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2018年9月 5日 (水)

PEARL JAM『YIELD』(1998)

998年2月にリリースされた、PEARL JAMの5thアルバム(日本では同年1月末に先行発売)。プロデューサーは過去3作同様にブレンダン・オブライエンとバンド自身。3作連続で続いた全米1位の記録は、本作で途絶えることに(最高2位)。また、セールス的にも初期3作のマルチプラチナムには程多く、前作『NO CODE』(1996年)同様に100万枚程度にとどまっております。

グランジブームの終焉を経て、いろいろな呪縛から解き放たれたのが前作だとすると、本作は「PEARL JAMとは?」というシンプルな命題と向き合った意欲作のように思えます。

より大らかな土着的アメリカンロックへと進化した『NO CODE』の延長線上にある作品と言えなくもないですが、この『YIELD』ではもっと“PEARL JAMらしさ”や“PEARL JAMっぽさ”を俯瞰で見た作品ではないかと思うのです。それは言い換えると、メンバー自身が“PEARL JAMであることを、引き受ける決意をした”と解釈することができるかもしれません。

前作の要素を踏まえつつも、バンドとして肩の力が抜けた状態で我々のイメージするPEARL JAMを演じる……いや、“演じている”は違うな。PEARL JAMであることを楽しんでいる、そんなアルバムのような気がするのですが、いかがでしょう。

オープニングの「Brain Of J.」こそシリアスモードですが、2曲目「Faithful」以降はかなりリラックスモードですし、シングルカットされた「Given To Fly」や「Low Light」の王道感、ちょっとおふざけ気味な「Do The Evolution」、スティールパンをフィーチャーした1分程度の「」(「The Color Red」や「Red Bar」などと呼ばれています)、実験的な「Push Me, Push Me」など、新しくもあり、と同時に他のアルバムに入っていても不思議ではない雰囲気もある。そう、聴けばやはり「あ、PEARL JAMだ」と瞬時に理解できる楽曲ばかりなんですよね。

『NO CODE』よりも親しみやすく大衆的、だけど過去の焼き直しになっていない。『NO CODE』以降の彼らは「いかにグランジから距離を置くか」という現実と常に対峙し続けたわけですが、この『YIELD』はそういった不遇の期間を突き抜ける糸口になった重要な1枚だと思っています。



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投稿: 2018 09 05 12:00 午前 [1998年の作品, Pearl Jam] | 固定リンク