AC/DC『THE RAZORS EDGE』(1990)
サッカーW杯が始まってから、CMでよく耳にするAC/DC「Are You Ready」。HR/HMファンなら「えっ?」って振り返ってしまうと思うんです。事実、僕も何度このCMと直面しても「えっ?」って画面に釘付けになってしまいますから。これ、コカ・コーラFIFAワールドカップキャンペーン「Stock Up」編CMにて使用されているとのこと。YouTubeにもCM動画が公開されています。→W杯終了と同時に、動画は削除されたようです。
ということで今回はこの「Are You Ready」が収録されている、1990年9月リリースのAC/DC通算11作目(本国オーストラリアでは12作目)のスタジオアルバム『THE RAZORS EDGE』をピックアップしたいと思います。
前作『BLOW UP YOUR VIDEO』(1988年)で全米12位、全英2位と本格的に復活を果たしたAC/DCですが、続く『THE RAZORS EDGE』ではその人気をさらに確固たるものとします。プロデューサーに迎えたのはBON JOVIやAEROSMITHなどでおなじみの“時の人”ブルース・フェアバーン。その組み合わせに最初こそ度肝を抜かれましたが、いざ完成したアルバムを聴くと「なるほど!」と思わずにはいられないキャッチーさ納得させられます。
おそらくブルースはかなりアレンジ面に口を挟んだんじゃないかと思うのです。例えばオープニングを飾る「Thunderstruck」にしても、リフ自体はアンガス・ヤング(G)の手癖的プレイの延長ですが、それをここまでシークエンスさせて引っ張るアレンジはブルースのアイデアだったのではないでしょうか。結果、それにより非常にモダンさが強まり、またドラマチックさを演出する上でもかなり効果的だったように思います。今やスポーツ観戦にも欠かせない1曲になりましたからね。
それ以外の楽曲も非常にポップでコンパクト。シングルヒットした「Moneytalks」(全米23位)や「Mistress For Christmas」、そして先の「Are You Ready」のような曲はもちろんのこと、アップテンポな「Fire Your Guns」やヘヴィな「The Razors Edge」ですらポップさを兼ね備えているのですから。
では、ポップになってことで彼らがヤワになったのか?と問われると、実はまったくそんなことはなく。名盤『BACK IN BLACK』(1980年)とは異なる質感のヘヴィさはしっかり表現されていると思います。
が、それ以上にポップさやキャッチーさが強く前面に打ち出されている。それが全米2位(500万枚以上のセールスを記録)、全英4位という数字に裏打ちされているのではないでしょうか。本作は「AC/DCはちょっと苦手……」というリスナーにも、もしかしたら受け入れてもらえる可能性の高い1枚かもしれません。
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