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2018年9月 9日 (日)

ELLIOTT SMITH『XO』(1998)

自分と誕生日が同じ(8月6日)こともあり、昔から親近感を持っていたエリオット・スミス。残念ながら2003年に自ら命を絶ってしまいましたが、彼が残した作品の数々は今も“後追いリスナー”含め多くのファンに愛され続けています。

本作は1998年8月にリリースされた、通算4作目のオリジナルアルバムにしてメジャー1作目のアルバム。前年に公開された映画『グッド・ウィル・ハンティング』に「Miss Misery」を提供し、この曲がアカデミー賞にノミネートされるなど、同年2月に発表された『EITHER/OR』(1997年)含め、エリオットはメジャー移籍前から高く評価されてきました。

そんな中発表された本作『XO』。バンドサウンドを取り入れたポップな楽曲も含まれているものの、ベースになるのはアコースティックギターで表現される内省的な世界観。美しいメロディラインや随所に登場するハーモニーは、確かにビートルズを彷彿とさせるものがあります。シングルカットされた「Baby Britain」なんてまさに中期ビートルズのそれでしょうし、多重録音を多用したスタイルはある種60年代後期のTHE BEACH BOYSにも通ずるものがあります。

かと思えば、アメリカの古き良き時代のカントリーやフォークもしっかり引き継いでおり、それを90年代的感覚でオルタナティヴロック風に昇華させている。ベックのようなエンタメ色を兼ね備えたシンガーソングライターとはまた異なる、この人にしか作り得ないサウンドスケープが終始展開されています。

「Independence Day」のようなモダンさもあれば、「Bled White」みたいにサイケデリック感を併せ持つロックナンバーもある。「Amity」なんてジョン・レノンだし、「A Question Mark」は中期ビートルズとグランジの融合だもん。悪いわけがない。自分は最初に聴いたのが本作だったので、エリオット・スミスといえばここで聴ける楽曲こそがすべてなんです。

リスナーによっては『EITHER/OR』のほうが優れていると断言するでしょうし、実際素晴らしいアルバムだと思います。が、思い入れでは本作なんですよね。このアルバムを制作した頃にはすでにうつ病だったエリオットですが、少なからずそういった病状もこの質感に影響を与えているのかもしれません。そこも含めて、彼を語る上ではやはり重要な1枚と言わざるを得ません。

なお、日本盤には先の「Miss Misery」がボーナストラックとして追加収録されているので、ぜひこちらを購入してみてはいかがでしょう。



▼ELLIOTT SMITH『XO』
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投稿: 2018 09 09 12:00 午前 [1998年の作品, Elliott Smith] | 固定リンク