんと聴いてきたわけではありませんが、これは80年代諸作品に非常に近い作風で、僕個人としてはなかなか聴き応えのある1枚だと思いました。デイヴ・ヴァニアンの落ち着いたトーンの歌声も気持ち良いですし、なによりも全体を覆うオルガンサウンドの気持ち良さといったら。初期パンクの固定観念さえ切り離せれば、普通に気持ちよく楽しめる1枚だと思いました。
なぜかホラー映画のサウンドトラックを聴いてるような、不思議な感覚に陥る作風・構成。アルバムジャケットもそれっぽいですもんね。単純に自分がホラーマニアだからか、この“架空のサウンドトラック”は新しさ皆無ながらも自分のツボにハマる、なかなかの好盤でした。
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