CHRIS CORNELL『CARRY ON』(2007)
SOUNDGARDENのフロントマン、クリス・コーネルによる2作目のソロアルバム。SOUNDGARDEN解散後に制作された初ソロアルバム『EUPHORIA MORNING』(1999年)から8年ぶりとなりますが、その間にはRAGE AGAINST THE MACHINEのメンバーと結成したAUDIOSLAVEとして3枚のアルバムを発表しており、本作はそのAUDIOSLAVEからの脱退直後に発表されたもの。特にソロとしては、その前年に映画『007 カジノ・ロワイヤル』の主題歌「You Know My Name」(全米79位)を発表しており、良い流れでアルバムも発表されたことになります。
内容的には前作『EUPHORIA MORNING』にあった内省的な作風を引き継ぎつつも、よりエモーショナルで力強くなっているのではないでしょうか。オープニングを飾る「No Such Thing」なんてそれまで封印していたSOUNDGARDEN的ヘヴィ路線を用いているし、かと思えば「Arms Around Your Love」ではAUDIOSLAVEで得たエモい歌モノ路線が引き継がれている。確かに多少内省的ではあるものの、ここには2つのアメリカのトップバンドを渡り歩いたクリスならではの「ど真ん中で戦う」という意思が強く感じられるのです。
その表れとして、かどうかはわかりませんが、本作にはマイケル・ジャクソンの大ヒット曲「Billie Jean」のカバーも収録。もちろん“まんま”ではなく、いかにもクリスらしい落ち着いたトーンのアレンジで生まれ変わっており、完全に自分のモノにしてしまっています。
かと思えば「Safe And Sound」みたいに大らかなソウルナンバーがあったり、「Scar On The Sky」といったサイケデリックカントリーソングもあるし、「Your Soul Today」のギターリフなんてストーンズやAC/DCみたいなど直球さがにじみ出ている。すべてにおいて彼のキャリアを総括するような意思が感じられ、と同時に文字どおり「ここから続けていく(=Carry On)」という決意表明も受け取れる。アルバムのラストに、そのきっかけとなった映画主題歌「You Know My Name」(007主題歌らしく、ストリングスをフィーチャーしたスタンダード色の強い1曲)が置かれているという構成からも、彼がここから何を成し遂げようとしているのかが感じられるのではないでしょうか。
とはいえ、クリスのソロは実験的な次作『SCREAM』(2009年)でひと区切りつけることになってしまう。その理由は、SOUNDGARDEN再結成によるものなので仕方ないのですが……もしあのまま、バンドを復活させることなくソロアーティストとして細々と音楽活動を続けていたら、彼は……それでも同じ道をたどったのでしょうか。ここでたられば話をしても仕方ないですが、この『CARRY ON』から始まった新たな旅の行方を見届けてみたかったものです。
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