CINDERELLA『HEARTBREAK STATION』(1990)
1990年11月に発表されたCINDERELLA通算3作目のスタジオアルバム。トム・キーファー(Vo, G)とジョン・ジャンセン(BANG TANGO、LOVE/HATE、BRITNY FOX、FASTER PUSSYCATなど)との共同プロデュースで制作された本作は、前作『LONG COLD WINTER』(1988年)で垣間見せたレイドバック路線をより推し進めた、ルーツミュージック色の強い作風に仕上がっています。
オープニングを飾る「The More Things Change」や「Love's Got Me Doin' Time」ではブラスをフィーチャーしており、ギタープレイもHR/HMのそれとは異なるアーシーなスタイル。ボーカルさえ違えば、例えばTHE BLACK CROWES周辺のバンドと言われても不思議じゃないくらい。もはやデビュー作『NIGHT SONGS』(1986年)とは別モノになってしまった印象すらあります。
さらにアルバムでは、シングルカットされた「Shelter Me」(全米36位)や「Heartbreak Station」(全米44位)などでサザンロックやブルースロック的な側面も提示。特に「Shelter Me」ではサックスがソロを取ったり女性コーラス隊をフィーチャーすることで、完全にハードロックの枠から飛び抜けることに成功しています。「Sick For The Cure」のオープニングなんて、完全にストーンズの「Honky Tonk Women」ですものね。
また、トム・キーファーも前作のオープニング曲「Bad Seamstress Blues」で少しだけ聴かせてくれた“地声”での歌唱を、本作中でも「Heartbreak Station」や「One For Rock & Roll」「Dead Man's Road」「Electric Love」「Winds Of Change」(名曲!)といった楽曲でフィーチャー。ジャニス・ジョプリン並みに暑苦しいハイトーンが減ったことで、また作風的にもアコースティックテイストが増したことで、過去2作以上にリラックスして楽しむことができます。トムの地声、僕は好きなんですけどね。
ちょうど本作リリースと前後して、先に名前を挙げたTHE BLACK CROWESがデビューアルバム『SHAKE YOUR MONEY MAKER』(1990年)で大ブレイクしたり、イギリスからはTHE QUIREBOYSが登場したり、また音楽シーン的にも『MTV UNPLUGGED』がヒットしたりと、時代がより“生音”を求める方向にシフトしていたこともあり、チャート的には全米19位、100万枚のヒットと過去2作には及ばなかったものの、それでも好意的に受け入れられた印象が強い1枚なのです。
個人的ベストは、『NIGHT SONGS』と本作の中間に位置する2ndアルバム『LONG COLD WINTER』ですが、この『HEARTBREAK STATION』も非常に好みの作品です。
あ、最後に。過去2枚では散々な扱いを受けてきたドラマーのフレッド・コウリー、本作では初めてすべてのドラムパートを担当しております。おめでとう!(これが最初で最後でしたが。苦笑)

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