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2018年5月17日 (木)

WHITESNAKE『GOOD TO BE BAD』(2008)

2008年4月にリリースされた、WHITESNAKE通算10作目のスタジオアルバム。1978年秋に発表された4曲入りEP『SNAKEBITE』がWHITESNAKE名義での最初の音源なので、この『GOOD TO BE BAD』はバンドデビュー30周年を記念する1枚でもあるわけですね。

と同時に、1997年の9thアルバム『RESTLESS HEART』を携えたツアーを最後に、何度かにわたり復活した90年代のWHITESNAKEに終止符を打ったデヴィッド・カヴァーデイル(Vo)が、実に11年ぶりに発表したWHITESNAKE名義のアルバムとなります。とはいえ、『RESTLESS HEART』はソロアルバムとして制作されたものを無理矢理バンド名義で発表したものなので、純粋なバンドの新作としては1989年の『SLIP OF THE TONGUE』以来、19年ぶりということになるのでしょうか……うん、音楽的にもそう言い切って間違いないと思います。

本作制作時のメンバーはデヴィッドのほか、新たな片腕として作曲にも全面的に携わったダグ・アルドリッチ(G)、WINGERとの兼任で参加するレブ・ビーチ(G)、ユーライア・ダフィー(B)、日本ではB'zでの活動で知られるクリス・フレイジャー(Dr)、ティモシー・ドゥルーリー(Key)という布陣。2006年リリースのライブアルバム『LIVE... IN THE SHADOW OF THE BLUES』でのライブ音源や同作のために制作された新曲(「Ready To Rock」「If You Want Me」「All I Want Is You」「Dog」)でのラインナップから、トミー・アルドリッジ(Dr)のみ交代しただけです。

『LIVE... IN THE SHADOW OF THE BLUES』収録の新曲の時点で、意外とデヴィッドとダグの相性が悪くないように感じていた人には、この『GOOD TO BE BAD』は納得の1枚ではないでしょうか。

「Best Years」という「あの素晴らしい日々よ、もう一度」的な意味を持つダイナミックなナンバーからスタートするこのアルバムは、もうそのまんま、1987年のメガヒット作『WHITESNAKE』を軸に、その前後(1984年の『SLIDE IT IN』、1989年の『SLIP OF THE TONGUE』)の良作までを含む、ブルースロックというよりはHR/HM路線のWHITESNAKEを現代によみがえらせようとした内容と言えるでしょう。

聴き進めると「あれ、このメロディ聴いたことある」とか「この節回し、あの曲に似てない?」とか思い当たる元ネタが思い浮かびますし、「具体的にここが似てるわけじゃないけど、この曲はあの曲の雰囲気を再現したかったんだな」という楽曲も少なくありません。そういった楽曲が、加齢とともに声域が狭まり始めたデヴィッドに合わせて、結構なダウンチューニングで演奏されています。なので、サウンドの重量感や低音の質感は非常に現代的。“今の音”としては文句なしだと思います。アレンジも非常に適度なブルースフィーリングをテクニカルな演奏で表現しており、決して“古臭さ”は感じないはずです。

しかし、名作『WHITESNAKE』の煌びやかさまでは時代の違いか再現することができず、なおかつダグの作曲能力の限界か“突出した1曲”が存在しない。「All For Love」とか「Summer Rain」とか悪くないけど、大半は平均点か“B+”程度の仕上がりといった印象。安心して聴けるけど、年間ベストに選ぶような1枚ではないかな……という、古くからのファンにとってはどっちつかずの微妙な立ち位置な気がします。

ですが、もし『WHITESNAKE』をまだ聴いたことがないという奇特なHR/HMリスナーがいたとして、本作からWHITESNAKEに触れたとしたら……その人にとっては名盤になりうる可能性の高い、とも言えるでしょう。なので、聴き手によって評価がガラリと変わる1枚かもしれませんね。

なお、本作は2011年に『STILL GOOD TO BE BAD』と題した、『LIVE... IN THE SHADOW OF THE BLUES』収録の新曲4曲をクリス・フレイジャーが叩き直したバージョンを追加し、曲順もいじった15曲入りCDと、MVやスタジオアコースティックライブ映像などを収めたDVDからなる2枚組仕様も日本のみでリリースされました。



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投稿: 2018 05 17 12:00 午前 [2008年の作品, Whitesnake] | 固定リンク