KISS『HOTTER THAN HELL』(1974)
デビューアルバム『KISS』(1974年)から8ヶ月という短いスパンで発表された、1974年10月発売のKISSの2ndアルバム。前作同様ケニー・カーナー&リッチー・ワイズがプロデュースを手がけているのですが、全体的に軽快な作風だった前作よりも重みのあるサウンドに仕上げられています。
前作はポップでキャッチーなロックンロールがベースにある楽曲が多かったものの、本作はよりタフでハードなノリの楽曲が増えています。エース・フレーリー(G, Vo)作の「Parasite」やジーン・シモンズ(Vo, B)による「Goin' Blind」「Watchin' You」などがその最もたる例と言えるでしょう。
また、全体を通してジーンが10曲中5曲でリードボーカルをとっていることも、ヘヴィさに多少なりとも影響しているのかもしれません。ポール・スタンレー(Vo, G)は以外にも3曲(「Got To Choose」「Hotter Than Hell」「Comin' Home」)しか歌っておらず、残り2曲(「Mainline」「Strange Ways」)はピーター・クリス(Dr, Vo)がリードを担当。以降の作品にも言えますが、ジーンが歌う曲が多いアルバムって作風的に重くなりがちなので、本作はそういった意味ではその先駆け的1枚かもしれませんね。
それもあるのでしょうか、本作は90年代に入ってからグランジ/ヘヴィロック系バンドから高く評価されていたような印象があります。「Let Me Go, Rock 'n' Roll」みたいにKISSのパブリックイメージまんまな楽曲もあるものの、本作でやっぱり印象に残るのは先の「Parasite」や「Goin' Blind」「Hotter Than Hell」「Watchin' You」だったりするのですから。グランジのルーツなんていうのも頷ける話です。
とはいえ、KISS史の中では本作ってそこまで人気の高い1枚とはいえず、人気曲の多いデビューアルバムや、「Rock And Roll All Nite」を生み出した次作『DRESSED TO KILL』(1975年)と比較すると地味と言わざるを得ません。まあ、地味だからこそ玄人好みするというのもありますけどね。
あと、本作は現在の“耳”で聴くと非常にこもった音質に感じられます。『KISS』も『DRESSED TO KILL』も、もうちょっと抜けがよいだけに、それらに挟まれた本作は余計にこもった感が強い気がしてしまうんです。ダークさ、ヘヴィさを演出するという点においては、そこが功を奏している気がしないでもないですが……もうちょっとクリアな音で鳴らされたとき、この楽曲群のイメージがどう変わるのかも興味深いところです。
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