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2018年6月30日 (土)

2018年6月のお仕事

2018年6月に公開されたお仕事の、ほんの一例です。随時更新していきます。
(※6月30日更新)


[紙] 6月30日発売「BUBKA」2018年8月号にて、けやき坂46井口眞緒、高本彩花・東村芽依、加藤史帆・齊藤京子・佐々木美玲の各インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 6月29日、「Red Bull Japan」オフィシャルサイトにてコラム「【梅雨明けプレイリスト】あなたはカラッと派?ジメジメ派? どっちにしてもロックで初夏を乗り切れ!」が公開されました。

[WEB] 6月28日、「Red Bull Japan」オフィシャルサイトにてコラム「不可能を可能にするバンド、Walkingsに刮目せよ」が公開されました。

[紙] 6月23日発売「TV Bros.」2018年8月号にて、『サカナクションのNFパンチ』特集テキスト、サカナクション山口一郎インタビュー、DATS『Digital Analog Translation System』、アリス・フィービー・ルー『Orbit』、ZOMBIE-CHANG『PETIT PETIT PETIT』の各ディスクレビューを執筆しました。(Amazon

[紙] 6月23日発売「BRODY」2018年8月号にて、土田晃之、とーやま校長、オテンキのり各インタビューを担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 6月21日、「MTV JAPAN」オフィシャルサイトにてLittle Glee Monsterの「MTV Unplugged」ライブレポートが公開されました。

[WEB] 6月12日、「リアルサウンド」にて大阪☆春夏秋冬インタビュー「大阪☆春夏秋冬が語る、波乱万丈のキャリアから生まれた強さ「“てっぺん”を目指すことは譲れない」」が公開されました。

[CD] 6月12日の大阪☆春夏秋冬のアルバム「SSFW」CD+Blu-ray盤にて、特典Blu-ray収録「1st FULL ALBUM「SSFW」メンバーインタビュー」を担当しました。(Amazon

[紙] 6月8日発売「別冊カドカワDirecT 13」にて、乃木坂46井上小百合、山下美月、生田絵梨花インタビュー、欅坂46小林由依100問100答を担当・執筆しました。(Amazon

[WEB] 6月6日、「BARKS」にて陰陽座の黒猫&瞬火インタビュー「陰陽座「僕たちの思う王道は世間では覇道と呼びますが、それで十分なんです」」が公開されました。

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また、5月に当サイトで紹介したアルバム(Spotify/AppleMusicで配信している作品のみ)から各1〜2曲程度ピックアップして、30曲程度のプレイリストを制作しました。題して『TMQ-WEB Radio 1805号』。一応曲の流れなんかも考慮しつつ曲順を考えておりますので、レビューを読む際のBGMにするもよし、何も考えずにダダ流しするもよし。おヒマなときに聴いていただけると嬉しいです。


投稿: 2018 06 30 12:00 午後 [「仕事紹介」] | 固定リンク

JON BON JOVI『DESTINATION ANYWHERE』(1997)

グレイテスト・ヒッツアルバム『CROSS ROAD』(1994年)、オリジナルアルバム『THESE DAYS』(1995年)を連続リリースし、大掛かりなワールドツアーを大成功させたBON JOVIは、そのあと4年近くにおよぶ活動休止期間に突入します。その間、ジョン・ボン・ジョヴィ(Vo)は俳優業に精を出したりし、リッチー・サンボラ(G)は2枚目のソロアルバム『UNDISCOVERED SOUL』(1998年)を発表し、大々的なソロツアーを行います。

が、ジョン自身も俳優業だけでなく、単発で音楽活動も行いました。それが1997年6月にリリースされた2枚目のソロアルバム『DESTINATION ANYWHERE』です。

初のソロアルバム『BLAZE OF GLORY』(1990年)は映画『ヤングガン2』にインスパイアされた、なかばサウンドトラック的な1枚でした(映画自体もBON JOVIの「Wanted Dead Or Alive」から強い影響を受けたものなので、音楽も必然的にそっち寄りになりましたし)。そういった意味では、今回の『DESTINATION ANYWHERE』のほうがよりソロ色が強い作品と言えるでしょう。

EURYTHMICSのデイヴ・スチュワート、デズモンド・チャイルド、ステファン・リローニ(BLACK GRAPE、HANSONなど)、エリック・バジリアン(ex THE HOOTERS / ジョーン・オズボーン「One Of Us」の共作などで有名)と個性的な面々をプロデューサー/コラボレーターに迎えた本作は、基本的にはバンドサウンドを排除した打ち込み主体のポップアルバム(本編ラストの「August 7, 4:15」のみバンドサウンドで、2000年代のBON JOVIに通ずるものあり)。BON JOVIでのメロディメイカーとしての才能が遺憾なく発揮され、それを同時代的なダンスミュージックやポップミュージックのフォーマットに乗せることで、新たな魅力が引き出されているだけでなく、やはりBON JOVIの楽曲が持つポップさはHR/HMの枠では収まらないものなんだと実感させられました。

オープングの「Queen Of New Orleans」こそ終始ロウトーンで歌われ、しかも全体的にダークな作風とうことで“グランジ以降”を彷彿とさせますが、続く「Janie, Don't Take Your Love To Town」や「Midnight In Chelsea」のポップさはBON JOVI歴代のヒットチューンにも引けを取らない仕上がり。全体的にミディアム〜スローのダウンビートが中心なので、高揚感を求めて接すると痛い目を見るかもしれません。直近の『THESE DAYS』ほど“枯れた”テイストはありませんが、実は楽曲の質感的には意外と近いものがあるような気がします。「Every Word Was A Piece Of My Heart」あたりなんて、キーとテンポを上げたらそのままBON JOVIの楽曲としても通用するものですしね。

全12曲で60分前後と比較的尺が長いアルバムですが、意外と飽きがこないのは、要所要所にフックとなるメロディ、楽曲が配置されているから。現行盤では13曲目にデモトラックの「Cold Hard Heart」が入ってますが、個人的には“ジョンのロック魂”を感じさせる「August 7, 4:15」で終わる構成が好き。これがあるから、オープニングの「Queen Of New Orleans」が映えるわけですし。

本作以降、ジョンはソロアルバムを制作していません。もはやBON JOVI自体がジョンのソロプロジェクトの一環になりつつありますし、その必要もないんでしょうけど、たまにはこういったロックの枠をはみ出した作品集も聴いてみたいものです。



▼JON BON JOVI『DESTINATION ANYWHERE』
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投稿: 2018 06 30 12:00 午前 [1997年の作品, Bon Jovi, Eurythmics, Jon Bon Jovi] | 固定リンク

2018年6月29日 (金)

RSO (RICHIE SAMBORA / ORIANTHI)『RADIO FREE AMERICA』(2018)

海外では2018年5月上旬、日本では6月下旬にリリースされた、リッチー・サンボラ(ex. BON JOVI)とオリアンティによるプロジェクト・RSOの1stアルバム。プロデュースを手がけたのが、かのボブ・ロック。ボブは曲作りにも携わっており、リッチー&ボブの組み合わせから想像できるサウンド&楽曲が展開された、なかなか聴きごたえのある1枚に仕上がっています。

レコーディングにはクリス・チェイニー(B)、デイヴ・ピアース(B)、アーロン・スターリング(Dr)、クリス・テイラー(Dr)など名うてのプレイヤーが多数参加していますが、リッチーとオリアンティはボーカル&ギター以外にもベースやキーボード、プログラミングにも携わっているようです。

リッチー・サンボラという人は決して非凡なギタープレイヤーではないし、ソングライターとしてもひとりでは100%の力を発揮できない人だと思っています。つまり、ジョン・ボン・ジョヴィやデズモンド・チャイルドといった才能あるソングライターをサポートすることで自身の個性を発揮する、ある種バイプレイヤー的な存在ではないでしょうか。

そして、オリアンティという人についてはマイケル・ジャクソン最後のライブに参加する予定だったことで名を馳せ、その後ソロ作をスマッシュヒットさせましたが、この人もマイケルや、のちに絡むアリス・クーパーのような絶対的フロントマンの隣でこそ映える人だと思うのです(個人的見解ですが)。

そんな2人が恋仲になり、音楽活動まで一緒に行う。それ自体は決して悪いことではないですし、実際このアルバムの出来もリッチーが最後に参加したBON JOVIのアルバムより良い曲が多いと思っています。が、突出した“何か”が足りないのもまた事実。全体的に80点近くまでは獲れるんだけど、そのボーダーを超える決定打がないのです。だから、いくら80点に近い楽曲が15曲並ぼうが、ただぼんやりと時間が過ぎていってしまう。悪くないだけに、非常に勿体ない1枚だと思いました。

2人で歌ったり、リッチーやオリアンティが単独で歌う曲があったり、曲調も往年のBON JOVIを思わせる派手なハードロックがあったり、内省的なアコースティックナンバーがあったり、いろいろやってます。が、ここには「Livin' On A Prayer」も「Bad Medecine」も「It's My Life」も「Have A Nice Day」もない。それと同じクオリティーの1曲を求めるのではなく、そういった“アルバムの軸になる1曲”が欲しかった。それだったら15曲もいらないし、たとえ10曲入りでも誰も文句は言わないんですよ。

だからこそ、この2人が普通に歌う曲よりもアリス・クーパーをフック的にフィーチャーした「Together On The Outside」みたいな曲のほうが印象に残ってしまう。貶しようのない内容だけに、本当に困りものの1枚です(一応褒めているんですけどね)。



▼RSO『RADIO FREE AMERICA』
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投稿: 2018 06 29 12:00 午前 [2018年の作品, Alice Cooper, Orianthi, Richie Sambora, RSO] | 固定リンク

2018年6月28日 (木)

THUNDERPUSSY『THUNDERPUSSY』(2018)

CDショップで久しぶりにジャケ買いした1枚。そのアートワークのセンスと「THUNDERPUSSY」という思い切ったバンド名から、てっきり70年代のB級C級ガレージバンドのリイシューかと思ったら、今年の5月下旬に発売されたばかりの新作。しかも、メジャーレーベルのRepublic(Universal Records傘下)配給だと知り、迷わずレジまで走ったわけです(ウソ走ってはいないです)。

日本盤すらリリースされていないこのバンドですが、2013年に結成されたシアトル出身の4人組ガールズバンド。同郷のマイク・マクレディ(PEARL JAM)に見出され、彼のプライベートレーベルからシングル「Velvet Noose」を発表しています。このシングルはマイクがプロデュースを手がけたほか、ギターでも参加(本アルバムにも彼が参加した「Velvet Noose」「The Cloud」を収録)。これが話題となり、現在のメジャーレーベルと契約し、TOOLRED HOT CHILI PEPPERSSYSTEM OF A DOWN、ジョニー・キャッシュなどのプロデュース、ミックスを手がけてきた女性エンジニア、シルヴィア・マシーをプロデューサーに迎えて完成させたのがこのアルバムです。

聴く前のイメージとしてはガレージロック的な側面が強いのかなと思っていました。実際、そういったカラーも存在するのですが、それ以上に全体を多くのは70年代のハードロック的なテイスト。曲によってはLED ZEPPELINを彷彿とさせるものもありますが、それ以上にもっとカラッとしているというか。ジャニス・ジョプリン以降、ジョーン・ジェット以前というイメージ(伝わるでしょうか?)のボーカルと、音の隙間を効果的に聴かせるアンサンブルが、古臭くもあり、どこか新鮮でもあるのが不思議です。

……で、冷静になって考え直してみると、ああそうか、これってPEARL JAM以降のアメリカンロックなのかなと。グランジの中でもBLACK SABBATHに影響を受けていない側のバンド、そちらに近い存在なのかもしれないなと。マイクがこのバンドに引っかかったのも、そういったところにあるのかもしれないな、なんて思ったわけです。

それでいて、このヴィジュアルの華やかさ。ジャケットのエログロチックな世界観とはちょっと違うものもあるんだけど、このキラキラ感もどこか70年代のそれに近いものがあるんじゃないかなと。決して80年代的煌びやかさではない、そこの小さな違いがすごく大きいと思うのですが、いかがでしょう?

