PAUL McCARTNEY『EGYPT STATION』(2018)
2018年9月発売の、ポール・マッカートニー通算18枚目のソロスタジオアルバム。前作『NEW』(2013年)からもう5年も経っていたんですね。ここ最近、2年おきに来日している気がして、そこまで時間が経っていると思いませんでした(よく調べたら、来日公演自体は2013年、2015年、2017年に実施していて、2014年は中止になった国立競技場公演があったのでした。実質4回も来てたのか。そりゃ来過ぎた! しかも2018年にもやってきますし)。
6月に先行リリースされたシングル「I Don't Know」「Come On To Me」は、良くも悪くも“いつもの”ポール節。安心安定で、今回も水準以上の作品にはなるんだろうなと信じていました。
で、8月には新しいシングル「Fuh You」が先行カットされたのですが……これがモダンな、“イマドキの”サウンドによるポップチューンでびっくり。おお、こりゃちょっと楽しみかも!と思っていたところに、アルバム到着。全体的には“いつもの”と“イマドキの”が程よくミックスされた、非常によくできた1枚だと思います。
全体のプロデュースはTHE BIRD AND THE BEEのグレッグ・カースティン(アデル、リリー・アレン、シーア、リアム・ギャラガー、FOO FIGHTERSなど)、1曲のみライアン・テダー(ONEREPUBLICのシンガー)が担当しています。そう聞くと「なるほどな」と頷けてしまう、そんな内容ではないでしょうか。
ちなみに、僕が非常に気になった「Fuh You」はライアンとの共作&プロデュース曲。これも「なるほどな」と腑に落ちました。キャリアを総括するような作品であると同時に、しっかり“今”と向き合っている。それは手慣れたメンツとタッグを組むのではなく、グレッグ・カースティンやライアン・テダーといった現在のポップシーンを代表するトップアーティストとコラボする姿勢に表れていますし、自身の持ち味をどうモダンに昇華するか、それが2018年に通用するのか。ある意味、これはポールから今のポップシーンに対する“最後の挑戦状”なのかもしれません。
年齢的にも、おそらくこれが最後になってもおかしくないわけで、だからこそここまでゴッタ煮感がありながらも不思議と統一感がある内容になっているのではないかと。ポールが書く楽曲に一度でも心奪われたことがある人なら、絶対にどれか1曲、いや、どこか1ヶ所でもひっかかるパートがあるのではないでしょうか。そんな、76歳のおじいさんが今できることをすべて詰め込んだ、渾身の1枚だと思います。
終盤の「Do It Now」から「Caesar Rock」への流れ、そこからドラマチックな「Despite Repeated Warnings」へと続き、インタールード「Station II」から組曲「Hunt You Down / Naked / C-Link」で幕を下ろす構成は、涙なしには語れません。間違いなく、あのポール・マッカートニーのアルバムです。
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