ARCHITECTS『HOLY HELL』(2018)
イギリス・ブライトン出身のメタルコアバンド、ARCHITECTSが2018年11月にリリースした通算8枚目のスタジオアルバム。現在も在籍するEpitaph Recordsに移籍後発表した6thアルバム『LOST FOREVER // LOST TOGETHER』(2014年)で初めて接したバンドでしたが、フレドリック・ノルドストロームをアディショナルプロデューサーに迎えたこともあってか、同作は初の全英トップ20(16位)入りを果たしています。
しかし、前作『ALL OUR GODS HAVE ABANDONED US』(2016年)発表直後にトム・サール(G)が皮膚癌のため死去(享年28歳)。その後サ、ポートメンバーとしてツアーに参加していたSYLOSISのジョシュ・ミドルトンが正式加入し、今作の制作に臨みました。
プロデューサーはメンバーのダン・サール(Dr/トムと双子の兄弟)とジョシュが担当。Facebookのコメントなどでダンが語るように、本作はトムに向けて書かれた楽曲が大半を占めるとのこと。亡くなるまでの3年間を癌で苦しみぬいた彼の悲痛な叫びを激しいサウンドで表現し、病と戦った日々を刻むかのようにヘヴィなビートと鋭角的なギターリフが叩きつけられる。そんなズッシリと心に響く1枚となっています。
ストリングスを効果的に用いたアレンジと、要所要所に打ち込みやエレクトロの要素を挿入し、適度なブレイクを導入することで緩急を自在に操り、ドラマチックさを演出するバンドアンサンブルはひたすら気持ちよく聴けるものばかり。スクリームもクリーンパート同様のメロディアスさが感じられ、とにかく親しみやすい内容となっています。
鼓動を打つようなビートと「死は敗北ではない」というタイトルを持つオープニングトラック「Death Is Not Defeat」から始まり、曲を重ねるごとに感情を叩き続ける本作は、後半に進むに連れ全体を覆うヘヴィさが増していき、「Modern Misery」あたりではそのヘヴィさが悲痛さへと変わっていく。「The Seventh Circle」のバスドラ連打からは怒りすら感じられ、その悲哀に満ちた感情は「Doomsday」で一気に爆発し、ラストの「A Wasted Hymn」はどこか鎮魂歌のようにも聞こえる。
……なんてことを書くと、完全に偏見に満ちていると受け取られてしまうかもしれませんが、それくらいこのアルバムからはトムを失ったダンの悲しみ、バンドのやるせなさがヘヴィでエモーショナルなサウンドの塊となって押し寄せてくるのです。まるで音の壁で密閉され、呼吸できなくなるような……といったら大袈裟でしょうか。
外部プロデューサーの力を借りず、メンバーだけで作り上げたこのアルバム。それだけ深い意味が込められた、今後のARCHITECTSにとって大きなターニングポイントになるのではないでしょうか。気楽に聴けるアルバムではありませんが、気がつくと手を伸ばしている、そんな中毒性のある1枚です。
▼ARCHITECTS『HOLY HELL』
(amazon:海外盤CD / SMP3)
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