アメリカではすでにGRETA VAN FLEETと共演しているようです。それもすごく納得。グランジすら後追いの世代が、気づいたら70年代的な音楽を“今の音”として作り上げてしまった。その結果が、このTHUNDERPUSSYやGRETA VAN FLEETなのかなと。もっと言えば、イギリスのTHE STRUTSあたりもそこに含まれますよね。ロックの歴史が何サイクルも経て、またここにたどり着いた。我々おっさん世代にはウェルカムですが、今を生きる若い世代にはどう響くのか。これからが見ものです。



▼THUNDERPUSSY『THUNDERPUSSY』
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投稿: 2018 06 28 12:00 午前 [2018年の作品, Pearl Jam, Thunderpussy] | 固定リンク

2018年6月27日 (水)

IHSAHN『ÁMR』(2018)

ノルウェーが誇る伝説のブラックメタルバンドEMPEROR。そのフロントマンであるイーサーン(Vo, G)による通算7作目のソロアルバム。前作『ARKTIS.』(2016年)からちょうど2年ぶりの新作となります。

4作目の『EREMITA』(2012年)以降の作品同様、本作もドラム以外のパートをほぼイーサーンひとりで担当し、そのドラムのみトビアス・アンダーソンが叩いております。また、本作では2曲目「Arcana Imperii」のみギターソロでフレドリック・オーケソン(OPETH)、「Where You Are Lost And I Belong」のドラム打ち込みをAngell Solberg Tveitanなる人物が担当しています。

これまでの作品同様、ブラックメタル的スタイルを残しつつも、シンフォニックメタルやプログレッシヴロック的手法も大々的に取り入れられており、EMPEROR後期の延長線上にありながらも、その作風をさらにモダンにしたスタイルが展開されている、と言ったほうが正しいのでしょうか。イーサーンのボーカルこそデスボイスとクリーンボイスが混在する手法で、そこにEMPERORの名残が感じられるかもしれませんが、例えば2000年代半ば以降のOPETHあたりが好きな人になら間違いなくアピールする1枚だと思います。

冒頭の2曲「Lend Me The Eyes Of Millennia」「Arcana Imperii」やラストの「Wake」は“EMPERORのイーサーン”をイメージさせる作風ですが、「Sárm」や「Twin Black Angels」のエモーショナルさ/穏やかさはどこか往年のプログレを彷彿とさせ、本作の中でも程よいフックになっています。こういう楽曲で全体に起伏をつけているからこそから、ダークでアグレッシヴな「Wake」が最後に来ることでドラマチックさが強調される。そんな印象を受けました。

ギターの歪み方もブラックメタルのそれとは一線を画するし、ドラムのチューニングもふくよかさを感じさせ、とてもメタルのそれとは思えない。また、要所要所にフィーチャーされるストリングスサウンドも非常に効果的で、イーサーンのクリーンボイスによるハーモニーとの相性も抜群です。そういった健やかな要素が、暗雲立ち込めるブラックメタル・マナーの合間に飛び出すことで、ハッと現実に引き戻される感覚。そこが気持ち良いんですよね。

11曲で60分近くあった前作『ARKTIS.』と比べて、本作は全9曲で約43分(デラックス盤ボーナストラック「Alone」を除く)というトータルランニングも聴きやすさ、聴いたときの心地よさに拍車をかけている気がします。彼のソロ作はどれも好きですが、今の自分に一番フィットするという点においては、今作は過去のアルバムの中で一番好きな作品。個人的な年間ベストに入れておきたい、2018年における重要な1枚です。



▼IHSAHN『ÁMR』
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投稿: 2018 06 27 12:00 午前 [2018年の作品, Emperor, Ihsahn, Opeth] | 固定リンク

2018年6月26日 (火)

MADBALL『FOR THE CAUSE』(2018)

80年代後半から活躍するニューヨーク出身のハードコアバンドMADBALLの4年ぶり、通算9作目のスタジオアルバム。前作『HARDCORE LIVES』(2014年)同様、メタル系レーベルのNuclear Blast Recordsからのリリースとなっております。

90年代半ばの本格的デビュー時、Roadrunner Recordsからのリリースだったこともあり、またメタリックなNYHCバンド(SICK OF IT ALLやBIOHAZARDなど)に注目が集まっていたこともあり、当時はその一環として僕も聴いておりました。そこから早20年強経ち、偶然手にしたこの1枚。久しぶりにMADBALLのアルバムをこうして聴いてみたわけですが……シンプルかつストレートな作風はそのままに、より強度を増したそのサウンドはHR/HM耳にも十分に楽しめるものだと思いました。

バンドとティム・アームストロング(RANCID)との共同プロデュース、MESHUGGAH、THE HAUNTED、SICK OF IT ALL、そしてDIR EN GREYなどを手がけてきたチュー・マドセンがミックス&マスタリング。ゲストにアイス-T(BODY COUNT)とティムが参加しているなど、想像以上にバラエティに富んだ作りでしたが、それも一回聴き終わって冷静になってからデータを見て気づいたこと。要するに、そういった要素は“オマケ”くらいの気持ちで、とにかく最初から最後まで爆音で楽しめる1枚です。むしろ、頭を空っぽにして聴け!ぐらいの勢いで。

確かにドラムの抜けやギターの歪み&ザクザク感が心地よい&聴きやすいのは、チュー・マドセンの手腕によるものが大きいと思います。が、それ以上に楽曲が聴きやすい。正直、最初の1、2枚しか聴いてない耳なので、近作がどうだったかは知りません。なので、ずっと聴いてきたファンには「いつもと一緒じゃん」と思われるかもしれませんが、自分のようなリスナーでもスッと入っていけるという意味では、初めて彼らに触れるビギナーにも入門編としてぴったりなんじゃないかと思いました。

ちなみにMADBALL、現在はフレディ・クリシエン(Vo)、ホヤ(B)、マイク・ジャスティン(Dr)の3人編成。昨年ギタリストのミッツが脱退したばかりで、本作のレコーディングには1992〜2000年に在籍したマット・ヘンダーソンが参加しています(ツアーには参加しないとのこと)。それもあって、初期を知る自分のようなリスナーにも取っつきやすいのかしら。

適度にグルーヴィーでヘヴィ、そして疾走感も伴っている(最後の最後にレゲエのユルさもあり)。“あの頃”の記憶が20数年ぶりによみがえってくる、そんな好盤です。



▼MADBALL『FOR THE CAUSE』
(amazon:海外盤CD / MP3

投稿: 2018 06 26 12:00 午前 [2018年の作品, Madball, Rancid] | 固定リンク

2018年6月25日 (月)

REEF『REVELATION』(2018)

イギリスの4人組ロックバンド、REEFの通算5枚目となるスタジオアルバム。前作が『GETAWAY』(2000年)だから、実に18年ぶりですか……まあ2003年に一度解散して、2010年に再結成しているので、それも納得っちゃあ納得ですけどね。

現在のバンドメンバーはゲイリー・ストリンガー(Vo/最近SKINDREDの新作『BIG TINGS』にもゲスト参加してました)、ジャック・ベサント(B)、ドミニク・グリーンスミス(Dr)のオリジナルメンバーに、2015年に加入したジェシー・ウッド(G/ストーンズのロニー・ウッドの実子)の4人。再結成以降、2012年には過去の音源と2002年に制作途中で頓挫した幻の5thアルバムのデモ音源をまとめたボックスセット『93/03』、2013年には配信限定ライブアルバム『LIVE FROM METROPOLIS STUDIO』、2014年にはシングル「Barking At Trees」、2016年にはライブアルバム『LIVE AT ST. IVES』とシングル「How I Got Over」といろいろ発表してきたものの、純粋なオリジナルアルバムは本当に久しぶりなんですね。

本作のプロデュースは名盤『GLOW』(1997年)や『RIDES』(1999年)を手がけたジョージ・ドラキュリアス(THE BLACK CROWESPRIMAL SCREAMKULA SHAKERRIDEなど)が担当。18年の空白をまったく感じさせない、『GLOW』や『RIDES』から地続きの楽曲やサウンドを楽しむことができます。

オープニングのタイトルチューン「Revelation」からいきなり飛ばしてきますが、シェリル・クロウをフィーチャーした2曲目「My Sweet Love」以降はいかにも彼ららしい、ユルくてまったりとしながらも地に足の着いた、グルーヴィーでアーシーなロックンロールが展開されていきます。

いやあ、良い意味で何も変わってない。いや、表層的には変わってないけど、ボーカルやサウンドからは以前以上の深みが感じられる。単に18年分歳を重ねたというのも大きいけど、再結成以降はライブを軸にマイペースな活動を続けてきた彼らならではの説得力が大きいのかなと。

確かに『GLOW』と比べたら勢いはないのかもしれないし、あれほどの奇跡的な整合感はないかもしれない。けど、聴けば間違いなく「これぞREEF!」と納得できる内容。このバンドに何を求めるかによって評価は異なるかもしれないけど、少なくとも彼らの作品を複数追ってきたリスナーにはぴったりフィットする内容だと思います。

ちなみに、本作には3曲のカバー曲を収録。2年前にシングルリリースされた「How I Got Over」はアレサ・フランクリンなどで知られるゴスペルのスタンダート、「Darling Be Home Soon」はTHE LOVIN' SPOONFULが1967年に発表して全米15位まで上昇したナンバー、「Like A Ship (Without A Sail)」はPASTOR T.L. BARRETT & THE YOUTH FOR CHRIST CHOIRが1971年に発表したソウルナンバー。それぞれ原曲の雰囲気を残しつつ、よりREEFらしく生まれ変わっています。「How I Got Over」や「Like A Ship (Without A Sail)」なんてゴスペル隊までフィーチャーしてゴージャスさが増しているし、「Darling Be Home Soon」はフォーキーな原曲がよりファンクロック調に生まれ変わっている。特に「Darling Be Home Soon」や「Like A Ship (Without A Sail)」あたりは、90年代初頭のマンチェムーブメントを彷彿とさせるものがあるので、あのへんのダンサブルでソウル寄りのバンドが好きだった人にもオススメできるかも。

本作は日本盤リリースなし、デジタルリリースやストリーミングも今のところ国内配信なし。なのに、9月には実に15年ぶりの来日公演が決定しています。もしかしたら直近に国内盤リリースが決まってるのかな? せっかく来日するのに勿体ないですよね。ぜひしっかり流通させてもらいたいと思います。


※アルバム配信なしなので、シングル「How I Got Over」のみ貼っておきます。



▼REEF『REVELATION』
(amazon:海外盤CD / 海外盤アナログ

投稿: 2018 06 25 12:00 午前 [2018年の作品, Reef] | 固定リンク

2018年6月24日 (日)

JONATHAN DAVIS『BLACK LABYRINTH』(2018)

KORNのフロントマン、ジョナサン・デイヴィスによる初のソロアルバム。バンドとしての最新作『THE SERENITY OF SUFFERING』が2016年の作品だったので、そろそろ新作を聴けるのかなと思っていたら、昨年くらいからジワジワ噂になり始めていたソロ作を先に出したのですね。まあ、この春にはバンドとして『VANS WARPED TOUR JAPAN 2018』で来日公演も行なったばかりなので、まだそこまでの飢餓感はありませんが。

さて、ソロ作ということで、本作はバンドサウンドにこだわらない縦横無尽かつ自由度の高い楽曲/サウンドで聴き手を楽しませてくれます。ジョナサンがあの声で歌っていれば、確かにそれはKORNそのものですし、過去にはバンドとしてEDMにも挑戦している(2011年の『THE PATH OF TOTALITY』)くらいですから、本作も抵抗なく、違和感なく接することができました。

アルバムにはLIMP BIZKITのウェス・ボーランド(G)やジャズミュージシャンのマイルズ・モズリー(B)、KORNとのコラボレーションでも知られる音楽家のザック・ベアード(Key)、そしてKORNのメンバーでもあるレイ・ルジアー(Dr)など気心知れた面々が参加。ジョナサン自身もギターやキーボードやプログラミングのほか、バイオリンやシタールなどを披露する多才ぶりを見せています。

「Happiness」や「Your God」などちいったヘヴィな楽曲も存在するものの、もちろんKORNとは異なるアプローチが取られており、変態性は薄いかも。プログラミングによるリズムを同期させたドラムビートには非常にダンサブルなものが多いし、低音を強調したヘヴィなギターサウンドと同じくらいスペーシーなシンセが被せられている。KORNでも似たようなことに挑戦しているものの、やはり表現するメンツが変わればこうも違うんだなと。とにかく、聴きやすさがKORNのそれとはまったく違います。

近年のKORNは初期のようなダークさとは異なる世界観が展開されていますし、そのへんがいまだに好きで近年の諸作が苦手という人には今作もダメかもしれません。が、最近のKORNに対して好意的なリスナーなら、本作も“その延長として”楽しめるのではないでしょうか。僕みたいに『THE PATH OF TOTALITY』を前のめりで楽しめた方なら、間違いなく取っつきやすい1枚だと思います。

あ、あとダークはダークでもどこかニューウェイブ風ダークさの漂う本作は、DEPECHE MODEとかあのへんのアーティストが好きな人にも引っかかる内容ではないかと。KORNに対して偏見を持っているリスナーにこそ聴いてもらいたい、隠れた名盤です。純粋に好き。

