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2018年10月 5日 (金)

NINE INCH NAILS『BROKEN』(1992)

1992年9月にリリースされた、NINE INCH NAILSのEP。1stアルバム『PRETTY HATE MACHINE』(1989年)のリリース元TVT Recordsとの裁判があり、思うように新作を発表できなかったトレント・レズナー。そういった経緯もあり、本作は新たに契約を結んだInterscope Records経由での実に3年ぶりの新作となりました。人気や注目度がひたすら高まる中でのリリースとあって、本作は全米7位という好記録を残しています。

エレポップやインダストリアル、エレクトリックボディミュージックを彷彿とさせる前作から一変、本作では激しいギターを軸にした実に攻撃的な作品集に仕上げられています。6曲入りと実に短い作品集ですが、その内訳も2曲がSE的なインストなので、実質4曲の歌モノということになります。

で、その歌モノ楽曲が実に素晴らしく。オープニングSE「Pinion」から続く「Wish」は、当時主流だったダンスミュージックの手法をそのままヘヴィなギターミュージックに置き換えたようなインダストリアルメタルの名曲。現在までほぼ毎回ライブで披露される、彼らの代表曲のひとつになっています。

そこから続く「Last」が、これまたヘヴィ&ラウドでカッコいい。小休止的なインスト「Help Me I Am In Hell」を挟んで始まる「Happiness In Slavery」は前作の延長線上にあるボディミュージック的な作風ですが、その強度は前作以上。さらに「Wish」の続編的なファストチューン「Gave Up」で激しく幕を降ろします。ホント、一寸の隙も見せない完璧な作り。

で、本作はアメリカでの初リリース時に8センチCDが特典として付き、こちらに「Physical」と「Suck」の2曲が収録されていました。前者がアダム・アントのカバーで、後者はトレントも制作に携わったPIGFACEのカバー。で、日本やアメリカ以外の国ではこれらの楽曲はCD本編に、トラック98、99に収録されていました。つまり、トラック7からトラック97までは1秒程度の無音が収録されており、ストレートプレイだったらこの無音を経てラスト2曲へ到達、メンドくさかったら一気に曲を飛ばさなければ聴けないわけです。CDが99トラックしか収録できないという事実を突きつけられたというか、逆に99トラックをフルで使ったCDに初めて出会ったというか。トレントの不敵な笑みが浮かんできそうな仕掛けですね。

あと、本作といえば世に公開できないMVが制作されたのも印象深い出来事でした。本作からは「Last」以外の5曲(ボーナス2曲除く)のMVが制作されており、そのうち「Happiness In Slavery」はとてもじゃないけどオンエアできないってことで、1997年発売のビデオ作品『CLOSURE』まで正式な形では公開されていませんでした。内容については文字にするとアレなので(笑)、ネットで調べてみてください。ちなみにこの『CLOSURE』、国内リリースはこれまでなし。2本組VHS版が発売後数年間は西新宿あたりで入手可能でした。2004年にはDVDバージョンも発売されたようです。

※以下、エグい内容ですので閲覧注意。

なお、NINは今年9月13日からスタートした全米ツアー『Cold and Black and Infinite North America 2018』で、ライブ冒頭からこの『BROKEN』をボーナス2曲含む形で完全再現披露しています。「Happiness In Slavery」が演奏されたのは1995年以来だとか……なんだそれ、生で観たいぞ。



▼NINE INCH NAILS『BROKEN』
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投稿: 2018 10 05 12:00 午前 [1992年の作品, Nine Inch Nails] | 固定リンク