SHINEDOWN『ATTENTION ATTENTION』(2018)
2018年5月にリリースされた、SHINEDOWN通算6枚目のスタジオアルバム。3作目『THE SOUND OF MADNESS』(2008年)が初の全米TOP10入り(8位)を記録し、200万枚を超えるヒット作になったのを機に、以降の作品はすべて全米チャートで10位内に入っている彼ら。最新作も初登場5位というこう記録を残しています。
前作『THREAT TO SURVIVAL』(2015年)がポップな作風で、初期のガッツのあるサウンドを好むリスナーからは若干敬遠されがちでしたが、続く本作は本来のヘヴィさをモダンな質感にシフトさせた意欲作。それもそのはず、本作は心の中でささやく“悪魔”や忍び寄る不安と戦いながら生きる人々の様を時にヘヴィで引きずるようなサウンド、時には現代的なエレクトロサウンドを織り交ぜながら表現したコンセプトアルバムなのですから。
本作はブレント・スミス(Vo)を襲った精神的トラブルや心の葛藤がそのまま反映されていると言われています。アルバム冒頭を飾る「Devil」はまさにこのアルバムを象徴するような1曲で、先に挙げた「心の中でささやく“悪魔”や忍び寄る不安」を表現したもの。「Kill Your Conscience」ではSNSによって行動が縛られた現代人への怒りが綴られ、「Get Up」はうつ病に苦しむ人たちへ向けた応援歌、「The Human Radio」では自分の真実のために戦い続けることを歌い、「Brilliant」では心の強さで恐怖に打ち勝った瞬間が描かれている。もうこれだけで……ブレントに何が起こったのか、想像に難しくありません。
では、このようなテーマがどういったサウンドで表現されているかというと……意外とネガティヴすぎないんですよね。もちろんヘヴィでダーク、悲哀に満ちたサウンドもところどころで登場しますが、モダンな色付けを用いつつもしっかり光が感じられるのです。要するに、冷たくない。人工的な味付けをしていようが、どこかに必ず人の温もりが感じられるのです。いわゆるポスト・グランジ勢の中でも彼らが頭ひとつ飛び抜けた存在なのは、こうした「ネガティヴを享受して、聴き手にポジティヴを与える」ところに秘密があるのかもしれませんね。
デビューアルバム『LEAVE A WHISPER』(2003年)を初めて聴いたときは、正直アメリカでこんなに大きな存在になるなんて想像もしていませんでした。だけど、こうやっていろんなものを受け止めて前に進んできた彼らだからこそ、今の地位があり、このアルバムがある。ここ日本での評価は決して高くはありませんが(なにせ、2015年8月に初来日が実現したばかりですから)、この意欲作を携えた再来日にもぜひ期待したいところ。よろしくお願いします!

▼SHINEDOWN『ATTENTION ATTENTION』
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