あと、本作も日本盤未発売。最近、本当に増えましたね、こういうケースが。そりゃあ某フェスも開催なくなるはずだ……(それだけが理由じゃないだろうけど)。



▼JONATHAN DAVIS『BLACK LABYRINTH』
(amazon:海外盤CD / MP3

投稿: 2018 06 24 12:00 午前 [2018年の作品, Jonathan Davis, Korn, Limp Bizkit] | 固定リンク

2018年6月23日 (土)

PANTERA『REINVENTING THE STEEL』(2000)

海外で2000年3月、日本では同年4月にリリースされたPANTERA通算9作目(メジャー5作目)のスタジオアルバムにして、結果的にはバンドのラスト作となった1枚。前作『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』(1996年)発表後、ツアーは行うもすったもんだあって(フィル・アンセルモがヘロインの過剰摂取で心停止に陥る、などなど)フィルとほかのメンバーとの間に大きな隔たりが生まれ、結果として過去最長の4年というリリース間隔が空いてしまうわけです(その合間にライブアルバム『OFFICIAL LIVE: 101 PROOF』の発売はありましたが)。

今作ではメジャーデビュー以降ずっとPANTERAサウンドを手がけてきたテリー・デイトの手を離れ、ダイムバッグ・ダレル(G)とヴィニー・ポール(Dr)のアボット兄弟のほか、スターリング・ウィンフィールドというエンジニアの3人体制でレコーディング。サウンド的にはドラムの芯がかなり太くなった印象があり、ギターサウンドも以前よりふくよかさが増したイメージ。それによって、全体的にヘヴィさがより明確になり、フィルのボーカルとのバランスも抜群で、個人的にも全作品中でもっとも好きなサウンドメイキングかもしれません。

楽曲に関しては、前作『THE GREAT SOUTHERN TRENDKILL』でのハードコアな路線をより進化させたようなスタイルで、正直リリース当時に聴いたときは「ヘヴィでカッコいいけど、ちょっと聴き手を選ぶ内容かなぁ」と以前ほどリピートしなかった記憶があります

が、あれから18年経った今聴いてみると、意外とキャッチーな1枚であることに気づかされます。フィルのボーカルも、正直ここまでキャッチーだったっけ?と驚いたくらい、スッと入ってくるし(まあ、その後の彼のプロジェクトの数々を通過した今となっては、かなりキャッチーですよね。笑)。

PANTERAらしいグルーヴ感の強いミドルヘヴィチューンや、BLACK SABBATHからの影響が強いプログレッシヴなメタルナンバーなど、とにかく聴きごたえ抜群。2000年といえば、すでにKORNLIMP BIZKITといった新興勢力がシーンに台頭し、さらにはSLIPKNOTのような次世代バンドも登場するタイミング。90年代前半に「メタルシーンの未来」なんて言われたPANTERAも、もはやオールドスクールの仲間入りか……なんて危惧されていたところに、この“PANTERAスタイルの完成型”をこのタイミングに提示したことは、今思えばものすごく大きな意味のあることだったんだなと気づかされます。

結果的に、このアルバムを携えたツアー終了後にバンドは再び決裂。2003年に正式に解散を発表することになります。その後の活動や歴史については、今さら触れるまでもないでしょう……いや、触れたくもないというか。

今日はこれから、このアルバムを爆音で楽しみながら過ごしたいと思います。PANTERAという最強のバンドにリアルタイムで出会えたことを、誇りに感じながら。



▼PANTERA『REINVENTING THE STEEL』
(amazon:国内盤CD / 海外盤CD / MP3

投稿: 2018 06 23 05:00 午後 [2000年の作品, Pantera, 「R.I.P.」] | 固定リンク

GHOST『PREQUELLE』(2018)

スウェーデン出身のハードロックバンド、GHOST(北米地区ではGHOST B.C.と表記されることも)の4thアルバム。前作『MELIORA』(2016年)の全米8位にも驚かされましたが、本作はそのさらに上をいく全米3位に輝くという大成功を収めています。アメリカ人、こういうキャラものが結局好きなのかね。

はい、キャラものと書きましたが、フロントマンのパパ・エメリタスことコピア枢機卿こと本名トビアス・フォージ(Vo/ややこしいわ!)のルックスやそのステージングを過去の映像で観たら、納得してもらえると思います(最新のMVではかなり地味になっていますが)。まあメンバーのその名前もふざけてますし、バンド名が“おばけ”って時点で世の中ナメてますからね(笑)。

だけど、音そのものは非常に聴きやすいメロディアスかつプログレッシヴな80年代風ハードロックを聴かせてくれます。スタート時こそリー・ドリアン(元CATHEDRAL)主宰のRise Avobe Records所属のドゥームメタルバンドでしたが、今やちょっと古臭いオールドスクールなハードロックを展開しているんですから驚きです(しかもこのルックスで)。

でも、アルバムで取り上げているテーマには彼ら(というかトビアス・フォージ)ならではのこだわりがあり、過去には「迫りくる破滅」「反キリストと宗教裁判」「人文主義と強欲さ」(以上、レーベルサイトより)を取り扱っており、本作では「暗黒時代」をテーマにアルバムは制作されています。

とにかく、聴きやすい。見た目の印象からもうちょっとおどろおどろしいものをイメージするかもしれませんが、まったくそんなことはなく、歌声も意外と?爽やか。メロディもしっかりしており、適度にフィーチャーされたキーボードと適度に歪んだギターの音が気持ちよく響きます。

また、アルバムにはインストナンバーも2曲含まれており、中盤の「Miasma」ではサックスまでフィーチャーされています。さらに、「Pro Memoria」では壮大なストリングス&コーラス隊も導入されており、どこか往年のヨーロピアンプログレを思い出させてくれます。

ボーカルのトーンが高くなく、中音域をメインにしていることからHIMあたりにも通ずるものがあったりします。そのへんが好きなリスナーなら絶対に気にいる1枚かと。こういったアルバムが純粋に評価されるのは、ロック低迷といわれる2018年だからこそ嬉しくもあります。ですが、本作は日本盤のリリース予定なし。ちなみに前作も日本盤はスルーされています。来日が決まったりしたら、また違うんでしょうかね……過去にはサマソニで来日しているのですが、ぜひ秋恒例の大型フェスで観たいものです(まあ今年はなしですけどね)。

なお、本作のデラックス盤にはボーナストラックとして2曲のカバー(PET SHOP BOYS 「It's A Sin」、レオナード・コーエン「Avalanche」)が追加されているので、カバーソング好きはこちらもチェックしてみてはどうでしょう。



▼GHOST『PREQUELLE』
(amazon:海外盤CD / 海外デラックス盤CD / MP3

投稿: 2018 06 23 12:00 午前 [2018年の作品, Ghost] | 固定リンク

2018年6月22日 (金)

BURN THE PRIEST『LEGION: XX』(2018)

海外では2018年5月中旬、日本では1ヶ月遅れて6月22日(つまり本日)に発売された。BURN THE PRIESTのカバーアルバム。BURN THE PRIESTと聞いてピンと来ないリスナーもいるかもしれませんが、なんのことはない、LAMB OF GODの変名バンドのことです。

いや、変名というと語弊がありますね。BURN THE PRIESTというのはLAMB OF GODの前進バンドの名前で、1999年にセルフタイトルのアルバムを1枚リリースしております(メンバーも5人中4人が一緒で、ウィリー・アドラーが加入して現在のLAMB OF GODとしての活動がスタート)。今回のカバーアルバム『LEGION: XX』は現LAMB OF GODのメンバー5人で制作しているので、まあ早い話がLAMB OF GODのニューアルバムですね。

カバーの内訳は下記のとおり。


01. Inherit The Earth [THE ACCÜSED]
02. Honey Bucket [MELVINS]
03. Kerosene [BIG BLACK]
04. Kill Yourself [S.O.D.]
05. I Against I [BAD BRAINS]
06. Axis Rot [SLIANG LAOS]
07. Jesus Built My Hotrod [MINISTRY]
08. One Voice [AGNOSTIC FRONT]
09. Dine Alone [QUICKSAND]
10. We Gotta Know [CRO-MAGS]


基本的にはハードコア/クロスオーバー系のバンド中。なので大半の楽曲が2〜3分台とシンプルなショートチューンばかりで、トータルランニングも38分と非常に聴きやすい長さです。どのバンドもLAMB OF GODに大きな影響を与えたルーツとなる存在ばかりで、そういった意味で初期のバンド名を使ったのかもしれません。まあ、お遊びですよね。そこも踏まえて楽しみたい1枚です。

サウンド的には完全にLAMB OF GODのそれで、基本的には原曲のイメージを大切にしつつカバーしています。しかし、中にはBIG BLACKの「Kerosene」をよりキャッチーなアレンジでカバーしていたり、MINISTRYの代表曲「Jesus Built My Hotrod」を完全なマンアレンジで再構築するなど、ところどころにフックとなる好カバーが含まれています。ちなみに、この2曲が本作の中では長尺にあたるもので、両方とも6分超え。後者は原曲にないリズムアレンジを加えるなどして、オリジナルよりも長くなっています。

こういったカバーアルバムは、まずはひと通り聴いて楽しんでから、原曲を掘り起こしてその違いを楽しむ、そしてバンドのルーツがどこにあるのかその片鱗を探すことが楽しいと思うんです。なので、ぜひサブスクやYouTubeなどで原曲をチェックしてほしいなと。

あと、LAMB OF GODはヘヴィすぎて苦手という人にとっては、「あ、こういう側面もあるのね」と取っつきやすい内容になっているのではないかと。そこもカバーアルバムの醍醐味ですよね。とにかく、いろんな人に楽しんでほしい1枚です。



▼BURN THE PRIEST『LEGION: XX』
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投稿: 2018 06 22 12:00 午前 [2018年の作品, Burn The Priest, Lamb of God] | 固定リンク

2018年6月21日 (木)

FEAR FACTORY『MECHANIZE』(2010)

2010年2月発売の、FEAR FACTORY通算7枚目のスタジオアルバム。2002年にバンドを脱退したディーノ・カザレス(G)がバンドに復帰し、フロントマンのバートン・C・ベル(Vo)、クリスチャン・オールド・ウォルバースがベースからギターにスウィッチした際に加入したバイロン・ストラウド(B)の在籍組、新加入の名手ジーン・ホグラン(Dr)という編成で制作された、起死回生の1枚です。

ジーン脱退後に制作・発表された2枚のスタジオ作(2004年の『ARCHETYPE』、2005年の『TRANSGRESSION』)も決して悪い内容ではありませんでしたが、ディーノのギターとレイモンド・ヘレーラ(Dr)のコンビネーションから生まれる奇跡的なリフ&ビートはすでにそこには存在しておらず、正直なところ“FEAR FACTORYっぽいもの”だったという印象がありました。

ところが、今回はどうでしょう。オープニングの「Mechanize」のインダストリアル調SEに続いて、暴力的なまでにリフ&ビートを刻むディーノ&ジーン。そこに乗るバートンの叫び。そうそう、これこれ!って膝を叩きたくなるくらい、ファンが求めるFEAR FACTORY像が完全なまでに再現されているだけでなく、そのイメージをさらに増幅させているんだから。気づいたらボリュームをどんどん上げて聴いてる自分がいました。

中には『ARCHETYPE』路線の楽曲も存在するのですが、それらすら激化した演奏&アレンジによって信じられない進化を遂げている。曲によってはジェント的に入り組んだリズム&リフも楽しめ、ただ機械的/直線的に好き進むだけじゃない、最新型のFEAR FACTORYサウンドを楽しむことができます。

曲によってはSEが入ったりするので、90年代の彼らを求めてしまいがちですが、インダストリアルメタル的要素はほぼ感じられない。そのカラーが好きだったリスナーにはちょっとだけ物足りなさがあるかもしれませんが、完成度はピカイチ。ここまでリフトバスドラがシンクロしまくって気持ちいいビートを聴かせてくれるメタルアルバム、そうそうないと思いますよ。

残念ながら、このアルバムで奇跡を生み出した編成は本作のみで解体。続く8thアルバム『THE INDUSTRIALIST』(2012年)では、ドラムパートをすべてプログラミングで対応するという本当の意味での“マシンドラム”と化すわけです(ライブでは新加入のマイク・ヘラーが担当)。以降、ドラムはアルバムごとに交代するという不安定さを見せますが、最近クラシック・ラインナップで復活か?なんて噂もあるみたいなので、近々リリースされるであろう10thアルバムに期待しておくことにしましょう。

にしても、このアルバム……出来る限り、スピーカーを使って爆音で聴いてほしい!



