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2018年5月 1日 (火)

FRANKIE GOES TO HOLLYWOOD『LIVERPOOL』(1986)

FRANKIE GOES TO HOLLYWOODが1986年11月に発表した、通算2作目にして最後のオリジナルアルバム。イギリスではトリプルプラチナムを記録する大ヒットとなったデビューアルバム『WELCOME TO THE PREASUREDOME』(1984年)に比べると全体的に地味なこともあり、全英5位、全米88位という成績にとどまりました。

トレヴァー・ホーンによるダンサブルな打ち込みサウンド、カバー曲が半数近くを締めるデビューアルバムは2枚組という大ボリューム(けど、トータルでは60数分程度)で、リリース当時はアナログ盤で聴くことが躊躇われましたが、今作は全8曲で43分と非常にコンパクト。しかも全曲オリジナル曲とくれば、バンドの気合いの入れようが伝わってくることでしょう。

実際、カッコいい“ロック”アルバムなんですよ。そう、サウンド的にもダイナミックなバンドサウンドを前面に打ち出していて、本当にロックなの。ここには「Relax」も「Two Tribes」もなければ、そういった楽曲にあった下世話さも皆無。急に本格派志向になっていてびっくりしちゃうという。あれだね、ニセモノだの徒花だの罵られた結果、いっちょ本気出してやろうぜ!とバンドの底力を見せようと思ったんでしょうね。

悪くないんですよ。本当に。オープニングの「Warriors Of The Wasteland」から「Rage Hard」へと続くハードでシリアスな世界観は、1986年という不安定な情勢(フィリピンのエドゥサ革命、アメリカによりリビア爆撃、チェルノブイリの原発事故、米ソ首脳会談など)の中で聴くには非常にぴったりでしたし。

でもね、このシリアスなトーンがずーっと続くわけ。3曲目「Kill The Pain」も同系統だし、打ち込みを取り入れた「Maximum Joy」も一緒。唯一、「Watching The Wildlife」あたりは若干ポップさが感じられるけど、それでもトーンとしては暗め。結局、ラストの7分半におよぶバラード「Is Anybody Out There?」まで、ずーっとシリアスでダークめなトーンで統一されているのです。

でもさ。これ、ファンが求めていた路線じゃないよね?

そもそも、固定ファンがどれだけいたのかも疑問ですが、トレヴァー・ホーンのもとを離れてバンドとして自活していこうとした結果がこのアルバムなのだとしたら、ちょっと焦点がズレてましたね、と言わざるを得ない。けど、完成したアルバムの出来がそこそこ良いもんだから、中途半端にけなせない。そういう迷作・珍作なのかもしれませんね。

あ、僕は当時から大好きです。大体、多勢が良くないものを好む傾向は、この頃から始まっていたのかもしれませんね。

偏見を捨てて、一度は触れてみてほしい1枚です。



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投稿: 2018 05 01 12:00 午前 [1986年の作品, Frankie Goes To Hollywood] | 固定リンク