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2018年4月 6日 (金)

ALICE IN CHAINS『JAR OF FLIES』(1994)

1994年1月に発表された、ALICE IN CHAINSの7曲入りEP。1992年9月に発表した2ndアルバム『DIRT』が全米最高6位、400万枚を超える大ヒット作となったものの、1993年にマイク・スター(B)が脱退。これを受けて、オジー・オズボーンのフェアウェルツアーを終えたマイク・アイネズが新たに加わり、映画『ラスト・アクション・ヒーロー』のサウンドトラックに新曲「What the Hell Have I」「A Little Bitter」を提供。さらに同年10月には初来日公演が実現し、バンドとして(表向きは)最高潮の中で制作された最新作がこの『JAR OF FLIES』でした。

事実、『DIRT』の大ヒットを受けて、本作はアメリカBillboard 200にて初の1位を獲得(アルバム扱い)。300万枚以上売り上げるヒット作となりました。

『DIRT』ではとにかくヘヴィでダークさを追求し、かっちり作り込んだ世界観を提供したALICE IN CHAINSですが、今作ではもっとルーズで温かみのあるサウンドを楽しむことができます。そもそも彼らは1stアルバム『FACELIFT』(1990年)と『DIRT』との間に4曲(隠しトラックを含めると5曲)入りEP『SAP』(1992年)を発表しており、ここでフルアルバムでは表現しきれない繊細なアコースティックサウンドを提供。この『JAR OF FLIES』も『SAP』の延長線上にある作風で、冒頭2曲「Rotten Apple」「Nutshell」こそ『DIRT』にも通ずるダークさがありますが、音像自体はもっと穏やかで柔らかいもの。この感触からも、『DIRT』とは異なる方向性の作品であることが伺えます。

また、「I Stay Away」や「No Excuses」あたりは、のちに制作される3rdアルバム『ALICE IN CHAINS』(1995年)のテイストにも通ずるものがあるし、中でも「I Stay Away」や「Don't Follow」が持つポジティブな美しさは、フルアルバムを聴いただけでは伝わってこない側面を強く感じることができるはずです。

かと思えば、「Swing On This」のようなジャムの延長から生まれたような楽曲があったり、彼ららしいひんやりしたギターオーケストレーションと、弦楽器とアコギが生み出す温かみとのコントラストが興味深いインスト「Whale & Wasp」もある。たった7曲、30分程度の短い作品集ですが、ヘヴィでダークで怪奇な印象の強いこのバンドが“ただそれだけではない”ことを証明する上で非常に重要な1枚と言えるでしょう。日本盤に付けられた『アナザー・サイド・オブ・アリス』という邦題、最初に目にしたときは「……ないわーっ!」って思ったけど、今振り返るとあながち間違いではないんですよね。

個人的には初来日公演の中野サンプラザ2日目、紗幕がかかる中でオープニングに演奏された、当時はまだ未発表曲だった「Nutshell」の印象が特に強く。そこから「Junkhead」で静寂を切り裂く構成含め、レイン・ステイリー(Vo)を含む唯一の来日は今でも忘れられません。



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投稿: 2018 04 06 12:00 午前 [1994年の作品, Alice in Chains] | 固定リンク