▼FEAR FACTORY『MECHANIZE』
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投稿: 2018 06 21 12:00 午前 [2010年の作品, Fear Factory] | 固定リンク

2018年6月20日 (水)

DAMAGEPLAN『NEW FOUND POWER』(2004)

2003年にPANTERAを解散させたヴィニー・ポール(Dr)&ダイムバッグ・ダレル(G)兄弟が、同年のうちに新バンドDAMAGEPLANを結成。パトリック・ラックマン(Vo/元HALFORDのギタリスト)、ボブ・ジラ(B/のちにHELLYEAH加入)の4人編成でアルバムを制作し、2004年2月に最初にして最後のアルバム『NEW FOUND POWER』をリリースします。

後期PANTERAのスタイルを継承しつつも、どこか気難しさが強かった同スタイルよりもキャッチーさが増したような楽曲の数々は、良く言えば取っつきやすい、悪く言えばクセが弱いものだったかもしれません。しかし、ボーカリストならまだしも、聴いた瞬間に「そうそう、このドラミング!」とか「これこれ、このギターソロよ!」とか気づけるアーティスト/プレイヤーって、今の時代なかなかいないと思うんですよ。それをバンドが変わっても維持し続けたヴィニー&ダイムバッグ兄弟の個性って、改めてすごいなと。

PANTERAという比較対象がいる以上、どうしてもインパクトの強さを求めてしまいがちですが、そこは正直そこまで強くないかなと。ボーカルのパトリック・ラックマンはそこそこ存在感の強い歌声/ダミ声で主張しており、これはこれでアリ。この声の合わせてなのか、音のほうもどこかモダンで、PANTERAの頭脳チームがあえて時代に寄せていったような雰囲気も。ニューメタル的な色合いや、ALICE IN CHAINS寄りのグランジ/サイケデリックヘヴィロック、90年代後半以降に登場したモダンヘヴィネス系の側面も感じられるのですが、そんな中でもしっかり自身の色を主張するPANTERA組が健気といいますか。嫌いになれないんですね。

「Fuck You」ではSLIPKNOTSTONE SOURのコリィ・テイラー(Vo)が個性強めのボーカルを聴かせ、「Reborn」ではBLACK LABEL SOCIETYザック・ワイルド(G)が“らしい”ギタープレイを披露している(さらに「Soul Bleed」では歌声まで)。また、日本盤ボーナストラックの「Ashes To Ashes」にはALICE IN CHAINSのジェリー・カントレル(G, Vo)もボーカルでゲスト参加しています。完全にご祝儀的なやつですが、これらのコラボレーションがカッコいいったらありゃしない。「Fuck You」ではパトリックもコリィに負けじと叫びまくってるし、このへんは今聴いても本当にカッコいいです。

バンドとしては本作で展開した青写真をもとに、次作あたりで大化けしてもおかしくなかったんですが、アルバム発売から10ヶ月後の2004年12月8日、あんなことになってしまうとは……。

カラーヴァイナルが近々発売されるというニュースを知り、久しぶりに聴いてみたんですが……1周回ってカッコよさが増しているような。もはやダイムバッグ・ダレルのギタープレイを生で聴けないという現実がそうさせるのかはわかりませんが、リリース時に聴いたときよりもポジティブに楽しめる自分がいます。PANTERAを期待すると痛い目を見るかもしれませんが、これはこれで“らしい”作品だと思います。

※2018.6.23.追記
ダイムバッグ・ダレルの実兄であるヴィニー・ポールが現地時間6月22日、お亡くなりになったとのこと。(ソース) この記事を書いたときは、数日後にまさかこんなことになるなんて思いもしませんでした。改めてヴィニーのご冥福をお祈りいたします。

HELLYEAHであなたのプレイ、もう一度観たかったです。



▼DAMAGEPLAN『NEW FOUND POWER』
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投稿: 2018 06 20 12:00 午前 [2004年の作品, Alice in Chains, Black Label Society, Damageplan, Pantera, Slipknot, Stone Sour, Zakk Wylde] | 固定リンク

2018年6月19日 (火)

MACHINE HEAD『THE BLACKENING』(2007)

2007年3月にリリースされた、MACHINE HEAD通算6枚目のスタジオアルバム。前作『THROUGH THE ASHES OF EMPIRES』(2003年)でグルーヴメタル路線から原点回帰と言わんばかりに、スラッシーなスタイルを強めてファンを喜ばせた彼ら。アメリカでも3rdアルバム『THE BURNING RED』(1999年)に続くTOP100入り(最高88位)を記録したことで、新作でもその路線を踏襲しつつ、よりメタリックに煮詰めたサウンドが展開されています。

このアルバム最大の魅力は、1曲が異常に長いところ。全8曲で61分というトータルランニングはどこかMETALLICAの傑作『MASTER OF PUPPETS』(1986年)を彷彿とさせます。なにせこっちは、1曲目「Clenching The Fists Of Dissent」からして10分半超えの大作ですから。初めてこのバンドに接するという初心者にはある種踏み絵のような1曲ですが、ここでハマれたらこっちのもの。あとはメタルファンにとって極楽のような世界が首尾一貫繰り広げられるのですから。

起承転結はっきりしていて、聴き手の心を揺さぶる「Clenching The Fists Of Dissent」を筆頭に、9分超えの楽曲が全8曲中4曲と半数を占め、オープニング以外の3曲はラスト3曲に並ぶという嫌がらせっぷりも嫌いじゃありません(笑)。それ以外の4曲は5分前後が3曲、6分半が1曲と、決して短いとは言えない長さ。けど、オープニングで「Clenching The Fists Of Dissent」を経験してしまえば、続く4曲は特段長く感じることはありません。確実に麻痺してるんですけどね。

けど、これが悪い曲や退屈なアレンジだったら途中離脱してしまうんですが、どの曲にもメタルファンが喜びそうなリフやソロ、劇的な展開が用意されており、飽きるわけがない。「Aesthetics Of Hate」や「Slanderous」のカッコよさはもちろん、何も考えずに頭を触れるし、9分超えの「Halo」なんて完全に泣きのメタルバラードですからね。

この大作主義は、続く『UNTO THE LOCUST』(2011年)へと引き継がれますが、次作はもうちょっと整理された感が強いかな。なんにせよ、『THROUGH THE ASHES OF EMPIRES』から『UNTO THE LOCUST』までの期間は、今振り返るとちょっと神がかっていたように思います。その中でも、本作『THE BLACKENING』は2000年代を代表するHR/HMアルバムのひとつと断言してしまっても問題ないと思います。今聴いても滾る曲ばかり。

あと、この時期はとにかくライブがすごかった。2年連続(2007年、2008年)で出演した『LOUD PARK』での熱演や、2008年3月に実現した単独ツアー、どれも素晴らしくて、今でもよく覚えています。個人的にも、彼らに対してめっちゃ入れ込んでいた時期ですしね。



▼MACHINE HEAD『THE BLACKENING』
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投稿: 2018 06 19 12:00 午前 [2007年の作品, Machine Head] | 固定リンク

2018年6月18日 (月)

MEGADETH『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!: THE FINAL KILL』(2018)

MEGADETHが1985年6月にリリースしたデビューアルバム『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!』を新たにリミックス&リマスターを施し、未発表のライブ音源などを追加し、ジャケットも新たに作り直した、まさに“THE FINAL KILL”というサブタイトルにふさわしいデラックスエディション。

『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!』はその音の悪さ、ジャケットのチープさ(レーベルから与えられた予算を、デイヴ・ムステインがドラッグに使ってしまったため、制作にかけるお金がなくなったことが原因だとか)から、2002年には新たにリミックス&リマスターを施しジャケットを一新したバージョンが発売されています(現在配信などで聴けるのがこちらのバージョン)。確かにあのチープさが払拭され、2本のギターやドラムなどがすべてセンター寄りにミックスされていたオリジナル盤を“モノラル的”と呼ぶなら、こちらはしっかり左右にパンされた“ステレオ的”に生まれ変わっています。

ですが、このアルバム。何度かの再発のたび中身に手を入れられた曰く付きの1枚でして。1985年版(8曲入り)に入っていたナンシー・シナトラのカバー「These Boots」(オリジナルタイトルは「These Boots Are Made For Walkin'」)が、作者から「歌詞がお下品極まりない!」とクレームが入り、1995年再発版にてカット(7曲入り)。2002年版で晴れて「These Boots」が復活するのですが、歌詞に規制が入り、ところどころに“ピー”音が加えられるというひどい展開に(同曲は1985年版では4曲目に収録されていましたが、2002年版から8曲目に変更)。なお、同作から「Last Rites / Love To Deth」「The Skull Beneath The Skin」「Mechanix」のデモが追加され、全11曲入りとなります。

さて。そこから16年経ち、バンドも結成35周年を迎えた2018年に“最終バージョン”として発表された『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!: THE FINAL KILL』。音のキレがより研ぎ澄まされ、ドラムサウンド(特にバスドラ)により重みが加わったことで、「1985年のインディーズ作品のサウンド」からかなりかけ離れた、非常に“イマドキ”な音にバージョンアップしています。また、今回のリミックスではオリジナル版には入ってなかった音も追加され、よりゴージャスに変化。ぶっちゃけ、かなりカッコいいです。本当に細かな違いですが、2002年版よりもスッと入っていける仕上がり。2004年にCapitol Records時代のオリジナルアルバムがムステイン主導でリミックス&リマスタリングされましたが、まさにあの一環で補正された1枚と言えるでしょう。

しかも、問題の「These Boots」も今回から“ピー”音が外されている。それどころか、新たにムステインのボーカルが再録されているんですよ。これにはびっくりしました。ただ……現在のキーに合わせてなのか、曲自体のキー(チューニング)が落とされているのがちょっと……違和感残りまくり。今のムステインに往年のキーを求めるのは酷でしょうけど、そこだけはちゃんと原曲キーでやってほしかったな。あと、曲順も1985年版に戻してほしかった。ま、オッサンのたわごとですけどね。

あと、今回のデラックス版には新たに『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!』収録曲全曲(「These Boots」除く)の未発表ライブ音源が追加収録されています。「ムステインが自宅の屋根裏から発掘したVHSテープより、初出となる86〜90年の貴重なライヴ音源」(プレスリリースより)とのことで、もちろん時期によってバンド編成が異なるものが並列しています。といっても、「The Skull Beneath The Skin」1曲だけ、マーティ・フリードマン(G)&ニック・メンザ(Dr)在籍時ってだけですけどね。これらの音の悪さについては……まあオマケですね。最近のMETALLICAのリイシューと同じ感覚で楽しめたらと。

にしても、改めてこのアルバムってこんなにカッコいい曲だったんだ(いや、もちろん今までもカッコいいと思ってたけど、オリジナル版を聴いて感じていたブルータルな“カッコいい”とは違う、整合感がしっかりあって攻撃的な“カッコいい”なんですよね、今回のって)ってことを再認識するきっかけをくれたこのリイシュー版。最高ですね。「Last Rites / Love To Deth」「The Skull Beneath The Skin」「Rattlehead」「Mechanix」あたりはここ最近のMEGADETHしか知らない若いリスナーにこそ聴いてほしいし、全体を通して今の彼らが失ってしまった(もはや取り戻せない)ギリギリ感、ヒリヒリ感を追体験してもらいたいものです。



▼MEGADETH『KILLING IS MY BUSINESS... AND BUSINESS IS GOOD!: THE FINAL KILL』
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投稿: 2018 06 18 12:00 午前 [1985年の作品, 2018年の作品, Megadeth] | 固定リンク

2018年6月17日 (日)

AVENGED SEVENFOLD『WAKING THE FALLEN』(2003)

2003年8月にリリースされた、AVENGED SEVENFOLDの2ndアルバム。彼らは続く2005年の3rdアルバム『CITY OF EVIL』でメジャーデビュー、一気にブレイクするのですが、この『WAKING THE FALLEN』はそんな彼らの“爆発前夜”の様子が余すところなく凝縮された力作に仕上がっています。

『CITY OF EVIL』で彼らを知った自分にとって、本作は完全に後追いで聴いた1枚。当時からライブでの定番曲だった「Unholy Confessions」や、来日公演でも披露されていた「Remenissions」「Second Heartbeat」「I Won't See You Tonight Part 1」などを耳にし、「インディーズ時代にも良い曲あるじゃん」と思い手にしたアルバムでした。あ、でもちゃんと聴いたのは『AVENGED SEVENFOLD』(2007年)のツアーのときだから、結構遅かったのか。

サウンドプロダクションに関しては、メジャー後の諸作品と比べものにならないくらいチープなものですが、楽曲自体は『CITY OF EVIL』の原型と呼べるような良曲ばかり。いや、リスナーによっては『CITY OF EVIL』よりも良いと思えるのではないか?と感じる1枚かもしれません。

