ALICE IN CHAINS『RAINIER FOG』(2018)
全米2位まで上昇した前作『THE DEVIL PUT DINOSAURS HERE』(2013年)から5年3ヶ月ぶりに発表された、ALICE IN CHAINS通算6枚目のオリジナルアルバム。これで再結成後、レイン・ステイリー(Vo/2002年死去)在籍時と同じ枚数だけオリジナルアルバムを出したことになりますね。
過去2作同様、ニック・ラスクリネクツ(HALESTORM、KORN、MASTODONなど)をプロデューサーに迎えた本作は、過去2作以上にレイン在籍時の“90年代のALICE IN CHAINS”が脳裏に浮かぶ、これぞ完全復活作と断言できるような大傑作。いや、なんでしょうこのバランス感は。
ウィリアム・デュヴァール(Vo, G)という新たな個性が10数年という歳月をかけて、ようやくバンドに馴染んだということなのでしょうか。それとも、ジェリー・カントレル(Vo, G)が“あの頃”の感覚をようやく取り戻したということなのでしょうか。とにかく往年のALICE IN CHAINS節が、過去2作以上に強まっているのです。これって過去2作がカリフォルニアレコーディング、今作が地元シアトルでのレコーディングというのも大きく作用しているのかもしれませんね。質感が全然違いますもの。90年代の彼らが持っていた、あの“淀み”がここに完全復活していますし。
その“淀み”は質感のみならず楽曲スタイルにも表れており、例えば陰惨でヘヴィなオープニングトラック「The One You Know」は過去2作以上にALICE IN CHAINSだし、2曲目「Rainier Fog」は1stアルバム『FACELIFT』(1990年)時代を彷彿とさせる若干アップテンポのハードロック、4曲目「Fly」でのギターの泣きっぷりは2ndアルバム『DIRT』(1992年)当時を思い出させるし、5曲目「Drone」での曲展開も3rdアルバム『ALICE IN CHAINS』(1995年)までの彼らが憑依したような印象を受ける。そういう1曲1曲の作り込みと、このバンドが本来持っていた“らしさ”がアルバムの至るところから感じられるのです。
しかも、それが単なる焼き直しで終わっておらずに、しっかりアップデートされている。実はそのアップデート感こそが、デュヴァールのカラーなのではないか、と思うわけです。レインの亡霊を断ち切り、かといって完全に消し去るのではなく、意思を継ぎながら先に進む。再結成からの10数年で彼らはようやく本当の意味での“前進”ができたのかもしれませんね。
また、前作は12曲で67分とトータルランニングも長すぎた。今作は楽曲のバラエティに富みながらも10曲で53分と非常に聴きやすい。ラストの「All I Am」で終わるドラマチックな構成も含め、完璧すぎるほどにALICE IN CHAINSらしいアルバム……これぞ90年代以降のアメリカンハードロックの“王道”なのではないでしょうか。
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