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2018年11月 4日 (日)

QUEEN『THE MIRACLE』(1989)

1989年5月にリリースされた、QUEEN通算13作目のスタジオアルバム。バンドとして起死回生の1枚となった前作『A KIND OF MAGIC』(1986年)が本国で大ヒット(全英1位)し、これに伴うツアーも大成功を収めたQUEENでしたが、ライブ活動自体を1986年にて休止。しばらく表立った活動はなかったものの、パワフルなハードロックチューン「I Want It All」のシングルリリースとともに再びシーンに復帰します。

前作は映画『ハイランダー』のサウンドトラック的側面も強かった内容でしたが、続く本作は『A KIND OF MAGIC』でのポップな側面も残しつつ、ハードロックバンドとしてのカラーも再び強めた、時代に呼応した1枚と言えるでしょう。

オープニングの「Party」こそ80年代前半の『HOT SPACE』(1982年)期を思わせるダンサブルなポップチューンですが(とはいえ、ブライアン・メイのギタープレイは完全にハードロックのそれなのですが)、そこからメドレーのようになだれ込む「Khashoggi's Ship」は豪快なハードロックそのもの。タイトルトラック「The Miracle」で再び『A KIND OF MAGIC』的な側面を見せつつ、続く「I Want It All」はちょっとTHE WHOっぽくもあり、初期のQUEEN的な展開も見せる王道ハードロックで我々を楽しませてくれます。

この曲、シングルバージョン(MVはこちら)とアルバムバージョンでオープニングのアレンジや中盤の展開がまったく異なり、同じ曲なのに2度楽しめる変わった1曲となっています。個人的には「詰め込み感が強いもののスリリングさが強調された」シングルバージョンがお気に入りで、中盤のフレディ・マーキュリー(Vo)とブライアンの掛け合いから唐突に始まるギターソロのカッコ良さがツボです。

かと思うと、再び『HOT SPACE』を思わせるダンスポップ「The Invisible Man」があったり、『A KIND OF MAGIC』の延長線上にあるポップロック「Breakthru」があったり、パーカッシヴなポップチューン「Rain Must Fall」やシリアスなロックナンバー「Scandal」もある。そして、音数が少ない落ち着いた雰囲気のR&B調「My Baby Does Me」から初期を彷彿とさせるパワフルで派手なハードロック「Was It All Worth It」で締めくくる。全10曲、トータル41分程度という聴きやすさ含め、すごくよくまとめられた1枚だと思います。

全体的には確実に80年代のQUEENそのものなのですが、バンドのキャリアを総括しつつもしっかり当時の流行(HR/HMであったりヒップホップ以降のR&Bであったり)にも目を向けている。そのへんの嗅覚の強さは確実にフレディによるものが大きいと言えるでしょう。

残念ながら本作を携えたライブは一度も実現せず、アルバムからシングルカットされるたびにMVを制作しつつ、早くも次のアルバムへと向かっていったQUEEN。その理由は2年後に判明するわけですが、まさかこの当時はあんなことになるとは思ってもみませんでした。そういう意味ではこのアルバム、タイトルどおり“ミラクル”な1枚だったのかもしれませね。バンドは永遠ではない。だからこそ、こうやって新作を発表できることは奇跡なんだ、と。



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投稿: 2018 11 04 12:00 午前 [1989年の作品, Queen] | 固定リンク