スクリーモ以降のHR/HMというよりは、エモやパンク、そしてPANTERAなどの90年代ヘヴィネス系の要素もたっぷり取り入れられており、どの曲にもしっかりした歌メロとツインリードギターの名フレーズがフィーチャーされている。ところどころにメロディックデスメタルからの影響も感じられる。『CITY OF EVIL』に近いはずなのに、どこか別モノのように感じられるのは、こういった“ルーツからの直接的影響”がくっきり見えるからかもしれません。

トータル68分と非常に長いアルバムですが、聴いていて飽きがこないのは、そういった点も大きく作用しているように思います。まあ、なんといってもどの曲もフックが効いていて飽きさせない作りというのが非常に大きいのですが。

『CITY OF EVIL』以降は“新世代のGUNS N' ROSES”みたいに余計な表現がひとり歩きしてしまい、どうしてもイメージと実像がしっくりこない印象もありましたが、『WAKING THE FALLEN』時代の彼らはもっと生々しくて、何がやりたいのかがしっかり見えてくる。そういった意味でも、本作が名盤と言われる理由がご理解いただけるのでしゃないでしょうか。

なお本作。2014年に『WAKING THE FALLEN: RESURRECTED』というタイトルで、『WAKING THE FALLEN』収録曲のデモやライブ音源、別テイクなどを集めたボーナスディスク付きで再発。同仕様は全米10位という好記録を残しています。



▼AVENGED SEVENFOLD『WAKING THE FALLEN』
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投稿: 2018 06 17 12:00 午前 [2003年の作品, Avenged Sevenfold] | 固定リンク

2018年6月16日 (土)

TRIVIUM『SHOGUN』(2008)

2008年9月に発表された、TRIVIUM通算4作目のスタジオアルバム(Roadrunner Records移籍後3作目)。初の全米トップ30入り(25位)を記録した前作『THE CRUSADE』(2006年)に続く本作は、全11曲でトータル67分という大作に仕上がっています。

本作はまず、『SHOGUN』(=将軍)というそのアルバムタイトルにギョッとしたリスナーが多かったのではないでしょうか? しかも、アルバムのオープニングを飾るリードトラックが「Kirisute Gomen」(=斬り捨て御免)ですからね。マシュー・キイチ・ヒーフィー(Vo, G)が日系人で山口県岩国で過ごした経験を持つ親日派だという現実が、この“ガイジン的発想”に走らせたのか。あるいはメタルの世界では当たり前の中世を扱った世界観を、単に日本に置き換えただけなのか……正直、聴く前はビクビクしながら音を待ったものです。

ですが、いざ完成したアルバムは別に日本の戦国時代を扱ったコンセプチュアルな作品ではなく、そういう楽曲もありつつギリシャやユダヤ・キリスト教を題材にしたナンバーも含まれている。そういった歴史的エピソードをテーマにしつつ、前作で顕著になったオールドスクールなヘヴィメタルの側面をさらに強めたプログレッシヴなHR/HMスタイルが確立されています。

全体的にスピードは若干抑え気味で、メロウな側面は前作『THE CRUSADE』の延長線上にあるイメージ。ですが、全体を通して聴いたときの印象は、そのひとつ前の『ASCENDANCY』(2005年)を進化させたような感想を持ちました。かといって、本作はそこまでメタルコア的なモダンさは希薄で、そのスタイルはマシューのスクリームなどに若干残っている程度。そういった意味では、過去2作の良いとこ採りな1枚かもしれません。

オープニングトラック「Kirisute Gomen」は、サビこそ日本語で「斬り捨て御免」と歌っているのでギョッとしますが、6分半におよぶプログレッシヴなスタイルはオールドスクールなスラッシュメタルそのもの。前作でのメロウな側面を強調させたミドルナンバー「Down From The Sky」は、適度にスクリームも飛び出し、その配合具合が絶妙。「Into The Mouth Of Hell We March」や「Throes Of Perdition」など、古き良き時代のヘヴィメタルとメタルコア以降のモダンさがミックスされた、非常に現代的なのにどこか懐かしさを感じさせる仕上がりです。

と、ここまでかなり好意的に書いていますが、個人的には彼らのアルバムの中でもかなり印象が薄い1枚であるのも事実。いわゆる“キメの1曲”が存在しない、全体的に似た印象の楽曲が並ぶどっちつかずさもあり、また70分近い長尺さもあってどこかぼんやりしてしまう。例えばこれが9曲入りとか50分台だったら、もうちょっと焦点を絞れたのかもしれない。次のアルバム『IN WAVES』(2011年)でモダンさに振り切ることを考えると、本作はTRIVIUMにとって過渡期的な作品だったのもしれませんね。



▼TRIVIUM『SHOGUN』
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投稿: 2018 06 16 12:00 午前 [2008年の作品, Trivium] | 固定リンク

2018年6月15日 (金)

BULLET FOR MY VALENTINE『SCREAM AIM FIRE』(2008)

海外では2008年1月、日本では同年2月にリリースされたBULLET FOR MY VALENTINEの2ndアルバム。前作『THE POISON』(2005年)が全英21位、全米128位という成績を残し、全世界で100万枚を超えるセールスを記録した彼ら。続く本作ではアメリカで最高4位、イギリスでも最高5位という好記録を打ち立てました。

マシュー・タック(Vo, G)は前作に伴うツアーにて喉を痛めたことにより、本作のレコーディングでスクリームやグロウルを多用した歌唱方法からボーカルスタイルを大きく変更。楽曲スタイルもこれにあわせて、いわゆるメタルコア的な楽曲構成もよりストレートなヘヴィメタルに接近していきます。

オープニングを飾る「Scream Aim Fire」は疾走感あふれる王道メタルナンバーで、クリーントーンでストレートに歌い上げる手法にシフトしたことから、かなり正統派メタル色の強い仕上がりに。現代的なメタルコア路線よりも、古き良き時代のHR/HMを踏襲するその路線に、当初こそ困惑したものでしたが、聴けば聴くほどその楽曲のキャッチーさにやられ、気づけば2000年代を代表するメタルアンセムにまで成長していた……そんな1曲だと認識していますが、いかがでしょう。

そのほかにも「Eye Of The Storm」「Waking The Demon」など、スラッシュメタル以降のテイストを取り入れた疾走メタルナンバーがあったり、泣きメロメタルバラード「Say Goodnight」があったりと、前作をより進化させたような楽曲がずらりと並ぶ。かと思えば、メジャーキーの爽やかなアップチューン「Hearts Burst Into Fire」「Forever And Always」といった新境地ナンバーもある。見方によっては“別のバンド”になってしまったような印象も受けますし、最初のEP『BULLET FOR MY VALENTINE』(2005年)や『THE POISON』で彼らに魅了されたリスナーにとって、この『SCREAM AIM FIRE』はすべてを受け入れるには少々時間を要する1枚だったのかな、という気がします。

喉の故障によりマシューがクリーンで歌うことに注力したことにより、スクリームはジェイソン・ジェイムズ(B)が務めたり、さらにライブでは彼がそっち系のボーカルを務める比重が高まっていく。そういった点においても、バンドが一段上に進むために変化を遂げた……ポジティブに考えれば、そう受け取れるのではないでしょうか。

「Forever And Always」のような壮大な楽曲を聴くと、彼らがどこに進んでいきたいのかよく理解できるのではないでしょうか。もちろんこの曲がすべてではないですが、彼らは狭い世界で生きるよりもさらに大きな地平を目指した。思えば本作は、このあと続いていく進化の過程における第一歩に過ぎなかった……リリース当時はそんなこと考えもしませんでしたが、本作は“それ以前”と“それ以降”のバランスが一番絶妙な作品だったように思います。改めて今、しっかり聴いておきたい傑作です。



▼BULLET FOR MY VALENTINE『SCREAM AIM FIRE』
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投稿: 2018 06 15 12:00 午前 [2008年の作品, Bullet For My Valentine] | 固定リンク

2018年6月14日 (木)

RATT『INVASION OF YOUR PRIVACY』(1985)

1985年6月(日本では7月)に発表された、RATT通算2枚目のスタジオフルアルバム。メジャーデビューアルバム『OUT OF THE CELLAR』(1984年)は折からのLAメタルブームに見事に乗っかり、全米7位まで上昇。トータルで300万枚を超えるセールスを記録したほか、「Round And Round」の全米12位を筆頭に、「Wanted Man」(全米87位)、「Back For More」(全米ロックチャート27位)といったヒットシングルも生まれました。

前作から1年4ヶ月という短いスパンで制作された今作は、引き続きボー・ヒル(WINGERKIXアリス・クーパーなど)がプロデュースを担当。基本的には前作の延長線上にある作風で、前作『OUT OF THE CELLAR』を気に入った人ならスッと入っていける1枚ではないかと思います。

本作はシングルカットされた「Lay It Down」(全米40位)と「You're In Love」(全米89位)の印象が特に強く、それ以外の8曲との間に差があるようなイメージもあります。実際、本当にこの2曲は突出した完成度だと思いますが、それ以外にも良い曲はあるんですよ? 例えばスティーヴン・パーシー(Vo)が単独で書いた「Never us Love」とか、今は亡きロビン・クロスビー(G)とスティーヴンの共作による「Give It All」、RATT流ヘヴィバラード「Closer To My Heart」、ホアン・クルーシェ(B)単独ライティングによる「What You Give Is What You Get」とか、いかにも“らしい”曲満載ですし。

それでも本作が前作と比べて「インパクトが弱い」などと言われてしまう理由は、楽曲のバラエティの幅にあるのかなと思うわけです。例えば、全体的に楽曲のテンポ感が非常に似通っている。「You're In Love」タイプの楽曲がもっともBPMが速いもので、それ以外はミドルテンポ、もしくはもうちょっとBPMの落ちるミドルヘヴィの楽曲ばかり。前作における「The Morning After」みたいな疾走系のハードロックチューンが皆無なため、どうしてもアルバムとしての起伏に欠ける。決してメロウとは言い難いスティーヴンの歌唱スタイルもあって、聴く人によっては退屈と感じてしまうかもしれない。それが本作最大の欠点なのかなと。

ただ、そういった欠点もRATTというバンドにおける魅力のひとつと言えなくもないわけで、このようなミドルテンポの楽曲を指して“Ratt & Roll”なんて呼ぶ声もあったりします。そういう点においては、彼らが個性を確立した1枚と言えるでしょう。

初期3作の中ではもっとも評価が低いかもしれませんが(個人的には1st>3rd>2ndなので)、これはこれで嫌いになれない。フックになるギターリフや節回しも、聴けば聴くほどクセになるし。そのへんを受け入れられるか否かで、本作に対する評価はだいぶ変わりそうな気がします。



▼RATT『INVASION OF YOUR PRIVACY』
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投稿: 2018 06 14 12:00 午前 [1985年の作品, Ratt] | 固定リンク

2018年6月13日 (水)

KISS『ALIVE II』(1977)

1977年10月にリリースされた、KISS通算2作目のライブアルバム。1975年に発表された初のライブアルバム『KISS ALIVE!』は彼らにとっての出世作となり、それに続く“二匹目のドジョウ”として本作が制作されたのは間違いないでしょう。また、前作が1stアルバム『KISS』(1974年)から3rdアルバム『DRESSED TO KILL』(1975年)までのベスト選曲だとしたら、今作はブレイク後の3枚……1976年の4th『DESTROYER』から1977年の6th『LOVE GUN』までのベスト選曲。つまり、実際のライブでは演奏されている「Rock And Roll All Nite」をはじめとする初期3作からの代表曲は意図的に外された、ある種の“擬似セットリストによるライブ作品”となっています。

さらに、本作では大掛かりな手直し(オーバーダブ)も積極的に行われており、「大歓声をあとから被せる」「ポール・スタンレー(Vo, G)のボーカルをスタジオで録り直す」「かといって元のライブテイクも生かされており、微妙なダブルボーカルになっている箇所が見受けられる」など、ライブ作品として考えると絶対にありえない、あっちゃいけない編集ポイントがそのまま残っていいたりします。ちょっとお粗末すぎないか。

でも、だからこのアルバムがダメかというと、まったくそんなことはなく。前作『KISS ALIVE!』ではブレイク寸前のKISSの勢いが凝縮されていましたが、本作ではアリーナクラスでライブを連発する売れっ子バンドとなったKISSの“今”が凝縮されており、そういった意味では両作を聴き比べてみると非常に面白いのではないでしょうか。

ちなみに本作、アナログ/CDともに2枚組仕様で、ライブ音源15曲のほか、本作のために新たに制作されたスタジオ音源5曲を加えた全20曲収録。アナログだとディスク1のA/B面、ディスク2のA面(C面)にライブ音源、ディスク2のB面(D面)に新曲が収められています。ライブ作品にスタジオ音源が入っているというちぐはぐ感は、初めて聴いた高校生の頃「?」と思ったものの、その後こういったボーナストラック的にスタジオ音源を加えることは、いろんなバンドがやってますよね。そういった意味では先駆者だったのかしら(それ以前にもいるような気がしますが)。

新曲はポール歌唱曲2(「All American Man」「Any Way You Want It」)、ジーン・シモンズ(Vo, B)歌唱曲2(「Rockin' In The U.S.A.」「Larger Than Life」)、エース・フレーリー(G, Vo)歌唱曲1(「Rocket Ride」)という内訳。あれ、ピーター・クリス(Dr, Vo)は? ちなみに、5曲中3曲のリードギターはエースではなく、ボブ・キューリックが弾いています。あれ、もうこの頃から怪しい雰囲気だった?

