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2018年11月24日 (土)

KISS『HOT IN THE SHADE』(1989)

1989年10月リリースの、KISS通算15枚目のオリジナルアルバム。リードシングル「Hide Your Heart」こそ全米66位と低調で終わりましたが、続く「Forever」は最高8位と、「Beth」(1976年/全米7位)以来13年ぶりの全米TOP10ヒットを記録。その後も「Rise To It」(全米81位)のスマッシュヒットが生まれたものの、アルバム自体は最高29位止まりで50万枚程度のセールスという中ヒットで終わっています。

ポップ路線が際立った前作『CRAZY NIGHTS』(1987年)は完成度こそ高かったものの、KISSらしさという点においてはファンから敬遠されてしまった。その反省から、今作ではジーン・シモンズ(Vo, B)&ポール・スタンレー(Vo, G)のセルフプロデュースで原点に立ち返り、時代に合わせてよりタフでハードなスタイルへとシフトチェンジさせています。

ソングライターにはおなじみのデズモンド・チャイルドやボブ・ハリガン・Jr.、ヴィニー・ポンシア、アダム・ミッチェルに加え、BON JOVIやHEARTで名を馳せたホーリー・ナイト、のちに復帰するエース・フレーリーの後釜としてバンドに加わるトミー・セイヤーも名を連ねています。面白いところでは、当時頭角を現していたシンガーのマイケル・ボルトンが「Forever」のソングライターとしてクレジットされているところでしょうか。

シングルカットされた3曲含め、本作収録曲はどれもメロディ自体はKISSらしいメロディアスさやポップさがあるんだけど、サウンドが硬すぎて通して聴くのが疲れるんですよね。全15曲でトータル59分というKISS史上最多曲数のオリジナル作品というのもあってね。ポールVo曲とジーンVoが7曲ずつとバランスよく収まっているものの、15曲中すべて良い曲かと言われると……3〜4曲削って、10〜12曲程度に収めたらもっと聴きやすくて、印象も良くなったんじゃないかと思うんですよ。

ちなみに、「Hide Your Heart」は同タイミングにKISSのほか、ボニー・タイラー(彼女のバージョンが最初にリリース)や、当時元メンバーだったエース・フレーリーもレコーディング。不思議な競演を繰り広げるものの、この曲自体はそこまでヒットにはつながらなかったという。もともとは『CRAZY NIGHTS』制作時に生まれた曲だったようだし、あのタイミングに出していたらもうちょっとヒットしたんじゃないでしょうかね。

本作にはエリック・カー(Dr)がオリジナルアルバムで初のメインボーカルを務めたオリジナル曲「Little Caesar」も収録(先に1988年発売のベストアルバム『SMASHES, THRASHES & HITS』で、「Beth」のVo差し替えバージョンを担当済み)。ダイナミックなハードロックと、クセの強くないストレートな歌声の相性も抜群で、当時はこれが最後のVo曲になってしまうなんて思いもしなかったなあ。

KISSファンにとっては内容的に印象が薄い1枚ですが(ライブでも、もはや「Forever」程度しか演奏されてませんし)、エリック・カー生前ラスト作という点においては忘れられない1枚かもしれません。聴く頻度が低い作品だけに、せめて命日の今日くらいは大音量で鳴らそうではないですか。

 


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