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2018年11月13日 (火)

QUEEN『ON AIR』(2016)

2016年11月にリリースされたQUEENのライブアルバム。フレディ・マーキュリー(Vo)の死後、現役時代を超える数のライブ作品が掘り起こされ発表されてきましたが、本作はその中でもちょっと異色の内容で、1973年2月(デビュー前)から1977年10月(6thアルバム『NEWS OF THE WORLD』リリースタイミング)までの間にQUEENがイギリスの国営ラジオ放送局BBCに出演した際の音源をまとめたものになります。

QUEENはこの期間、6回にわたりBBCセッションを行なっています(1973年2月5日、同年7月25日、同年12月3日、1974年4月3日、同年10月16日、1977年10月28日)。6回中5回が1974年10月まで、つまり3rdアルバム『SHEER HEART ATTACK』リリース直前(1974年11月発売)ということで、2枚組CDに収録されている全24曲中20曲がQUEENの初期3作品からということになります。

スタジオセッションというと、いわゆるスタジオライブを思い受かべると思いますが、ここで聴ける音源はそういった“ライブバンドQUEEN”のラフな面を捉えたものではなく、アルバムと同じように楽器をオーバーダビングしたも少なくありません。音楽ファンならよく“BBCセッション”というワードは耳に/目にするかと思います。中にはQUEENの本作やLED ZEPPELINの『BBC SESSIONS』(1997年)を筆頭に、BBCセッションをまとめたアルバムもあるし、NIRVANA『INCESTICIDE』(1992年)に出演音源がコンピレーション盤に含まれるケースも多々あります。

そもそもこのセッションが始まったきっかけは、60年代のイギリスにはラジオ局が1日にかけられるレコードの数に制限が設けられており、その抜け道として番組/局独自のライブ音源を用意したと。今となってはかなり無茶な制限ですが、そのおかげで数々の貴重な音源や名演を楽しむことができたのですから、ありがたいかぎりです。

さて、QUEENに話題を戻しましょう。初セッションとなった1973年2月5日のテイクからは4曲を収録。レコーディングは済んでいたものの、リリースがまだだったデビューアルバム『QUEEN』(1973年)から「My Fairy King」や「Liar」といった初期ならではの楽曲、映画『ボヘミアン・ラプソディ』でもフィーチャーされたSMILE時代の楽曲「Doing All Right」などを楽しむことができます。「Liar」ではギターがオーバーダブされていたりと、スタジオライブながらもQUEENというバンドが持つこだわりがしっかり感じられます。

2回目の1973年7月25日セッションからは4曲。アルバム『QUEEN』発売直後ということもあり、前回も披露した「Keep Yourself Alive」「Liar」、そしてアルバムの核を担う「Son And Daughter」を演奏しています。そんな中、次作『QUEEN II』(1974年)収録曲「Seven Seas Of Rhye」のシングルカップリング曲「See What A Fool I've Been」を演奏していること。シンプルなブルースロックという、彼らにしては異色のこの曲からは次作の片鱗は見つけられませんが、続く3回目のセッション(1973年12月3日)では早くも『QUEEN II』(1974年)収録曲「Ogre Battle」を披露しています。時系列的にはすでに『QUEEN II』のレコーディングは終わっている頃なので、リリースに3ヶ月ほど先駆けて実験的に披露したということなのでしょうか。ボーカルこそオーバーダブされているものの、「Ogre Battle」の生々しさはスタジオテイクとは異なる緊張感があり、これ1曲のために本作を購入しても不思議じゃありません(大げさですかね。笑)

ここまでがディスク1の12曲。これだけでもかなり濃いですね(笑)。

さて、後半戦へ。4回目のセッション(1974年4月3日)は『QUEEN II』リリース直後。ここからはデビューアルバムから「Modern Times Rock'n'Roll」と『QUEEN II』から「Nevermore」「White Queen (As It Began)」の3曲がピックアップされています。「Modern Times Rock'n'Roll」は前回のセッションでも演奏されていますが、パンキッシュでやけくそさが強かった前回と比べてテンポダウンし、重さが増したこちらのテイクも悪くない。けど、ここでは『QUEEN II』からの2曲に焦点を当てたいな。

5回目のセッションはさらに半年後の1974年10月16日。発売を翌月に控えた3rdアルバム『SHEER HEART ATTACK』からの4曲が演奏されていますが、あえてヒットシングル「Killer Queen」を外しているところが興味深い(そっちはシングルをオンエアしてもらえるしね)。ロック然とした「Now I'm Here」や「Stone Cold Crazy」に加え、フレディらしい「Flick Of The Wrist」、ロジャー・テイラー(Dr, Vo)作&歌唱の「Tenement Funster」をピックアップしており、ここから始まるQUEEN全盛期の勢いみたなものが少なからず見えてくるのではないでしょうか。特に「Tenement Funster」でのブラアン・メイ(G, Vo)のギタープレイは圧巻です。

ラストは3年ほど時間が空いた1977年10月28日。世界的大ヒット作『NEWS OF THE WORLD』からの5曲で、「We Will Rock You」はオリジナルバージョンと当時ライブのオープニングを飾ったファストバージョンの2テイクを収録。前者はスタジオ音源からそのままリズムトラックを流用したんじゃないかなって音で、ロジャーの銅鑼→女性ナレーション→ブライアンのギターリフとそのままファストバージョンへと切れ目なく続きます。実際のライブバージョンよりもテンポが遅いですが、コーラスの厚み含めとにかくカッコいい。のたうちまわるようなギターソロも素敵です。で、「Spread Your Wing」で小休止して、ラスト2曲「It's Late」「My Melancholy Blues」で締めくくるアルバム同様の構成、本当に最高です。

以上、駆け足でアルバムを追ってきましたが、スタジオアルバムとも通常のライブアルバムとも異なる魅力、ぜひ実際に聴いて感じてください。映画でQUEENに注目が集まっているこのタイミングだからこそ、改めてスポットを当てたい作品です。

なお、本作はBBCセッションCD2枚に加え、1973〜1986年の間にBBCでオンエアされたライブ音源やインタビュー音源を追加したCD6枚組ボックスセットも用意。こちらのBBCセッションパートは実際のラジオパーソナリティの声も入っており、2枚組バージョンの通常盤とは異なる雰囲気を楽しめます。



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