QUEEN『QUEEN II』(1974)
1974年3月にイギリスでリリースされた、QUEENの2ndアルバム。アメリカでは本国から1ヶ月遅れの同年4月、日本では3ヶ月遅れの6月に発売されています。
デビューアルバム『QUEEN』(1973年)はレコーディングからリリースまでに1年以上の遅れが生じ、発売された1973年夏にはすでに彼らの中では“古い”ものとなっていました。それもあってか、QUEENは1stアルバム発売直後の1973年8月からこの2ndアルバムのレコーディングを開始。結局、本作も完成からリリースまでに7ヶ月を要する結果となりましたが、「Seven Seas Of Rhye」のシングルヒット(全英10位)も手伝い、アルバム自体も全英5位まで上昇。大ブレイクの地盤を作ることになります。
このアルバムは“White Side”と題されたアナログA面(M-1「Prosession」からM-5「The Loser In The End」まで)と、“Black Side”と称するアナログB面(M-6「Ogre Battle」からM-11「Seven Seas Of Rhye」まで)で構成されたコンセプトアルバムの一種。“White Side”はブライアン・メイ(G, Vo)の楽曲が中心で(5曲中4曲がブライアンの手によるもの。残り1曲「The Loser In The End」のみがロジャー・テイラー作)、“Black Side”はすべてフレディ・マーキュリー(Vo, Piano)による楽曲とカラー分けがされており、前作『QUEEN』にあったプログレッシヴなハードロック色をより推し進めたものになっています。
また、楽曲自体も1曲1曲が単独で成り立つというよりは数曲からなる組曲的作風が強調され、その後のQUEENの諸作品に通ずるスタイルがここで早くも確立されています。
ボーカル面でも、“White Side”では「Some Day One Day」をブライアンが、「The Loser In The End」をロジャーがそれぞれ単独で歌唱しており、“Black Side”では「The March Of The Black Queen」にてフレディとロジャーのデュエットを聴くことができます。このへんでも、次作以降の布石ができあがったと言えるでしょう。
内容に関してはもはや何も言うことはない、ってくらいに完璧な仕上がり。デビューアルバムで試みたことの完成形がここで展開されており、それでいて新たな可能性も見え始めている。本作を基盤に、QUEENは次作以降音楽的拡散を続けていくわけです。
“White Side”の「Father To Son」、“Black Side”の「Ogre Battle」と両サイドを代表する楽曲がそれぞれ冒頭(“White Side”はインスト小楽曲「Procession」に続いてですが)に置かれているという点も、本作を語る上では非常に重要なことかもしれません。かのアクセル・ローズ(GUNS N' ROSES)は「俺が死んだらこのアルバムを棺桶に入れてくれ」と言ったそうですが、それくらいあの人にも衝撃や大きな影響を与えた作品。曲単位ではなく、あくまでアルバム通してじっくり味わってほしい、そんな1枚です。

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