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2018年9月 1日 (土)

THE SMASHING PUMPKINS『ADORE』(1998)

1998年6月発売の、THE SMASHING PUMPKINS通算4作目のスタジオアルバム。前作『MELLON COLLIE AND THE INFINITE SADNESS』(1995年)が初の全米No.1を獲得したほか、トータルで1000万枚を超えるメガヒット作になりました(2枚組作品なので、実質500万セット販売)。しかし、こうした好状況とは相反し、同作のツアー中にサポートメンバーのジョナサン・メルビン(Key)がドラッグの過剰摂取で死亡。この際、同じ現場にいたジミー・チェンバレン(Dr)も逮捕され、結果的にバンドを解雇されることに。

そんな中でも、ビリー・コーガン(Vo, G)はバンドの歩みを止めることなく、新作のレコーディングに突入します。プロデューサーにフラッドとブラッド・ウッドを迎えて制作されたアルバムは、マット・ウォーカー(FILTER)やマット・キャメロン(SOUNDGARDENPEARL JAM)、ジョーイ・ワロンカー(ベックR.E.M.、ATOMS FOR PEACEなど)といったセッションドラマーが参加しつつも、基本的には打ち込みリズムを基盤としたサウンドメイキングが施されています。

前作で「1979」というニューウェイブの影響をあらわにしたスマパンおよびビリーは、このアルバムでそうしたニューウェイブ魂を一気に爆発させたのです。オープニングの「To Sheila」や一部の楽曲はこれまでにもあったアコースティックの耽美な楽曲ですが、シングルカットされた「Ava Adore」や「Apples + Oranjes」など大半はシンセを主体としたエレクトロ/ニューウェイブ調の楽曲。「1979」の延長線上にある「Perfect」なども含まれているものの、ここには「Cherub Rock」も「Today」も「Bullet With Butterfly Wings」も「Zero」もありません。轟音ギターは鳴りをひそめ、ギター自体があくまでニューウェイブ調楽曲の味付けとしての役割にとどまっているのです。

そりゃあ、“あの”スマパンが好きな人は驚いただろうし、ショックだったことでしょう。しかし、前作でその片鱗を見せていたニューウェイブからの影響、また本作と同時期にリリースされたDEPECHE MODEのトリビュートアルバム『FOR THE MASSES』(1998年)での「Never Let Me Down Again」カバーを聴いた人なら、この路線は納得のいくものだったのではないでしょうか。

パーマネントのドラマー不在によって訪れた転機。これを吉と受け取るか凶と受け取るか……世の中的には凶とみなし、チャート的には全米2位を記録したものの、セールス的には100万枚程度と前作から一気に落とす結果に。残念でなりません。

でも、アルバムとしては非常に優れたものだと思いますし、本作以降のビリーの活動を見ていればこの作風はもはやスタンダードなものなんじゃないでしょうか。なんてことも、リリースから20年経った今だから言えるんですけどね。アルバム単位で言えば、僕個人彼らの作品で一番好きな1枚です。



▼THE SMASHING PUMPKINS『ADORE』
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投稿: 2018 09 01 12:00 午前 [1998年の作品, Smashing Pumpkins] | 固定リンク