『KISS ALIVE!』にあった生々しさはここには存在しないものの、良くも悪くも“作り込まれた”バンド・KISSならではの“らしさ”が色濃く表れた、良曲満載のライブベスト。ぜひ『KISS ALIVE!』とあわせてお楽しみあれ。



▼KISS『ALIVE II』
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投稿: 2018 06 13 12:00 午前 [1977年の作品, KISS] | 固定リンク

2018年6月12日 (火)

IMPERIAL STATE ELECTRIC『IMPERIAL STATE ELECTRIC』(2010)

2008年にTHE HELLACOTERSを解散させたニッケ・アンダーソン(Vo, G)が新たに結成したバンド、IMPERIAL STATE ELECTRICの2010年発表の1stアルバム。当初はバンド解散後にたくさん曲を書き溜めたニッケがスタジオに入り、自身がほとんどの楽器を演奏しつつアルバムを制作していたのですが、そこにいろんな仲間が加わり、気づけばバンドスタイルになっていた……ということで、本作では1曲(「Together In The Darkness」)だけニッケのほかにトビアス・エッジ(G, Vo)、ドルフ・デ・ボースト(B, Vo / THE DATSUNS)、トーマス・エリクソン(Dr)という現在まで続く布陣でレコーディングされています。

THE HELLACOTERSという究極のロックンロールバンドを終了させたニッケが、次にどんなアクションを起こすのか。ロックファンならきっと誰もが注目したはずです。多くのリスナーは“第二のTHE HELLACOTERS”の登場を望んだことでしょう。

しかし、ニッケはTHE HELLACOTERS的でありながらも、さらに自身のルーツのひとつ……KISSRAMONESなどといったポップサイドの色合いが強い作風に取り組みます。そもそもバンド形態やのちのライブ演奏を想定せずに、好き勝手に作り込んだのが本作であって、そりゃあTHE HELLACOTERSみたいになるわけがない。バンドマジックだとかそういったことよりも、ソングライターとして高みを目指した……そんな心算で制作していたのに、気づけば「やっぱりバンド、楽しーっ!」っていう事実に気づかされる。そういった意味では、本作はIMPERIAL STATE ELECTRICというバンドのプレデビュー作、あるいはプロトタイプ的作品かもしれません。

冒頭の「A Holiday From My Vacation」や「Lord Knows I Know That It Ain't Right」「Resign」で聴けるポップネスに、きっと誰もが驚くことでしょう。しかし、このカラーもニッケがTHE HELLACOTERSで表出させていたものであり、ここではその一面を特化させただけ。「Throwing Stones」のような疾走感の強いロックチューンも存在するものの、全体的にはテンポを抑えめにして、良質のメロディとアレンジの妙で聴かせる技術に磨きをかけている。そんな印象を受けます。

前のバンドのイメージが強いからこそ、新たな挑戦に対して最初は拒否反応が生じてしまうのは仕方ないことかもしれません。しかし、これが出来の悪いアルバムかと問われると、まったくそんなことはなく。むしろ聴きやすくて、あっという間に最後まで聴けてしまう、そんな1枚ではないでしょうか。

なお、日本盤のみボーナストラックとしKISS「All American Man」のカバーを追加。この曲をセレクトするあたりからも、ニッケがここで何をやりたかったのかが伺えるはずです。アーシーなアレンジを施したこのカバーバージョンも、なかなか素敵です。


※1stアルバムは未配信のため、アルバムからのシングル「Resign」を貼っておきます。



▼IMPERIAL STATE ELECTRIC『IMPERIAL STATE ELECTRIC』
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2018年6月11日 (月)

NICKE BORG HOMELAND『RUINS OF A RIOT』(2013)

無期限活動休止を2010年に発表したBACKYARD BABIESのフロントマン、ニッケ・ボルグ(Vo, G)が同年からスタートさせたソロプロジェクト、NICKE BORG HOMELANDの2ndフルアルバム。最初のEP『CHAPTER 1』(2010年)および1stフルアルバム『CHAPTER 2』(2011年)では、レイドバックしたカントリー寄りのロックサウンドに傾倒しファンを驚かせましたが、続く本作ではより“BYBのニッケ”のイメージに歩み寄ったロックサウンドを響かせています。

もちろん、ここで鳴らされているサウンド、楽曲はBYBのそれとは異なるものであり、と同時に“BYBの一片”であることも間違いない事実。完全にそのままではないのは当たり前ですが、だからといって大きくかけ離れたものでもない。そういう意味では最初に聴いたとき、少々戸惑ったことを覚えています。

全体的にアメリカナイズされたサウンドで、BYBの音を“北欧ガレージハードロック/パンクロック”と例えるならば、ここで取り組んでいるのは“90年代以降のUSパンク/オルタナティヴロックを通過した、アーシーなハードロック”と言えるかもしれません。過去2作で試みた挑戦は本作の中でもしっかり息づいており、その要素が活動休止前および活動再開後のBYBにも存在するカラーなのではないかと思うのですが、いかがでしょう?

全体的にミドルテンポ中心で穏やかな楽曲が多いため、BYBの派手さを求めるリスナーは肩透かしを食らうかもしれません。もしかしたら、本作の数ヶ月後のリリースされたドレゲンのソロアルバムのほうが、よりBYBらしい……そう感じる人もいることでしょう(とはいえ、あれも完全にはBYBのままではありませんが)。

ミック・ジャガースティーヴン・タイラーがソロアルバムを作ったとき、“ストーンズっぽい”、“エアロっぽい”とは感じるもののまんまではなかったことを覚えている方も多いでしょう。これをボーカリストのエゴと言ってしまえばそれまでかもしれませんが、見方を変えれば「BYB活動再開までの自分にできることは何か?」という現実と向き合ったフロントマンが、アーティストとしての進化や成長を目指して新たな舞台に足を踏み入れた……そう考えれば、この挑戦は非常に納得のいくものだと僕は思っています。

発売当時よりもむしろ、BYBの復活作『FOUR BY FOUR』(2015年)を聴いたあとのほうが本作がより魅力的に聴こえる。そんな1枚ではないでしょうか。事実、あの頃はすぐ聴くのをやめてしまったのに、2015年夏以降徐々に聴く頻度が増えているのがこのアルバムなのですから。



▼NICKE BORG HOMELAND『RUINS OF A RIOT』
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2018年6月10日 (日)

DREGEN『DREGEN』(2013)

BACKYARD BABIESのリードギタリスト兼ボーカリスト、ドレゲンが2013年10月に発表した初のソロアルバム。当時BYBは活動休止中で、どれ元は2011年半ばにMICHAEL MONROEに加入。ちょうど2013年8月にはギタリスト&ソングライターとして参加した2ndアルバム『HORNS AND HALOS』がリリースされたばかりでした。

Universal Music傘下のSpinefarm Recordsと契約して発表された本作は、THE WANNADIESのフロントマンであるパール・ウィクステン(Vo)との共同プロデュースで制作。ニッケー・アンダーソン(THE HELLACOPTERS、IMPERIAL STATE ELECTRIC、ENTOMBED)がドラム(3曲のみ)、ベース、リズムギターで、カール・ロックフィスト(MICHAEL MONROE)がドラムで、サミ・ヤッファ(MICHAEL MONROE、ex- HANOI ROCKS)がベースで参加しており、ダンコ・ジョーンズ(DANKO JONES)や女性シンガーのティティヨもゲストボーカルでフィーチャーされています。

ドレゲンというと、キース・リチャーズ系譜のナチュラル・ボーン・ロックンロールギタリストというイメージがありますが(それは間違いではないのですが)、実はソングライターとして非常に器用な人であることが本作で証明されています。その片鱗は、もちろんこれまでのBYBのアルバムでも感じられましたし、直近のMICHAEL MONROEのアルバムでも存分に発揮されていました。

が、本作で聴ける楽曲の幅広さは想像以上のものがあります。BYBを彷彿とさせるメロウなミディアムナンバーが中心ではありますが、例えばTHE HELLACOPTERS〜初期BYBお約束の疾走チューンが皆無なことに、きっと多くのファンが驚くのではないでしょうか(本編ラストの「Mojo's Gone」を疾走ナンバーと捉えれば1曲ある、ということになりますが、これはもっとKISSみたいなアップチューンという認識で、ガレージロックのそれとは異なるイメージ)。

ソングライティングにニッケも加わっているにも関わらず、そういった楽曲がないといのは、おそらくドレゲンもニッケもソングライターとしてあの頃よりも成長/進化しているから、そして今表現したいものがそこにはないから……なんじゃないかなと勝手に想像しています。

じゃなかったら、渋いスローブルース「Flat Tyre On A Muddy Road」や、ドロドロしたファンクチューン「6:10」にまで挑戦しないと思うし。むしろ、THE HELLACOPTERSやBYBにたどり着く前の、もっとガキの頃に愛聴したロックやポップス、ブルースといったルーツミュージックを、今の表現力で形にしたらこうなった、と言ったほうが正しいのかもしれません。

正直、このアルバムを聴いたとき、そしてソロツアーに専念するためにMICHAEL MONROEをすぐに脱退したときには、「ああ、ドレゲンはもうBYBではなくソロでやっていくんだな」……なんて思ったものです。しかし、そこから1年後にはBYBとしてスタジオ入り。2018年中には早くも再始動後2作目となるアルバムもリリースしてくれそうですし、そういった意味ではこのソロアルバムは良い意味での“ガス抜き”だったんでしょうかね。



▼DREGEN『DREGEN』
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投稿: 2018 06 10 12:00 午前 [2013年の作品, Backyard Babies, Dregen, Hellacopters, The, Michael Monroe] | 固定リンク

2018年6月 9日 (土)

MICHAEL MONROE『HORNS AND HALOS』(2013)

2013年8月にリリースされた、マイケル・モンローのバンド名義による2ndアルバム。マイケル個人としては7枚目のソロアルバムになります(JERUSALEM SLIMDEMOLITION 23.も含めると9枚目)。

前作『SENSORY OVERDRIVE』(2011年)リリース後、ツアーを1本終えたところでジンジャー・ワイルドハート(G)が自身の活動に戻るためバンドを脱退(この編成では同年6月にジャパンツアーを実施)。入れ替わるようにMICHAEL MONROEに加入したのが、当時BACKYARD BABIESが活動休止中だったドレゲンでした。ドレゲンが加わった編成で、バンドはツアーを再開。ここ日本にも新編成で同年10月に『V-ROCK FESTIVAL '11』で、早くも再来日を果たしました。

前編成もツアーから始まったMICHAEL MONROEですが、ドレゲンのように華と毒を併せ持つギタリストが加わったことで、彼らのステージはよりアグレッシヴになったように感じました。そんなドレゲンを迎えた編成で、バンドの新作制作に突入。いざ完成したアルバムは、前作の中にあったパンキッシュでストレートなロックンロールのテイストに特化した、1本芯の通った力作に仕上がりました。

もともとマイケルとドレゲンの相性の良さは、BACKYARD BABIES時代に共演した「Rocker」で証明済みでしたが、本作の中にもBYB的な哀愁漂うパンクロックチューンは含まれており、良い味を出しております。

が、本作で特筆すべきはドレゲン以上に、もうひとりのギタリストであるスティーヴ・コンテの作曲能力でしょう。前作でもその才能は開花させていましたが、本作でもリードトラック「Ballad Of The Lower East Side」や「Saturday Night Special」、そして海外盤スペシャルエディション収録の「Don't Block The Sun」をひとりで書き下ろしており、HANOI ROCKS時代やDEMOLITION 23.を彷彿とさせるパンクロックにファンは「これこれ! これぞマイケル・モンロー!」と歓喜しました(少なくとも自分は)。

また、スティーヴはドレゲンとともに「Stained Glass Heart」「Child Of The Revolution」の2曲を曲作。特に後者のグラムロック感はたまらないものがあり、2人の化学反応に思わずガッツポーズを取ったことを今でもよく覚えています。

