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2018年10月24日 (水)

QUEEN『LIVE KILLERS』(1979)

1979年6月に発売された、QUEENキャリア初となるライブアルバム。前年11月に発売された7thスタジオアルバム『JAZZ』を携えたワールドツアーの中から、1979年1〜3月のヨーロッパ公演からピックアップされた音源が収録されているとのこと。CD/アナログともに2枚組で、トータル90分という当時としてはかなりのボリュームですが、実際のライブではさらに4曲演奏されており、それらが収録時間の都合でカットされています(カットされたのは「If You Can't Beat Them」「Fat Bottomed Girls」「Somebody To Love」「It's Late」とのこと)。また、このアルバムが発売される直前の4月には、QUEENは日本武道館公演を含むジャパンツアーも敢行しています。

パンクの余波が意識されたであろう『NEWS OF THE WORLD』(1977年)と大衆的ポップさが花開く『THE GAME』(1980年)の間、つまり両作の橋渡し的作品となった『JAZZ』のツアーというタイミング的にはちょっと過渡期なのかな?と思われる時期かもしれませんが、視点を変えると「生々しいロックバンド感」が色濃く表現されたツアーはこのへんが最後だったのかなと。奇しくも70年代最後の年、パンクからニューウェイヴ、そしてヘヴィメタルという新しい波が訪れる前の絶妙な時期。その後、ポップの権化へと進化するQUEENが時代の変わり目に最後の爪痕を残した。そんなふうにも受け取れる内容かもしれません。

なにしろこの作品、音がそこまで良くない。ただ、この荒さが当時のバンドのテンションと相まって、ロックバンドの初期衝動的な生々しさにつながっている。当時のセットリスト(アップテンポにロックアレンジされた「We Will Rock You」から「Let Me Entertain You」「Death On Two Legs」へと続く構成)をベストな状態で表現した、結果オーライな音質・状態だと思うのですが……完璧主義のQUEENの皆さんはお気に召さないようで(そして、その言葉を真に受けて本作の評価を低くしている一部のファンにも)。

そりゃあ『LIVE AT WEMBLEY '86』(1992年)と比べればその質は雲泥の差ですが、逆に『LIVE AT WEMBLEY '86』にはないもの、『LIVE AT WEMBLEY '86』期のQUEENには表現できないものがここには詰め込まれているのも、また事実。ここ数年、本作よりも前に録音されたアーカイヴ音源が発表されていますが、1979年という時代だからこそのアイデア、演奏力、録音クオリティあってこその奇跡の結集がこの『LIVE KILLERS』だと思うのですよ。

フレディ・マーキュリー(Vo, Piano)の完全に成熟しきる前の歌声、思った以上にアグレッシヴなブライアン・メイ(G, Vo)のギタープレイ、実はめちゃめちゃ安定感があって作り込まれたフレーズを紡ぐジョン・ディーコン(B)のベース、そして若さありきの(ちょっとだけ不安定な)ロジャー・テイラー(Dr, Vo)のドラミング。そのすべてが奇跡的に絡み合ってこその『LIVE KILLERS』。確かに初めて聴いたQUEENのライブアルバムは『LIVE MAGIC』(1986年)でしたし、『LIVE AT WEMBLEY '86』は記録としても素晴らしいですが、僕にとってはそれらと同じくらい、いや、『LIVE AT WEMBLEY '86』と『LIVE KILLERS』はQUEENというバンドを言い表す上で必要不可欠なライブ作品なんです。どちらも同じくらい重要で大切。だって、その両方が僕の好きなQUEENなんですから。



▼QUEEN『LIVE KILLERS』
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