QUEENSRYCHE『EMPIRE』(1990)
1990年9月にリリースされたQUEENSRYCHEの4thアルバム。前作『OPERATION: MINDCRIME』(1988年)が全米50位止まりながらも、「I Don't Believe In Love」や「Eyes Of A Stranger」のラジオヒットを受けて100万枚をヒット作となり、満を持して発表された次作『EMPIRE』は全米7位、300万枚以上もの好セールスを記録しました。また、本作からは「Silent Lucidity」(全米9位)というヒットシングルも生まれ、ほかにも「Empire」「Jet City Woman」などがラジオヒットとなりました。
プログレッシヴロックの影響下にあるテクニカルなヘヴィメタル。QUEENSRYCHEにはそういったイメージがありましたが、特に『OPERATION: MINDCRIME』はコンセプトアルバムだったこともあり、そのイメージがさらに強まったと思います。そんな彼らが、これに続く『EMPIRE』で示したのは、良い意味での“ヘヴィメタルバンドからの脱却”だったのではないでしょうか。
もちろん、聴けばHR/HMの範疇にあるサウンドなのですが、そのひんやりとしていてモダンなスタイルは、ヘヴィメタルというよりはハードロックと呼ぶほうがぴったり合うのではないでしょうか。彼らは続く『PROMISED LAND』(1994年)、『HEAR IN THE NOW FRONTIER』(1997年)でグランジやオルタナティヴロックのテイストを強めていき、完全にヘヴィメタルバンドからの脱却に成功しますが、この『EMPIRE』はその間にある過渡期的1枚と言えるかもしれません。
しかし、過渡期とは言うもののその内容・完成度には目を見張るものがあり、ある意味では前作『OPERATION: MINDCRIME』以上のクオリティと言えるでしょう。RUSHほどテクニカルではなく、DREAM THEATERほどメタリック、ドラマチックではない。その適度さがこのアルバムの魅力であり、HR/HMブームとグランジブームの間(はざま)を象徴するような作風と言えるのではないでしょうか。
個人的には「Della Brown」や「Anybody Listening?」といったスローナンバー、エモーショナルさが本作の中でも際立つ「Jet City Woman」「Another Rainy Day (Without You)」、そしてひんやりとしたヘヴィロック「Empire」あたりがお気に入り。もちろん、シングルヒットしたバラード「Silent Lucidity」も嫌いじゃありません。
『OPERATION: MINDCRIME』はストーリー性が強いせいもあり、頭から最後まで通して聴かなくちゃ……的な使命感が強い1枚でしたが、この『EMPIRE』は個々の曲にストーリーがあるものの(しかもその物語が、銃規制や環境問題などシリアスなものが多い)、単曲で気楽に楽しめる作品集ではないかなと。とはいえ、作風のシリアスさもあって、そこまで気楽に楽しめるといった感じでもないんですけどね。
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