そのほかにも、レゲエを取り入れたパンクロック「Soul Surrender」や、『NOT FAKIN' IT』(1989年)時代にも通ずるミディアムナンバー「Ritual」、ひたすらテンションが上がるマイナーキーのタイトルトラック「Horns And Halos」など、聴きどころ満載。本作が自国フィンランドのチャートで1位を獲得したのも頷ける、脂の乗った1枚です。



▼MICHAEL MONROE『HORNS AND HALOS』
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投稿: 2018 06 09 12:00 午前 [2013年の作品, Backyard Babies, Michael Monroe] | 固定リンク

2018年6月 8日 (金)

LAMB OF GOD『SACRAMENT』(2006)

アメリカ・ヴァーニジア州出身の5人組メタルバンド、LAMB OF GODが2006年8月にリリースした通算4作目のスタジオアルバム。前身バンドBURN THE PRIEST時代の作品を含めれば5枚目のオリジナルアルバムとなります。

前作『ASHES OF THE WAKE』(2004年)からEpic Recordsでのメジャー流通が始まり、その結果全米27位という大躍進を遂げたLAMB OF GOD。続く本作『SACRAMENT』では全米8位まで上昇し、前作同様に50万枚を超えるセールスを記録しました。しかも、本作リリース後の2006年10月には『LOUD PARK 06』での初来日も実現し、ここ日本での認知度も一気に増しました(僕は寝坊して見損ねました……)。

当時、アメリカのメタルシーンに新たなムーブメントが起こり始めており、マサチューセッツ出身のKILLSWITCH ENGAGESHADOWS FALLといったバンドたちのことを“MAメタル”なんてカテゴライズしたりして、新たな波=“New Wave Of American Heavy Metal”の代表格的存在としてLAMB OF GODは認知され始めていました。そこにきての全米8位ですから、いかに当時の彼らがシーンから求められていたかが伺える結果だと思います。

そのサウンドはヘヴィメタル……特に90年代、それこそPANTERA以降のモダンヘヴィネスやグルーヴメタルを軸に、スラッシュメタルやハードコアなどの要素を加えた、いかにも2000年代らしい硬質サウンドが確立されています。

楽曲の大半がミドルテンポ中心というのもPANTERA以降、あるいは90年代以降のSLAYERのノリだけど、そんな中にバランスよく含まれるスラッシー、時にハードコアなアップチューンは軽快さよりもヘヴィさに重点が置かれているためか、聴いていて“素速いんだけど、背中に重石を乗せられてるような”感覚が味わえます。どんな例えだよ。

かと思えば、「Forgotten (Lost Angels)」「Requiem」みたいな組曲があるんだから面白い。ギターのザクザク感はスラッシュメタル以降のそれだし、ランディ・ブライ(Vo)のボーカルもPANTERAやSLAYER、あるいはデスメタルからの影響を感じさせつつ、時折飛び込んでくるメロウなフレーズにグッとくる。このへんも先駆者たちへのリスペクトが感じられる。それもあってか、どんなにボーカルががなっていても1曲1曲はキャッチーなんですよね、不思議と。そこが中〜後期PANTERAとはちょっと違う点かも。そこがLAMB OF GODを“2000年代のアメリカを代表するピュアメタルバンド”、“PANTERA亡き後、アメリカを代表するヘヴィメタルバンド”と言われる所以かもしれません。

本作が気に入れば、これ以前にリリースされてアルバムも、これ以降にリリースされたアルバムも少なからず気に入るはず。まずは本作を入門編として手に取ってみてはどうでしょう。



▼LAMB OF GOD『SACRAMENT』
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投稿: 2018 06 08 12:00 午前 [2006年の作品, Lamb of God] | 固定リンク

2018年6月 7日 (木)

LIKE A STORM『AWAKEN THE FIRE』(2015)

ニュージーランドはオークランド出身の4人組メタルバンド、LIKE A STORMが2015年2月に発表した2ndアルバム(日本盤未発売)。リリースから1、2ヶ月後に店頭で試聴して気に入って購入して、しばらくは移動中によく聴いてた記憶があります。

なんでこのタイミングに取り上げようかと思ったかといいますと、今月3rdアルバムがリリースされるらしいので、久しぶりに引っ張り出したわけです。よく聴いたなぁって。

このバンドはクリス(Vo, G)、マット(G)、ケント(B)のブルックス3兄弟が中心となり結成。2009年のデビューアルバム『THE END OF THE BEGINNING』(2009年)でかのケニー・アロノフ(Dr)を迎えて制作し、リリース後にはSHINEDOWN、SKILLET、PUDDLE OF MUDD、DROWNING POOL、ALTER BRIDGEらとツアーを回ったとのこと。この布陣からも、なんとなく音楽性が想像できるのではないでしょうか。

そのとおり。ポスト・グランジ以降のヘヴィロックやニューメタルを軸にしつつも、そのルーツには土着的なカラーも見え隠れし、そこがメロディなどに表出しており、適度に心地よく感じられます。

オープニングナンバー「Chaos」や続く「Love The Way You Hate Me」にはオーストラリアの民族楽器であるディジュリドゥがフィーチャーされているのも個性的ですし、「Never Surrender」なんてリフやイントロこそモダンなヘヴィメタルそのものですが、メロディは豪快なアメリカンハードロックといった印象。そんなヘヴィな楽曲の間に「Break Free」や「Southern Skies」のようなカラッとしたバラード、「Ordinary」みたいにちょっとダークなアコースティックナンバーはいると、よりこのアルバムのメロディアスさが浮き立つのですから面白い。

で、このアルバムの面白みはカバーのセンスにもあるのかなと。9曲目に収録されている「Gangster's Paradise」はアメリカのラッパー、クーリオが1995年に発表した楽曲のカバー。同年公開されたアメリカ映画『デンジャラス・マインド/卒業の日まで』のサウンドトラックに収録され、メガヒットを記録しました。カバーバージョンは原曲に忠実なアレンジながらも、ヘヴィメタルバンドが演奏するとこうなるんだという仕上がり。ラップパートはメロウに歌われており、それにより普通にアルバムの中の1曲として馴染んでいます。当時は「そうか、もう原曲リリースから20年も経ったのか……」という事実に驚かされたものです。

突出した個性といえば先の民族楽器を導入した点が挙げられますが、トータルではまだまだこれからのバンドといった印象。3rdアルバムから先行カットされた新曲「The Devil Inside」は本作『AWAKEN THE FIRE』により磨きをかけたような1曲なので、ここで化けるのかどうか期待しながら次作を待ちたいと思います。



▼LIKE A STORM『AWAKEN THE FIRE』
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投稿: 2018 06 07 12:00 午前 [2015年の作品, Like a Storm] | 固定リンク

2018年6月 6日 (水)

HALESTORM『THE STRANGE CASE OF...』(2012)

リジー・ヘイル(Vo)率いる4人組バンドHALESTORMが2012年4月にリリースした、通算2作目のスタジオアルバム。デビューアルバム『HALESTORM』(2009年)が全米40位、50万枚を超えるヒット作となったあとのアルバムだけに、さらなるヒットが期待されましたが、アルバムは最高15位まで上昇。前作同様に50万枚以上もの売り上げを記録しました。また、アルバムからシングルカットされた「Love Bites (So Do I)」「I Miss The Misery」がBillboardメインロックチャート2位、「Freak Like Me」が同チャート1位にランクインする好成績を残しています。まさしく、HALESTORMにとって大きな出世作と言えるでしょう。

プロデュースを手がけたのは、80年代末からHR/HMバンドの作品を数多く手がけているハワード・ベンソン。適度にモダンながらも、ど真ん中を突く王道感満載の豪快なハードロックが展開されています。

オープニングの「Love Bites (So Do I)」の疾走感と、リジーのパワフルなボーカルでいきなり心を鷲掴みにされることは、まず間違いないでしょう。この曲、昨年デビューした日本の女性メタルバンドLOVEBITESの、バンド名の由来にもなっている1曲で、ライブでもカバーされていました。

かと思えば、続く「Mz. Hyde」ではBLACK SABBATHを彷彿とさせるヘヴィなリフ、豪快なボーカルとリズムでワイルドさを表現。さらに「I Miss The Misery」ではシンガロングしたくなるフレーズも登場し、適度なポップさとハードさが混在する親しみやすい楽曲に仕上げられています。

と、ここまで聴いて実感したのは、こういう音が2000年代の王道なんだろうなということ。この質感や楽曲のテイスト、例えば2000年代半ばにメジャーデビューしたAVENGED SEVENFOLDあたりとも共通する点があると思うのです。本人たちは80年代の王道HR/HMからの影響を大きく受けながらも、それをそのままなぞるのではなく、しっかり90年代も通過したことで吐き出されるそのサウンドは、僕らリアルタム80年代通過組が想像するそれとはまったく違うものに仕上がっている。それは良い/悪いという次元ではない、これこそが“時代に沿った音”なのだという証明のような気がするのです。

そういう意味では、HALESTORMやAVENGED SEVENFOLDのようなバンドがメインストリームにいることは正しいような気がしてきます。

中盤にはポップなミディアムチューン「Beautiful With You」、パワーバラード「In Your Room」、ピアノバラード「Break In」としっかり聴かせる楽曲も。もちろん、後半に入ると「Rock Show」で再び攻めの姿勢に戻るし、AC/DCを彷彿とさせるミドルテンポのハードロックが並ぶ構成も、いかにもアメリカのバンドらしい。最後にアコギを用いたバラード「Here's To Us」で締めくくるあたりもさすがです。これが売れない理由が見つからない、納得の1枚です。

なお、本作には異なるボーナストラックを含むいくつかのバージョンが存在。日本盤には本作の前にリリースされたカバーEP『REANIMATE: THE COVER EP』(2011年)から、「Slave To The Grind」(SKID ROW)、「Bad Romance」(LADY GAGA)、「Hunger Strike」(TEMPLE OF THE DOG)、「All I Wanna Do Is Make Love To You」(HEART)、「I Want You (She's So Heavy)」(THE BEATLES)の5曲を追加(GUNS N' ROSES「Out Ta Get Me」のみ未収録)。海外ではジェームズ・マイケル(SIXX: A.M.)をフィーチャーした「Private Parts」など未発表曲3曲が追加されているほか、のちにリリースされたリイシューバージョンにはスラッシュ、ウルフガング・ヴァン・ヘイレン(VAN HALEN)、マイルズ・ケネディ(ALTER BRIDGE)、ジェームズ・マイケル、デヴィッド・ドレイマン(DISTURBED)などがゲスト参加した「Here's To Us」が収録されています。

どれを買うか迷いそうですが、HALE STORMを初めて聴くならルーツが垣間見れる日本盤がベスト。ちなみに、ストリーミング版では海外デラックス盤にリイシュー盤のボートラを加えた全16曲を聴くことができるので、こちらもオススメです。



▼HALESTORM『THE STRANGE CASE OF...』
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投稿: 2018 06 06 12:00 午前 [2012年の作品, Halestorm] | 固定リンク

2018年6月 5日 (火)

BIFFY CLYRO『MTV UNPLUGGED: LIVE AT ROUNDHOUSE, LONDON』(2018)

ついにBIFFY CLYROまで『MTV UNPLUGGED』に出演。本国ではそこまで“求められる”存在なのは今に始まったことではないし、逆にここ日本では過去5年は『FUJI ROCK FESTIVAL』でしか来日していないため、あのライブのすごさがなかなか伝わりにくいという現実もあります。一度ナマで観ちゃえば、絶対にハマること間違いなしなんだけどね(筆者もそのクチです)。

本作に収められている音源は、昨年11月にロンドンROUNDHOUSE(1700人キャパ)で行われた収録の模様を収めたもの。アルバム発売日にはここ日本でもMTV JAPANで映像が放送されたので、ご存知の方も多いかもしれません。

本国ではCD単品とMP3(およびストリーミング)、CD+DVDなどの仕様でリリースされていますが、今のところ日本盤リリースは予定なし。輸入盤の映像は日本語字幕なしなので、今はMTV JAPANでオンエアされたものを楽しむほかありません(オンエア盤は全曲オンエアされてませんが)。筆者は録画したものを何度もリピートして楽しんでいるところです(MCで「今日は“肉”は用意してないよ」的なことを言ってたのには笑いました)。

もともとメロディがしっかりしたバンドなので、歪みや装飾を剥ぎ取ったところで、本来の魅力は色褪せることなく。むしろ通常のライブではハイテンションで攻めまくるあのテイストがなくなったことで、BIFFY CLYROというバンドの軸がしっかり見える好盤ではないでしょうか。

