DAVID LEE ROTH『A LITTLE AIN'T ENOUGH』(1991)
海外では1991年1月中旬、ここ日本では同年2月下旬にリリースされた、デヴィッド・リー・ロスの3rdフルアルバム。
プロデュースを手がけたのはBON JOVIやAEROSMITH、MOTLEY CRUEなどでおなじみのボブ・ロック。チャート的にも全米18位まで上昇し、50万枚以上を売り上げるスマッシュヒットとなりました。が、残念ながら過去のようなシングルヒットは誕生せず。このへん、リリース時に勃発した湾岸戦争やその後の不況なども影響しているのかもしれませんね。
前作『SKYSCRAPER』(1988年)完成後にビリー・シーン(B)がバンドを離れ、同作のツアー終了後にはスティーヴ・ヴァイ(G)も脱退と、バンドの鍵を握るプレイヤーたちが相次いでいなくなってしまいますが、ダイヤモンド・デイヴはグレッグ(Dr)&マット(B)のビソネット兄弟、ブレット・タグル(Key)はそのままに、新たにジェイソン・ベッカー(G)とスティーヴ・ハンター(G)を迎えてレコーディングに突入。ボブ・ロックの手腕もあり、派手でポップで豪快なハードロックアルバムを完成させます。
良くも悪くもチープさを伴うデイヴの過去作(VAN HALEN時代含む)でしたが、時代の寵児(ボブ・ロック)を迎えたことでここまで現代的な音に生まれ変わるか!と、リリース当時はずいぶん驚いたことを今でもよく覚えています。楽曲自体は良い意味でのB級感が薄れ、無理してマッチョしてる(笑)感が強まっています。それまでビールばかり飲んでたところに、急にプロテインばかりガブ飲みした結果、たるんだ腹が一気にシェイプアップ……そんな音/楽曲なんですよね(笑)。
僕の中でのイメージとしては、AEROSMITH『PERMANENT VACATION』(1987年)とBON JOVI『NEW JERSEY』(1988年)の質感と世界観をダイヤモンド・デイヴ流に料理した結果がこれ、という感じ。伝わるでしょうか?
大きなヒットにはつながらなかったけど、タイトルトラックや「Shoot It」「Hammerhead Shark」などのキャッチーさ、「Sensible Shoes」に漂ういかがわしさ、そしてデイヴといえばこれ!と言いたくなるハードブギー「It's Showtime!」のカッコよさ……どれも水準以上の完成度。1991年という時代もあってか、“見過ごされた1枚”かもしれませんね。改めて再評価してほしい作品集だと思っています。
あと、本作の何が不幸かって、ジェイソン・ベッカーですよ。彼は本作のレコーディングに関わるものの、ツアーには参加できず……理由はご存知かと思いますが、本作のレコーディング中に筋萎縮性側索硬化症が発症して表舞台から去ることに。もし彼があのまま健康体でツアーに参加していたら、ポール・ギルバートやマーティ・フリードマンのようになれていたのかもしれませんね。そういった点でも不幸さが伴う1枚ですが、しのごの言わず「It's Showtime!」や「Drop In The Bucket」のギタープレイなどを聴いてジェイソン・ベッカーの素晴らしさに触れてみてください。
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