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2018年8月 4日 (土)

FIVE FINGER DEATH PUNCH『AND JUSTICE FOR NONE』(2018)

昨年12月発売のベストアルバム『A DECADE OF DESTRUCTION』を挟んで、『GOT YOUR SIX』(2015年)以来約3年ぶりに発表されるFIVE FINGER DEATH PUNCHの7thアルバム。プロデューサーは過去数作同様、バンドと好ダッグを組み続けるケヴィン・チャーコ。2枚目のアルバム『WAR IS THE ANSWER』(2009年)から6作連続で全米TOP10入り(最高4位)を果たすなど、改めてこのバンドの本国での人気ぶりを証明する結果を打ち立てました。

彼らはデビューからまだ11年と、キャリアのわりにアルバムをしっかり発表し続けており、成功も早い段階から掴んでいる、今のアメリカンHR/HMシーンの中では非常に稀有な存在です。また、彼らは非常にアメリカという国に密着した活動を続けており、例えば日本をはじめ世界各地の米軍基地で慰問ライブを行うなどして、ファンを拡大し続けており、そういった地道な活動がファンベースの拡大に一役買ったのは間違いありません(同じことは HALESTORMにも言えますが)。

また、ニューメタル以降のHR/HMバンドながらもブルースやカントリーなどの土着的サウンドをベースに持つところも、どこか日本における演歌っぽさがあり、それも親しみやすさにつながっているのでしょう(逆に言えば、そこが日本人には馴染みが薄いポイントでもあるわけですが)。

この新作でもそのスタイルは引き継がれており、正直特別新しい要素は皆無なのですが、そういった頑固一徹さもバンドのキャラクターとしての“男らしさ”につながっていると受け取ることもできます。もちろん、「Fire In The Hole」のような(音楽ジャンルとしての)クラシカルなカラーを持つ楽曲も含まれているし、THE OFFSPRINGのカバー「Gone Away」なんていうのもあったりするので、それなりに“新しい何か”に挑もうとする姿勢はゼロではないわけですが。とはいえ、やっぱり耳を引きつけられるのは、デラックス盤のオープニングを飾るニューメタル的な「Trouble」であったり、枯れたロックバラード「I Refuse」といった従来の彼ららしい楽曲なんですけどね。

むしろ、このスタイルを変えずに10年続けている事実がすべてであって、これこそが今の王道アメリカンHR/HMなのだ、と胸を張って言い切ることができる。もうそういう地点に到達しているのではないでしょうか。昨年のベストアルバムでひと区切りをつけたように思われたけど、ここから10年も変わらずこのスタイルを守っていく(もちろん、時代時代で新しさも少しずつ取り入れながら)……その意思表明が、アルバムタイトルの『AND JUSTICE FOR NONE』(アメリカ合衆国の「忠誠の誓い」に出てくる「Liberty and justice for all」をもじったもので、METALLICAの名盤『...AND JUSTICE FOR ALL』のパロディでもあるのかなと)にも表れているような気がします。

まあ、なにはともあれ。これこそが今のアメリカなんでしょうね、良くも悪くも。僕はもちろん“良くも”のほうで受け取っていますけど。まあ、あれだ。日本に来る機会が極端に少ないバンドなので、もっとしっかりライブをやってほしいわけです、ここ日本でも。それだけでも、だいぶイメージが変わると思うので。そこだけはぜひお願いしたいです。このアルバムの楽曲だって、ライブで映えるナンバーがたくさんあると思いますので。



▼FIVE FINGER DEATH PUNCH『AND JUSTICE FOR NONE』
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投稿: 2018 08 04 12:00 午前 [2018年の作品, Five Finger Death Punch] | 固定リンク