MUSE『THE RESISTANCE』(2009)
2009年9月にリリースされた、MUSEの5thアルバム。前作『BLACK HOLES AND REVELATIONS』(2006年)が本国イギリスで100万枚を超えるメガヒット作となっただけでなく、全米9位&100万枚突破と、ついにアメリカでもブレイクを果たした彼ら。3年ぶりに発表された今作は、全英1位&全米3位という好記録を残し、セールス的にも前作に匹敵する1枚となりました。また、「Uprising」(全英9位、全米37位)や「Undisclosed Desires」(全英49位)、「Resistance」(同38位)というヒットシングルも生まれています。アメリカでのシングルヒットというのは非常に大きいのではないでしょうか。
前作では「Starlight」や「Invincible」といったメジャーキーのポップチューンが印象に残りましたが、本作は全体的に前々作『ABSOLUTION』(2003年)までの要素を強めたイメージ。オープニングの「Uprising」は当時流行だったシャッフルビートを用いつつも、作風的に前作における「Supermassive Black Hole」の延長線上にある1曲。そこからMUSEらしいドラマチックさを持つハードロックチューン「Resistance」や、生とデジタルの融合から生まれたニューウェイヴ的な「Undisclosed Desires」というシングル3連発で聴き手を惹きつけます。ここまでは、前作でファンになったリスナーを楽しませるための“掴み”といったところでしょうか。
ですが、このアルバムは4曲目「United States of Eurasia (+Collateral Damage)」からが本領発揮。QUEENを彷彿とさせる壮大なオペラバラードは、初期の彼らが持ち合わせていた仰々しさがエスカレートしていますし、続く「Guiding Light」も前作にあったポップチューンをさらに激化させたもので、必要以上に力んでいる。ギターの弾きまくりっぷりなんて「この曲のそこで、ここまで弾かなくてもいいんじゃない?」と思わされますが、でも待った。この“無駄なまでに過剰”なのがMUSEの魅力だったんじゃなかった?と、自分が彼らのどこに惹きつけられたかをこの一連の流れで思い出させてくれるわけです。
アルバムはその後も、賛美歌とブルースと攻撃的なハードロックミックスしたような「Unnatural Selection」、ダイナミックかつドラマチックな「MK Ultra」、ピアノを軸にしたストレンジポップ「I Belong to You (+Mon Cœur S'ouvre a ta Voix)」と過剰な曲が続くのですが、アルバム終盤に本作最大の問題作が用意されています。それこそが、9〜11曲目からなる「Exogenesis: Symphony」3部作。トータルで13分におよぶこの組曲は、ストリングスを軸にしたおおらかな第1楽章「Overture」から、クラシカルなピアノとストリングスがじわじわと曲を盛り上げる第2楽章「Cross-pollination」、そして光で包み込まれるようなポジティブさでクライマックスを迎える第3楽章「Redemption」まで、かなり力を入れて作り込まれたもの。各楽章(1曲)単位でも存分に楽しめる内容ですが、ここはあえて3曲続けて聴いて、その世界に浸りたいところです。
エレクトロの要素は前作以上に高まりモダンさを強めているものの、クラシックからの引用やストリングスの導入といった“生の要素”がこのアルバムの持つドラマチックさに拍車をかけている。現代的なサウンドながらも初期作にあった耽美さが復活したように感じますが、実は楽曲自体は「これ!」といった飛び抜けたものが少ないのが難点。「Uprising」のようなアンセムが1曲あるだけでも十分っちゃあ十分ですが、やはり前作がトータルとしての完成度が高かっただけに、ちょっと残念な気もします。決して悪いアルバムではないんですが、もしかしたら「どのアルバムからMUSEのファンになったか?」で本作の評価は激変するんじゃないか……そんな1枚でもあるのかなと。
僕自身は最初に聴いたとき「これはちょっと……」と思ったものですが、何度も聴き込むことでポジティブに受け入れられるようになったし、リリースから数年経ってからは「あれ、悪くないじゃん」と思えるようになった作品でもあります。

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