オープニングを飾る「The Captain」みたいに、ライブでは盛り上げに必須の1曲も、こうやって骨格がはっきり見えることでひたすらポップでキャッチーな1曲であることに気づかされるし(もちろん最初からわかってはいましたが)、アコースティックアレンジに生まれ変わったことでより地味になった(笑)「Black Chandelier」とか、実は美メロで馴染みやすい「Re-arrange」とか、とにかくこのバンドの入り口にふさわしい名曲群がより親しみやすいスタイルに生まれ変わっている。中にはBEACH BOYS「God Only Knows」のカバーや、このライブのために用意された新曲「Different Kind Of Love」まで聴くことができる。

きっと、「やっぱり素晴らしいバンドなんだ!」と再認識させられることでしょう。ぶっちゃけ、このバンドに対して妙な偏見を持っているリスナーにこそ聴いてほしい1枚です。

それにしても、オーディエンスが冒頭から大合唱しているのが羨ましい。日本でもこれくらい盛り上がってくれたなら、もっと来日してくれるんでしょうに。まあ、フェスであのスケール感を堪能できるのも嬉しいけど、もし日本でZeppやSTUDIO COASTキャパで観ることができたら、一気に人気が爆発するんじゃないか……そう信じて止みません。



▼BIFFY CLYRO『MTV UNPLUGGED: LIVE AT ROUNDHOUSE, LONDON』
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投稿: 2018 06 05 12:00 午前 [2018年の作品, Biffy Clyro] | 固定リンク

2018年6月 4日 (月)

COURTNEY BARNETT『TELL ME HOW YOU REALLY FEEL』(2018)

世間を賑わせたデビューアルバム『SOMETIMES I SIT AND THINK, AND SOMETIMES I JUST SIT』(2015年)から3年ぶりに発表される、コートニー・バーネットの2ndアルバム。

プロデュースチーム、バンドメンバーともに前作と同じ布陣で制作されており、リード曲「Nameless, Faceless」と「Crippling Self-Doubt And A General Lack Of Confidence」のコーラスおよび後者のギターでキム・ディール(THE BREEDERS、元PIXIES)、「Crippling Self-Doubt And A General Lack Of Confidence」のコーラスにケリー・ディール(THE BREEDERS)がゲスト参加しています。

基本的にはデビュー作の延長線上にあるものの、無駄を極力削ぎ落としているのにより強度が上がっている点が非常に興味深い1枚。全体的にはグランジ以降のドライな質感やヒリヒリするギターサウンド、斜に構えたその世界観はパンクロックそのものだけど、どこかブルースに通ずるものが展開されており、90年代をリアルタイムで通過した世代にはどこか懐かしさすら感じさせる内容だと思います。

彼女は1987年生まれですから、グランジブームは直撃というよりも少し後追いかもしれません。あの時代と今を比較するのはナンセンスですが、けどあえて言わせてもらうと……25年前よりもさらに“ひどく”なっている2018年だからこそ、この手法はより説得力を増すのではないでしょうか。

また、歌詞にしても彼女独特の視点やものの例え方/書き方が非常に冴えまくっています。これもある種ブルースに例えられる世界観であり、もしかしたらここで歌われている内容こそが2018年版ブルースなのかもしれない。それくらいシンパシーが感じられる内容ばかりなのです。

ささくれ立ったサウンドに淡々と歌われるボーカル。彼女ならではの独特なクセも強まっているのに、不思議と嫌味が感じられず、むしろポップさが際立っている。これがかえって中毒性を高める結果となっており、気づけば何度もリピートしてしまっている。ぶっちゃけ、デビューアルバムよりも大好きですし、ツボです。

ロックの生命力がどんどん弱まりつつある昨今、この変貌ぶりは大歓迎。個人的には2018年を象徴する1枚として大プッシュしたいです。早くナマで観たいし聴きたいなあ。



▼COURTNEY BARNETT『TELL ME HOW YOU REALLY FEEL』
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投稿: 2018 06 04 12:00 午前 [2018年の作品, Courtney Barnett] | 固定リンク

2018年6月 3日 (日)

ARCTIC MONKEYS『TRANQUILITY BASE HOTEL & CASINO』(2018)

ずいぶん変わった……というよりも、ガラッと変わってしまったな。だけど、嫌いじゃない。むしろ好みかもしれない。それが本作を初めて聴いたときの第一印象でした。

初めてアメリカでもミリオンヒット作となった前作『AM』(2013年)から約4年半ぶりに発表された、ARCTIC MONKEYS通算6枚目のスタジオアルバム。本国イギリスではデビュー以来6作連続1位を記録、アメリカでも前作に続いてトップ10入り(8位)を果たすなど好意的に受け入れられたようです。

2ndアルバム『FAVOURITE WORST NIGHTMARE』(2007年)からすべての作品を手がけるジェームズ・フォード(SIMIAN MOBILE DISCO)がプロデュースに携わった本作は、まさかここまで実験的に、かつ斬新に変化を遂げるとは思ってもみなかったほどに新たなスタイルを築き上げています。

とはいえ、変化の予兆は3rdアルバム『HUMBUG』(2009年)あたりから少しずつ見え隠れしていました。とはいえ、当時はまだその変化がメンバーの中でも明確化されておらず、できることから挑戦していく。そんな印象でした。事実、1stアルバム『WHATEVER PEOPLE SAY I AM, THAT'S WHAT I'M NOT』(2006年)の頃と比較すれば、その後の『SUCK IT AND SEE』(2011年)や『AM』は“変貌を遂げた”と呼ぶにふさわしい内容だったと思います。が、それはあくまで1stアルバムというベースがあって、そこから進化していったものというイメージがあるから。それと比べたら、今回の変貌はむしろ“変身”と言えるものかもしれません。

全体的に穏やかでじっくり聴かせる楽曲ばかりで構成された本作は、実験作とはいえアバンギャルドさは皆無。むしろ、ラウンジミュージックや映画のサウンドトラックのような不思議な世界観が展開されていると表現したくなるもの。そこで歌われているメロディなどは確実にARCTIC MONKEYSのものもなのに、どこか別の世界で鳴らされているような感覚すらある。ある種、アレックス・ターナー(Vo, G)のソロアルバム的要素が強く、彼の別プロジェクトであるTHE LAST SHADOW PUPPETSにも通ずるものがある。思えば、そのバンドのメンバー4人のうち2人(アレックスとジェームズ・フォード)がいるんだもん、そうなったとしても不思議じゃない。

だけど、これをARCTIC MONKEYSでやろうとした、やることを受け入れたほかのメンバーがいるわけで、これは紛れもなくARCTIC MONKEYSの新作なわけです。そこを受け入れるか、受け入れないかで印象も変わるでしょうし、もしかしたら“ARCTIC MONKEYSの新作”と意識しないで聴けばもっとフラットに楽しめる内容かもしれない。

けど、僕はこの挑戦を素直に受け入れたいし、ロックバンドとして“次の10年”をどうサバイヴしていくか、腹を括った上でのこの内容だと思うので、そこを諸手を挙げて支持したい。問題作ではあるけれど、力作なのも間違いない。目下お気に入りの1枚です。



▼ARCTIC MONKEYS『TRANQUILITY BASE HOTEL & CASINO』
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投稿: 2018 06 03 12:00 午前 [2018年の作品, Arctic Monkeys] | 固定リンク

2018年6月 2日 (土)

THE ROLLING STONES『EMOTIONAL RESCUE』(1980)

1980年6月に海外でリリースされた、THE ROLLING STONE通算15枚目(イギリスにて/アメリカでは17枚目)のスタジオアルバム。前作『SOME GIRLS』(1978年)でディスコビートを導入した「Miss You」が全米No.1になったり、かと思えばアルバム自体はパンキッシュでぶっきらぼうな側面が強かったりと、アメリカだけで600万枚を超えるヒット作になりましたが、続く今作も全米1位を獲得。前作は2位止まりだったイギリスでも1位を獲得し、アメリカのみで200万枚を超えるセールスを打ち出しました。

前作の「Miss You」をより推し進めたようなソウル/ディスコチューン「Dance (Pt. 1)」からスタートする本作は、全体的にインパクトの弱い1枚としてファンの間では知られています。じゃあ駄作なのかと言われると、まったくそんなことはなく、むしろ“マニアが喜びそうな隠れた名盤”的に好むリスナーも少なくないのではないか……最近この作品を聴き込んでいるうちに、そう思うようになりました。

確かにストーンズらしいロックンロールナンバーも「Summer Romance」や「Let Me Go」「Where The Boys Go」「She's So Cold」など存在しますが、それ以上に本作の目玉は前作から続くディスコ路線に加えて、レゲエやダブの要素が加わり始めているところでしょう。

レゲエの軽やかさが感じられる「Send It To Me」をはじめ、ミック・ジャガー(Vo)がほぼ全編ファルセットで歌うダブテイストのソウルナンバー「Emotional Rescue」。この2曲の存在はかなり大きく、先の「Dance (Pt. 1)」と併せて本作のキモと呼びたいところ。が、多くのストーンズファンはこういった変化球よりも、先のロックンロールナンバーに目が耳が行ってしまい、結果「いつもよりインパクトが弱い」と認識してしまう。勿体ない。本当に勿体ない1枚です。

ミックが歌うカントリーバラード「Indian Girl」やブルージーなミディアムスローナンバー「Down In The Hole」、そしてアルバムを締めくくるキース・リチャーズ(G)歌唱バラード「All About You」も良い味を出している。僕自身は上のロックナンバーよりも新機軸3曲や「Down In The Hole」、そして「All About You」のような楽曲に本作の魅力を見出してしまいます。だからこそ、“マニアが喜びそうな隠れた名盤”なのかもしれませんね。まあ、名盤というのはちょっと言い過ぎな気もしますが……。

勢いと荒さに満ちた『SOME GIRLS』と、鉄壁さが際立つ次作『TATTOO YOU』(1981年)に挟まれたことでどうしても地味さが目立ってしまいがちですが、これはこれでなかなかな1枚だと思っています。



▼THE ROLLING STONES『EMOTIONAL RESCUE』
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投稿: 2018 06 02 12:00 午前 [1980年の作品, Rolling Stones] | 固定リンク

2018年6月 1日 (金)

BLIND MELON『BLIND MELON』(1992)

アメリカ・カリフォルニア出身の5人組バンド、BLIND MELONが1992年9月にリリースしたデビューアルバム。「No Rain」(全米20位)のヒットも手伝い、アルバムはじわじわ売れ続け、全米3位まで上昇。400万枚を超える大ヒット作となりました。

このバンドのブレイクの裏には、実はGUNS N' ROSES(というか、アクセル・ローズ)がいることはご存知でしょうか。バンドのフロントマン、シャノン・フーン(Vo)は1991年秋に制作されたガンズのMV「Don't Cry」に出演し、アクセルとツインボーカルという形でパフォーマンスしています。これがきっかけとなり、BLIND MELONはCapitol Recordsとメジャー契約したわけです。

が、アルバムを聴いてもらえばおわかりのとおり、そのサウンドはガンズとはちょっと結びつかない、ブルースやカントリーやサイケなどの要素を取り入れた土着的なロック。どちらかといえば、当時大ブレイクしていたTHE BLACK CROWESや、「Under The Bridge」がバカ売れしていたRED HOT CHILI PEPPERS、そしてグランジ勢の中でもPEARL JAMあたりのほうに近い存在だったと言えるでしょう。結局、アクセルが絡んだことで同系統の音を求めたリスナーが、いざ聴いてみたらイメージと違って失望。最初こそ話題性だけで、本格的に売れるまでしばらくは足枷になっていたことは間違いありません。

「Soak The Sin」や「Tones Of Home」「Paper Scratcher」みたいにファンキーなノリを持ちつつ、「I Wonder」や「Change」のように落ち着いた雰囲気のアコースティックナンバー、さらには「No Rain」を筆頭としたサイケデリックな香りのする楽曲……こうやって今聴くと、90年代末にジョン・フルシアンテ(G)が復帰したレッチの諸作品に通ずるものがあると感じるのは、僕だけでしょうか。あるいは、アーシーな楽曲はジャック・ジョンソン以降のサーフロックにも通ずる……いろんな意味で、BLIND MELONが残した功績は非常に大きかったと言えなくはないでしょうか。

まったくヘヴィではないし、むしろドラムの軽さや前代を覆う高めのトーンは、同時代にブレイクしていたNIRVANAやSOUNDGARDENとは一線を画するもの。カリフォルニアとシアトルの違いと言ってしまえばそれまでですが、それにしても同じ時代に似たようなルーツを持ちながらもここまでベクトルが異なるか、と考えると思いものがありますね。

その後BLIND MELONは1995年8月に2ndアルバム『SOUP』をリリースするも、2ヶ月後にシャノン・フーンがオーバードーズで死去。一度は解散しますが、新たなボーカリストを迎えて2006年に再結成しています。



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投稿: 2018 06 01 12:00 午前 [1992年の作品, Blind Melon] | 固定リンク