ULTRAPHONIX『ORIGINAL HUMAN MUSIC』(2018)
相変わらず次々に新しいバンド/プロジェクトを立ち上げる多作振りを発揮中のジョージ・リンチ。今度はLIVING COLOURのシンガー、コリー・グローヴァーと新たなバンドULTRAPHONIXを結成、今年8月に初のアルバム『ORIGINAL HUMAN MUSIC』をリリースしました。
メンバーはジョージ、コリーのほか、スタジオセッションなどで活躍するクリス・ムーア(Dr)、ファンクバンドWARやデイヴ・ロンバード(元SLAYER、現SUICIDAL TENDENCIES)とのトリオバンドPHILMなどでしられるパンチョ・トマセリ(B)の4人。このバンド、もともとはコリーではなくFISHBONEのアンジェロ・ムーア(Vo)と別の名前でライブを行っていたはずですが……まあ細かいことは気にしないことにしましょう。
ジョージがここでやりたかったことは、上のシンガー変遷とリズム隊のカラーからもわかるように、ハードロックとファンクの融合。ソウルフルだけどハードロック的なコリーのボーカルと、適度にグルーヴィーでタイトなリズム隊、その上でジョージが好き放題弾きまくるという、ファンならなんとなく想像できてしまう構図が、このアルバムの中で展開されているわけです。ここまで聴く前から内容がイメージできてしまうアルバム……さすがジョージ・リンチ。
さて、ジョージのプレイですが、思っていた以上にユルいです。リフもそこまでメタリックではないし、印象に残るものも少ない。ただ、ソロになるといきなりハメを外すんですよ。その落差が面白い。まあ、特に目新しいことはやってないですし、近年のジョージそのものかなと。
楽曲自体はコリーが歌ってることもあって、どこか LIVING COLOUR的。ただ、残念ながらヴァーノン・リードみたいな変態チックなプレイはありません。その“制御された狂気”こそがジョージそのものなんでしょうけど、これはこれで悪くない。個人的にはジョージのほかのバンド(特にKXM)よりは楽しめたかな。
プレスリリースでは、このバンドが目指す方向性について「初期RED HOT CHILI PEPPERS meets JUDAS PRIEST & KING CRIMSON」と記されていますが……後者2つの色、弱くない? KING CRIMSONなんて本編ラストの「Power Trip」ぐらいじゃ(ていうか、まんまなアレンジですけど)……まあ、本人がそう言ってるんだから、そうなんでしょう。たぶん、ライブではそういった要素が強まるんだろうなと、前向きに考えておきます。
このボーカルに対して、もっとメタリックなリフをバシバシぶつければよかったのに、といのが本作に対しての唯一の不満。それ以外は想定内であり、ジョージ・リンチのファンとしては心を広く持っているほうなので、純粋に楽しめる作品でした。

▼ULTRAPHONIX『ORIGINAL HUMAN MUSIC』
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