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2018年10月 4日 (木)

SLAYER『DIVINE INTERVENTION』(1994)

1994年9月に発表された、SLAYER通算6作目のオリジナルアルバム。前作『SEASONS IN THE ABYSS』(1990年)から4年ぶりのスタジオ作品となりますが、その間にはライブアルバム『DECADE OF AGGRESSION』(1991年)のリリース、凄腕ドラマーのデイヴ・ロンバード脱退、新たに元FORBIDDENのポール・ボスタフ加入、映画『ジャッジメント・ナイト』のサウンドトラック『JUDGEMENT NIGHT: MUSIC FROM THE MOTION PICTURE』(1993年)にポール参加後初のスタジオ音源「Disorder」を提供するなど、常に話題には事欠かない状況でした。

『SEASONS IN THE ABYSS』をそれまでの路線……スピードの『REIGN IN BLOOD』(1986年)と重さの『SOUTH OF HEAVEN』(1988年)を総括するかのような集大成的作品に仕上げ、過去10年のベストアルバム的内容の『DECADE OF AGGRESSION』でそれまでの活動に(デイヴ脱退という予期せぬハプニングも含め)ひと区切りをつける形となったSLAYER。新ドラマーが加入したこともあり、また音楽シーンが1990年からの4年で大きな変化を迎えたことも影響し、SLAYERは新たなステージへと突入します。

ブラックアルバム期のMETALLICAPANTERAを筆頭としたグルーヴメタルや、NIRVANAなどをはじめとするグランジがメインストリームを席巻していた時代に投入されたこの作品は、時代に迎合することなく、バンドが持つ凶暴性と狂気性のみに特化した内容と言っても過言ではありません。ぶっちゃけ、『SEASONS IN THE ABYSS』で感じられたメロウさ、(それまでのSLAYERと比べての)親しみやすさは完全に消え失せ、無慈悲なまでに轟音とスピード、ヘヴィさで圧倒させます。

また、音質的にも意図的なのかデッドなサウンドで録音されており、そこに異質さを感じるものの、逆にこういった演出によって凶暴さをより強めることに成功。そういった要素は、エモーショナルさすら感じさせた前作とは相反した無機質なものへと昇華させており、それが本作が潜在的に持つ狂気性をより強める結果につながっています。

ぶっちゃけ、リリース当時に初めてこのアルバムを聴いたときは馴染めなかったんですよ。いや、『SEASONS IN THE ABYSS』で自分自身がこのバンドに対してどこか“甘さ”を感じるようになっていたんでしょうね。だからこそ、ここまで圧倒的な作品(というよりも、音の塊)をつぶけられて、そこについていけなかったと。そういうことなんだと思います。

そういえば、上でこのアルバムを無慈悲と表現しましたけど、無慈悲=NO MERCY……1stアルバム『SHOW NO MERCY』(1983年)……ああ、そうか。これってSLAYER第2章の幕開けを飾る、新たなデビューアルバムだったのか。発売から25年近く経って、ようやく理解できた気がします。

こんな残虐なアルバムが、全米8位という過去最高記録を打ち出したのも興味深い。ホント、最高のカムバック作ですね。



▼SLAYER『DIVINE INTERVENTION』
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投稿: 2018 10 04 12:00 午前 [1994年の作品, Slayer] | 固定リンク